私が言うのもなんだけど、プロをやっていると差し入れを頂くこともある。
大抵は花とかお菓子なんだけど…たまにお酒とか、そういうのを頂くと知り合いと一緒に飲んだりします。
はやり「だからねぇ? はやりはぁ、もーちょっとねぇ? あと三発くらいイけるでしょ? ってぇ」
今日の相手ははやりちゃん。歳が…まあ、近いせいもあって時々一緒に食事したりして。
中央に氷を入れるポケットのあるカラフェ。中身は今日は、山形の方から頂いた日本酒。
東光…『とうこう』かあ。純米吟醸だからいいお酒だね。
はやり「なのにぃ…逃げるんだよ!? これからじゃん! おもっきし猫被ってたのにぃ!」
多分9割方、皮が脱げかかってたんじゃないかな…
もちろん冷やしていただきます。喉を流れる感覚は…うん、スッキリした辛口。少し強いかな?
最初の舌触りはまろやかだけど、流れるうちにピリピリ走る刺激が心地いい。
はやり「ねぇー、すこやん誰か紹介してよぅ…ほら、高校生の、誰だっけ…」
駄目。そんな、日本酒を水みたいに飲む人はダメです。
香りはほのかな果実の香り。舌触りのわりに優しく残って、上手に最後の余韻に浸らしてくれる。
辛さがあとに残らないけど、次々飲めるというには強いから味わうお酒かな。
はやり「はぁー…うー…ん、ん…」
…寝ちゃったかな? 顔真っ赤にして、もしかしたらヤケ酒の一種だったのかも。
少しだけ、体が熱い。頭がぽかぽかして気分が高揚して。うん、美味しいお酒だったなあ。
「…もしもし、京太郎君? そうだよ…久しぶり。ごめんね、なんとなく――」
ごちそうさまでした。
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