『朝鮮進駐軍』の話(1)~怪しげなプラカード~
『朝鮮進駐軍』の話(2)~yahoo知恵袋~
『朝鮮進駐軍』の話(3)~名誉あるビラ発布者~
『朝鮮進駐軍』の話(4)~ネタは2つ?~
『朝鮮進駐軍』の話(5)~川東ヘイトスピーチ@神戸~
「武装警官隊」を「武装朝鮮人」というデマ
『朝鮮進駐軍』の話(1)~怪しげなプラカード~
去る5月5日、大阪駅前の梅田歩道橋で、怪しげなプラカードを掲げている50人ほどの男女を見た人がいる。「在特会」だという。youtubeでそれを見た人もいるという。
なんじゃ? 「朝鮮進駐軍」って??
おじさんが掲げる写真のように、
「完全武装の朝鮮人?」
初耳だなあ!
ようやく重い腰をあげ、彼らが勧めるように「Gooleで検索」してみた。
ほう私が知らないうちに、「凄いもの」がネットでは「発見」されてるんだねえ。
しかし、ひとつひとつを読んでいくうちに内容が金太郎飴のように同じものであることを発見、コピペのしまくり。なにか、1個か2個のソースを皆で貼りまわしているようだ。
むかしむかし、仙台駅の駅裏や電話ボックスのピンクちらしは有名だった。いまでは、こういうコピー貼りを『拡散』というらしい。わたしは此の2週間ばかり、ひまを見つけてはこの「朝鮮進駐軍」、しらべてみた。
まず、拡散の元はなんだろう?
1つは直ぐ分かった。wikipediaの「朝鮮進駐軍」らしい。wikipediaというのはインターネット百科事典、それならいくらかは信用おけるだろう。と思ったら、
→wikipedia「朝鮮進駐軍」はとっくの昔に削除されていました。
「朝鮮進駐軍」なるものをネット検索してもヒットするのはいわゆる嫌韓厨といわれる面々によるプロパガンダサイトのものばかりで、百科事典記事作成に当たって信頼に足る情報源が見当たらない。
・・・・事実に関して出典による証明が無い。当時の在日朝鮮人が暴力事件を起こし、それを進駐軍にならって例えたというような事実はあったかもしれないが、それすら出典付きで記述できていない。そればかりか、意見・解説の類にも個々に出典は無く、独自研究状態に終始している。」
「Wikipedia:削除の方針#ケース E: 百科事典的でない記事の「本文が検証可能性を満たさない内容に終始している場合」
「独自の研究結果の発表」「広告またはスパム(嫌韓厨プロパガンダ)」「完全に異質な記事」に該当する。」
「対処 削除しました。 2010年1月5日 (火) 15:32 (UTC) 」
ようするに根拠薄弱だから、wikipediaに相応しくないと判断されて、削除されたということらしい。
ところが、Googleでヒットするブログ達をみると、wikipediaで削除されたのをきっかけに、この1月以降、「朝鮮進駐軍」の『拡散』は始まったのだという。
根拠が無い情報ほど拡散する
わが国のインターネットは、おかしな方向に脱線しかけているのか!!
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では冒頭のおじさんが持っている写真の種証しをしよう。
それは、これ。
毎日フォトバンクに今でも残っている。
https://photobank.mainichi.co.jp/php/KK_search.php
タイトルは
「旧朝連に強制立退き 在日朝鮮品川委員会事務所 建物の中の物を運び出す」
キャプションは
在日朝鮮統一民主戦線品川委員会事務所立ち退きの強制執行により運び出される家財道具=東京都品川区東中延で1953年(昭和28年)8月25日
制服を着ているのが「武装した朝鮮人」ではなく「武装警官」だということがわかる。
同じ日、同じ場所で写したこんな写真も、毎日フォトバンクには残っている。
タイトルは、
旧朝連に強制立ち退き 在日朝鮮品川委員会事務所 出動した警官
キャプションは、
在日朝鮮統一民主戦線品川委員会事務所立ち退きを強制執行する警官隊ら=東京都品川区東中延で1953年(昭和28年)8月25日
です。
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※毎日フォトバンクの写真を確認する方法。
(1)毎日フォトバンクのサイトを開く、https://photobank.mainichi.co.jp/php/KK_search.php そのあと、
(2)私が紹介したキャプション文あるいはその一部を用いて写真を検索する。
「武装警官」を「武装した朝鮮人」というデマゴギー
『朝鮮進駐軍』の話(2)へとつづく
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