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【髪は】バトロワ内でした悪行を懺悔する絵師【言っている…】

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【髪は】バトロワ内でした悪行を懺悔する絵師【言っている…】  ◆m8iVFhkTec




月明かりだけが照らす近鉄百貨店の屋上、一人の男が立ちつくしていた
名前は竹安佐和記。株式会社crimの代表取締役として活躍するイラストレイターだ
彼は今、あまりにも唐突に、そして突飛な状況に放り込まれ茫然自失となっていた

…殺し合い? 何故、俺がそんな不可解な事を強いられているんだ…?
どうして一市民でしかない俺が、こんな理不尽な目にあってるんだ…?
世界に何億、何十億と人間がいる。その中で、何故俺が選ばれたのか…?

そりゃあ誰だって事故に巻き込まれる可能性はある
飛行機事故とか、拉致とか、それで運悪く被害に遭う人は必ずいるだろう

でも、自分がそんな不運な事故に遭う確率なんて1%もないじゃないか…!
まさか、自分がそれに巻き込まれるなんて思いもしない
今までそんなの、ニュースの中だけの出来事だと思っていたんだから…
こんなの何かの間違いだ…自分がこんな理不尽に巻き込まれるなんて有り得ない…!

彼は現実を受け止められなかった。突然拐われてお前ら殺し合え、だなんてフィクションの世界の事だと思っていたからだ
何よりも、先刻に彼が見た惨状が、現実ということを拒否していたのだ
脳裏に浮かび上がるのは自分の目の前で、首を跳ね飛ばされた少女の姿…
なすすべもなく、一瞬で、あっけなく一つの命が吹き飛んだのだ
血飛沫が飛び散り、首を失った胴体がドタリと倒れる様…
唖然としてその無残な姿から目を背ける。すると男の罵声が聞こえ、またしてもパァンと言う破裂音
無謀にも主催に歯向かい、首と泣き別れをする男の胴体、足元へ転がってきた黒く焦げた男の頭部…

信じられるわけがない。こんな無茶苦茶な惨殺が現実に、ましてや俺の目の前で起きるなんて信じられるわけがないだろ…!


―――夢だ、俺は悪夢を見ているだけなんだ……


ごく普通の一般人の俺が、こんな非現実的な悲劇に遭うわけがないじゃないか
もう嫌だ!早く目を覚ませ!いつもの仕事尽くしの日常に帰してくれ…!

腕をつねったり、頭を殴ったりする…残念ながら、相応の痛みを感じる…
徐々に恐怖と不安が佐和記を支配していった
自分もあんな風に無残に殺されるのか?訳のわからない世界で、何も分からずに殺されるのか?

ターン…

少し離れたところから銃声が響く
続けて必死に名前を呼びかける悲痛な叫び声…


殺し合いが始まっている?
たった今、新たに誰かが死んだ?
次に殺されるのは………


その瞬間、彼の中で何かが弾けた

…こんなの、現実で起きるわけがないじゃないか
これはちょっとリアルな夢なんだ。そうに違いない
さっさと目覚めたい。こんな悪夢、もうまっぴらだ!
…そうだ、この屋上から跳んでみれば流石に目が覚めるんじゃないか?
地面に激突するその瞬間に、いつものベッドから飛び起きるはずだ

佐和記は屋上の柵を飛び越え、淵際に立つ
恐怖から逃れたい一心で、最悪の手段を選択した

冷たい風が吹き付け、新たに恐怖が湧き上がる
もし、これが現実だったらどうする?この高さなら確実に…

―――いや……

…これは僕が見ている悪夢なんだ…こっから一歩足を踏み出せばそれで目が覚めるんだ…
そう、目が覚めるだけなんだ…大丈夫だ、問題無い…

我を見失っていた彼は、自分に言い聞かせる…これは現実ではないと…
それは『自己暗示』の領域に達していた
さもなくては気が狂ってしまいそうだ
こんな残酷な現実を受け入れるくらいなら…



そして彼は




―――足元に広がる闇の中へ体を投げ出した




☆彡 ☆ミ ☆彡 ☆ミ ☆彡 ☆ミ ☆彡




白い法衣をまとった神々しい男の姿があった
彼の名前は髪の子ファヌソ
ゲーム内で罪を犯した哀れな子羊たちに裁きを与える神々の一人である
その神々しく穏やかな顔付きとは裏腹に、内心穏やかではなかった

「ひろゆきめ…
 よくもこのようなくだらぬ遊戯に、この私を強制参加させましたね…
 許しません、地獄へ落ちなさい。
 もとい落ちてしまえばいいのに!」

普段ならば直接手を下すところだが、今の彼にはそれが出来ないのだ
それこそ、数分前の彼は
「子羊たちの殺し合いなんて、神である私が無双して終わりじゃないですか。
 GTAでチートコードフルに使って暴れるようなものです。」
などと余裕を吐いていたものの、いざ神通力を使ったところで、自身の異変に気づいたのだった


原因は首輪にあった。彼の首に嵌められた首輪は彼の力を大幅に制限していたのだ
ひろゆきの目の前に直接降臨することや、首輪の制限を解くことを封じられていたのだ

つまりこれがある限り、私は哀れなタラコ羊の手の内で遊ばれることを余儀なくされるわけだ。
子羊にもて遊ばれるなど、神としての尊厳に関わる話だ。殺意が沸いてきた。

「ふん、まぁいいでしょう。
 幸いな事にその他の神通力ならばだいたい使うことはできるようです。
 少し位はいわゆる『最悪の椅子取りゲーム』で遊んで見るのも悪くないかもしれません。」

不本意ではあるが、現状をそうやって飲み込むことにした
それに多少歯応えがある方がオタゲーマーの血が騒ぐものだ
まずはデイバックを開いて中を確認する
パサッと支給品説明書が出てきた。表紙に「ドラえもんシリーズ」と書いてある

『お医者さんカバン:患者を診断して、それに合ったクスリを出してくれる。五回使えます。』
『ヘリコプター:大空を自由に飛びたい、そんなあなたにこの道具』
『WASABI:あっそ、踏んじゃえ!』

ヘリコプター…どうやってこのデイバックに入っているんですか? 質量保存の法則って言うのがありまして云々…
というか、ドラえもんほとんど関係ないじゃないですか。支給品用意した人は○×問題のテストで0点を取ってしまいなさい
…それはともかく、わさびを除けば支給品としてはかなり有効ではあるだろう
肝心の武器になるものが入っていないが、ファヌソにとってはそれほど問題ではない
自身の神通力を行使すれば、相手を地獄へ堕とすのは容易いことであるからだ

支給品の確認が済んだので、とりあえず路地を適当に歩き出す
頭の中ではひろゆきにどんな制裁を与えるかを考えていた
ピコハンマー一丁でモンスターハウスの真ん中に飛ばすのはどうだろう?
それとも神話の住民や歴史上の英雄と聖杯を巡って戦わせ…

とその時、少し離れたところから銃声が聞こえてきた
何か起きてるんですかね。こっそり行ってみることにしますか…




★彡 ★彡 ★ミ ★彡 ★ミ ★彡 ★ミ




全く痛くない。地面に叩きつけられたのに何も感じない
なんだ。ほら、やっぱり夢だったじゃないか

ただ、ちょっと嘔吐感があるし、体に違和感を感じる…
いや、これはきっと風邪気味なだけだろうな、だから大したことはない…

これは 夢の 世界なんだ…




…目が… 覚め ればき… っと……




彼の意識が消える、最後の瞬間
脳内に、誰かが語りかける声が聞こえた
はっきりとしたその声は、どこか聞き覚えのあるものだった
そう、自分が手掛けた、あのゲームに、そんな言葉が…








―――神は言っている ここで死ぬ運命ではない と…―――








佐和記は飛び起きた
全身に嫌な汗がべっとりと服に張り付いている…息が切れてるし、動悸も激しい…でも…

…ほ、ほら、やっぱりさっきのは夢だったのさ…!
飛び降り自殺を図ったのに、体に何の異変も無い…
殺し合いなんて意味不明な事は存在しない…いつもの日常…
そうだ、今日は仕事が溜まってるんだ、早く片付けないと…

「目覚めたようですね、迷える子羊よ。」
「え…?」

俺の目の前には真っ白な服に銀髪をなびかせた、神々しい若い男の姿があった

「汝、自らの罪をここに懺悔しなさい。
 罪を償わずに自殺するのは違反ですよ。違反切符を切られます。」

そこで、自分が路上に横たわっていることに初めて気がついた
そして汗だと思っていたのは…血だ
大量の血がワイシャツを真っ赤に染めている
でも、外傷はどこにも見当たらなかった
となると自分は…いったい…?

頭がショートしそうだった
何が起きてるのか、目の前の男は何なのか…全くわからない…

周りをキョロキョロしながら茫然とする様子を見つつも、髪の子ファヌソは言葉を続けた

「あなたの事は知っていますよ、竹安佐和記さん。
 汝の描くイラストには、トレースの疑いがかけられていますね。
 では、あなた自身、それについての弁論はありますか?」

ファヌソは穏やかな声で問いかける
だが今の佐和記の頭には、ファヌソの言葉は入ってこなかった
彼の頭の中では、ただただ自身に何が起きているのか、という懸念しかなかった

そのため、しばしの沈黙が続いた
やがて、佐和記が答えない様子を見てファヌソは不敵な笑みを浮かべながら口を開いた

「沈黙ということは、罪を認めるというのですね。
 ならば汝には私から直々に裁きを与えてあげます。」
「へっ!?いや、待って!今裁きって…?」
「もう遅いです。観念して罰を受け入れなさい…!」

突如飛び出した「裁き」の言葉に、ハッとする佐和記
後ずさりしようとする佐和記を捕まえ、ファヌソは神通力を行使する
目も開けられないほどの眩い閃光が走った…

やがて、ファヌソの声が聞こえる

「自らが手がけたゲームの主人公のマネをしなさい。
 神は言っている、『全てを救えと』。そしてそのまま長い旅を始めるのです。
 セリフやドヤ顔なんかもトレースすれば尚良し
 クリア出来たら無罪、敗北したら地獄行きです。」
「えっ?えっ…?」

佐和記が目を開くと、自身の服が真っ白な鎧に変化していることに気づいた
それは、佐和記が手がけたゲーム「エルシャダイ」のイーノックそのものだった
なんで? さっきまで俺が着ていたワイシャツはどこへ…?

「そんな装備で大丈夫か?」
「えっ? えーっ…、だ、大丈夫だ…問題…」
「大丈夫ならよろしい。それでは私はもう行きます。」
「は…?」

ファヌソがバックをひっくり返すと、中からズドォ…ンと音を立ててヘリコプターが出てきた
彼は中に乗り込み、説明書を片手に適当に弄ると、プロペラが回転し、そのまま浮き上がった

「それではせいぜい頑張るように。またね。」

それだけを言うとそのまま、暗闇の中へさっさと飛び去っていった
結局最後まで何がなんだかわからなかった

数分間唖然としたまま佐和記は立ち尽くしていた
やがて我に返り、彼の中で結論が出た

「あぁ、ここはまだ夢の中なんだな…ハハ…」





☆彡 ★ミ ☆彡 ★ミ ☆彡 ★ミ ☆彡






「…フッ…クク…あっははははははは!!
 いやぁ、やっぱり裁きを与えるのは何よりも快感です。」

闇空の中を飛びながら、ファヌソは先刻の転末を思い出して吹き出した
銃声が響いたと思い、そこへ向かう最中にちょうど飛び降りの現場に出くわしたのだ
形容し難いほど悲惨な状態になった男、ファヌソはその顔に見覚えがあった
エルシャダイのインタビュー動画か何かで見た…確か竹安佐和記氏と言ったか
まさかこんな人までバトルロワイヤルに参加させられているとは意外なものだ

ご冥福をお祈り…と思ったところで、彼はうめき声を漏らした。まだかろうじて息があるようだった
ならば、とファヌソはお医者さんカバンを早速試してみることにしたのだ
ゲーム界の逸材をここで死なすのは勿体無いし、何よりもカバンの効果がどれほどかも把握しておきたかったのだ
聴診器を当てるとカバンの中からクスリが飛び出す。それをバシャッと適当に振りかけてみた
…効果は抜群。どうみても助からないような負傷が一瞬のうちに塞がった
さっすが僕らのドラえもん、と感心せざるを得ない

さて、せっかくの機会だ。なにか裁きを与えてやりたい
しばし考える。やはりエルシャダイ関係がいいか? ではどのようにするか…

「そうだ、この男に無理やり、対主催を命じてみましょう。」

どうせ私が助けなければここで朽ち果てていた命…ならばせめて有効活用してもらおうではないか
憎きひろゆきに一矢報いて貰えれば、参加者みんな気味がいいし、ひろゆきへの嫌がらせにもなる
これは一石二鳥です。さすが私です

そうして佐和記が目覚めたあと、あのように神様オーラ全開で無茶ぶりをしたのだ
なんとなく、村の若者を「勇者」と呼んで、無理やり魔王退治に行かせる王様の心境になった
正直、佐和記氏がこの後どうなるかはファヌソにはどうでもよかった

「バトルロワイヤルでも、いつも通り好き勝手やらしてもらいましょう。
 哀れな子羊の懺悔を聞き、片っ端から裁いてやるのです。
 普通のシリアスな殺し合いが台無しになるでしょう。
 ひろゆきは、私をこんな面倒事に巻き込んだことを後悔するが良い。」

もはや彼は『椅子取りゲーム』を通常プレイで楽しむつもりはなかった
ひろゆきの創り出した箱庭を、ごちゃごちゃに引っ掻き回すつもりだった
嫌がらせ? いいえ、これは私なりの裁きの一環ですよ

このままお空を飛んでいても仕方ない。ファヌソは適当なスペースを見つけ地上に降りたつ
そうしてヘリコプターにデイバックをかぶせると見事に中に吸い込まれていった
バックを背負い、神々しいゲームの神はコツコツと薄暗い路地を歩き出した
どんな迷える子羊に出会うのか、そしてどんな裁きを下せるのか、期待を抱きながら…




【B-4/路上/一日目・深夜】

【髪の子ファヌソ@ゲームサロン】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=00】)、お医者さんカバン(4/5)@ドラえもん、ヘリコプター@現実、わさび@オラサイト
[思考・状況]
基本:気まぐれに行動する
1:子羊から懺悔を聞き、裁きを与える
2:ひろゆきも地獄へ落とします
※神通力が制限されています。さじ加減はそれぞれの書き手の方にお任せします



【B-4/近鉄百貨店前/一日目・深夜】

【竹安佐和記@ゲームサロン】
[状態]:健康、混乱
[装備]:一番いい装備@エルシャダイ
[道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=00】)、ランダム支給品(1~3)
[思考・状況]
基本:???
1:これは悪夢なんだよな…
2:どうすればいいのか分からない
3:さっきの男はいったい…?

《支給品紹介》
【お医者さんカバン@ドラえもん】
患者に聴診器のような端末を当てると、症状に見合ったクスリが出てくる道具
現代医学では到底治せないような重症でもたちどころに回復する。かがくのちからってすげー!

【ヘリコプター@現実】
空を自由に飛びたいという願いを叶える乗り物
免許がなくても、説明書があれば運転できるようだ

【わさび@オラサイト】
ごく普通のワサビ。鼻にツンとくる辛さが特徴の調味料
出典元はFLASH「おびたとわさび」のび太くんみたいな少年が「わさびー」と叫ぶシュールなフラッシュ
元ネタはバドワイザーのCMのパロディ。ちなみに現在のドラえもんの声優さんも、わさびさんである

【一番いい装備@エルシャダイ】
ゲーム「エルシャダイ」において、主人公イーノックが装備していた鎧
佐和記のワイシャツを神通力で変化させた。攻撃を受けると砕ける


No.26:寺生まれはスゴかった 時系列順 No.28:権力に飢えた扇動家
No.26:寺生まれはスゴかった 投下順 No.28:権力に飢えた扇動家
髪の子ファヌソ No.53:ファヌソ、探索始めるってよ
竹安佐和記 No.55:暇を持て余した神々の馬鹿騒ぎ

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