部活開始~インターハイ初戦前


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憧「全中インターミドル優勝って」

 

憧「…うそ、和?」

 

ユメーカソクシーテク

 

憧「あ…電話?」

 

穏乃『もしもし! 憧? テレビ!』

 

憧「うん、今見てた。びっくらこいた…は? 大会に出る?」

 

憧「いや無理だよもう…え?」

 

憧「走って行くって無理だから。服脱いでも無理! 全裸ぁ!? ちょっと待ちなさいって!」

 

憧「あ…切れた」

 

憧「しずは本当に計算もモラルもないなぁ…これじゃ阿知賀での友達も苦労しそう」

 

憧「……」ゾクゾク

 

憧「…な、なんか変な寒気がするっ!」

 

 

 

――阿知賀女学院 部室――

 

穏乃(憧は来れなくても…阿知賀の麻雀部、作ってみせる!)ガチャッ

 

穏乃「アレ? 部室、ホコリがない…麻雀卓もある…ナンデ?」

 

玄「あ、やっと来たんだね。いつか戻ってきてくれると思ってたんだー」エヘヘ

 

穏乃「もしかしてここの掃除って…!」

 

玄「うん。木曜は私の当番だから」

 

穏乃「当番って…麻雀教室で決めた当番!?」

 

玄「そうだよ」

 

穏乃「二年以上も守ってたの…?」

 

玄「あはは…守るのは得意だから」

 

玄「その証拠に今日もちゃんと貞操帯をつけているのです!」ムフー

 

穏乃「私はなんも付けてないや」ペローン

 

 

 

玄「私ね、あの頃みたいにみんなで楽しめたらな、って思うんだ」

 

穏乃「あの頃…玄さん、私、またみんなで麻雀がしたいです…」

 

玄「私も同じだよ。そうなったらいいな、ってずっと思ってたんだ」

 

穏乃「あと全国大会に行きたい! 春までに麻雀部を復活させて…」

 

玄「面白そう!」

 

穏乃「インターハイまで行けば、そこには多分和がきます!」グッ

 

穏乃「そしたらそこで…またみんなで遊ぶことができるんです」

 

玄「わあ…うん、素敵だね!」

 

 

穏乃「ただ麻雀だと4Pまでしかできないんですよね」ウーン

 

玄「部活だと五人居ないとだから、あぶれちゃう人が出ちゃうね」ムムムッ

 

 

 

玄「なにはともあれ、まずは部活をはじめないとね」

 

穏乃「う…阿知賀は同好会が二人からだから、まずはそこからで…」

 

玄「五人そろったら部活に昇格だね」

 

穏乃「でも…生徒数の少ない阿知賀で五人は…」

 

玄「難しそうだね…」

 

穏乃「それじゃあ変装してローテーションするとか?」

 

玄「うーん、バレちゃいそうだけど」

 

穏乃「下着を変えれば大丈夫じゃないかな?」

 

玄「それならなんとか…」

 

憧「審判の観察ポイントがそこであってたまるかぁ!」バンッ!

 

 

 

玄「憧ちゃん」

 

穏乃「憧!? なんでここに」

 

憧「はあ…しょーがないでしょ。晩成行っても県からは一校しか出れないんだもん」

 

憧「だったら一か所に集まれば、揃って和の前に立てるでしょ?」

 

穏乃「憧…」

 

憧「それにアンタ達ほっといたら何しでかすか分かんないし、お目つけがいないとね」

 

憧「またみんなではしゃごう…そして、全国に行こうよ!」

 

憧「アンタ達がボケて、私達がツッコむ。そうでしょ?」

 

穏乃「…うんっ!」

 

玄「それじゃあまずはこの三人から…」

 

穏乃「ケツの穴で締め付けてがんばろー!」

 

玄「おー!」

 

憧「何するつもりだ」

 

 

 

穏乃「よおし…待ってろよ和!」

 

玄「そっちの窓は長野とは反対方向だよ?」

 

穏乃「いいっ!? い、いや気分ですよ気分!」

 

憧「うわー、恥ずかしー」クスクス

 

穏乃「ち、違うって! これはその…」

 

憧「はいはい、間違えちゃったのよねー」

 

穏乃「顔が西向きゃ尾は東って言うじゃん! 準備万端で待機中ってことだから!」アセアセ

 

憧「まだこれから準備するんですケド」

 

 

 

憧「それじゃあまずは部員探しからね」

 

穏乃「うー…そうは言っても、うちの学年だと心当たりないんだよね」

 

玄「えっとね。一人なら心当たりあるよ」

 

憧「ホントですか!?」

 

玄「うん。早速会いに行く?」

 

穏乃「ぜひ! 善は急げですよ!」

 

 

憧「う…やっぱ夕方でも外は暑いわね」

 

穏乃「そりゃ夏だもん。憧も玄さんもなんで上着羽織ってんの?」

 

憧「日に焼けちゃうじゃない。クリームだけじゃ…ねえ玄」

 

玄「え? 体を火照らせて擬似媚薬プレイするためじゃないの?」キョトン

 

憧「ちょっとその思考は高度すぎてわかんなかったわー」

 

 

 

玄「ここだよー」

 

憧「ここって、玄ん家じゃん」

 

玄「? そうだよ、こっちこっち」

 

玄「ただいまー、おねーちゃん居るー?」

 

 

宥「お帰りなさぁい…」モゾモゾ

 

穏乃「コタツ!? 夏なのにコタツ!?」

 

憧「うわー…宥姉お久しー」

 

宥「ファッ!? ふぇええええ!?」

 

宥「憧ちゃんにお客さん…! こ、こういう時はノックしてよぅ…」

 

宥「もぉ…自家発電中にノック無しで入って来るなんてマナー違反だよぅ…」モゾモゾ

 

憧「そーゆーことは自室でやって!」

 

 

 

穏乃「うーん…この人どっかで見たような」

 

憧「玄のお姉ちゃん。二つ上で小4まで同じバスだったよ?」

 

穏乃「え、そうだっけ?」

 

玄「おねーちゃん外出するときはマスクに眼鏡とマフラーだから、わかんないのも仕方ないよ」

 

穏乃「……あー! 夏なのにマフラーしてる上級生!」

 

玄「あはは、おねーちゃんは寒がりだから」

 

穏乃「夏は寒くないでしょ!?」

 

宥「その、私、実は男の子だから…体系を隠すために…」

 

憧「えっ」

 

穏乃「えっ」

 

玄「ええっ!?」

 

宥「冗談だよぅ…あ、あれ?」

 

 

 

玄「えっと…とりあえず四人目候補はおねーちゃんなのです!」

 

宥「え? えっ、えっ…」

 

穏乃「にこ上ってことは来年は高3?」

 

憧「大丈夫っぽいね。麻雀はできるの?」

 

玄「わたしと同じくらいかな」

 

宥「麻雀? さっきから何の話してるの…?」

 

穏乃「阿知賀女子の麻雀部を復活させるんです!」

 

憧「良かったら、入って貰えないかなーって」

 

玄「いいかな、お姉ちゃん」

 

宥「わあ…わわわわっ、すっごく嬉しい…」

 

宥「私もね、玄ちゃんが行ってた麻雀教室行きたかったけど、もう中学生になってたから」

 

宥「ずっと玄ちゃんのこと、羨ましかったんだ…」

 

玄「じゃあ今度こそ、参加できるねっ」

 

宥「うん…うん!」

 

穏乃「あ、でも阿知賀は女子高だしなあ」ウーン

 

宥「ふぇえ…在校生だよぅ…」

 

 

 

晴絵「参ったね、廃部だなんて」

 

「まーうちも経営赤字出してるからね。チームも全国トップってわけじゃないし、経費削減だよ」

 

「困るよねえ…上司の目が痛いったら」

 

晴絵「あと半年か。身の振り方考えとかないとねえ」

 

「そうだね。一般職に専念するか、それとも…」

 

晴絵「……身の振り方、か」

 

晴絵「いや、ここで腰振るほど尻軽じゃないけどね?」

 

「あんたはそれをどうにかした方がいいね」

 

 

 

穏乃「うーん、あの人もだめ、こっちもそっちもダメ…」

 

憧「なかなかあと一人が集まんないわねー」

 

宥「あの…鷺森さんのところの、灼ちゃんはどうかなぁ?」

 

玄「あ、そっか。灼ちゃんなら麻雀出来るもんね」

 

憧「誰?」

 

玄「ボーリング場の子で、幼稚園から大人と麻雀出来るくらいなんだ。クラスメイトなの」

 

穏乃「幼稚園児が大人と打ってたんですか!?」

 

憧「えー…でもそんな人こども麻雀クラブに来てなかったことない?」

 

玄「そういえば来てなかったね」

 

宥「ふぇ…灼ちゃん、赤土さんの大ファンだったのに」

 

憧「晴絵のファンとか嫌な予感しかしないんだけど」

 

 

 

玄「えっと、鷺森ボウル…うん、ここだ」

 

玄「こんにちはー!」

 

灼「いらっしゃいませ…玄? めずらし」

 

玄「今日は灼ちゃんに折り入ってお願いが!」

 

灼「そーゆーお願いって大抵こっちにメリット少な…何?」

 

玄「実は高校で麻雀部を作ろうと思ってるんです。昔しょっちゅう打ってたよね」

 

灼「麻雀は小1の頃から中学までやってない」プイッ

 

玄「あ、打ってるんだ」

 

灼「だってはるちゃん実業団行ってるし…」

 

玄「知ってたの?」

 

灼「ブログ更新は毎時間チェックしてるから」キリッ

 

玄「それじゃあ麻雀教室に来なかったのは?」

 

灼「会いたすぎて次会ったら絶頂しちゃいそうだから…」ハフゥ

 

玄「そっかー」

 

灼「あ、麻雀部は入っていいよ」

 

 

 

――9年前――

 

望『いやー、負けたね。さびしいもんだ』

 

晴絵『まー準決勝敗退だからね。さすがに凱旋とはいかないし』

 

望『誰かさん達はこってり怒られてるしねえ』

 

晴絵『ははは…仲良くはなれたけどね』

 

灼『はるちゃんおかえりなさい! インターハイかっこよかったです!』

 

望『おっ、ちびっこファンだ。サインとかあげたら?』

 

晴絵『いや字は下手だしなあ…それじゃ、これで』シュルッ

 

晴絵『洗濯、よろしくな』

 

灼『……うんっ』

 

晴絵『あ、こっちの方が良かったかな?』ヌギヌギ

 

望『ちびっこ相手に何してんだボケッ!』ドゴォ

 

 

灼「……」パチッ

 

灼「麻雀…」

 

灼「……」ポッ

 

 

 

玄「さて、取り急ぎ三人集まったので同好会から始められることになりました!」

 

玄「部員候補はこちら! おねーちゃんと灼ちゃんです!」

 

穏乃「ついに揃ったねー」

 

灼「なんで阿太峯の制服…?」

 

憧「あ、あたし阿太中なんです。来年から阿知賀の高等部入るんでお願いしますね」

 

玄「えっと…じゃあ自己紹介からにしよっか。灼ちゃんからお願いしていい?」

 

灼「ん…私は鷺森灼阿知賀二年で玄のクラスメイト。よろしくお願いします」

 

灼「好きなものははるちゃんです」

 

憧「あー、憧れてるって感じですよねー」アハハ

 

灼「? 性的な意味だけど…」

 

憧「だろーと思ったよちくしょー!」

 

 

 

――冬――

 

晴絵「…こっちは結構降るね」

 

望「そりゃ降るさ。お早い出戻りなのに忘れちゃった?」

 

晴絵「まさか…しっかしこれからどうしようかなあ」

 

望「一応社員ではいられるんでしょ?」

 

晴絵「そうだけど、麻雀で入社して麻雀しないってのは肩身が狭いってもんじゃないし」

 

晴絵「あ…学校寄ってもらっていい?」

 

望「ん、おっけ」

 

 

晴絵「うわー…懐かし…あれ? 麻雀部の表札、子供教室止める時に外したのに」

 

晴絵「なんだか音がする…この音は」

 

ジャララッ…ジャラッ

 

晴絵「! この音っ!」バンッ

 

 

晴絵「誰だ手錠監禁プレイしてるのはー! 交ぜろー!」

 

憧「いきなり来て何ほざいてんの」

 

 

 

玄「赤土さん!」

 

穏乃「先生!」

 

晴絵「みんな、どうしてここに?」

 

灼「……」ポカーン

 

晴絵「きみ…ネクタイとパンツの子!」

 

憧「待って。その言葉ちょっと検閲させて」

 

晴絵「すぐわかったよ、大きくなったね」

 

灼「っ!」カアアアアッ

 

灼「……ふぅ」ツヤツヤ

 

宥「? 寒いのに凄く汗かいてる…」

 

憧「ツッコむ隙もないとか早すぎでしょ…」

 

 

 

晴絵「んで、この集まりはなんなの?」

 

穏乃「んふふ、これはねー」

 

玄「阿知賀女子麻雀部なのですっ」

 

憧「この五人でインターハイ目指すからねー」

 

晴絵「インハイって…本気なの?」

 

望「大真面目みたいよ?」

 

晴絵「インハイか…」

 

晴絵「私も連れてってくれないかな…インターハイ」

 

憧「えっ…無理でしょ年齢的に」

 

晴絵「んなっ! まだまだ名器って評判なんだけど!」

 

憧「それはどうでもいいし関係ないから」

 

 

 

晴絵「いや待てよ…私教員資格あるからここで再就職すれば…」

 

望「思春期の少女に悪影響だからやめときな」

 

晴絵「うーん…」チラッ

 

 

玄「このあいだマウスパッド買ったんだー。おもちマウスパッド」

 

穏乃「ふあー、暖房で暑いなー…下着だけでも脱いどこーっと」

 

灼「生はるちゃんボイス…らめえ…」ハアハア

 

宥「はぁ…んっ…ストーブ、あったかぁい…あふ、んんっ」ピクピク

 

憧「おらー! お前らそこに正座しろー!」

 

 

晴絵「今更?」

 

望「……憧ー、頑張れー」

 

 

 

灼「ふう…でも、なんで今更インターハイ? プロとか…」

 

晴絵「いやあ。なんてゆーか日本リーグで打っててもあの頃の高揚感が無いってゆーか」

 

晴絵「9年前、すこやん達と卓を囲んだ時みたいなのが無くてね」

 

晴絵「もしインハイを間近で体験できれば…あの頃の情熱が戻ってくるんじゃないか…ってね」

 

灼「そんな根拠のないしみったれた希望のためにインハイに行きたいの…?」

 

晴絵「へいへいキッツイねー、そういうのも悪かないけどさ」ハハハ

 

憧「ま…中身はともかくインハイ経験者が指導してくれるのはありがたいけど」

 

晴絵「任せなよ!」

 

 

晴絵「いやー、この年になってインハイって二度目の処女喪失みたいじゃない?」モジモジ

 

憧「動きもキモイけど言動がもっとキモイ」

 

 

 

――春――

 

憧「おーい、おはよ」

 

穏乃「おはよう憧! 制服可愛いねー」

 

憧「あんたも同じ制服じゃん…でもホント可愛いわよねー。写真取ってよ写真!」

 

穏乃「あ、うん。えっと…」

 

憧「あーもー、大丈夫? シャッターボタン押せばいいから」

 

穏乃「うん…はいチーズっ」カシャッ

 

憧「ぴーすっ! どう? 可愛く撮れた?」

 

穏乃「バッチリだよ! ほらほら」

 

憧「わー可愛い制服で胸と足がアップで映ってるー」

 

憧「ちゃんと撮らんかぁー!」

 

穏乃「えー、でもこの方が使いやすいんじゃない? 顔は好きな子を想像してさー」

 

憧「なにその微妙な気配り…私への気配りを寄越しなさいよ」

 

 

 

晴絵「さて、活動計画書も費用書類もバッチリ」

 

憧「顧問もお飾りじゃなくてホンモノだしねー」

 

晴絵「あとはインターハイの申請書類だけど…個人戦はどうする?」

 

穏乃「誰か出たい?」

 

玄「私はいいかな…みんなでヤリたいし」

 

宥「独りは寂しいから…誰かに温めて欲しいよ」

 

灼「ソロ物はヌキどころ分かんないし…」

 

穏乃「とゆーわけで絡みアリのビデオでー」

 

晴絵「オッケー!」ガラッ

 

憧「教師が率先して買いに行こうとするな」

 

 

 

晴絵「県予選は二か月後だけど、まあフツーは無理よねー」アハハ

 

憧「まあ晩成が居るからねー」

 

穏乃「晩成が地区優勝できなかったのは40年で一回だけだって」

 

玄「勝つのはたいへんそうだね!」

 

灼「でも…その一度を作った選手がここにいる」チラッ

 

 

晴絵「あー、腰痛いわー…」

 

憧「ババくさー…年じゃない?」

 

晴絵「んー…それが新任の男教師がイケててさあ」アハハ

 

憧「阿知賀って誰かコレ止められる人いないの?」

 

 

灼「はるちゃんかっこいい…」ハアハア

 

玄「すごいねー」

 

 

 

晴絵「んじゃ早速だけど…特訓は明日からにする?」

 

穏乃「今日から! 今からやろうよ!」

 

宥「ん…準備できてるから…いつでも、いいよ…?」

 

晴絵「れじぇー。んじゃ今日からにしようか。とりあえず三人卓についてー」

 

憧「とにかく、あと二か月。晴絵には顧問らしく指導してもらうからね」カチャカチャ

 

晴絵「はいはいそりゃもちもち、ジリ貧にならないようキッチリ指導するよ」カチャッ

 

玄「ええっ!? い、いまおもちズリすると貧乳になるって!?」ガタッ!バラッ

 

灼「山が崩れた…」

 

穏乃「もー…玄さん、それじゃ私がもちズリしまくりってことになっちゃいますよー」アハハ

 

玄「そっかー」エヘヘ

 

憧「穏乃は勝手にツッコミしないで! 私がやるから!」

 

 

 

――いつかの夜――

 

穏乃「あー! づがれだー!」

 

憧「さすがに打ちすぎて腕上がんないわー…いたた」

 

穏乃「あはは、プルプルしてるー」

 

玄「お待たせしましたっ! あれ? どうしたのー」

 

穏乃「あ、玄さん。これこれこういうわけで憧が腕上がんないんですよー」

 

玄「そっかー…あ、灼ちゃん。憧ちゃんがー」

 

灼「ふうん…あ、はるちゃん…かくかくしかじか」

 

晴絵「ほー」

 

 

晴絵「毎晩相手のケツに平手張りすぎて腕上がんないんだって?」

 

憧「ごく短時間の伝言すら危ういのね…」

 

 

 

初瀬「あこ?」

 

憧「初瀬! おひさー、元気?」

 

初瀬「いや元気だけど…それ阿知賀? なんで晩成来なかったんだよ!」

 

憧「まー、昔の仲間と全国行きたくてねー。それと…」チラッ

 

 

穏乃「誰だろ? 憧の元カノかな」

 

玄「もち奴隷?」

 

晴絵「いや…あのやり取りからするとセフレかな」キリッ

 

 

憧「私が居ないと暴走する」

 

初瀬「ああ…うん…」

 

 

 

初瀬「でもあこって麻雀の実力私と同じだったじゃない。晩成に勝つつもり?」

 

憧「まー去年までなら無理だったかもね。けど今は優秀なコーチがいるから」

 

 

晴絵「女子同士も悪くないけどねえ」

 

灼「は、はるちゃー!」ガタッ!

 

晴絵「まあ膜破れないから健全だね」

 

穏乃「あー、そこが判断基準かー」

 

玄「とととということはおもち同士は健全! おおおおねえちゃああああ!!」

 

宥「ひぅっ!? あ、んんんっ! やっ、あふっ!」

 

 

憧「……」

 

初瀬「……」

 

憧「麻雀は優秀だから。赤土晴絵」

 

初瀬「あ、うん。阿知賀のレジェンドの…」

 

 

 

憧「じゃあまたねー。県大会で会いましょっ」

 

 

やえ「どしたー、固まってるぞ。あれか? ジャージの子とその仲間か?」

 

初瀬「小走先輩!」

 

やえ「ジャージの子がパンを取るとき、指にマメが見えたよ。ありゃ相当打ってる」

 

初瀬「はあ…」

 

やえ「まあ心配しなさんな。私は小3の頃からマメすらできない。ニワカは相手にならんよ」

 

やえ「まあ一粒のマメは無くしようがないけどな! あっはっは!」

 

初瀬「うちはボケが一人だけで助かった…」

 

 

 

――奈良県大会当日――

 

晴絵「おほー、懐かしいな」

 

宥「うぅ…」プルプル

 

玄「あは、おねえちゃん緊張しなくても大丈夫だよ」

 

憧「みんな晴絵といい勝負できるようになってきたからね」

 

晴絵「確かに、昔のチームメイトより強いかもね」ニヤッ

 

晴絵「でもこのチームには赤土と言う選手はいないからねっ!」フフッ

 

灼「それなら苗字を変えれば…」スッ

 

憧「同性に婚姻届は無効!」

 

宥「……ふう」ピタッ

 

穏乃「あれ? 宥さんの震えが止まったよ?」

 

憧「ちょっと待ってさっき震えてたわけは…言わなくていいから! 見せようとすんな!」

 

 

 

玄「えっと、トーナメント表は…あったあ!」

 

穏乃「げ、初戦の相手が」

 

灼「晩成高校…」

 

憧「そう、関係ないね。どうせ当たる相手だよ」

 

宥「うん…遅いか、早いかだもんね…」

 

晴絵「そういう事だね。こんなトコでビビるようじゃ全国なんて夢のまた夢だよ」

 

穏乃「夢…うんっ!」

 

穏乃(夢になんてさせない! 和とまた、遊ぶんだ!)

 

晴絵「ちなみに私のもう一つの夢はお・よ・め・さ・んっ」エヘッ

 

 

晴絵「おーい、置いてくなよー」

 

 

 

『県予選第一回戦、スタートです!』

 

初瀬「小走先輩、頑張れー!」

 

 

玄「ツモ、ドラ7。8000オールです」

 

やえ「ほー…これは阿知賀もやるね」

 

玄「はいー、頑張りますっ!」

 

 

やえ「それじゃ私もお見せしよう、王者の打ち筋を…リーチッ!」

 

やえ「ツモッ! リーチ一発ツモ三色純チャン…ドラは無しか」

 

やえ「親の倍満だ…ハッテンオール!」

 

玄「はいっ!」ニコッ

 

 

初瀬「あれさえ無ければなぁあ…」

 

 

憧「あー…晩成も大変ねー」

 

 

 

『決着ー! 阿知賀女子、優勝候補晩成を下し一回戦突破!』

 

穏乃「ただいま!」

 

玄「おかえりんこー」

 

穏乃「ただいまんこ!」

 

憧「言い直さなくていいから…」

 

晴絵「じゃあ…まん」

 

憧「そこだけ抜き出すな!」

 

宥「あったかいのが欲しいよぉ…」ブルブル

 

憧「もう関係ないしっ」

 

灼「はるちゃんとにゃんにゃんできますように、っと」サラサラ

 

憧「七夕は来月!」

 

 

憧「あーもう! さっさと次の準備する!」

 

「「「「「はーい」」」」」

 

 

 

憧「ふう…全国出場か」

 

憧「とりあえずやることはやったかな」

 

玄「うん、大変だったけどね」

 

穏乃「みんなー!」ダダダッ

 

穏乃「新聞! 新聞見た!?」

 

憧「ああ…ネットで見た見た。残念でした」

 

穏乃「もーっ! エロ画像の話なんてしてないよ! 長野の優勝校のこと!」

 

憧「奇遇ねー、私も長野の優勝校の話しかしてないわー」

 

 

 

玄「和ちゃん、やっぱり勝ち上がってきたんだ!」

 

憧「清澄って聞いたことないけどねー」

 

穏乃「でもこれで全国で会えるんだ…!」

 

穏乃「うおおおおおお! あっちいいいいい!」

 

憧「燃えすぎ燃えすぎ…」

 

穏乃「はー、はー…あつっ! 着てらんないよ!」ジジジッ

 

憧「ジャージの下になんで肌色が見えんのよ!」

 

憧「昔から言ってることだけどさあ!」

 

 

 

憧「そういえば宥姉と灼…さんは?」

 

玄「灼ちゃんは赤土先生と買い出し、おねーちゃんはクラスメイトにもみくちゃにされてたよ」

 

憧「え…助けなくて大丈夫なの?」

 

玄「たくさんの手に弄ばれるから、あったかくなってるんじゃないかな」ポヤーン

 

 

晴絵「お、揃ってるねー」

 

灼「ふう…いいデートだった…」ツヤツヤ

 

宥「はあ…は、ぁ…ん…」ハアハア

 

玄「おねーちゃん!? 大丈夫?」

 

宥「う、うん…」

 

穏乃「ボロボロですけど…何かあったらすぐ言って下さいね!」

 

宥「ありがとう…それじゃあ、濡れちゃったからパンツ替えてくるね…」

 

憧「何でも素直に言えとは言ってないわよっ」

 

 

 

晴絵「昔はねえ…私の頃は県代表だと練習試合したらダメだったんだよ」

 

穏乃「20年前だもんむぎゅっ」

 

晴絵「ふざけたこと抜かすのはこの口かー?」グイグイ

 

穏乃「むええー…」

 

晴絵「ところが今は規定が変わって、代表校同士じゃなきゃ試合していいらしい」

 

晴絵「つまるとこ、各県の2位となら戦っていいわけよ」グイグイモミモミ

 

穏乃「ほふへー」

 

玄「ふあっ!? あうぅ、ふえ…」

 

晴絵「あーいいなーこれ! ちょっと分けてくんない?」モミモミ

 

灼「私の! 私のも!」

 

宥「あったかくなれそうな手の動き…はぅ…」

 

憧「それで近隣県のナンバー2んとこに行くわけね」

 

晴絵「そうそう。方々の許可は取ってるよー」モミモミ

 

穏乃「はらははほはひー」

 

晴絵「長野? いいよ、そこからにしようか」モミモミ

 

玄「おもちが、おもちが焼き餅になっちゃうよぉ…あふぅ…」

 

灼「はるちゃん! 放置プレイもいいけど!」ハアハア

 

憧「じゃー話もまとまったとこでー…」

 

憧「まずは晴絵からツッコミ行くわよー」

 

 

 

晴絵「近場だし車でいこっか」

 

 

憧「晴絵、ずっと運転してて平気?」

 

晴絵「へーきへーき、でも何か歌でも歌ってくれるといいかなー」

 

 

穏乃「子猫とにゃーん」

 

灼「金太負けるなとお姫様~」

 

玄「オリオン座の下でー」

 

宥「うやうやしく服を脱ぎー…」

 

憧「桜の花びらー紛れる季節をー」

 

晴絵「どれか一曲にしようか。せえのっ!」

 

「「「「「セーック○!」」」」」

 

憧「まあ分かってたけどね」

 

 

 

玄「サービスエリアついたっ」

 

晴絵「お昼はここで済ませようか」

 

灼「着いたらあんまり時間ないし…」

 

憧「屋台とかもあるのねー。結構迷っちゃうかも」

 

玄「あれ、おねーちゃん?」

 

宥「ここあったかい…」

 

 

宥「でも…イカ焼きのにおい…」ムワァ

 

玄「お、おねーちゃんの服がイカ臭くなっちゃった!」

 

晴絵「ぶっかけたらすぐ洗わないとダメじゃん」

 

憧「アンタ車降りてから今までのやり取り見てたでしょーが」

 

 

 

晴絵「適当に食べたら行くよ。酔ったら大変だから必要な分にしときなー」

 

玄「はーい」

 

灼「いちごカレーパン…」

 

宥「あったかくなりそう…」

 

憧「やめときなって。私は何にしようかなー」

 

穏乃「私はフランクフルトかったよ!」

 

玄「スコッチエッグ2つ買っちゃった」

 

晴絵「やっぱカルピスだよねえ」

 

憧「並べない、スコッチエッグで挟まない、カルピス垂らさない!」

 

憧「あんたらいつ打ち合わせしてんの?」

 

 

 

――車中――

 

憧「ふあ…ねむー…」

 

晴絵「寝ちゃっていいよー、私はそういうの気にしないから」

 

憧「それじゃお言葉に甘えて…」

 

 

穏乃「玄さん、あれ持ってきました?」ヒソヒソ

 

玄「微振動だけどいいかな?」ヴヴヴ…

 

灼「強すぎると起きちゃうから丁度いい…」ヒソヒソ

 

憧「んー、やっぱり起きちゃおっかな!」

 

 

 

ハギヨシ「ようこそお越し下さいました」

 

憧「すごっ、本物の執事じゃん!」

 

穏乃「ひつじ?」メエー

 

晴絵「おー、いい男」

 

ハギヨシ「ありがとうございます。どうぞこちらへ、お嬢様方が皆様をお待ちです」

 

憧「あれ、晴絵がイケメンにがっつかないなんて珍しいじゃない」

 

晴絵「ん? いやまあ…」

 

 

晴絵「さっき40回手を出そうとしたけど全部視線とか仕草で制されちゃってさー」ヤレヤレ

 

ハギヨシ「申し訳ございません、執事ですので」

 

憧「なんつー無駄な達人業」

 

 

 

透華「お待ちしておりましたわ!」

 

純「こいつらが奈良代表か?」

 

一「こいつらとか失礼だよ純くん、罵る様な言い方は好き嫌いあるんだから」

 

穏乃「あ、私大丈夫ですよ」

 

玄「私もー」

 

宥「ちょっとだけ…あったかくなるから…いいよ?」

 

灼「はるちゃん以外の罵声はどうでもい…」

 

智紀「M候補は三人…」

 

透華「がってん承知ですわ! よくお越しくださいました、メス犬三匹さんと阿知賀の方々!」

 

穏乃「わ、凄い歓迎されてるよ憧!」

 

 

憧「あ、どうも阿知賀の新子憧っていいます」ペコッ

 

衣「衣は天江衣だっ、アチガも一人だけかー?」

 

憧「龍門渕もですか。お互い大変ですねー」

 

 

 

穏乃「ふおぉ…全然勝てない! 凄い! ヤバイ!」

 

憧「凄いわねー、三連続海底とかオカ持ちかあ」

 

衣「ふふんっ、陽は高くとも海底くらいなら支障なし!」

 

玄「すっごく強いですねー。和ちゃん…えっと、清澄高校は衣さんに勝ったの?」

 

衣「ノノカ…? 衣に土を付けたのはノノカじゃなくて嶺上使いだぞ」

 

宥「嶺上使い?」

 

穏乃「何言ってるか全然分かんないけど…」

 

穏乃「多分、鞭使い蝋燭使いとかそういうのの一つなんですね!」キラキラ

 

衣「答えに掠ってもいないっ!」

 

透華「あら、傾向としては間違っていないのではなくて? 道具は使わないようですけど」

 

穏乃「く、詳しく!」ガタッ

 

憧「対局中は座ってなさい」

 

 

 

衣「ノノカは知り合いなのか?」

 

憧「ん? まーね。ちょっとの間だけど、一緒に麻雀とかお花見とかして遊んでたの」

 

衣「そっか…やはり幼少のみぎりから凄まじかったのか…?」

 

憧「へ? ああ…」

 

憧(多分胸のこと、よね。テレビで見た時スゴかったし)

 

憧「そりゃもう、同年代とは一線を画してたし…あそこの玄と晴絵もいたけど、それ以上だったわ」

 

 

玄「とととともきーさんもイイおもちがー!」ワキワキ

 

智紀「あーれー…おたすけー…」

 

晴絵「お菓子甘いわねー、そろそろ苦いもん欲しくない?」

 

ハギヨシ「どうぞ。当家自慢のコーヒーでございます」スッ

 

晴絵「ありゃ残念…」

 

 

衣(昔からアレ以上のボケだったと言うのか…)プルプル

 

憧(てゆーか玄も相当よねー、改めて見るとデカッ)

 

 

 

晴絵「それじゃ、ありがとうございました」

 

透華「いいえ、こちらこそ楽しく打たせてもらいましたわ」

 

純「長野と当たらなければ応援してやるよ」

 

穏乃「あはは、じゃあウチの応援はできないですね!」

 

一「へー、言うね…頑張ってね」

 

玄「ともきーさんまたお会いしましょう! ぜひ!」

 

智紀「ん…ばいばい…」

 

 

憧「それじゃこれで。良かったらこれ、携帯の番号とメアド」

 

衣「う…衣は携帯は使わない…」

 

憧「あちゃー、それじゃあ…手紙とかどう?」

 

衣「…うんっ!」パアッ

 

 

透華「行ってしまいましたわね。随分原村和に会いたがってましたけど」

 

衣「うん…」

 

衣「アコはなんで和に会いたかったのかな…大変になると思うのに」

 

一「昔の友達だからじゃない? たまに前の相手との相性を思い出す感じで」

 

衣「経験も無いのに適当な事を…」

 

 

 

晴絵「えーと真門女子、片瀬乃木…龍門渕以外には全勝か」キュッキュ

 

玄「いい感じですねー」

 

穏乃「でも三箇牧の荒川さんには敵わなかったよ?」

 

晴絵「そらそーよ。荒川憩は去年の個人戦2位、あれにポンポン勝てたら全国優勝よ」

 

灼「やっぱり優勝は難しいかな…」

 

晴絵「いやいや総合力よ。一人が突出するより五人全員のアベレージね」

 

晴絵「だから真似する必要は無いってこと。ウチらはウチらのやり方でね」

 

宥「真似はしないで…頑張ります…」

 

玄「じゃあこのナース服はどうしましょう?」

 

晴絵「せっかくだし真似して着てみればいいんでなーい?」

 

憧「前言翻すの早すぎ…てゆーか6着も!?」

 

 

 

晴絵「で、明後日からの夏休みはまず10日間の強化合宿」

 

晴絵「そんで数日休んで――東京の全国大会へ出発するよ!」

 

穏乃「よしっ…頑張るぞー!」

 

玄「おーっ!」

 

灼「おー…」

 

宥「う、うんっ」

 

憧「はいはい」

 

憧(こういうのって良いわよね…ただ)

 

 

晴絵「いやー私もまだまだイケちゃうんじゃない?」

 

灼「はるちゃー! 凄くいい! 凄く! イイ!」ハアハア!

 

晴絵「そう? でもこのナース服ちょっとミニすぎない?」

 

憧(このレジェンドキッツい…)

 

 

 

穏乃「わー、温泉旅館だ!」

 

憧「へー…結構いいとこじゃない。風情あるわ」

 

玄「うーん…」ガサゴソ

 

晴絵「くろー? 何してんの」

 

玄「こういうとこは多分この辺に…あ、あった!」

 

灼「なに…?」

 

玄「じゃじゃーん! 旅館の経験を生かして見つけ出したのです!」フンス

 

宥「そ、それはダメだよう…!」

 

憧「なになに?」ヒョイッ

 

 

玄「おふだ」ニコニコ

 

憧「う、うわあああああああああ!!!」

 

 

 

穏乃「温泉温泉ー♪」

 

憧「はー、いいお湯だわー」

 

灼「気持ちい…」

 

宥「あったかーい…」ポカポカ

 

玄「あれ? 穏乃ちゃん、何持ってるの?」

 

穏乃「えへへー…あひる隊長!」

 

晴絵「お、なんか懐かしいねー」

 

穏乃「しかもこれは特別性でね…」ポチッ

 

あひる隊長「」ヴヴヴヴヴヴヴ

 

穏乃「ほらほら玄さん、完全防水仕様!」グイグイ

 

玄「ひゃふっ…ふあー…なんだかのぼせてきちゃったよ…出ちゃいそう」ハアハア

 

憧「今すぐスイッチを止めろぉー!」

 

 

 

晴絵「それじゃ明かり消すよ」パチッ

 

 

玄「そして私はパンツを数えたんです…いちまーい…にまーい…」

 

穏乃「ひええ…」ガクガク

 

灼「全然怖くな…」ガタブル

 

宥「さささ寒いよぉ…」ガタガタ

 

玄「そしたら一番下にあるはずのお気に入りが無いのです…いちまい、足りなぁーいっ!!」

 

「「「うわあああああ!」」」

 

憧「うっさ…」

 

玄「そして私は気付きました…その一枚は…プールの更衣室に忘れたまま、穿かずに帰ってきたことに…」

 

憧「ちょっ!」

 

穏乃「なーんだ、普通だー」ホッ

 

灼「びっくりしたけど最後で安心した…」フー

 

宥「寒くなくなってきたよぉ…」ハフゥ

 

 

晴絵「あー、ビールうめー」ヒック

 

 

 

晴絵「みんな乗った? 忘れもんはないね」

 

穏乃「大丈夫!」

 

灼「飲み物とお菓子もある…」

 

玄「着替えとかも後ろに積んであるよ」

 

宥「毛布もあるから…」

 

憧「夏でしょ、ってのはもういいか…あとはいい?」

 

晴絵「あっ! ちょっと待った! 確認しとかないと!」

 

憧「もー、何?」

 

晴絵「えっと…あったあった!」

 

晴絵「いやー、青ゴム持ってきちゃったかと思ったよ。赤派なのにねー」タハハ

 

憧「そんな好み知ったこっちゃねーわよ」

 

 

 

――浜名湖SA――

 

穏乃「休憩―!」

 

憧「さすがに長い間車乗ってると疲れるねー」

 

灼「東京へはあと3時間くらい…」

 

憧「遠いわねー…そういえば宥姉は?」

 

玄「まだ寝てるよー」

 

晴絵「私ら売店行ってくるけど、何か欲しいもんある?」

 

憧「んー…飲み物と、ウナギパイ」

 

晴絵「おっけー! 夜のお菓子ね、夜のお菓子」

 

憧「なんで二回言ったのよ」

 

穏乃「夜のお菓子!? 先生、私もっ!」

 

憧「うん、アンタの想像してるのとは違うからね」

 

 

 

玄「あれ遊園地かなあ」

 

憧「浜名湖パルパルね」

 

穏乃「あっちは? ロープウェーがあるけど」

 

憧「えーと…舘山寺温泉だって。オルゴールミュージアムがあるみたい」

 

穏乃「へー、色々あるんだね」

 

憧「そうねー。イチゴ狩りもできるし、ちょっと行ったら動物園と植物園もあるらしいし」

 

玄「わあ! 今度は遊びに行きたいねっ」

 

憧「ウナギもあるもんね。高いけど…」

 

穏乃「おおっ! ウナギで元気付けて温泉で!」

 

玄「家族連れが人数増やしちゃうねー」

 

憧「家族旅行でそれはキッツイでしょ」

 

 

 

玄「でもちょっと曇ってて良かったねえ」

 

憧「これで晴れてたら死んじゃうわよー」

 

穏乃「あれ…制服の子がいるよ?」

 

玄「私達みたいだね」

 

 

怜「……」フラッ

 

 

穏乃「うわっ!? 倒れた!」

 

憧「ヤバッ、熱中症?」

 

玄「だ、大丈夫!?」

 

 

竜華「怜っ」ガシッ

 

怜「りゅーか…またごめんな…」

 

怜「うぅ、踵が小石に乗ったのが悪いんや…」

 

竜華「ドジなんやから。足元ちゃんと見んと危ないやろ」

 

 

憧「なんだドジっ子か…」

 

 

 

怜「美味しいなーウナギパイ」

 

竜華「うん、さすが夜のお菓子やね」

 

憧「そろそろ風評被害よね…」

 

穏乃「えっと…足挫いたりしてない?」

 

竜華「あーいつもの事やし、お騒がせしてごめんな」

 

怜「ウチはちょっと病弱でな…なかなか登校もできへんし」オヨヨ

 

竜華「年に2,3回風邪引く程度やん」

 

竜華「あとは寝坊だの教室移動忘れだの、そんなんばっかやでー」

 

怜「ちょあー! 言ったらあかんー!」

 

憧「ダメじゃん」

 

 

 

玄「そういえば何で制服なんですか? あとおもち大きいですね」

 

竜華「あーこれ。学校の部活で移動中やから。そっちこそなかなかのおもちやな」

 

憧「え…まさかこの人」

 

 

「トッキー! バスガデルデー」

 

 

竜華「おっと、そろそろ行かんと…楽しかったで!」

 

怜「ほなこれでなー」ペコリ

 

竜華「それとな…おもちの人」スッ

 

玄「? はい、なんでしょう」

 

竜華「ふむ…」ムニュッ

 

玄「わわっ、じゃあこちらもー」ムニュムニュ

 

竜華「ふーむ」ムニュムニュモミモミ

 

玄「ほえー」モミモミムニュムニュ

 

憧「やっぱボケじゃん…っていうか、なにこれ…なに?」

 

 

 

穏乃「行っちゃったねー」

 

憧「なんだったのあの人たち…」

 

晴絵「おまたー、ここに居たんだね」

 

晴絵「あれ? 千里山の制服じゃん」

 

穏乃「千里山?」

 

灼「向こうにバスが四台あって、あの制服でいっぱいだった」

 

玄「はー…っていうことは」

 

穏乃「集団デリ?」

 

憧「仮にそうだとしても規模が壮大すぎるでしょ」

 

 

 

――東京――

 

宥「はふぅ…やっと着いたぁ…」

 

憧「さすがに疲れたわねー。晴絵もお疲れ様、ありがと」

 

晴絵「ま、引率者だしね。部屋はデラックスツインを三つ取ってあるよ」

 

玄「わわっ! 贅沢なのです…」

 

灼「すご…」

 

晴絵「部屋割り決めて、その後でバイキング行こうか」

 

 

穏乃「憧と一緒だー!」

 

憧「意外性は無いでしょ。松実姉妹に、あの二人。私らも幼馴染だし決まってたようなもんじゃない」

 

穏乃「そっか! うわー、でもすごいよ憧! シーツがスベスベで肌に吸い付いてくる!」

 

憧「あのねえ…バイキングだって晴絵が言ってたでしょ! さっさと服着直しなさい!」

 

穏乃「ええー…シーツ巻いたらダメかな?」

 

憧「いいわけあるかっ!」

 

 

 

ピンポーン

 

憧「晴絵ー、私達行けるわよー」

 

晴絵『はいはいちょっと待ってー』

 

ガチャッ

 

晴絵「お待たせ!」

 

憧「なんでシーツ一枚なのよ!」

 

灼「肌触りが半端ない…」

 

穏乃「だよねー! 私もやっぱりシーツにしようかなあ」

 

 

憧「ったく…玄ー、宥姉ー、準備できた?」コンコン

 

玄『はーい』

 

ガチャッ

 

玄「シーツの肌ざ」

 

憧「もういいっての…なにあのお化け」

 

玄「肌触りがいいけど一枚じゃ寒いからって」

 

宥「……」モゾモゾ

 

宥「が、がおー…食べちゃうぞー…」モゾモゾ

 

憧「それ怪獣じゃん」

 

穏乃「ちなみに何を食べるんですか?」

 

宥「え? えっと…ど、どうて…あぅ」

 

憧「仕草は可愛くても言葉が全然可愛くないっ」

 

 

 

穏乃「はー、疲れたー」ボフッ

 

憧「ついに来たね東京…全国大会」

 

穏乃「うん……」

 

憧「和に会いに行く?」

 

穏乃「いや、向こうが来ないならこっちも行かない」

 

憧「何それ。意地張ってんの?」

 

穏乃「……うん」

 

憧「あっそ…しょーがないわね。なに考えてるか知らないけど、付き合うわよ」

 

穏乃「ごめん…」

 

穏乃「憧も同じだもんね。会いたいけど会わないことで微妙な快感が続くっていう」

 

憧「今度から何考えてるか事前に教えてくれる?」

 

 

 

――会場――

 

晴絵「じゃあ灼、抽選をお願いね」

 

灼「ん」

 

穏乃「クジかー、懐かしいなあ」

 

宥「? なんのこと…?」

 

玄「ああ! 昔やってた罰ゲームの?」

 

憧「あったわねー。なんでもいう事聞く奴」

 

宥「な、なんでも…」ゴクリ

 

憧「いやいやさすがに小学生の時だったし、エロいのは一回も無かったわよ?」

 

穏乃「そうそう」

 

 

穏乃「私が入れたの、一回も引かれなかったんだよね」ガックリ

 

憧「あったんかい!」

 

 

 

宥「そういえば、なんで灼ちゃんが部長なんですか?」

 

晴絵「おっ、唯一の三年生としては欲求不満か?」

 

宥「いえ…私は檀上で抽選は無理なのでありがたいですけど…」

 

晴絵「おやおや? 何が無理なのかなあ?」

 

玄「詳しく言ってくれないとわかんないよ、おねえちゃん」

 

宥「あっ、あうぅー…」カァッ

 

 

穏乃「まー濡れちゃう気持ちはよく分かるからね」ウンウン

 

憧「緊張という単純明快な答えの持ち主は居ないわけ?」

 

 

 

穏乃「ねー、偶然和に会っちゃったらどうする?」

 

憧「それはもう仕方ないんじゃない?」

 

玄「早く会いたいもんねー」

 

宥「私も会ってみたいなあ…」

 

晴絵「ふふっ、あの豊満なおもちがどうなってるやら…」

 

憧「晴絵は全然成長してない分、違いが鮮明にわかるわね」ニコッ

 

穏乃「そういえば赤土先生って薄いよね」

 

玄「ポイントカードはおもちじゃないですか?」

 

宥「あったかくない…?」

 

晴絵「イジメかくぉらー!」

 

 

 

穏乃「こんなこと言ってるとホントに会っちゃうかも!」

 

憧「正直会いたいからねー」

 

 

「……」カツカツ

 

 

玄「ひっ!?」ゾワッ!

 

晴絵「っ、!」ゾワッ!

 

宥「あ、っ…」ゾワッ!

 

穏乃「え、あ…」ゾゾッ!

 

憧「今の制服って、清澄高校?」

 

穏乃(同い年の、なんて言ったっけ…)

 

穏乃(咲…宮永咲! 私の倒すべき相手だ…!)

 

 

晴絵「いやー急に怖気が走ったせいでなんか濡れちゃったよ」ヤレヤレ

 

玄「はふー、M心をくすぐられるプレッシャーだったのです…トイレトイレ」ツヤツヤ

 

宥「あ、あったかーい…けど、冷えたら風邪引いちゃいそう…」モジモジ

 

憧「なにこの急な地獄絵図! なにがあったわけ!?」

 

 

 

――翌日――

 

玄「おはよー、あと5分でミーティングだよー」

 

憧「ん…うわ、マジだ…朝シャンしてる時間ないじゃん」

 

穏乃「何…? ここどこ…?」

 

玄「ホテルだよー、東京の」

 

穏乃「ああー……」

 

憧「はー…慣れてないホテルってちょっとダル…」

 

 

穏乃「え!? ここ休憩所!?」ガバアッ

 

憧「んー…ツッコミはあと5分待って…」ダルー

 

 

 

晴絵「もう見てると思うけど、昨日の抽選の結果がこれね」バサッ

 

穏乃「これって…清澄が完全に逆側だ!」

 

憧「昨日玄が「決勝まで行かないとだね!」って言ってたでしょ」

 

灼「でもこれだと清澄より前に…」

 

宥「白糸台とあたっちゃう…」

 

玄「日本で一番強い高校だね」

 

憧「…うちらが勝てなかった三箇牧の荒川さん、いたでしょ」

 

憧「あの人が、白糸台の宮永照はヒトじゃないって言ってた」

 

「「「「……」」」」

 

穏乃「それじゃあ…じゅ、じゅうか」ゴクリ

 

晴絵「なるほどね…インハイチャンプはソッチの趣味か」フーム

 

宥「アブノーマルだよぅ…」ガクガク

 

玄「そんなの、勝てないよ…」ヒック…

 

灼「とんでもな…」フゥ

 

憧「あんたらそのうち訴えられるわよ!」

 

 

 

晴絵「ま、今心配したってしょうがない。今出来る事をやってこうか」

 

穏乃「んじゃ東京見物!」

 

晴絵「それはインターハイが終わってからね。今日はホテルでテレビの前で待機!」

 

宥「えと…左上ブロックの観戦ですか…?」

 

晴絵「いや、初戦の相手をチェック。確実に倒せるようにね」

 

憧「っていうことは1日麻雀研究かあ。ま、仕方ないわね」

 

灼「お菓子とか用意しとく…」

 

晴絵「んじゃー10分後に私たちの部屋集合で」

 

 

憧「あんたらはそれを部屋に戻してきなさい」

 

穏乃「えー」ヴヴヴ

 

玄「そんなー」ブルブル

 

晴絵「こらこら! 教師の前でそんなモン出すんじゃないっての」

 

憧「おー、晴絵が教師っぽい」

 

晴絵「というわけでこれはボッシュートね」ジュルリ

 

憧「晴絵、アンタ教師教師、思い出せー」

 

 

 

晴絵「すみません遅れましたー」ガラガラ

 

トシ「まだ時間きてないよ、久しぶりだねえ」

 

晴絵「お久しぶりです。ドリンクは頼みました?」

 

トシ「ああ、あんたは何にする?」

 

晴絵「ビール…といいたいですけどウーロン茶ですね。明日うちのチームが試合なんで」

 

トシ「そうらしいわねえ、びっくりしたわ」

 

晴絵「福岡ではホントにお世話になりました。リーグもいい経験でしたよ」

 

トシ「そうかい? しかしなんだね、しばらく見ない間に落ち着いたかい?」

 

晴絵「はは、さすがに社会人ですからね。そうそう馬鹿なことは言いませんよ」

 

トシ「そうかい…ああ、店員さん。ちょっといいかい?」

 

 

店員?「失礼します。ご注文は?」

 

晴絵「メイド姿のお姉さんのラブジュースで」

 

店員?「ありがとうございます。今ここででもよろしいですか?」

 

トシ「ああ、全然変わらないね。懐かしいったらないよ」

 

 

 

トシ「ところでプロに行く気はないのかい? 話くらいきてるだろ」

 

晴絵「なくは無いんですけどね…」

 

晴絵「少なくとも今はあの子達を見ておきたいんです」

 

トシ「ふむ…随分入れ込んでるね」

 

晴絵「まあ後輩っていうのもありますし、阿知賀のレジェンドとしては追い抜いて欲しいですし」

 

トシ「なるほどね…阿知賀の子達は相当見込みがあるみたいだねえ」

 

晴絵「それはもう! みんなそれぞれ良い腕ですし、新子って言う子なんて――」

 

晴絵「うちの唯一のツッコミですから!」フフッ

 

トシ「大変だね、その子も…うちもツッコミは一人だけど、あんたのトコよりはマシだろうねえ」

 

 

 

――蛇足――

 

店員?「お会計4545円になります」

 

晴絵「はいはい、ところでお姉さん連絡先教えてくんない?」

 

店員?「それは秘密にしておきましょう。秘密は女を魅力的にすると言いますから」

 

店員?「しかしどうしてもということでしたら…」スッ

 

晴絵「デジーさん、ね。また縁があったらよろしく!」