京太郎「ああ疲れた…」
学校帰り、部活動。青春の一ページってやつだけど、さすがに21時を超えるのはキツい。
家に電話したのはいいけど、帰ってきた返事は『食べるもの無いよ』との無情な言葉。
米の一粒も残ってないとか。炊いてくれよと思わざるを得ない。
京太郎「……もういいか、カップラーメンで」
長野にだってコンビニくらいあるさ。気のない店員の声を掻い潜って向かうはカップラーメンコーナー。
京太郎「うへ、たっけーなぁ…」
スーパーはな、21時じゃ締まってるんだよ。
痛む懐に思わず声が漏れるけど、ここで買わないのは俺の腹が許さない。
さて…どうしたもんか。定番の醤油味はもちろん、有名店監修だの、豚骨醤油だの。
うーん、これは難しいぞ? 食べなれた奴なら安定してるけど、このバリエーションは捨てがたい。
こいつは動物性素材は使ってないこってりラーメン…城一郎特製? 誰だよ。
京太郎「うん、うん…ここは庶民派ですよ」
いいね、スガキヤってのがいい。和風とんこつ醤油っていうのがよく分からんけど、良いね。
それに最近のコンビニは食べるスペースもあるのが親切だ。お湯もあるし、至れり尽くせりだな。
よし、よし。注いで…5分か。長い時間も味を想像するエッセンスって奴だろ。
ああ……それにしても、この時間って静かだよな。時々外を通る車のせいで寂しくなるぜ…ん?
京太郎「もしもし」
『あ、京ちゃん? 今どこ? もー、先帰っちゃうんだもん。もしまだご飯食べてなかったらみんなでラーメン食べに行かない?』
京太郎「行く。すぐ行くって部長に伝えといてくれ」
『分かったー』
5分? 知らねーな…食えればいいんだ食えれば。こんなカップラーメンに時間はかけてらんねーよ。
ああ――これがラーメンのいいとこだよな。麺類だから消化も早い。すぐにみんなと一緒に食べに行けるくらいには、さ。