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迷える心  ◆i7XcZU0oTM





「……この6時間で、15人も……」
「……信じられねえ……」

 道端で1つのPDAを、3人で共有して覗き込む。
 まさか、こんなにも殺されているなんて、思ってもなかった。
 ……こんな状況で不謹慎かもしれないが、やる夫の名前が載ってなくてよかった。

「……一応、この"殺害者名"をメモっておいたほうがいいな」
「そうですね……あの名簿と合わせて使えば、殺し合いに乗ってる人の顔も分かりますし。
 ……これで、相手が乗っているかどうかある程度判別できますよ」

 そうだ。これは、かなり重要だ……。
 危険人物の人相の情報。俺達みたいな殺し合いに反対する人間にとっちゃ、重要な情報。
 だが……知識的な武器にはなっても、物理的な力にはならない。
 どれだけ相手が危険だと分かっていても、襲われてしまったら意味がない。
 その先は、知識じゃなくて力が必要なんだ。

(でも、俺の持ってた武器はさっきあいつに奪われたからな……)

 俺は、壁殴りさんを殺された怒りで、あいつに突っ込んだんだ。
 結果は、あいつに一撃も入れられずに腹を殴られてダウン……情けない。
 その後、持ってた武器も奪われて。

(……情けねえな、俺。ただ理不尽な殺し合いにキレてるだけで、何もできてないじゃないか)

 ハァ、と溜息をつく。
 せめて、腕っ節でも強ければな。
 そいつを俺に期待するのは……少々厳しいがな。
 だが、それでも俺は腐ったりはしないぜ。

「これからどうするんだ、ZUNさん?」
「そうですねえ……今まで同様、首輪を何とかする方法を探しましょう」
「……そうだな。そうするっきゃない」

 この首輪を嵌められている以上、俺達が生きて帰る道は、ない。
 これがある以上、ひろゆきは、いつでも俺達を殺せる……。
 だからこそ、この首輪を外す事から、始めなきゃならない。
 だが、今の所進展は、ない。首輪の、盗聴の可能性に気付けているのは大きいんだが……。
 これだけじゃ、どうにもならねえ。せめて、実物があればな……。



~~~



(クソっ……体中が痛ぇ……)

 痛む体にムチ打って、街中を往くギコ猫。
 時折立ち止まりながらも、歩いていく。

(休もうにも……誰がどこにいるかなんて分かったもんじゃねぇ、んだ……)

 だからこそ、少しでも安全な場所を求めて。
 フラフラと、空虚な逃避行を続けていた。
 だが、傷ついた体と底をつきかけている体力が枷となって……。
 ……ギコ猫に思い通りの行動を取らせてくれやしない。

「ハァ、ハァ……」

 小休憩を取るために、近くの縁石に座る。
 ……一体、何回こんなことをくり返したのだろうか。
 気がつけば、夜は明けていて……辺りには朝の光と独特の静寂があった。
 本来なら爽やかさを感じるような場面ではあるが、今のギコ猫にそんな余裕はなかった。

(…………畜生、何なんだよ、この違和感は)

 ――――頭の中、奥深くにこびり付く違和感。
 正体の掴めぬ違和感が、ギコ猫を苛立たせる。

「……やってられねえ、よ」

 半ばヤケになりながらも、ギコ猫は再び立ち上がって歩き出した。


~~~


(……定時更新に載っていた、ゲームに乗った奴ら……あいつらに出遭ったら、どうすればいいんだろうな)

 俺は丸腰、ZUNさんも同様。
 こうなると加賀頼りになるが……弾が無い以上、機銃は役に立たない。
 武器も、無くは無いが……手榴弾も、上手く扱わなきゃこっちが痛い目に遭うようなものだし。
 まあ、さっきみたいにハッタリで相手に撤退させる事も、出来なくはないだろうが。

(……こんな事なら、百貨店から何か武器になりそうな物でも拝借しておけばよかったな)

 あれほど広ければ、包丁くらいなら手に入ったかもな。
 だけど……包丁程度じゃ護身用にもならないんじゃないのか?
 さっきの奴みたいに、飛び道具でも使われたら、どうしようもないけどさ……。
 せめて、首輪を何とかする方法が見つかるまでは……生きたい。
 そんな事を、考えていた時。

「……あれを見て下さい!」
「うぇっ!?」

 突然、加賀が声を上げた。
 ……あまりにも突然すぎたために、妙な声を上げてしまったじゃないか。

「何かあったんですか?」
「あのアパートの傍……誰か、倒れてませんか?」
「え?」

 半信半疑のまま、目を凝らしてみると……。


          __          __,,,======'     / `ヽ
         {iiiii`;;ー‐===ニ´          .r‐==〈
         ゝ、iiiiiiiiiヽ____,,,..==-‐''´ ̄ ̄ ̄`Y    /
            ー‐ '                /==-v′
                                /iiiiiiiiiii}
                           〉iiiiiiiii/
                                ゝ==ノ


 誰かの足が、アパートの影からチラリと見えている。

「おいおい、マジじゃねえかよ!」

 こんな所に倒れてちゃ、どう考えても危険だ。
 放っておく訳にはいかない。見捨てていくほど、薄情じゃない。
 俺達3人は、脇目もふらずに、真っすぐ倒れている誰かまで駆け寄った―――――が。



「……は?」

 俺達の目の前に広がっていた光景は、思っていた物と全く違った。
 ――――無残にも破壊され、穴の開いたアパートの壁に……その傍に放置されている死体。
 その中でも、俺の度肝を抜いたのは。

「こ、これは……」

 首と胴が離れた、男の遺体。
 さっき見えた体の一部……それは、この人の足だったようだ。
 ……体の近くに転がる顔は、苦悶と恐怖に凍りついたまま。
 長く見ていたいようなものじゃ、決してない。

「……ちょっと、失礼します」

 そんな俺の前に、加賀が割り込んで来る。
 何をするんだ、と聴こうとした時には……。
 躊躇うこと無く、首無し死体から首輪を取り外し、自身の鞄に仕舞っていた。

「首輪のサンプルとして、この首輪を頂きましょう……解除する際に、きっと役に立つでしょう」
「……そうか」

 俺の心の中を、急にもやもやとした物が包んで行く。
 ……何故だろう。首輪のサンプルがあれば、解除する際には有力な物と成り得るのに。
 そう考えると、俺の心に居座るもやもやが何故出て来たのかも、分かるかもしれない。
 ――――首輪のサンプルを得るのに必要なのは……誰かの死。
 首輪本体が支給されるはずがない以上、やはり首輪を得るには……遺体から、貰うしかない。
 今回は、たまたま首が切られていたから容易に得る事が出来たが、そうでなかったなら。
 遺体を傷つけ、奪う事になる。……そんな事、出来そうにない。
 殺された人を、更に傷つけるなんてことは……俺には、出来そうにない。

「……さあ、今度はアパートを調べてみましょうよ」

 こんな事を口に出した所で、どうにもならない。
 ……別に"こんなこと人として間違ってる"なんて言いたい訳でもねえ。
 正しいだけじゃ、駄目だ。時には――――"非常識"に、ならなきゃいけねぇ。
 だけど……そうやって割り切れる程……俺は、大人じゃねえんだ……。

「……分かりました」

 そんな状態の俺の肩を、ポンと叩くZUNさん。

「やらない夫さんも行きましょう。……それとも、ここで見張りでもしますか?」
「か、勘弁してくれ! ……とりあえず、早く行こうぜ!」



~~~



「ハァハァ……ここ、何処だ……」

 あれから数分、いや、数十分経っているかもしれない。
 とにかく、それほどの時間を、ギコ猫は歩き続けていた。

「……あれは」

 遠くに見えるは、小さなアパート。
 ……その時、ふとギコ猫の頭にある事が浮かんだ。

(あん中に隠れて休めば、見つからないんじゃねえか?)

 確かに、このような場所までいちいち念入りに調べる奴はそうそういないであろう。
 こんな状況ならば、なおさらである。
 ……入り組んだ場所の探索は、危険を伴うのだ。
 死角が多ければ多い程、その分不意打ちの危険性も上がるのだから。
 だから、あんな小さなアパートを念入りに調べるような数奇な奴もいないだろう……。
 と、ギコ猫はそう考えた。

(……そろそろ休まないと、冗談抜きで死んじまう……)

 フラフラとおぼつかない足取りで、アパートまで近づいて行く。

 ……既にこのアパートには"先客"がいる事を、この時のギコ猫は知る由もない。
 そして、アパート前には死体が放置されていることも……。

「……何?」

 "先客"と同様にアパート前の死体を目撃したギコ猫の動きが、凍り付く。
 だが、すぐに元に戻りアパートに入っていく。
 ああ言うのには、深く関わらない方がいい。
 そう考えた結果の行動である。

「ここ、一体どうなってるんだよ」

 壊された壁に、半ばから崩れている、2階へ通じる階段。
 まるで、爆発でもあったような惨状である。
 ……実際は、"あったような"ではなく、"あった"のだが。

「……とにかく、どっかに」

 一番近くにあった扉を引っ張る……開かない。その隣も、ダメだった。

「くそっ……」

 その場にへたり込み、力無く項垂れるギコ猫。
 ……そろそろ、体力の限界が近づいていた。
 そんな時。
 ギコ猫の耳に、扉の開く音が聞こえて来た。
 その音は、2階から聞こえて来た……。

「……ただのボロボロのアパートだったな」
「ええ……何にもないですね、ここ」
「時間を無駄に浪費してしまいましたね。他の場所に行きましょう」

 それと同時に、聞こえてくる会話。
 ……このままでは、間違い無く見つかるだろう。
 だが、今から逃げ出す力も、時間も、もう残されていなかった。

(…………くそ……)
「……誰かいるぞ!」

 声の主達が放つ声を聴きながら、ギコ猫の意識はスウッと遠のいた……。



~~~



 さっき拾った黒猫を背負って、コンクリの道を往く俺達。
 ……結局、あのアパートで得たのは首輪とこの猫だけだ。

「この子、どうしますか?」

 加賀が俺に聴く。

「そうだな……とりあえずこいつをどこかで休ませてやったほうがよさそうだぜ」

 傷の手当てはされてるみたいだが、いかんせん体力の方がヤバそうだ。
 あんな所で倒れてたんだ、きっと疲れていたんだろう。
 でなきゃ、誰が来るかもわからん場所で倒れこんだりはしないはず。
 ……となれば、やはり放っていく訳にはいかねえ。

(……目が覚めたら、何があったのか聴いてみるか……)


【B-3・市街地/1日目・朝】
【やらない夫@ニュー速VIP】
[状態]:健康、常識的、右腕に切り傷、腹部に打撲(軽度)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=00】)、PS3@ゲームハード
[思考・状況]
基本:殺し合う気なんてないだろ、常識的に考えて……
1:首輪を外す方法を探りたい
2:黒猫(ギコ猫)をどこかで休ませてやる。目が覚めたら事情を聴きたい
2:やる夫が心配

【加賀@軍事】
[状態]:擬人化、健康
[装備]:20cm単射砲(0/1)×10、25mm連装機銃(0/15)×10、擬人化アンカー@安価スレ
[道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=00】)、手榴弾(3/3)@軍事、首輪
[思考・状況]
基本:殺し合いに乗る気はないけれど……
1:首輪をなんとかする方法を探す
2:この黒猫が気になる
3:私がもっと警戒していれば、あんなことには……
4:どこかで弾薬を補給できれば……
※制限により、全ての弾薬と12.7cm連装高角砲が没収され、航行速度が低下しています。他にも制限があるかは不明です
※身長1.6m程の軍服少女へ擬人化しました。装甲がなくなりますが、陸上でも機動可能。
※加賀の"攻撃体勢用意"の掛け声で、25mm連装機銃が現れるようですが、20cm単射砲は現れないようです。

【ZUN@ゲームサロン】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【LV=00】)、瓶入りオリーブオイル、プロ野球観戦の優待券×2@泣けるコピペ、
    ZUNビール@現実、酒
[思考・状況]
基本:首輪を外してこの場から脱出する
1:首輪を外す方法を見つける
2:定時更新にて明らかになった危険人物に警戒
3:酒は手に入ったけれど……
4:『1さん』の実態が気になる。八頭身も心配

【ギコ猫@AA(FLASH「K」)】
[状態]:打撲(小)脇腹のダメージ(中、治療済)、疲労(大)、気絶中
[装備]:サバイバルナイフ@現実
[道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=00】)、ランダム支給品0~1
[思考・状況]
基本:生存優先
1:――――
2:本能に従って生き残る……のを否定されたが、どうしろってんだよ……
3:仲間なんて煩わしいので作るつもりはない……が、いわっちの言うことは一応覚えといてやるか
4:しぃ……? うっ、頭が……
5:磨呂、お断りします(名前未確認)、モッピー(名前未確認?)クタタン(名前未確認)を警戒
6:ひろゆきはマジで逝ってよし

※壁殴り代行の遺体はB-4のどこかにあるようです。位置は不明


No.80:絶望ダディ/壊れた救世主 時系列順 No.82:Drop out
No.80:絶望ダディ/壊れた救世主 投下順 No.82:Drop out
No.59:意思が混ざり合う時、事件は起こる ZUN No.:[[]]
No.59:意思が混ざり合う時、事件は起こる やらない夫 No.:[[]]
No.59:意思が混ざり合う時、事件は起こる 加賀 No.:[[]]
No.57:Knight of Nights ギコ猫 No.:[[]]