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茶鬼

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茶鬼  ◆XG.R2oT3cE




「到着しましたね、テレビ局に」

いわっちとしぃは当初の目的通り、テレビ局に辿り着いた。
道中で殺し合いに乗った人物に遭遇しなくて良かったと、いわっちは安堵する。
同時に、道中で誰にも遭遇することが無かったことに、いわっちは落胆した。
最後に会ったのは戦車に乗って誰かを追いかけていった、あの人達のみ。
いわっちが落胆したのを知ってか知らずか、しぃはいわっちを励ましていた。

「大丈夫だヨ、いわっちサン! こういうときコソ元気出さないト!」
「……そうですね。無事に着いただけでも良しとしましょう」
「もしかしたラこのテレビ局にいるかもしれないシ……。でも窓ガラスが割れてル……」
「ここを襲撃した他の参加者がいたのかもしれませんね。とにかく用心しないと」
「いるノ……? 怖い人……」
「大丈夫ですよ。私が守りますから」

しぃを安心させるために、強がりを言ういわっち。
自分だってもしテレビ局にそんな参加者がいるんじゃないかと不安だ。
殺し合いに乗った参加者に出会ってしまったらどうしよう、と怖くなっている。
だが自分までそうなってしまっては、しぃを不安がらせるだけだ。
気丈に保たねば、いわっちは再度決意する。

「さて、入りましょう」
「うン」

中に入ると、下には当然ガラスの破片が散らばっていた。
辺りを見回せばそこは普通のロビー……ではなく、瓦礫が積みあがっている場所や、ひびが入っている場所が多数あった。

「誰か戦ってたのカナ……?」
「恐らくは。侵入者とこのテレビ局にいた何者かが戦ったのでしょうね」

願わくば、テレビ局にいた参加者に出会いたいところだが、まだ侵入者がいるかもしれない。
用心して進まなければ、そう思いロビーを歩く。
すると、瓦礫の山に一つの妙な物体が落ちていた。
近づいて見てみると、それは丸っぽい形をしていてそこに五本の棒がくっついた、肌色の物。

「こ、これは……!」
「どうしたノ?」
「……、右手です。侵入者かテレビ局にいた者のどちらかでしょう」
「……!」
「激しい戦闘の末にこうなったのでしょうね……」

剣で斬られたのか、それとも強い力で千切られてしまったのか。
いずれにせよ、この右手の持ち主は永遠に右を使うことができなくなったであろう。
右手から顔を上げるいわっちとしぃ。
そこからしばらく歩いていると、目の前に階段とエレベーターが見えてきた。
と、階上へと繋がる階段から何者かが上がってくる音がしてきた。
彼らの目の前に現れたのは



   ∩___∩
   | ノ      ヽ
  /  ●   ● | 
  |    ( _●_)  ミ
 彡、   |∪|  、`\
/ __  ヽノ /´>  )
(___)   / (_/
 |       /
 |  /\ \
 | /    )  )
 ∪    (  \
       \_)
熊だった。


 / ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄\
 /              \
/        /\      ヽ
|       /   \     l
|      lllllllllll  llllllll     l
|    /-[=・=]-[=・=] \   ノ   
l (ヽイ     ̄ つ ̄    | / 
ヽ∪リ    __,、___   |/      …………
 ヽ|      --二--    |  
  .|__\____/_ノ  
 /  \ \ ◇ / l \     


   ∧ ∧
   (*゚ー゚)
  ⊂  ⊃
 ~(  |
   U U


   ∧ ∧
   (*゚ー゚) <ア、クマサンダー
  ⊂  ⊃
 ~(  |
   U U
同じ動物仲間を見つけた為か、しぃは嬉しそうに熊へと近寄る。
しかし、いわっちは見た。
あの熊の眼が獲物を狙う獰猛な獣になったのを。

「クマァァァァァァ!!」
「えっ?」

熊は獲物を見つけたからか、歓喜の雄たけびをあげてしぃに襲い掛かろうとした。
このままでは、しぃはあの熊の餌食になってしまう。
それを黙って見過ごすわけにはいかない!

「危ない!」

熊がしぃに襲い掛かる瞬間に、いわっちは熊の懐へダイブした。
しぃがその手にかかる寸前で、しぃを抱え込む。
その勢いのまま足の間を通り抜けて、地面に転がり込む。
だが、ゆっくりしている暇は無い。一刻も早くあの熊から逃げねば。

「くっ! あの熊から早く逃げないと!」
「あ、あノ……。いわっちサン助けてくれてアリガトウ……」
「言ったでしょう! 私があなたを守るって!」

立ち上がって、地下駐車場へと繋がる階段へ一目散に駆けていった。


□□□


ひとまずいわっちとしぃは、地下駐車場でしばらく身を隠すことにした。

「まさか、侵入者が獣だったとは……想定外でした」
「本当にアリガトウ、いわっちサン……」
「これくらい、どうってことはありませんよ」

さて、問題はここからだ。
このテレビ局が広いとはいえ、あの熊に遭遇する可能性が無いとはいえない。
熊に出会わないようにテレビ局を調べなければなるまい。
それから、ロビーに落ちていた右手の持ち主。
あの熊に食われている可能性もあるが、今は生きている可能性にかけたい。
とにかく情報交換がしたいところだ。


(なにはともあれ……、しばらく休むとしよう)


【E-2 テレビ局・地下駐車場/1日目・午前】

【しぃ@AA】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、PDA(忍法帖【Lv=00】)、不明支給品(1~3)
[思考・状況]
基本:皆死んじゃうのはイヤ
1:ギコ君、大丈夫カナ……?
2:いわっちサンと一緒にテレビ局を調べる
3:カイブツ(ネメア)がコワイ……できればもう遭いたくない

【いわっち@ゲームハード】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、PDA(忍法帖【Lv=00】)、モデルガン@サバゲ、救急箱@現実、不明支給品(0~1・本人確認済み)
[思考・状況]
基本:殺し合いをやめさせる
1:しばらく休む
2:本当にテレビ局からダイレクトができるかを熊に見つからないように調べる
3:情報や人を集めたい。"異世界"の事も調べたい……
4:手はずが整い次第、停戦を持ちかけたいが……


□□□


ロビーに落ちていた、右手の持ち主はまだ生きていた。
右腕の持ち主こと、田代まさしはいきなり現れた獣から逃げ延び、楽屋に隠れていた。

「酒なんて……、飲むもんじゃなかったな」

守衛室で酒をちびちび飲みつつ、モニターを監視していた田代まさしは、ロビーを誰かが通ったのを見た。
その正体は獣だったのだが、姿が少しだけしか見えなかったのと、少し酔っていたのもあり田代は人間と認識してしまった。
田代は悠々とロビーへ向かって状況を確認しようとした。
その時、田代は後ろからの強い衝撃によって吹き飛ばされた。
衝撃によって酔いは覚め、慌てて後ろを振り向く田代は自分の間違いに気付いた。
目の前にいたのは筋骨隆々の体で、フサッとした毛が生えていて、まるで獣の姿。
いや、その姿は正しく獣だった。

「酔っていたせいで、獣の姿も分からなくなるとはな……。そして、この有様だ……」

戦った結果、右腕を食い千切られた。
恐らくロビーに一部が残っているだろうが、もう一度引っ付けることは不可能だろう。
右腕の部分が食い千切られたたため、切断面などありはしないのだから。

「さて、どうするか……、状況は不利とまでは言わないが……有利不利かで言えば……不利、か」

自分は吸血鬼なので、日が落ちるまでこのテレビ局から出ることができない。
よって、運が悪ければ日が落ちるまであの獣と鬼ごっこをしなければならないわけだ。
もっともそれは、運が悪ければの話である。
あの獣が諦めてこのテレビ局から出てくれれば、都合が良い。
それを確かめる術を、田代は知っている。

「守衛室、そこへ戻ってみるか」

田代は守衛室へ向かって、篭城すると同時に獣の動向を監視することに決めた。
そのためにはテレビ局内を歩かねばならないが、このテレビ局は案外広い。
そうそう出くわすことは無いだろう、と田代は踏んだのだ。

「さて、善は急げだ。早く向かわねば」

そう言い、田代は楽屋の扉を開けた。


【田代まさし@ニュー速VIP】
[状態]:吸血鬼化、打撲多数、右腕切断
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、PDA(忍法帖【Lv=00】)、石仮面@ジョジョの奇妙な冒険、
[思考・状況]
基本:獲物を探す。
1:外に出られなくなったので、テレビ局で得物を待ち伏せる。
2:外に出られるようになり次第、獲物を探しにいく。
3:テレビ局内を徘徊する獣から逃げつつ、守衛室に戻る。
※再生力や不死性が制限されています。
※人をゾンビにする能力も制限されています。

※米酒@FLASH(1/2ほど消費)は守衛室に放置されています
※田代の右手はロビーに放置されています。


□□□


「クマー!」

一方、クマーは見失ったニ匹の獲物を探していた。
最初のほうは田代を探していたのだが、新たな獲物である二人が現れたため、最初の獲物は忘れてしまった。
恐らく姿を見れば思い出すだろう。
さて、彼は田代まさしがいる階より一つ下の階にあるスタジオにいた。
どうやらいわっちとは別の階段を上ったようだ。
この後、田代に出会うか、はたまたいわっちとしぃに出会うのか。
それは誰にも分からない。


【クマー@AA】
[状態]:右腕骨折 、全身にダメージ(小)
[装備]:鍛えぬかれた肉体
[道具]:無し
[思考・状況]
基本:野生の本能に従うクマー
1:ク
2:マ
3:|
4:!


No.84:それを食べるだけで力が得られるとしたらお前らどうするの? 時系列順 No.86:神々の戦い
No.84:それを食べるだけで力が得られるとしたらお前らどうするの? 投下順 No.86:神々の戦い
No.75:アクシデントは突然に いわっち No.89:どうしてこうなった
No.75:アクシデントは突然に しぃ No.89:どうしてこうなった
No.43:希望的観測 クマー No.89:どうしてこうなった
No.65:人間の証明 ~ A place in the sun~ 田代まさし No.89:どうしてこうなった

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