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お断りします

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匿名ユーザー

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Across the――――/お断りします ◆i7XcZU0oTM




「怖いよ、怖いよ…………」

 真っ暗。
 月明かりのみが、辺りを微かに照らしている。
 見上げてみれば、星たちがポツポツとその輝きを現している。
 でも、そんな事、今の僕にはどうでもよかった。
 ――――――ただ、怖かった。
 死にたくない。こんなところで死にたくない。
 ただ、それだけだった。ここがどこなのか。何で僕がここにいるのか。

(うう、何も分からないよ……)

 堅くザラザラとしたアスファルトの感触。
 時折吹く、冷たい風。
 どれもこれも、僕を追いつめようとしているようにさえ感じる。

(僕、死にたくないよ。一体、どうすればいいの?)

 死なないために、どうすればいいんだろう。
 どこか、誰も来ないような場所にずっと隠れる?
 ……駄目だ。
 確か、時間が経てば「禁止エリア」って言う物ができるんだった。
 そこにいたら、この首輪が爆発して死んじゃう……!
 じゃあ、とにかく逃げて逃げて逃げ続けてみれば。
 ……いいや、それも駄目だ。
 ずっと逃げ回るなんて、とても体力がもたない。
 じゃあ、一体どうすれば。
 どうすれば、僕は殺されないんだろうか?
 ……やっぱり、他の人を殺さなきゃいけないの?
 誰かを――――殺さなきゃ、いけないの?
 それも、嫌だ。

「…………一体、僕はどうすれば」

 再び、空を見上げる。
 僕が、こんな状況なのにも関わらず、星は変わらず輝いている。
 あの星が恨めしい。
 こんな状況でも、自由に輝ける星が。
 僕も、こんな所から逃げ出して、自由になりたいな……。
 そう、思っていた時だった。

「おい、そこに誰かいるのか?」
「うわあっ!?」

 飛び上がりそうなくらい驚いた。
 いや、ちょっと飛び上がっていたかもしれない。
 とにかく、驚いてガバッと振り返ると……。

「……警戒しなくていい。俺はこんな殺し合いには乗る気はない」
「…………」

 相手が持っているランタンが、お互いの顔を照らす。
 ……僕に声をかけてきたのは、けっこう筋肉の付いた男性だった。

「随分妙な姿してるな…………君は、どうなんだ?」
「えっ?」
「殺し合う気があるのか、ないのか。どうなんだ?」
「ぼ、僕は……」

 僕は一体、どうしたいんだろう?
 僕は、どうすれば。

「――――どうすれば、いいんだろう」
「……何?」
「だって、僕……どうすればいいのか分からなくて」
「そんな事、他人に聞いてどうする……お前は何を言っているんだ。そんな事は、自分で決めろ。
 誰かに決めて貰っても、お前はそれを守り通せるのか?」

 そんなこと言われても。
 分からない物は分からないよ……。
 何も答えられないまま、うつむいていると。
 ……突然、肩を叩かれた。顔を起こすと、男の人が僕の後ろの方を指差している。
 指差す方向を見てみると、闇の中、明かりも点けずに僕らの方に歩いてくる「誰か」が見えた。
 暗さのせいで、顔はおろか体つきさえはっきり見えない。
 それでも、「誰か」が向かって来ているのは見えた。
 だんだん近づいてくるにつれ、じわじわと姿がはっきり見えてくる。

「……また、妙なのが現れたな。しかも、武器まで持ってやがる」
「…………っ」

 思わず、息を飲む。
 猫みたいな人?が、武器――――ボウガンを持って、立っている……。
 こんな状況なのに、何故か、笑みを浮かべながら。

「一応聞いてみるが……お前、殺し合いをやる気があるか?」





「お断りします」






「――――それは、どちらの意味で受け取ればいい?」
「ひろゆきもお前らも、全員。生かしておくの、お断りします」

 ゆっくりと、でも、しっかりと、僕の頭に言葉の意味が浸透してくる。
 ――――僕を。いや、僕達を。
 僕達を、殺す気なんだ。だから、ボウガンなんかを。
 怖くて、体が動かない。まるで、石か何かにでもなってしまったかのように。
 嫌だ。死にたくない
 ……死にたくない。僕は、まだ、死にたくない!

「う、うわあああぁぁぁ―――――-っ!!」
「おい、迂闊に動くと危な……」

 体を縛りつけていた恐怖が、今度は僕の呪縛を打ち破った。
 もう、どうだっていい!どこでもいい!
 とにかく、逃げなきゃ!ここから逃げなきゃ!
 でも……もう、僕の運命は決まっていたみたい。






 パシュン、と何かが発射される音。




 ――――突然の事で、全く動けずにいる男の人。




 ――――僕の方を向いて、ニヤニヤしている猫みたいな誰か。




 そして、僕が最期に感じた物は……。




(――――ショボーン)




 僕の頭に突き刺さる、ボウガンの矢の感触だけだった。





【ショボーン@AA 死亡】
【残り 64人】









 一瞬の出来事だった。
 あの妙なちっこい奴が、逃げ出したかと思ったら。
 猫の化け物が、逃げるあいつに、無慈悲にもボウガンを撃ち込みやがった。
 あまりにも突然すぎたお陰で、俺は何もできなかった……クソッタレ!
 とは言え、こいつを倒すなりなんなりするには、現状では力不足だ……。

「……」

 あいつは、地面に倒れたまま、ピクリともしない。
 こんなこと、言いたくはないが……おそらく、もう息はないだろう。
 もしあったとしても、頭に刺さっていては、助けようが無い。
 ……幸い、奴はボウガンの矢の装填をしている。
 今なら、逃げられる。

「……許してくれ」

 自分の鞄を引っ掴み、一目散に走り出す。
 ランタンが無いせいで、足元がおぼつかない。
 だが、そんなこと気にしている余裕も無い。
 今は、逃げる。今は。

(……俺も、自分の命が惜しいか。どうやら、俺も自分が何したいのか、分かってなかったみたいだな。
 ……あいつに、偉そうに言っておきながら。情けねぇな……)

 名前も聞いていなかったあいつ。
 こんな所で、安らかに眠れる訳無いだろうが……、許してくれ。

【C-1・野球場/1日目・深夜】
【ミルコ・クロコップ@AA】
[状態]:健康、後悔
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=00】)、不明支給品×0~3
[思考・状況]
基本:どうするべきか……?
1:今はあの化け猫から逃げる
2:……すまなかった






「…………」

 頭に突き刺さっている矢を、乱暴に引き抜く。
 予備はまだあるが、念のためだ。
 抜いた箇所から、血がドクドクと流れ出る。続けて、濃厚な血の臭い。
 俺は、確かにこいつを殺した。
 ……別に、後悔なんかしちゃいない。全て――――ひろゆきを含めた全員を、殺す。
 全員殺す。全てを……断る。
 そう決めたのは、俺だ。

「…………」

 さっきの男は取り逃がしたが、まあいい。
 時間は、まだある。
 ……6時間後には俺の名前が参加者全員に知れ渡るんだ。
 ここで殺した所で、口封じの効果は期待できない。

「…………こいつの荷物、確かめてみるか」

 少し、血の付いた鞄。
 できるだけ、手に血が付かないように気をつけながら、中身を取り出す。
 …………俺の鞄にも入っていた物はどうでもいいんだ。
 水と食料を残して、適当に投げ捨てる。

「さて、こいつだけの支給品は何だ? 武器があれば有難いが……」

 そう上手く行ってくれるかは分からない。
 まずは、1つ目。
 ――――フライパンのようなものと、飯や野菜の入ったタッパー。何だ、これは。
 ……まぁ、フライパンのようなものは、それなりに使えるだろう。
 とにかく、次だ。次は、まともな物であって欲しい。
 その期待に応じてくれたのかは分からないが、何とか武器が出てきてくれた。
 出て来たのは、1本の草刈り鎌だった。
 曇り一つなく、地面に転がるランタンの光に照らされて、草刈り鎌が妖しく光っている。
 ……何となく、得体の知れない物を感じた気がするが、気のせいだろう。

(支給品は、これで終わりみたいだな。武器が出て来てくれたのは、素直に喜ぶべきだろう。
 ……意味の分からない物もあったが)

 とにかく、他の奴を仕留めるまでは、ボウガンと草刈り鎌で戦う必要がある。

「…………」

 空を見上げ、決意を再度固める。
 ……全てを断り、全てを倒す。
 道は険しいが、俺なら。
 もしかしたら、出来るかもしれない。

「生きとし生ける者全てに――――お断りします」



【C-1・野球場:スタンド/1日目・深夜】
【お断りします@AA】
[状態]:健康
[装備]:ボウガン(1/1)@現実
[道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=01】)、ニニフと炒飯セット@AA、草刈り鎌@現実、予備の矢×10
[思考・状況]
基本:全てに「お断りします」。
1:他の参加者を探して殺す
2:今の武器よりいい物が他にあるなら、手に入れたい
※野球場は今の所真っ暗です。電源を入れれば灯りは灯ります
※野球場・スタンドにショボーンの遺体が、その傍に空のバッグと基本支給品(食料、水無し)が放置されています


≪支給品紹介≫
【ボウガン@現実】
特に変わった所はない、只のボウガン。
事前に装填されていた矢1本と、予備の矢10本がセットで支給された。

【ニニフと炒飯セット@AA】
AA「チャーハン作るよ!」より。
ニニフと、一般的な炒飯の材料(2人前)のセット。
……一見フライパンのようではあるが、ニニフはニニフでしかない。

【草刈り鎌@現実】
普通の草刈り鎌。草を刈ったり首を刈ったりと、汎用性は高い。



No.05:一つ罪なき男女を殺し、二つ開いた殺し合い、三つ卑劣な管理人を、退治てくれよ鬼淑女 時系列順 No.07:街道上のぐう畜
No.05:一つ罪なき男女を殺し、二つ開いた殺し合い、三つ卑劣な管理人を、退治てくれよ鬼淑女 投下順 No.07:街道上のぐう畜
ショボーン 死亡
ミルコ・クロコップ No.29:葛藤は時として人を毒蛇に変えてゆく
お断りします No.14:モッピー知ってるよ。モッピー達がバトルロワイアルでも大暴れするって!!

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