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鬼子「どうしましたのクラウドさん、いきなり私を押し倒すなんて……」

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匿名ユーザー

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鬼子「どうしましたのクラウドさん、いきなり私を押し倒すなんて……」 ◆m8iVFhkTec




――ヒュンッ

空気が切り裂かれる音が聞こえた。
続いてバチンという、物の叩きつけられる音。
見ると、一本の矢がすぐ横の石壁にまっすぐ刺さっていた。

「えっ……」

矢の軌道上には、ちょうど先ほどの自分の体が位置していた。
つまり、クラウドさんが押してくれなければ私は……。
驚きと恐怖で戸惑う私に、クラウドさんは静かに言う。

「襲撃だよ」

そういって、矢が放たれた方向をキッと睨んだ。
数十メートル離れた位置の屋根の上、一体の猫がいた。
猫は無機質な表情でこちらをチラリと見る。
そうして意に返した様子もなく、ボウガンの弓を充填し始めた。

「鬼子ちゃん、鬼女さん、すぐに隠れて!」

クラウドさんは即座にバールのようなものを構え、走り出す。

「待ってください、クラウドさん一人で行くんですか!?」
「ボウガンなら充填に時間がかかる、攻めるなら今のうちなんだ!」
「でも……」

鬼子が止める間もなく、クラウドさんは行ってしまう。
いくらクラウドさんが手練だとは行っても、彼一人に行かせるのは不安に感じる。
ボウガンという遠距離武器で射抜かれるかもしれないし、他にどんな武器を持っているかわからないのだから。

「鬼子ちゃん、まずは隠れるわよ。アタシもこの男を背負っていたんじゃ、足でまといだからね」

鬼子はチラリと走りゆくクラウドさんの姿を見る。
どうしても嫌な予感が振り払えないが、ここは二人の指示に従うべきか。

「……わかりました」

あれ?
今、クラウドさんの方を見たとき、襲撃者は何をしていた?

「とりあえず、あそこの家の影に隠れれ


――ヒュンッ


視界の片隅に映った化け猫の姿が、こちらを向いていた。
そいつが構えるボウガンの先端も、こちらを向いていた。
ほんの一瞬だけそれを見逃してしまった。気づいたときにはもう遅い。

鬼子の目の前を矢が通り過ぎていく。
鬼女に注意を呼びかける時間はない。この間、1秒も経っていないのだから。
その矢はザクリと鬼女の肩口に突き刺さる。
射出された速度のまま、鬼女の体は地面へと崩れ落ちた。

「鬼女さんッ……!?」

私にはしっかりと見えていた。その一部始終が。
見えていたのに何も出来なかった。クラウドさんは助けてくれたのに、私は助けられなかった。




「しまった……ッ!」

接近するクラウドさんをスルーしてボウガンが向けられた先は鬼子たちがいる方角だった。
心臓がヒヤリと温度を急激に下げる。
恐れていた事態が起きる、その確信を持ってしまった。

次の瞬間、そこには倒れる鬼女さんの姿があった。
あ……、と思わず情けない声が漏れる。
MSKKさんの殺された姿が、ベルジャネーゾさんが殺される様子が、鬼女さんと重なった。

「許さない」

ふと、そんな言葉が口から出ていた。
誰かを守ることには限界がある。守れなくても自分を責めるべきではない。
なら、この悔しさを、心の痛みはどうすればいい?

「絶対に許さない」

そうか、相手にぶつければいいのか。
この想いをバールに込めて、戦えばいいんだ。
これ以上仲間を殺されるなんて、させない。絶対にだ。
クラウドさんは跳躍する。民家を囲う石塀を猫のように一息に登る。
ボウガンが放たれた今、僅かな時間とはいえ次の発射までにリロードの隙が生じる。
塀の上で彼はもう一度跳ぶ。今度は屋根の上へと。

襲撃者の猫と同じ高さに立つ。
予想に反して、その猫は矢の補充をしていなかった。
足元に草刈鎌、そしてフライパンが置かれ、手には薙刀を握り、しゃがんでいた。

僕は屋根瓦を一つ拾い上げて、牽制として猫へと投げつける。
猫は即座に反応、フライパンを拾い上げ、その瓦を防ぐ。
そう、猫は全ての武器を手に取れる場所に置くことで、あらゆる攻撃に備えているのだ。

今、クラウドさんと猫の距離は10mにも満たない。
もう一度瓦を拾い上げ、跳躍と共に思い切り投げつける――もとい叩きつける。
フライパンにより受け止められる。
そう、そしてその瞬間に猫の視界から僕の姿は遮られる。

バールのようなものに体重を込め、思い切りフライパンにぶちかます。

ガキィ…ンッ、と強烈な金属音。
想定していたよりも思い一撃に、フライパンは弾き飛ばされる。
反射的に振り回された薙刀を紙一重で回避し、クラウドさんは猫から一歩飛び退いた。

互いに武器を構え、その瞳が交差する。
猫の瞳には感情はどこまでも無機質で、恐怖や怒りといった感情とは無縁なように思えた。

「何故僕たちに攻撃したの?」
「わかりきったことだろう」
「じゃあ何故殺し合いに乗ったの?」
「お前に言う必要があるのか?」
「でも、こんな殺し合い、無益じゃないか」

両者とも、抑揚のない口調で言葉を交わす。


 |ヽ∧_
 ゝ __\   「やめなよ」
⊂||  `・ω・| >
 〈 ⌒   |  
  (_)ノJ=====ヽ
               `


       ハ,,ハ
       ( ゚ω゚ )
      /   ヽ  「お断りします」
     | |   | |
     | |   | |
     ||   ||
 [エエエ し|  i |JIIエエエエエエエエエ三三>
       .|  ||
      | ノ ノ
      .| .| (
      / |\.\
      し'   ̄

 ◆


「い、痛い、痛い―――ッ!」
「鬼女さん……あぁ、どうしよう……」

鬼女の肩口はみるみるうちに、鮮やかな紅色にべっとりと染められていく。
その顔は苦痛に歪められ、さっきまでの凛とした様子は一切見られなかった。
そう、彼女はこれほど強烈な痛みを受けるのに慣れていない。
ごくごく普通の一般人に過ぎない。だから痛みに対して余裕を保てない。
自分が頼ってる者が取り乱すと、自分もまた冷静になれなくなる。
鬼子はただオロオロとして、いったい何をすべきかを考えていた。
まずは止血しないと、いや、その前に矢を引っこ抜くべきか、違う、先に止血しないと出血が酷くなる。
鬼女さんを落ち着かせなくちゃ、でも真っ先に身を隠すべきだろうか、クラウドさんも隠れろって言ってたし……。
どうしよう、どうしよう、どうしよう、適切な対処はなんだ、何をすればいい。

ガギィ…ンッ

耳に響き渡る鉄の音。
それにハッとして、冷静さが戻る。
私がここで混乱していてはダメだ。
いつまでも鬼女さんの指示に従っているだけの自分じゃダメだ。

「鬼女さん、先に身を隠しますよ! これ以上追撃が来たらマズイですから」
「うぅぅ……痛いぃ……」

痛みに呻く鬼女を住居の影へと連れて行く。
あの場で肩口の対処を行うのはどう考えても不適切だ。何故それにすぐ気付かなかったのだろう。
ふと、振り向くとそこには鬼女が背負っていた、片腕のない着物の男が地面に転がっていた。

「あの方も助けないと……」

すぐさま駆け出し、一条三位を抱え上げる。とても重い。
じりじりと引っ張っていく時、連続した金属の打ち合う音が響き渡る。

クラウドさんと襲撃者の猫が屋根の上で戦っている。
猫は薙刀を振るい、クラウドさんはバールのようなもので防ぐ。
しかし、それ以上は進むことが出来ない。薙刀とバールではリーチが違いすぎるのだ。
足場の悪さもあり、薙刀を掻い潜って懐へ飛び込むことも出来ない。
仕方なく瓦を投擲する、しかしそれはフライパンによって防御される。
猫も瓦を投げ返し、クラウドさんに傷を与えていく。

「あぁ、クラウドさん、早く行かないと……」

一刻も早く加勢しにいかねばならない。
しかし、ここで鬼女を放置するわけにもいかない……。
でも……。

さっさとあの猫を倒したい……。
鬼女さんを大怪我させ、クラウドさんに乱暴を振るうあの猫を……。

だめだ、衝動を抑えるんだ。まず先に鬼女さんの手当を……。

「鬼女さん、今応急処置を……」
「あ、アタシのことは後でいいッ!」

手当を行おうとする鬼子に、鬼女は叫ぶ。
痛みに目を滲ませ、脂汗を流し、それでも彼女は元の凛とした姿に戻っていた。

「先にクラウドさんのとこに行きなさい! アタシの腕よりあっちのが大切なのよ!」
「で、でも……」

迷いを見せる鬼子を、鬼女は思い切り睨みつけた。
今、優先されるべきは自分の腕では無いことを知っている。
クラウドさんの方が危機なのだ、彼を助けなくてはならない。

「早く、早く行くの! いい!?」

なんて強い女性なんだろうと、鬼子は思った。
私もいいところを見せなくちゃいけない、オロオロとしているだけではいけない。
そんなふうに強く思った。


 ◆


戦闘経験ではこちらが上回っている。
しかし、条件があまりにも相手の方に分がありすぎた。
屋根の上でしゃがむ、薙刀を振り回す相手にまともに接近するのは困難を極める。
だがここで逃げ出せば、ボウガンによる追撃が待っている。逃げることも許されない。
あぁ、この猫の冷静さはすごいものだ。僕の行動全てに適切な対処を行っている。
一つの判断ミスでもあれば踏み込める隙くらいは出来るかもしれないのに。

「定時カキコに『お断りします』って名前が載っていたよね? 君のことなの?」
「…………」
「優勝することで果たしたい目的があるの?」
「お断りします」
「どういう意味?」
「お前らが生きるのをお断りします。ひろゆきも含めて、全員だ」
「ふぅん、なるほど」

薙刀が頭の側を掠める。
数本の金髪がふわりと、宙を舞った。

「つまり皆殺しがしたいんだ」
「そうだ」
「じゃあ、全員殺したあと、君はどうする?」
「お断りします」
「……どういう意味かな」
「俺は誓った。森羅万象全てを断り、その先の答えを手にすると。
 拒否された世界は果たしてどんな姿を見せるのかを知る。それが目標だ」

お断りしますは毅然とした口調で言い放った。

現実はいつも、承諾を迫る。
現実は思い通りにいかないのを嫌う。
だから俺は、あえてそれをことごとく『お断り』してやりたいと思った。
その先に何があろうとも、拒否された現実の無様な姿を眺めたいと思った。

「……思ったんだけどさ」
「…………」
「君がお断りすることに何故魅入られたかはわからないよ。
 でも、きっとそんなことをしても世界は姿を変えないと思うんだ」
「何故そんなことがわかる?」
「だってもはや、君の『お断り』は"君自身の言葉"じゃないんだから」
「…………」
「君は『お断り』するのが生き甲斐なんだよね。何も考えずにただ断ることが、ね」
「…………」
「でも意見も、意思も込められていない否定なんて、ただの言葉の羅列に過ぎないよ。
 誰の考えも変えることは出来ないよ。その言葉には何も込められてないんだもの。
 そんな空っぽな言葉で、あんなにも大きな世界が影響を受けるはずがないよ」
「…………」
「まるで君は『お断りします』と言うだけのプログラムだ」

一瞬だけ、お断りしますの動きがピタリと止まったように思えた。
きっと、彼にとって触れてはいけない一線に触れたんだろう。
彼が話す前から、心から憤慨しているのが伝わってきた。
でも、怒っているのは僕も同じなんだよ。鬼女さんを射っておいて、黙っていられるわけがない。
だから、普段言わないような言葉責めをした。相手の冷静さを欠かせて、突破口を見つけるために。

きっとそれは上手くいったんだろう。
機械のように無機質な彼が、怒りを露わにしていた。



「お断りします」

静かな口調で言った。

「お前が生きるのを、お断りします」

抑揚のない、それでいて感情の篭った言葉。

「お前と同じ顔した奴は全て、お断りしました」

明確な殺意。必ず殺すことを決意した顔。

「だからお前も、ここで、お断りします」


振るわれる薙刀、クラウドさんはバールで受け止める。
が、その威力は先程よりも上がっていた。バールを抑える手にビリビリとした痛みが走る。
『怒り』とは凄まじいものだ。持ちうるパワーを限界まで引き上げることが出来るのだから。
しかし、大ぶりになったことで攻撃の間隔は離れた。踏み込める隙が生じる。

「ハアァッ!!」

相手の攻撃をかわした直後に、前方へ跳ぶ。
そしてバールのようなものを思いきり振り抜くッ!!

ガツンッ、と強烈な手応えを感じた。

「な……?」

その手からバールのようなものは落とされていた。

接近の直後、お断りしますは草刈鎌に持ち替え、振るわれたバールを引っ掛けたのだ。
それも、頭を思い切り殴り抜けられた直後に。
お断りしますは頭から大量の血を流しつつも、笑っていた。
至近距離、バールのようなものを拾うだけの隙は無い。
武器を失った今、鎌による一撃を止められる術は無い。
そして、鎌が振るわれる時間で、その攻撃範囲から逃れることは出来ない。

クラウドさんは咄嗟に、右腕で自分の頭を庇った。

――スパッ、とそれは容易く切断される。
本体と切り離されたそれは屋根を転がり、地面へと落ちた。


それは草刈鎌の刃だった。


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                      K:/:.:.:.::.:l.:.:.:.:.:.:.ヽ:.:.',
                      l:.:`:i,=-、l_;,;,r=、:.:.:l:.:.',       「日本鬼子、ここに見参……ッ」
                        l:.i:.:.lゝ┘ └ ' lハ:l:.:.:.ヽ               /::
                       ,':.:l:.:.ハ   _'_   /!:.i:l:.:.:.:.:.\              /:::::::
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                      ヽ---─-- 、lヽl\_/::: : : : : : rヘ: :l
                       \: :r'" ̄/l   \ ̄ ̄ ̄ `‐'  ヽ)
                         /Y   /::li    ヽ
                       / iレ⌒/::/ ト、 / リ
                       \li_// ヽ V__//
                         ` ‐'゙    ゝ- '゙

かつて名高きナイトが愛用したという、最強クラスの破壊力を誇る片手剣『グラットンソード』
振るわれた草刈鎌に向けて一閃、それを打ち破るのに十分な威力を持っていた。

「え、鬼子ちゃん……?」

クラウドさんは鬼子の姿の変貌ぶりに驚いた。
まず、角が伸びていた。顔の大きさほどの長さになり、その先端は針の如く尖っている。
朝焼けに包まれた空を深々と突き刺しているかのように思えた。
強い風が吹き荒れ、着物がたなびく。自然が彼女の怒りに反応しているように思えた。
そして何より、彼女の黒く澄んだ美しい瞳は、血のように真っ赤に変色していた。
それは彼女が人外の者に近づいていることを示していた。

――これぞ日本鬼子【中成り】の姿――

「クラウド殿、これをお使い下さい」

そう言って一条三位のバックに入っていた武器、グングニルを差し出す。
まぁ、こんな武器があると知っていたらもっと早く解決していただろうな。
ふとそんなことを思いつつ、朝日に呼応して金色に光を放つ槍を構える。
チャキリ、と鬼子もグラットンソードを構え、お断りしますに言い放つ。

「猫の妖よ、覚悟するがいい。汝の心の鬼は私が成敗してくれよう」
「お断りします」

                       一 一二 三゚ω゚ )
                     一 一二  三    \
                    一 一二((⊂ 三)   ノ\つ))
                      一 一二  三_⌒ヽ
                       一 一二  三 ヘ |
                        一 一二  三ノ J
この状況で最も理に叶う選択肢、逃走。
勝てるわけがないのだ。戦闘技術も、武器の性能も。
だが、身軽さに関しては剣や槍といった重たい物を持っていない自分のが有利だ。
ボウガンも、薙刀も置いて可能な限りの速度で離脱を図る!

フッ… l!
  |l| i|li
  ハ,,ハ ,      __ _   ニ_ハ,,ハ
 l( ゚ω゚ ) :l. __ ̄ ̄ ̄    / ゚ω゚ )
  !i   ;li    ̄ ̄ ̄    キ     三
  i!| |i      ̄ ̄  ̄  =`'ー-三‐ ―

              /  ;  / ;  ;       ハ,,ハ
          ;  ,ハ,,ハ/  / ヒュンッ       ( ゚ω゚ )  お断りします
            / ゚ω゚ )/            /    \
            |  /  i/         ((⊂  )   ノ\つ))
           //ー--/´             (_⌒ヽ
         : /                   ヽ ヘ }
         /  /;            ε≡Ξ ノノ `J
    ニ ハ,,ハ,_
    / ゚ω゚ `ヽ  ニ≡            ; .: ダッ
    キ    三    三          人/!  ,  ;
   =`'ー-三‐     ―_____从ノ  レ,  、


「逃がさぬッ!!」

屋根から飛び降りたお断りしますを鬼子は追う。
強烈な踏み込み、跳躍、そして思い切り剣を振りかざし……

「萌 え 散 れ ――ッ!!」


一閃ッ!!


盛大な音が響き、お断りしますの体は地面に倒れる。
血は一滴も流れない。ただ、後頭部に巨大なたんこぶが出来ていた。
鬼子が放ったのは峰打ちである。殺傷は好まない。
グラットンソードを鞘にしまい、お断りしますに背を向ける。

「一件落着……」
「鬼子ちゃん凄いや……!」

クラウドさんはその華麗な姿を見て驚きを隠せなかった。
さらに、この直後に鬼子の角がみるみる縮み、瞳の色が黒に戻った事に続けて驚いた。

「では、鬼女さんたちのところへ戻りましょう」
「わかった。……あ、この猫、えーっと、お断りしますはどうする?」
「私の般若面さえあれば、心の鬼をきちんと退治出来るんですが、あいにく神社にて目覚めた時から無いんですよね。
 多分ひろゆきに奪われたんだと思うんですが……。おかげでこのままお断りしますを放置したら、また殺し合いに乗ってしまうかもしれませんわ」
「それなら連れて行くべきかなぁ」
「鬼女さんなら『こんな殺人クズ猫、ここで息の根を止めるべきよ!』とか言いそうですが」
「うーん、でも殺すのもなぁ……でも、とりあえず鬼女さんを入れて話し合うべきだと思うんだ」
「そうですわね」

二人はそう言うと鬼女が隠れているアパートへと戻る。
……だが、その光景は思いもよらぬものだった。


 ◆



      /"'-..,;;;;;;;;;;;;;`''-..,,_;;;;;;;;;;;;;|;;;;;;;;;;;;..|
       ト:::::::::`''- ..,, ;;;;;;;;;;;;`'' -...., . .- ''´|
      i:::::::::::::::::::三  `'' - ..,,;;;;;/;;;,,..-'イ;,
     /ニ、::::::::::::::::三    、;;;;;; `"´ ,,,,, i;;;i
    { ( _',::::::::::/          "" |/
    ', '<i ヾ:::::::i  、、,,三、     ,,.-、 i
     ',、ヾヽi:::::i   '-ヽソヾ   /,'ッフ、i   「ふふん、妖怪退治ご苦労だったのう」
     ヽ__.. i::::i    、  ̄ノ  | ;ニ ノ.i
     ノ,.-| i::i          |   i
.       i,ィ''"',    /、_  ::::   /
       /',',',  ',  /   ヽ_ノ  /
.      イ',',',',', ', ', ( ,.---::;;;;、_,. } /
     / '',',',',',', ', ',- 、 ,.__`ー´ノノ
   ,.-イ  ''',',',.',', ',:',    ,ノ /、,,、
  (  {´    ',',',',', :',.','---─ '´リ  ', ヽ
''´´ヽ((''- ..,  ',',',',', .',.',ソ  ./ /   ',) }ー..,,,
どうみても動けないレベルに満身創痍な一条三位が平然と起きていた。
彼の腕は、アームロックのように鬼女の首に引っ掛けられている。
そして鬼女はどういうことか意識を失っていた。

「あなた、鬼女さんに何をしたんですか!?」
「安心するが良い、麿が軽~く殴って気絶させただけじゃからな。
 じゃが、その方らが下手なことをすれば、この女子(おなご)の首が折れてしまうかもしれんなぁ」

そう言って彼は軽く腕に力を込める。
鬼女の顔は少しづつピンク色に染まっていく。

「やめなよ! 人質なんかとって、一体何がしたいのさ!?」
「この女子を麿の物にする、そして写真を撮りまくり、zipファイルにして麿の宝とするのじゃ!」
「こ、このド変態貴族……鬼女さんに変なことしたら許しませんわよ!」
「変態ィ? なんと無礼な! 麿は純粋な気持ちで可愛がってやるつもりじゃ!
 おっと、その方らの武器は全て麿に渡してもらおうか。この者の命が惜しいなら従ってもらうぞ。ええな?」

そう言って麻呂は勝ち誇ったような笑みを浮かべる。
邪悪さが丸出しのその様子を見て、クラウドさんと鬼子は互いに頷いた。




――ガツン!




数メートルの距離を接近するのに、1秒とかからない。
瞬く間に一条三位は鬼子の峰打ちをくらい、夢の世界へと旅立った。



「鬼女さんが言うとおり、生かしておくのは危険ですね……」
「だとしたら、殺すべきなのかなぁ……。あまり気が進まないなぁ……」

彼らの優しさが、現実的な決断を鈍らせる。




【B-4・アパート前/1日目・午前】

【鬼女@既婚女性】
[状態]:健康、疲労(中)、右肩を重症、気絶
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=00】)、ランダム支給品0~2、閃光手榴弾@現実×3
[思考・状況]
基本:殺し合いを打破する
1:鬼子とクラウドさんを信頼、協力する。
2:クラウドさんのやたら責任を抱え込む性格をなんとかしたい
3:殺し合い打倒派の協力者を集める(バカは願い下げ)
4:殺し合いに乗ったクズに会ったらその時は……
5:屋上の男から一刻も早く離れる
※自分の本名がわからないため、仮名として『鬼女(おにめ)』と名乗ることにしました


【日本鬼子@創作発表】
[状態]:健康、疲労(大)
[装備]:グラットンソード@FF11
[道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=00】)、ミキプルーンの苗木@ミキプルーンコピペ、
    日本刀@現実、基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=01】)、きゅうり×10@なんJ、イオナズンの巻物@FLASH「イオナズン」、ライター@現実、不明支給品×0~2
[思考・状況]
基本:殺し合いを打破する
1:鬼女さん、クラウドさんと協力する
2:クラウドさん可愛い
3:倒れていた男(一条三位)とお断りします、どうしようか


【クラウドさん@ゲームハード】
[状態]:健康、疲労(大)
[装備]:グングニル@FLASH「グングニル」
[道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=00】)、エルメスのティーカップ@電車男、大盛りねぎだくギョク@吉野家コピペ、バールのような物@現実
[思考・状況]
基本:みんなと協力して、殺し合いから脱出する
1:鬼女と鬼子と行動。助け合いながら二人を護る
2:誰にも死んで欲しくない
3:モララーを警戒、倒れていた男(一条三位)とお断りしますの対処に困る
4:屋上の男が気になる


【お断りします@AA】
[状態]:疲労(大)、頭部を打撲、気絶
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=04】)、ニニフと炒飯セット@AA、予備の矢×5、薙刀@現実
    ボウガン(0/1)@現実
[思考・状況]
基本:全てに「お断りします」。
1:…………
【備考】
※草刈り鎌@現実は破壊されました。


【一条三位@AA】
[状態]:気絶、全身にダメージ(大)、左腕機能停止、ススだらけ
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
基本:優勝して、全てのzipが手に入る桃源郷を創る
1:鬼女を自分のモノにしたかった
2:見た事のないこの町に興味
3:やっぱりzipが欲しい
【備考】
※イオナズンを習得しました


※一条三位の持ち物()は日本鬼子が回収しました。
 中身の分配に関しては次の書き手の方にお任せします。
※一条三位がモッピーとレベル男のPDAを回収したかどうかも次の書き手の方にお任せします。
※一条三位の持っていた日本刀@現実は鞘がイオナズンで破壊され、刀身もボロボロのなまくらになりました。

※鬼女、日本鬼子、クラウドさんはブロントさんの呼びかけを聞きました。
※一条三位はまだ定時カキコを見ていません。
※クラウドさん、鬼女、日本鬼子は一条三位のPDAを確認しておりません。


No.94:おしょくじのじかん 時系列順 No.96:Do it right
No.94:おしょくじのじかん 投下順 No.96:Do it right
No.79:涙の中にかすかな灯りがともったら クラウドさん No.:[[]]
No.79:涙の中にかすかな灯りがともったら 日本鬼子 No.:[[]]
No.79:涙の中にかすかな灯りがともったら 鬼女 No.:[[]]
No.79:涙の中にかすかな灯りがともったら 一条三位 No.:[[]]
No.82:Drop out お断りします No.:[[]]

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