その日、俺は学校が休みだったこともあり、ドライブとして山道を走っていた。
 すると、急に車のスピードが落ちてきた。
 徐々に遅くなり、とうとう完全に止まってしまう。
「……うげっ」
 理由はすぐに分かった。ガソリンがなかったのだ。
「しまった……JAFを呼ぶか?」
 そう思ってふと外を見ると、すぐ近くに村が見えた。



 ドスを狩ってみた 



「すいませーん! どなたかいらっしゃいませんかー」
 一番近くにあった民家で、そこの住人を呼んでみる。
 車があったのでガソリンを買わせてもらおうと思ったのだ。
 農村だから、もしかしたら留守かもしれないと思ったが、返事があった。
「はいはい、どなたでしょうか?」
 出てきたのは結構な年のお爺さんだった。
 手ぬぐいを頭に巻いた、まさに農家の人という風体だった。
「すいません、実はガソリンが切れてしまいて……」
「あぁ、それは災難でしたね。ちょっと待っててください」
 事情を察してくれたようで、道具を取りに家の中に戻っていった。
「ふぅ。にしても、綺麗なところだな。まさに農村だ」
 周りを見渡すと田畑ばかりで、所々に民家があるという、よくある農家だ。


 そして、そこでぽよんぽよんと跳ねている謎饅頭もよくある光景なのだろう。
「ゆ、ゆ、ゆ!」
「おちょーしゃん、はやいよ!」
「ゆゆ! ごめんね、オチビちゃん」
「まりさはゆっくりしてるね!」
 超スタンダードなれいむとまりさ、そしてれいみゅの一家だ。
「ゆ? みなれないにんげんがいるよ! ゆっくりしていってね!」
 俺に気がついたらしく、いきなり話しかけてくる。警戒心の薄い田舎のゆっくりならではの行動だ。
“にんげん”と呼び捨てにしてきたが、この時点では善良かゲスかの判断はつかないし、仮にゲスだとしても一部の農村ではゆっくりと共存していることもある。
 下手に殺してガソリンがもらえないなんてことになれば一大事だ。
「れいむたちのゆっくりしたおやさいさんをみてゆっくりしていってね!」
「へぇ、お前らが作ったのか」
 どうやら後者の方だったらしい。
“食べて”ではなく“見て”なのは、まだ食べ時でないだけなんだろう。

「あぁ、またゆっくりか……」
 振り返ると、そこにはお爺さんが沈んだ顔で立っていた。
…………どうやら違ったらしい。
「えっと、一応聞いておきますけど、この村ってゆっくりと共存してるとかじゃなくて?」
「まさか」
 お爺さんに一蹴される。
「じゃあ潰さないんですか? 色々大変でしょう」
「それが出来れば……苦労はせんよ」


 お爺さん――この村の村長さんの話は非常によくある話だった。
 最近近所に住み着いたゆっくりの群れの長が3メートル級のドスまりさで、協定という名の不平等条約を交わすことになったらしい。
 もちろん、割を食うのは人間側だ。
 内容としては『人間はゆっくりをゆっくりさせる』『ゆっくりをゆっくりさせなかった人間をドスに引き渡す』の二点。
 結果、農村であるこの村は大打撃を受ける事になった。
“ゆっくりさせなければならない”ということは、野菜などの食料を差し出せということに繋がるからだ。
 無論人間側も反抗しようとしたらしいが、ドススパークで民家の1つを破壊され、年寄りが多い村人が萎縮してしまったそうな。
 加工所や警察にも被害届を出したが、山奥にあることや、金銭的な問題で無理だったらしい。
 民家ひとつ破壊されたのに動かないのは、大方ゆっくりんピースなどの擁護派のせいだろう。


 場所をお爺さんの家の居間に移して、大体の事情を教えてもらった。
「もう、老い先も短いというのに……」
 悲壮な顔のお爺さんに、俺は一言。
「んー、それってドスを潰せば解決する話ですよね」
 村が強く出れないのは一重にドスまりさの存在、そしてドススパークという兵器の存在があるからだ。
 つまりドスさえいなくなれば、人間がゆっくり如きに遠慮する必要はなくなる。
「無理じゃよ。ほれ、あそこを見なさい」
 そう言ってお爺さんが指さした先には瓦解した建物の跡があった。
「さっき言っていた民家じゃ。都会の人間は“ドススパークなんてほとんど無害”と言っているらしいが、なにが無害だ!」
「あー、確かにただの光であんなふうになる訳ないですもんねぇ」
 素直に感心する。
「ちなみに、すぐ撃って来ました?」
「撃って……ああ、ドススパークか。直ぐじゃよ、直ぐ。拒否した途端に撃ちおったわい」
「会話はしたんですよね?」
「したとも。私と二言三言会話してすぐにじゃ」
「二発目は?」
「いや、あれ一発だけじゃ。ただ、あれを見たら誰でも卒倒するわいな」
 そりゃそうだ。
 ここまでの話から考えるに、それなりに賢いドスだ。


「でも殺すのは簡単ですよ」
 俺の言葉に、村長が絶句した。
「な、なにを馬鹿な!」
「だってそうでしょう?
 たかがドス、たかがゆっくりですよ?」
 そう言うが、聞いていた村長は信じられんとばかりに首を横に振った。
「あれを見ただじゃろう。あれだけの力を持つドスに叶う訳がない」
 お爺さんの言葉もわからなくはない。
「じゃあ俺が殺します」
「なんじゃと?」
「ドスとてゆっくり。ぶっちゃけ、やり方次第では普通のゆっくり以上に簡単に殺せますよ」






 ドスは山の麓にある広場を中心に生活していた。
「では、行ってきます」
 道案内として近くまでついて来てくれた、不安そうな顔の村長さんに挨拶をする。
「本当に大丈夫なんじゃろうな? もし君が失敗でもしたら……」
 村長さんの言いたいことも分かる。もし失敗すれば、最悪ドスはこの村の人間を皆殺しにするだろう。
 だが、
「大丈夫です。必要なものは貸してもらいましたから」
 行ってきます、と何も持っていない片手をヒラヒラさせて群れへと足を進めた。


 そのドスは他のゆっくりと一緒にいた。
 確かにゆっくりしていて、そのふてぶてしい顔をだらけさせていた。
 俺は隠れたりせず、堂々と道を歩いてきたので、直ぐに見つかった。
「ゆっ? はじめてみるにんげんだよ!」
 開口一番、無礼な発言を受ける。
 ゆっくり如きに“にんげん”などと呼び捨てにされるのは、非常に腹のたつ話だ。
「ここはドスのゆっくりプレイスだよ! ここでゆっくりしたかったらあまあまをもってきてね!」
 お決まりの恐喝をするドスまりさ。
 ドスになれば餡子量が増えて賢くなるという話を聞いたことがあるが、どうやら間違いらしい。中身はゆっくりのままだ。
「きいてるの? ばかなの? しぬの?」
「しかたがないよドス。しょせんゆっくりしてないにんげんだもん」
「ゆふふ。そんなこといっちゃかわいそうだよ、れいむ」
 周りのゆっくり達も俺の事を馬鹿にする。
 これまた腹のたつ話だが、俺の目標はただひとつ。
 普通に歩きながら借りてきた道具を握り直し、いつでも飛びかかれる体勢をつくる。
「もういいかげんにしてね! ドスもおこるんだよ!」
 ドスの言葉を無視して、一歩、また一歩と歩を進め射程に捉えた。

「ドス、もうやっちゃおうよ!」
「ゆふぅ、しかたがな……」

 ドスが俺に向かってドススパークを撃とうとし……その前に俺がドスの目に鍬を叩きこんだ。

「ゆ、ゆ………………ゆ゛ん゛ぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」
 聞く人によってはどんな音楽よりもゆっくりできる程の悲鳴が山に響き渡る。
 一度も聞いたことのないであろうドスの悲鳴に、群れのゆっくりは大混乱に陥った。
「ど、どすうううううううううううううううう?!」
「わからないよおおおお! どおしてこんなことするのおおおおおおお!」
「れいむたちはゆっくりしてただけなのにいいいいいいいいいいい!」

 生き物の少なくない弱点の中で一番わかり易いのは“目”だ。
 視覚を司り、普段はまぶたで保護されているため衝撃には弱い器官。
 それはゆっくりも同じであり、ドスであろうと違いはない。
 いくら面の皮が文字通り厚くとも、眼球に直接攻撃を加えれば確実に悶絶する。
 そもそも寒天で出来ているのだ。土を耕す為に作られた鍬の前には無力だ。

「そ、そうよおさ! ドススパークを撃つのよっ!」
 いかにももりけん()のぱちゅりーがドスに指示を出した。
「そうだぜ! にんげんのおうちをいっしゅんでこわしたドススパークなら、こんなくそじじいなんていちっげきなんだぜ!」
「ゆぅぅぅぅぅ……そ、そうだね! ドスうっかりしてたよ」
 眼球破壊のダメージからなんとか抜けだしたドスが自身の帽子に隠していたキノコを取り出し、口の中に放り込む。
 このままではドススパークを撃たせることになってしまう。
「むーしゃむーしゃ……」
 片目を失って怒り状態になったドスは、生理的に苛々する顔をして俺を見下ろしている。

 無論、阻止できる方法があるのに、そのまま撃たせる馬鹿はいない。


             パアァンッ!


 山に乾いた、とても大きな音が鳴り響く。
『ゆんやああああああああああああああ!?』
 拳銃の発砲音にも似たその音に、すべてのゆっくりがダメージを食らう。
 当然、ドスもだ。
 そのドスの口からは収縮しそこねたドススパークが狼煙のように出てきた。

 人間には味覚・視覚・触覚・聴覚・嗅覚の五感と呼ばれる感覚機能がある。
 ゆっくりにも同様の感覚機能があるが、人間とは少し違う。
 五感のうち視覚は目、味覚は舌という人間と同じ器官があるが、残りの3機能については特にどこが司っている訳ではない。
 例えば眼球にダメージを与えれば視覚は奪われるが、皮を剥いでも触られた事を理解し、声を判別し、臭いを嗅ぎ分ける事が出来る。
 つまり、それらを防ぐ術がないという訳だ。
 鼻を摘んだり、耳を塞いだり出来ない以上、悪臭や大きな音をそのまま受けることになる。

 今、俺が使ったのは新聞紙で作った紙鉄砲だ。
 銃の本場アメリカで使えば、お巡りさんが飛んできかねないという代物を、ドスの超至近距離から使えばどうなるか。
 結果は見ての通りだ。

 この隙に出来る事をやっておく。
 まずは一番扱いが面倒なおさげを掴み、根元から引き抜く。
 少し抜きづらかったので、鍬で何度かダメージを与えると『ブチブチィ!』という音と共に部位破壊に成功。
「ゆがああああああああああああ! ドスのゆっくりしたおさげさんがあああああああああああああ!」

 次に移動能力を奪うため足元を狙う。
 ゴルフのスイングの要領でドスの足元に鍬の歯を叩きこむ。
 無論、一度で破壊しきれるものではないので、場所を変え狙いを変え、何度も鍬を振り下ろす。
「いだっ、いだああああ! やべでっ! ドスのあんよさんいじめないでええええええっ!」
 数十回も叩きこめばドスの移動能力が低下するには十分だ。
 そこから飽きてくるまで、ひたすら鍬を叩きこめば、一生涯歩くことが出来なくなるレベルのダメージになる。
 ついでにドスになると使い道のないまむまむも破壊しておいた。

 そして最後に、口を大きく開けて泣きわめいているドスの口内にポケットに入れていたペットボトルの中身をぶちまける。
 量は少ないが、その中身とは俺がもともと村長さんにもらおうとした車の原動力――ガソリンだ。
「いだあああああ! このおみずさんピリピリしてくさいうえににがいいいいいいいいいい!」
 ガソリンそのものがゆっくりにとって毒となりうる液体だ。
 俺は飲んだことがないが、苦く、ひどくピリピリとするものらしい。
 そして当然ガソリンをぶちまけるだけで終わるはずはない。
 相変わらず大口を開けているドスの口に、今度はライターで火を点けた新聞紙を放り込む。

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」

 口の中が文字通り火事になったドスは、目を破壊された時以上の悲鳴をあげる。
 砂糖水の唾液が充満しているので、山の木々に飛び火することはないが、ドスの口を破壊するには十分過ぎる。



「さて、と。こんなところだろう」
 見るも無残な姿となったドスに、群れのゆっくりは騒ぐこともなく、ただ呆然としていた。
「そ、そんな……ドスがにんげんごときにまけるなんて……」
「わからないよ……わからないよ……」
「ぱ、ぱぱぱっぴぷっぺぽおおおおおおお!」
 中には精神崩壊しているゆっくりもいたが、それくらいの衝撃があってしかるべきだ。
 何せこいつらがゆっくりしてこれたのは、全てドスのおかげだからだ。

「む、むきゅきゅぅ! さすがにんげんさんね! このもりのけんじゃのぱちぇがつかえるにふさわしいわ!」
 一番最初に寝返ろうとしたのはぱちゅりーだった。
 先程ドスに指示を出していたのを見るに、恐らく副長なのだろう。
「ど、ドスはゆっくりしてなかったんだねー! これからはにんげんさんにおさになってほしいんだねー!」
「し、しかたがないわね。でもつよいにんげんさんならあんっしんできるわ!」
 ぱちゅりーを皮切りに、次々にゆっくりが俺を慕い始めた。
 いや、寄生し始めたというのがただしい。
 こいつらはドスの威を借りてきたゆっくりたちだ。
 ドスがこのような状態となって、このままではゆっくり出来ない事を悟ったのだ。
 ドスを打ち倒した俺に媚び入ろうとするのも、ある意味自然とも言える。
 俺は少しだけ考えて、いいことを思いついた。



 彼らを伴って例の広場につくと、ゆっくり達はまだそこにいた。
「おさぁ、ゆっくりしすぎだよぉ」
「みょん? うしろのにんげんたちはどうしたみょん?」
 その“うしろのにんげんたち”は目の前の光景に度肝を抜かれていた。
「な、なんと……本当にドスを倒してしまうとは……」
 俺の隣りにいた村長さんが、信じられないとばかりに目を丸くする。
 その後ろの総勢50人程の村人さん達も同様だ。

 あれから俺は、こいつらにここで動かずに待っているように伝えて、討伐終了を伝えに一度村に戻った。
 すると、俺の応援をしようとしてくれていたらしい村人さん達がいた。
 もともと村長さんだけを連れていこうと思っていたが、丁度村の皆さんが集まっていたので、そのままついてきてもらったのだ。

「なんと……なんとお礼を言ったらよろしいか……」
 感動に咽び泣く村長さんに、ゆっくり達が騒ぎ出した。
「さすがおさね! さっそくどれいをしょうっあくしたわ!」
「これからもゆっくりのためにはたらくんだよっ!」
「つかえなくてもかんっだいなまりささまはゆるしてやるのぜ!」
 どうやら俺が村長さん達に奴隷宣言をしたと勘違いしているらしい。
 どこまでもめでたい奴らだ。

「さて皆さん。ゆっくりに対する恨みは十分だと思いますんで、後はお任せしようと思います」
 俺の言葉を皮切りに、呆然としていた村人さん達がゆっくりに近づき始めた。
 どの顔も「本当にいいの? やっていいの?」という気持ちを物語っている。
「ええ。思う存分。ただ何匹か捕まえておくと長く虐待できるんでおすすめです」
 なので、できるかぎりの笑顔で、彼らの背中を押してやる。

 そして喜劇の幕はあがった。

「どぼじでええええええええええ!」
「どれいのくせにいいいいいいい!」
「うるせぇ! お前らにへりくだるのもこれまでだ! 今までの恨み、全部はらさせてもらうぞ!」

「ゆべっ! あばっ! うぼぁっ!」
「どうだ、どうだ、どうだ!」
 ある男はゆっくりを鷲掴みにして木に叩きつけていた。

「やべええええええええええええ! れいむのおちびちゃんをつぶさないでえええええええええええ!」
「黙れ! 俺達が丹精込めてつくった野菜を駄目にしたくせに!」
 違う男は植物型妊娠をしたれいむを捕まえると、その茎に生えた実ゆっくりを一匹ずつ丁寧に潰していった。

「よくこうしてくれたよなぁ? ええ?」
「あやばりまずうううううううう! おねがいしますからあんよさんをどけてくださいいいいいいいい!」
 奴隷扱いを受けていたときに受けた事を、そのままゆっくりに返していた男もいた。

「ありすのとかいはなぺにぺにがああああああ! もうあかちゃんうめないいいいいいいいいい!」
「なにがぺにぺにだ! ウチの旦那に比べたら、こんなの爪楊枝以下だよっ!」
 ありすを捕まえては強制的に発情させ、露出したぺにぺにをもぎ取る女性もいた。


「ど…………どぼじで………………」
「そりゃお前、お前らが調子乗ってたからだよ」
 俺はその光景を、ボロボロになったドスと共に見ていた。
 残った片目に映るのは、自分を慕っていたゆっくり達の末路。ゆっくり達の地獄だ。
「もうやべて……ドスをいじめたんだから、もうじゅうぶんでしょ……?」
「お前、さっき盛大に掌返し食らったのに、よくそんな事言えるな。
 俺がいなかった間に制裁食らってたんだろ?」
 村人さん達を連れてきたとき、ゆっくりが体当たりをしたり、頬をふくらませるぷくーをしていた。
 中にはしーしーをかける子まりちゃもいた。
「あれみたら、同情したくなる気持ちもないことはないんだよなぁ」
「だったら……」
「けど駄目。お前らがやらかした事だ。お前らが責任を取って苦しんで死ね」


 その日、夜が更けてもゆっくりの悲鳴が途切れる事はなかったという。




あとがき
前から思っていたドスとの戦闘方法を中心に書いてみました。
本文中に入れるところがなかったのですが、ドススパークの威力はもともと弱いです。
家一軒破壊できたのは単純に貯めていたからで、村長さんと会話してる間は舌でドススパークが出るのを防いでいました。
舌がなくなっても喋る事ができるゆっくりならではですね。





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それなりー (1)
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最終更新:2024年01月07日 18:50