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Nightmare、そして現実へ

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匿名ユーザー

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Nightmare、そして現実へ  ◆i7XcZU0oTM






 あの妙な奴らを襲った後。
 路地裏を少し走って退いた後、物陰に隠れて奴らが追いかけて来てないかを確認してみた。
 だが、奴らは追いかけてこなかった。……正直、有難かった。
 流石に、初っ端からあんなのとやりあっていたら、まず危険な目に遭っていただろう。
 その点では、追いかけられなかったのは幸運だった、かもしれない。
 どちらにしろ、奴らはもう近くにはいないだろう。
 あの中年はどこかへ逃げて行ったし、変な髪形をした奴も、どこかへ行った。
 その後、路地裏を抜け表通りに出た俺は、近くのビルに入る事にした。
 ……近鉄百貨店。確か、そんな名前だった。
 ――――幸い、中を調査する時間は、たっぷりあった。
 中に、何か役に立つ物があるのか。誰か、潜んでいるのか。
 それらを調べる時間は、俺にはたっぷりあった。
 ビル横の駐車場、地下1階の店舗プラス地下駐車場、1階から4階、全ての店舗……。
 時間はある。ゆっくり行こうじゃないか……。







 ――――結論から言えば、特に大した収穫は無かった。
 何処にも人は潜んでいなかったし、俺の興味を引く物も、特になかった。
 一応屋上も調べようとは思ったが……扉は施錠されており、いじられた痕跡も無かったので放置しておいた。
 ……これだけの事を調べるのに、1時間近くもかかるとは。
 まあ、いろいろ調べたから、これくらいかかっても仕方無いか。
 そうして、今俺はここ……3階のベンチの1つに、俺は腰かけていた。

「……時間のムダだったからな!」

 ふてくされて、ベンチに寝転がり、ジーッと天井を見つめる。

「……だーれも来やしない……」

 これだけの時間をもてあますくらいなら、何か有意義な事に使えればいいのだが。
 ……いろいろ、考えてみるのもいいな。そう――――さっきの、妙な音についてとか。
 そう、丁度2階辺りを調べてた時だったかな。
 ドサッ、と言った感じの音に、何か、ヘリコプターのような大きな音が聞こえた。
 見つからないように外を伺ってみたら、ヘリコプターが、音を立ててどこかへ向かっていた。
 暗さのせいで、誰が乗っているのか良く分からなかったが。
 結局、特に気にする事もなく、探索を続行したのだった。

「…………」

 喋る事なんて何もない。ここには1人しかしないんだし。
 相手もいないのに、話す事などない。
 わざわざ口に出さずとも、頭の中で考えれば事足りる。

(…………)

 偉そうにそう考えちゃあいるが、別段考えなきゃいけないこともなかった。
 ……はぁ。拍子抜けだなあ。
 そろそろここを出ようかな?








「……随分大きな建物ですね」
「どうやら、近鉄百貨店のようね。……ああ、百貨店って言うのは、まあ、色んな物がある場所ね。
 ……もしかしたら、その物資目当てに誰かがいるかもしれないわね。調べてみましょう」
「はい、分かりました! ……って、あそこにあるのって……」

 鬼子ちゃんの指差す方向を見ると……何かが、月明かりに照らされている。
 それは、地面にべったりと広がって、赤い色をしていて……。
 この真っ赤な液体は、もしかして?

「血……!?」

 思わず、息を呑む。
 急に、寒気と恐ろしさが、私に襲い掛かってくる。
 ……ここで、誰かが襲われたのだろうか?そして……殺されたのだろうか?
 でも、ここに残っているのは、この大量の血の痕だけ。
 ――――遺体は、どこにもない。

「どうして、こんなところに?」
「……私にも、分からないです」

 2人とも、ここに来てからほんの少ししか経っていない。
 そんな状態なのに、分かる訳ない。

「……とりあえず、これは後から調べませんか? 先に、中の方を調べましょう」

 コクリ、と小さく頷いて答える。
 入り口に歩を進めると、小さな音を立てて自動ドアが開く。
 ……中は真っ暗なくせに、こんなところには電気が通ってるんだね。
 ここに電気通すんなら、ついでに中の明かりもつけてくれればいいのに。
 最悪の店ね…………って、今はそんなこと言ってる場合じゃなかった。
 とにかく、店内は真っ暗だった。
 明かりと言えば、ショーケースの中の明かりと、非常口の緑の光くらいのものだ。
 足元くらいは照らせるが、あくまでその程度しか照らせない。
 結局、主な明かりは自分たちの持つランタンくらいだ。

(……無気味なくらい静かね)

 辺りに響くのは、私たちの足音だけ。
 それ以外は……まるっきり静かだ。シーン、と静まり返っている。
 そんな静寂を、鬼子ちゃんの声が打ち破った。

「鬼女さんは、何も持たなくても大丈夫なんですか? 確か、鞄の中に……」
「……大丈夫よ。必要な時に出すわ」
「でも、もし急に襲い掛かられでもしたら……!」
「――――大丈夫。きっと、ね」

 根拠なんてない。
 でも、そう信じていないとやってられない。
 少しでも、後ろ向きに物事を考えてしまうと、それに思考が引きずられそうで、怖くて。
 私、この状況を、まだ現実じゃないと、心の中で、思ってたのかもしれない。
 今まで、誰かに襲われることもなかったし、命の危機に晒された事もなかった。
 そんな状況じゃ、やっぱりぼんやりとした「現実」しか見る事はできない。
 そんな所に、さっきの血の痕だ。それで、私は一気に現実まで引きずられた。
 いや、ようやく目が覚めたと言った方がいいのかな……。

「まあ、何があるか分からないから……一応、持っておくわ。心配してくれてありがとう」
「どういたしまして……」

 道端に鞄を置き、片膝立ちで鞄を開ける。
 そして、中から……細長い円筒状の物体を取り出す。私の鞄を調べた時に見つけた、唯一の武器。
 ――――閃光手榴弾。

(いくら殺傷力がないからって……いざ持って見れば、あまりいい気分じゃないわね……)

 とりあえず、1つポケットに仕舞っておこう……。

「……待たせちゃったわね。さあ、行きましょう」

 探索に戻る……とはいえ、特に変わった事なんてない。
 依然として静かだし、誰かの足音が聞こえてくる訳でもない。

(……この辺りは贈呈品ばかりね。のりだったり、ハムだったり……変わり映えしないものばかりね)

 ふと、ある疑問が浮かぶ。
 ……ひろゆきは、一体どうやって「ここ」を用意したんだろうか?
 こんな建物1つ用意するだけでも、かなりの額のお金が必要だろうに。
 どこから、そんなお金を用意したのだろうか。
 ……と言うか、こんなことをお金だけでできるのだろうか?
 「禁止エリア」なる場所に入ると爆発する首輪。鞄に入っている武器。この街や、建物。
 どれも、ただお金を用意したからと言って、出来る事じゃない。
 技術力、科学力……その他もろもろの力がないと、こんなこと……。
 そもそも、「記憶を消す」って時点でとんでもないじゃない。
 そんな権力をひろゆきは持ってる、って言うの?
 ……私が思ってる以上に、敵は強大だ。だけど、これくらいで挫ける私じゃない。

(相手が強大であればあるほど、晒し上げた時にダメージが大きい……! 今からワクワクして来ちゃうわ!!)

 ……しかし、それをするためにはまだまだ準備が足りない。今は、もっと仲間を集めないと。
 細かい作戦を立てるのは、仲間を集めてから……。
 そうでないと、ダメだ。

「…………どうか、しましたか?」
「えっ?」
「いえ、随分悩んでいたようなので……」
「あ、ああ……ごめんなさい。少し、考え事……」

 どうやら、顔に出ていたようだ。
 ……いけないいけない。
 こんな所で、熟考は良くない。

「……少し休みましょう。歩き通しで、少し疲れたわ。……鬼子ちゃんは大丈夫?」
「私は大丈夫です」
「そう。体力あるのね……羨ましいわ」

 確かに、鬼子ちゃんの顔には疲労は見られない。
 多分、私の顔は散々な事になってるんだろうな。
 元々、そこまで綺麗って訳でもないけれど。というか、自分を綺麗と言うほど自惚れてはない。
 ……そんなこと、どうでもいい。
 こうやってゆっくり座っているんだから、さっきの続きでも……。



「ふうん、こんな所に人がいたんだ」








「ふうん、こんな所に人がいたんだ」

 壁に寄り掛かりながら喋る。

「さっきはいなかったはずなのに……」

 スッ、と刃を呼びだす。
 2人との間合いは、まだまだ離れている。
 この距離では駄目だ。

「何よ、あの剣……一体、どこから……!」

 片方の女……結構歳食ってるみたいだ。どうでもいいけどね。
 とにかく、そいつは俺のを見て驚いている。
 そりゃそうだ、何も無い所から突然現れれば、誰だって驚くだろうよ。
 ……でも、もう片方の奴……和服の女か。
 そいつは、特に驚いた様子はない。

「鬼女さんは、安全な場所に隠れていて下さい」
「え、でも……」
「大丈夫です、私も後で行きますから」

 ふうん、俺を倒す自信があるのかな。
 あんな剣を軽々と持っているくらいだ、結構な使い手かもね。

「……へえ、一人で戦うつもり?」
「貴方なんて1人で十分です。それに、鬼女さんを危ない目に遭わせる訳にもいかない……っ!」
「その自信……すぐに、へし折ってやるからな!!」

 地面を蹴り、一気に間合いを詰める!
 その勢いのまま、脳天目掛けて刃を振り下ろす!
 …………が、相手も黙って受ける様なバカじゃなかった。
 手に持つ剣で、しっかりと俺の攻撃を受け止めている。

「……一撃で死ななかった事を後悔させてやるからな」
「そちらこそ、こんな殺し合いに乗ってしまったことを後悔させてあげますっ!」

 お互い一度距離を取り、再度ぶつかり合う。
 ――――辺りに響く金属音。触れあう刃。一瞬も、気が抜けない。
 何度も何度も、不規則な金属音が響く。
 どの斬撃も、有効な一撃を入れるには至らない。
 巧みに防御し、手痛い一撃を食らわないように、攻撃を凌いでいる。
 お互い、一歩も引かない。いや、引いてしまえば、その隙に付けこまれる……!
 ……この勝負、長くは続かないだろうな。あれほどの剣を振るっているんだ、普通ならかなり体力を消耗する。
 しかし、それはこちらも同じ事。早く、決着をつけないとマズい。
 ――――その焦りが、俺の心に一瞬のスキを産んでしまったようだ。
 一瞬力の緩んだ手から、剣が弾き飛ばされる。

「くっ……!」

 吹き飛ばされた剣は回転した後、天井に突き刺さって消えた。
 グズグズしてる暇はない。
 すかさず、もう一度剣を呼びだす。

「……まだ負ける訳にはいかないんだからな!」

 さっきは上から。なら、今度は下から攻める!
 大きく踏みこみ、一気に振り上げる!
 しかし、これもまた防御される。
 さっきと違って、今度は、静かに鍔迫り合い……。

「……」

 ギリギリと、刃同士が擦れあい、音を立てる。
 汗が額から頬を伝い、地面へ落ちて行く。
 いつまでこれが続くだろうか……そう思っていた時だった。
 ――――何かが、こっちに飛んでくる。

「鬼子ちゃん、こっちへ!」

 その声に応えるように、相手は俺の剣を押し返し、一歩引く。
 ――――撤退するつもりか?
 そうはさせない、逃げれば背中ががら空きになるじゃないか!
 ……しかし、追撃は出来なかった。

「――――!!」

 目の前が真っ白になるほどの、眩い光。
 これには流石の俺も、怯むしかない。
 ……視界は真っ白、何も見えない。
 それと同時に、奴らの足音が遠ざかっていく。

(……追いかけようにも、見えないんじゃどうしようもないからな)

 それから少し経って。
 視力が元に戻り、普通に見えるようになったころには、もう奴らはいなかった。
 ……くそっ。
 もう少しやりあっていれば、もしかしたら、殺せたかもしれないってのに。

「……ちぇっ」

 ……足跡も何も残っちゃいない。
 こんな状態じゃ、追いかけられやしない。

(……今度会った時は、ただじゃおかないからな!)

 ビシッ、と誰もいない方向にポーズをとった。
 ……はぁ。前途多難だなぁ。



【B-4・近鉄百貨店1階/1日目・黎明】
【モララー@AA(FLASH「Nightmare City」)】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=01】)、ランダム支給品0~2、モシン・ナガンM28(4/5)@現実
[思考・状況]
基本:優勝狙い
1:今度会ったら、タダじゃおかないからな!
2:殺し合いに乗る、強者はなるべく後回し
【備考】
※出典元により、自在に赤い刃を作り出す能力を持っています
※日本鬼子、鬼女の姿のみ覚えました。





 久しぶりの全力疾走だった。
 いきなり走ったもんだから、心臓はバクバク、息は上がり過ぎてふらつくくらいだ。
 ……やっぱり、体力ないわね、私。

「あ、ありがとうございました。あのままじゃ、私……確実に押し負けてました」
「いいのよ、別に……鬼子ちゃんが助かってよかったわ」

 ブロック塀に手をつき、深呼吸。
 ……うん、少し落ち着いてきた。
 心臓の鼓動も、だんだん落ち着いてくる。
 ――――本当に、助かってよかった。
 もし、あそこで鬼子ちゃんが殺されでもしたら、私……。

「――――ああっ、鬼女さん、涙が……」

 気がつけば、涙がこぼれていた。
 もしかしてうれし涙?鬼子ちゃんの命が、助かったから、つい涙を。
 ……グイッと、掌で涙を拭う。

「行きましょう。もしかしたら、アイツが追いかけてくるかもしれないし」
「そうですね……さっきは鬼女さんのお陰で助かりましたが、今度は……」
「……そうね。さっきは偶然上手く決まったけど、今度は分からない……」

 そう。
 次は、上手く行くか分からない。
 今回は、たまたま上手く行っただけで、今度こんなことがあったら、どうなるか。

(とにかく……今は動くしかない。動いて、協力者を集めなきゃ……)

 闇の中を、手探りで進むような気分で、私たちは歩き出した。



【B-4・近鉄百貨店付近/1日目・黎明】
【日本鬼子@創作発表】
[状態]:健康、疲労(中)
[装備]:グラットンソード@FF11
[道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=00】)、ミキプルーンの苗木@ミキプルーンコピペ
[思考・状況]
基本:殺し合いを打破する
1:鬼女さんと協力する
2:とりあえず、ここから離れる

【鬼女@既婚女性】
[状態]:健康、疲労(中)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=00】)、ランダム支給品0~2、閃光手榴弾@現実×3
[思考・状況]
基本:殺し合いを打破する
1:鬼子を信頼、協力する。……とりあえず、ここから離れないとね
2:殺し合い打倒派の協力者を集める
※自分の本名がわからないため、仮名として『鬼女(おにめ)』と名乗ることにしました


≪支給品紹介≫
【閃光手榴弾@現実】
ピンを抜いてから5秒ほどで爆発し、目が眩むような閃光を出す。
それを利用して敵から逃れることも、相手にスキを作ることも可能。


30話時点 現在位置地図


No.29:葛藤は時として人を毒蛇に変えてゆく 時系列順 No.31:8→0→1 完成でスーパー戦隊のブルーとピンクタイム
No.29:葛藤は時として人を毒蛇に変えてゆく 投下順 No.31:8→0→1 完成でスーパー戦隊のブルーとピンクタイム
No.05:一つ罪なき男女を殺し、二つ開いた殺し合い、三つ卑劣な管理人を、退治てくれよ鬼淑女 日本鬼子 No.63:良識を持って行動してきた結果www
No.05:一つ罪なき男女を殺し、二つ開いた殺し合い、三つ卑劣な管理人を、退治てくれよ鬼淑女 鬼女 No.63:良識を持って行動してきた結果www
No.03:MSKK「不遇キャラってレベルじゃねぇぞ!」 モララー No.38:Bump of Belgianeso

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