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馬鹿と天才は……

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馬鹿と天才は……  ◆i7XcZU0oTM




(はぁ……どうして、こんなことに……)

 ……まさか、あんな奴の言いなりにならなければならないなんて。
 屈辱ではあるが、あれ――――A-10神を破壊する術が現時点では何も無い以上、どうしようもなかった。
 あれを破壊しうる力を持つ武器……対戦車砲でもあれば、グダグダ言われる前に破壊していただろう。
 でも、そんな物はなかった。結局、従うしかない。
 こんな物で立ち向かっても、ダディクールみたいに頭を撃たれて死ぬだけだ(こいつは死ななかったが)。
 どっちにしろ、今は……表面上だけ、A-10神に従っておこう。
 そう思い、僕は病院を離れたのだが……。

「工場はこっちの道で合っているのだろうか? 標識も何も出てないが……」
「ええ、そうですね……」

 離れたら離れたで、今度はこいつがついてくる事になった。
 僕の少し前を、テクテクと歩いている奴……ダディクール。
 妙にイラッと来る笑顔と、何とも言えない空気感のおかげで、ただ歩くだけより、余計に疲れる。
 邪魔な奴だ……。全く、どうにかできないものか……。
 ――――待てよ。
 さっきは、たまたま妨害が入ったから上手く行かなかったけれど、今ならいいんじゃないか?
 丁度いい事に、辺りには誰もいない。
 ここならうまく行く……。そう思った時。

「そうだ、ライト君だったか? ちょっと、これを見てくれないか」

 急に振り返り、地図を指差し何やら僕に尋ねて来た。
 ……チッ、もう少しだったのに。
 まあ、当の本人は僕の行動に全く気が点いていないようだったが。

「……どっちがいいと思う?」
「何がです」
「工場に行くと決めたはいいが、工場は2つあるようなんだ。どちらに行こうか迷ってしまってね」

 確かに、地図には工場が2つ載っている。
 ……砂糖工場と、ただ「工場」と記されているだけの工場。
 何故、こんな所に砂糖工場が……。

「……武装を探すのなら、こっちの……E-4の工場に行くべきですね」
「そうか。……だが、こちらの砂糖工場も調べてみないかい」
「どうしてです? 砂糖工場なんか調べても……」
「もしかしたら、役に立つ物があるかもしれないだろう? 地図によれば、砂糖工場の方が近いし。
 念の為に、行ってみようじゃないか」
「…………分かりました。一応、行くだけ行ってみましょう」

 まあ、もしかしたら、この状況を打開出来る何かがあるかもしれない……。
 それを考えると、調べるのも悪くはない。……A-10神を倒すほどの物が、ないとは言い切れないし。
 それに、あまりA-10神の武装になるものを、早く見つけられても、それはそれで困る。
 武装を見つければ、間違い無くダディクールがA-10神に持って行こうとするだろうし。
 ……とにかく、今は行ってみることにするか。








「よいしょ……っと……」

 門を乗り越え、砂糖工場の敷地内に侵入する。
 最初は、門が施錠されていたせいで、何らかの警備システムがあるのではないかと疑っていたが……。
 ダディクールが全く警戒せずに門を乗り越えて、何も無かった事から、特に何かある訳では無いと悟った。
 ……地味に、始めてこいつが役に立った瞬間だった。

「どうした、もう疲れたのかい? 若いのに体力無いんだな」

 悪いが、僕はお前と違って慎重なんだよ。
 考えも無しに突っ込むほど、愚かじゃない。

「さあ行こう。工場内を調べるんだ」

 ……いつからお前が主導権を。
 まあいいさ……今は、従っておこう――――演じるんだ。従順な男を。
 有能なメンバーを、集めるまでは。

「どうした、行かないのかい」
「……今行きますよ」

 そう言って、僕らは工場の入り口へ近づく。
 ……しかし、ダディクールは扉を開けようとしない。何故だ。
 そう思っていると、奴は僕に、何かを期待するような目で見て来た。
 まさか、僕が代わりに開けろって言いたいのか?何で僕がそんなことを。
 こうやって見ただけでは分からないが、もしかしたら……殺し合う気のある奴が、いるかもしれない。
 そのリスクがあるのに、碌に武器もないこの状況で、僕にやれと言いたいのか。
 ……眉間を撃たれても死なないような、お前が行けばいいんじゃないのか?

「…………僕が開けるんですか?」
「そういう訳じゃない。ただ、俺が開けるってのが、ちょっと躊躇われるだけさ」

 それって、結局の所「やりたくない」って事じゃないか……。

「だから、頼むよ」
「……」

 どうしようもないな、こいつは。

「分かりました、僕が開けますよ……」
「助かるよ」

 くそっ……。
 出来る事なら、舌打ちでもしたいくらいの、最悪な気分だ。
 しかし、言ってしまったものはどうしようもない。
 スタンガンを手に、できるだけ警戒してドアノブを捻り、ドアを押し開ける。

「…………」

 ……中はひんやりとした空気で満たされている。
 誰も、いないのか?いや、それはまだ分からない。
 どうやら、ここは倉庫だったようだ。
 コンテナやら何やらが大量に置かれている。

「……誰もいないようです。ダディクールさん、先に行って下さい」
「ああ、分かった」

 何者かに襲い掛かられてもいいように、ダディクールを先に行かせる。
 ……何で、こういうのは普通にやるんだ。
 ただ扉を開けるより、こっちの方が危険なはずだろう。
 ……まあ、こいつならちょっとやそっとじゃ死ななそうだが。
 そうこうしている内に、バタバタとダディクールは中に入っていく。
 少しは警戒しろよ……。

「…………誰もいないな」

 そんなこと分かってる。
 お前みたいにバタバタと入っていけば、そうなるだろう。
 命を狙う誰かがいたなら、その時点で襲われるだろうし。
 とにかく、今の所人はいないようだ。……また、こいつが役に立ったな。
 それでも、一応身構えて倉庫に入る。
 入った後に、後ろ手で扉を閉めて、ついでに施錠しておく。
 建物はこれだけじゃない。他にも入り口はありそうだが、とりあえずはこれでここからの侵入を阻止出来る。
 もちろん、力ずくで壊されてはどうしようも無いが。
 この扉は鉄製のようだし、そう簡単には破られはしないだろうけれど。
 ……A-10神みたいな化け物が来なければの話だが。

「さて、ここからは二手に分かれてここを調べよう」
「えっ、二手に別れる? ……それは、同意しかねますね」

 流石に、これには異を唱える。
 こんな状況で、単独行動なんて出来るはずがない。
 特に、ろくな武器も持たない現段階では。

「どうしてだい。二手に分かれて調べた方が、早く調べられるだろう」
「何でって……こんな状況で、1人で行動するなんて危険すぎるでしょう」
「大丈夫だ。この分だと、ここに人はいなさそうだしな」

 そう言って、グッと親指を立てる。
 こいつのこの自信はどこから沸いてくるんだ。

「そんなこと、まだ分からないじゃないですか」
「…………仕方無いな。そこまで言うなら、一緒に調べよう」
「……」

 これじゃ、まるで僕が駄々をこねてるみたいじゃないか。
 僕は間違ってないって言うのに。
 ……全く、何なんだ、こいつは。


    /\___/ヽ
   /''''''   '''''':::::::\
  . |(●),   、(●)、.:| +
  |   ,,ノ(、_, )ヽ、,, .::::| 
.   |   `-=ニ=- ' .:::::::| +  <さあ行こう。時間は有効に使いたいからね。
   \  `ニニ´  .:::::/     +
,,.....イ.ヽヽ、ニ__ ーーノ゙-、.
:   |  '; \_____ ノ.| ヽ i
    |  \/゙(__)\,|  i |
    >   ヽ. ハ  |   ||
「……はい」

 ……。
 我慢だ、我慢しろ。
 ――――でも、そろそろどうにかしないとな。

【D-4・砂糖工場・倉庫/一日目・黎明】
【夜神月@AA(DEATH NOTE)】
[状態]:健康、ダディクールにイライラ
[装備]:スタンガン@現実
[道具]:基本支給品、PDA(忍法帖【Lv=00】)、zip画像ファイル@画像も張らずにスレ立てとな
[思考・状況]
基本:殺し合いからの脱出
1:出来ればダディクールを排除したい……早い内に
2:脱出目的を持つ参加者か、A-10神を倒せる善良な参加者を探す
3:一応、ダディクールと共にA-10神が使える兵器を探す

【ダディクール@AA】
[状態]:眉間に銃痕(絆創膏で処置)、クール
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、PDA(忍法帖【Lv=00】)、ランダム支給品0~2、ファービー@現実
[思考・状況]
基本:クールに行くぜ
1:砂糖工場を探索して、A-10神が装備できる兵器を見つける
2:常にクールなダディを貫く
※バカに付ける薬@コピペを消費しました
※何故か生命力が異常に高いです。決して不死身ではありません



No.32:やる夫のドキドキパニック 時系列順 No.34:こんな加賀は嫌だ! ~安価でトランスフォームする~
No.32:やる夫のドキドキパニック 投下順 No.34:こんな加賀は嫌だ! ~安価でトランスフォームする~
No.23:バカとノートと機関銃 夜神月 No.61:最高に『廃!』ってヤツだ!
No.23:バカとノートと機関銃 ダディクール No.61:最高に『廃!』ってヤツだ!

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