四校合同合宿

京太郎「四校合同合宿、ですか」

 

久「そ、決勝の時の四校を招いてね。強い相手が多いほど練習になるから」

 

咲「楽しそう…!」

 

和「けどそれだと、清澄の合宿所じゃ手狭ですね」

 

まこ「どっか別のところでやるんかのう?」

 

久「まあねえ…ふふ、喜びなさい! 今度の合宿はっ」

 

久「露天風呂よ!」ビシッ

 

優希「それって清澄のと変わらんじょー…」

 

久「チッチッチ、甘い甘い…露天かつ、混浴よ!」

 

京太郎「おっと女性陣に俺一人はマズいんで留守番してますね!」

 

 

 

透華「ハギヨシ、準備は整っていまして?」

 

ハギヨシ「はい。後は皆様に車へ乗っていただくだけです」

 

一「温泉かあ。合法的に脱げるっていい空間だよね」ウンウン

 

衣「その考えは一般的な思考に沿ってない!」

 

純「決勝の学校で集まるのか。タコスロリとでも遊んでやるかね」

 

智紀「それと…男子部員…」

 

衣「男子部員…? キョータローも来るのか!」パアッ

 

衣「わーい! 友達たくさんだー!」

 

一(どう思う?)ヒソヒソ

 

純(いいんじゃねえの? 歳は合法だし見る分にはアリだろ)ヒソヒソ

 

 

 

智美「ワハハ、車で行くぞー」

 

佳織「あわわわわ…」

 

睦月「い、今からでも電車で」

 

桃 「無 っす…電 だと に合  いっす」

 

ゆみ「…ふむ、いいじゃないか車でも」

 

桃子「正気っすか!? 私はまだ死にたくないっすよ!」

 

智美「わははー…こんな反応じゃ泣かないぞー」

 

睦月「先輩、何か対策でも?」

 

ゆみ「単純な手だが、別の物に気を逸らせておけばいいかと思ってな」

 

ゆみ「たとえば蒲原の乱暴な運転のせいで、隣に座る人と密着してしまうかもしれない…」ワキワキ

 

桃子「な、なんすかその手は! 離すっす、かおりん先輩もむっちゃん先輩…もう乗り込んでる!?」

 

 

 

美穂子「温泉は嬉しいけれど…混浴は大丈夫かしら?」

 

星夏「と言っても男子一人だそうですし、確認さえしておけば大丈夫なんじゃ」

 

未春「男子は個人戦四位みたいですから練習相手にも十分ですよ」

 

池田「うにゃー…」

 

池田「女の園に男一人…ひーふーみー」

 

池田「…一日7人くらいだし! 相当の絶倫だし…」ゴクリ

 

未春「華菜ちゃーん? 私たちは何しにいくんだっけ?」ニコッ

 

 

 

久「見えたわよ、あれが今度の合宿場所」

 

京太郎「結局連れてこられてしまった…」

 

まこ「ま、大人しく諦めぇ」

 

優希「京太郎! 着いたら温泉行くじぇ!」

 

京太郎「行ってらっしゃい」

 

和「ゆーき、ダメですよ。須賀君が入りに行ったら私達も行けばいいんです」ヒソヒソ

 

京太郎「聞こえてる聞こえてる。混浴の方は行かないからな!」

 

咲「京ちゃん京ちゃん」

 

京太郎「んあ?」

 

咲「夜、鍵開けておくね」ポッ

 

京太郎「五人で相部屋だろ!」

 

 

 

久「ごめーん、待った?」

 

ゆみ「いいや、今来たところだ」

 

美穂子「あら…素敵ですね、そのやり取り」

 

透華「どこがですの!? 古臭い上に、遅いですわ!」

 

久「いやー…お詫びにこれ、個人戦四位の須賀君」

 

京太郎「お詫びにって…えと、どうも。すみません男子で…できるだけ邪魔しないように」

 

透華「そういうのは結構ですわ! そもそも貴方が居ると知ったうえで来ましたの」

 

ゆみ「ああ。実力も十分、聞いた話では人柄も良し。むしろ歓迎したいくらいだ」

 

美穂子「よろしくお願いしますね。何かあれば言って下さい」ニコッ

 

京太郎「…ありがとうございますっ」

 

池田「ナニかあれば!」

 

智美「イっていいぞー」ワハハ

 

一「男子に見られるのもいいね!」

 

京太郎(あ、これ面倒くさいな)

 

 

 

久「えー…では皆さん、この度は合同合宿に参加いただきましてありがとうございます」

 

久「まずは疲れもあると思うので、今日は自由行動と言うことで!」

 

久「お風呂は24時間いつでも入れるらしいから、ご自由に」

 

 

京太郎「自由行動か、どうすっかなー」

 

衣「キョータロー!」ピョンッ

 

京太郎「っと、天江…さん。どうしたんすか?」

 

衣「むー…衣は衣だ! 字名は使わずとも問題ないっ!」

 

京太郎「わかりました…じゃあ衣さんで。ところでどうかしましたか?」

 

桃 「私 い  すよ」

 

未春「こんにちは。あの、須賀さんに相談がありまして」

 

京太郎「相談ですか?」

 

未春「はい…それは」

 

京太郎「それは…?」

 

 

未春「ボケへの対処をどうしようかと思って」

 

京太郎「なるほど」

 

 

 

未春「基本的に自分たちの高校は面倒を見ようと思うんですが」

 

桃子「卓を囲むと! 目が行きとどかない! っす!」ブンブン

 

衣「故に呆け者の情報を共有するっ。そうすれば盤石だ!」

 

京太郎「なるほど…ボケの傾向を教え合って対処しやすくする、と」

 

未春「そういうことです。ちなみに風越は――」

 

 

京太郎「――と、そんな感じですね」

 

衣「キョータローは衣と同じだ! おそろいだー♪」

 

未春「……なんというか」

 

桃子「お疲れさまっすよ…」ホロリ

 

京太郎「?」

 

 

 

星夏「あ、あの…それってプロ麻雀せんべいでは!?」

 

睦月「ん? あ、ああ。そうだけど」

 

智紀「第二弾…出たばかりでまだ少ない…」

 

星夏「私も実は」スッ

 

智紀「同じく…」スッ

 

星夏「せーの、で開けませんか?」

 

睦月「いいよ。それじゃあ」

 

智紀「せーの…」

 

星夏&睦月&智紀「藤田プロ…」

 

三人(おかしい…)

 

 

 

一「これがボクの私服だよ」ピラッ

 

優希「これはえろえろだじぇ…ほぼ下着以下だ!」

 

池田「これなんて隠せてないし! とんだ痴女だし!」

 

一「そんなに褒められると照れるよ」テレテレ

 

優希「おっ、入った。気に入ったから今日はこれでいくじぇ!」

 

池田「うーん。とりあえず脱いでみるか」ヌギヌギ

 

一「好きなの使ってよ。いくらか持って来てるからさ」

 

 

衣「何か、悪い物が伝染している気がする…」ブルッ

 

京太郎「嫌な予感がするよなあ…」

 

 

 

和「ふう…気持ちいいですね」タプン

 

美穂子「そうですね。とってもいい気持ち」ポヨン

 

佳織「ふあー…眠くなっちゃいますね…」プカプカ

 

桃子「うー…これは気持ちいいっす」ムニュッ

 

 

智美「ワハハ、あっちは別空間だなー」

 

未春「て、敵ですっ! 色々と!」

 

咲「あはははは。個人差だもん、しかたないもんね」

 

ゆみ「ふ…ちっちゃいってことは便利だね…とはならないか」

 

透華「ふ、ふふふ。この龍門渕透華、負けませんわ! いつか、いつの日か!」

 

ゆみ「ふむ…ところで物は相談なんだが…」スクッ

 

透華「ええ。ええ分かっていますわ! あの無駄な脂肪達、この手で!」ザバァッ

 

智美「揉みしだいてくれるぞー」ザッ

 

咲「ハーベストタイムだね…」ユラリ

 

未春「皆さん、それはあちらのをかえって大きくするだけじゃないですか?」

 

四人「……」チャプン

 

 

 

京太郎「うーん…この後どうするかなあ」

 

衣「温泉! 衣は温泉でキョータローの背中を流したい!」プラーン

 

京太郎「さすがにそれは…」

 

衣「なーがーすー!」ジタバタ

 

京太郎「せめて水着でもあればなあ」

 

 

衣「あったー!」

 

純「そういやハギヨシ、そんなんも用意してたな…」

 

京太郎「マジっすか」

 

衣「キョータローのもあったー!」

 

純「そういや男モンも入ってたんだよなあ」

 

京太郎「マジ?」

 

 

 

カポーン…

 

京太郎「それじゃお願いします」

 

衣「うんっ! ごしごしー、ごしごしー、キョータローごしごしー♪」

 

京太郎「うーん…もうちょっと強めでいいですよ」

 

衣「こう?」

 

京太郎「もうちょっと」

 

衣「えいっ! こうかっ!」

 

京太郎「もっと強く」

 

衣「えいっ! このっ!」

 

 

和「あら? なんだかいい感じの声が聞こえますね」

 

咲「衣ちゃんが入って行ったけど、他に誰かいたっけ?」

 

透華「そういえば水着を着て行きましたわね…」

 

ゆみ「独りであれだけ激しい声…」

 

智美「自家発電中かー」ワハハ

 

佳織「え? 発電ってどうやるの?」

 

桃子「水力発電っす」

 

佳織「え、でも…」

 

未春「水力発電です」

 

 

 

 

京太郎「いい天気だなー…」チャプン

 

衣「うんっ、晴天湯霧に霞んでちょうどいいー」

 

京太郎「つっても熱いもんは熱いし、足湯程度にしとくか」ザバッ

 

衣「衣はまだ浸かるぞ! 膝立ちなら大丈夫だっ」

 

京太郎「元気だなー」ナデナデ

 

衣「えへへ…キョータローが軟弱なんだー」

 

 

和「アレはナニしてるんでしょうか」

 

ゆみ「股の間に幼女の顔。その頭に手を乗せるときたら」

 

咲「尺八吹いてるのかな」ドキドキ

 

透華「なんですの、その古臭い言い方は」

 

未春「なんかうちのキャプテンの影響受けてません?」

 

 

 

智紀「藤田プロ…これで12枚…あ」

 

まこ「晩は刺身がええがのー…お?」

 

未春「いいですか、あの人たちの言葉は気にしなくていいですから…あれ?」

 

佳織「う、うん。結局意味は分からなかったけど…わっ」

 

 

まこ「ここで会ったが百年目じゃ!」ビシッ

 

智紀「貴方に…再戦を、申し込む…」キラリ

 

未春「…それいいですね。佳織さん、打ちませんか?」

 

佳織「えっ? え、えぅうー…」オロオロ

 

智紀「手袋をぶつけた方がいい…?」

 

まこ「手袋は無いのう…パンツぶつけたら代わりにならんか?」

 

智紀「試してみる…」

 

未春「そこの馬鹿達、さっさと行きますよ」

 

 

まこ「こういうツッコミもなかなかええのう」ヒソヒソ

 

智紀「冷たい目線は新鮮でいい…」ボソボソ

 

 

 

佳織「あ、アガリです」

 

佳織「えっと…」

 

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佳織「あっ! 一盃口も付きますね!」

 

 

 

まこ「わし、もう麻雀止めるわ…」ズーン

 

久「どうしたの、童貞にイかされた姫みたいな顔して」

 

 

池田「どしたのみはるん。震える玩具でも無くした?」

 

未春「……ほっといて」グスン

 

池田(あ、これマジでヘコんでるやつだし)

 

 

智紀「…………」

 

一「ともきー、まるでホラー映画だよ」

 

一「……もうちょっと足開いてみて? 見えそうで見えないなあ…」

 

 

透華「……」

 

一「――透華?」

 

透華「……」ズズズ…

 

 

 

衣「ただいまー」ポカポカ

 

純「おう、おかえり。どうだった?」

 

衣「楽しかった! キョータローの、おっきかったぞー!」

 

純「ほほう、衣じゃ咥えられないくらい大きかったのか」

 

衣「そんな話は一切する気がない!」

 

 

 

一「衣ー、純くーん」

 

純「どしたん国広くん」

 

一「透華がなんか変な感じなんだよ」

 

衣「トーカが変態なのはいつものことだ」

 

一「そうだけどそうじゃないっていうか…」

 

純「ああ…国広君のいう「冷やし透華」ってやつか」

 

衣「ふふん」

 

衣「衣はあのトーカは好きだ。奇幻の手合いとなるのなら、なおの事」

 

一「ボクも嫌いじゃないけど…やっぱり、なんか違うんだよ」

 

 

一「こう! ボクはいつものヘタレ透華に飼われたいんだよ!」

 

衣「いっそ戻らなければいいのに」

 

 

 

池田「迷ったし!」

 

星夏「胸を張ることでは…こっちは鶴賀の部屋ですね」

 

池田「鶴賀かー。おじゃまするしー」ガラッ

 

 

ゆみ「風越の部屋はこの下の階の突き当りの非常口の手前の部屋だ」

 

池田「シモの貝の突きアタリのいいお口のロココ調の右か」

 

ゆみ「貝と口がダブっているな」

 

睦月「他校の方でも容赦はしませんよ。吉留さんの許可は得てますので」ゴゴゴ

 

 

 

池田「うぅ…行こうか文堂」

 

星夏「あ、ちょっと待ってください…あの、津山さん」

 

睦月「…あれから三つ開けたら、三つとも」

 

星夏「私もです…」

 

睦月「沢村さんもほとんど藤田プロだったらしい」

 

星夏「呪いですか!? もういりませんよ!」

 

 

靖子「呪いとは失敬な奴らだな」スッ

 

 

睦月「あ、本物のいらない人」

 

星夏「いらない藤田プロ! どうしてここに?」

 

靖子「おいおい…そんなに蔑まれるとさすがに濡れるだろ」

 

 

 

翌日

 

京太郎「ふあー…ねみー…」

 

衣「キョータローは朝が苦手なのか?」ピョンッ

 

京太郎「苦手というか、いつもの目覚ましじゃないと起きにくいんだよなー」

 

衣「どんな目覚まし? 長鳴鳥は岩の向こうへ届くからおすすめだっ」プラーン

 

京太郎「いやあ…咲の声が入ってる奴なんだけどさ。起きやすいというか慣れたというか」

 

衣「ふーん…じゃあ明日は衣がキョータローを起こしにいく!」

 

京太郎「んー? まあそれでもいいか…」

 

衣「衣目覚ましに敗北は無し! おきろー!」

 

京太郎「み、耳元で叫ばない! もう起きてるっつーの!」

 

 

 

京太郎「お、みんなもう来てるんだな」

 

和「須賀君、おはようございます。もしよければ一緒に打ちませんか?」ジッ

 

京太郎「おはよう和…そうだな、移動自由みたいだしまずは和と打つか」

 

和「よろしくお願いしますね」ジーッ

 

京太郎「んじゃ適当に椅子に座るぞ」

 

和「それじゃあ私は隣に座りますね」ジィーッ

 

京太郎「人の股間覗き込んでまで確かめんな」

 

和「もう処理済ですか」ガッカリ

 

京太郎「さわやかな朝を速やかにぶち壊すね」

 

 

 

京太郎(んー…ちょっとくらい鳴きを多くしてみようか)

 

一「ポン」カシッ

 

和「チー」カシャ

 

京太郎「チー!」

 

一「チン!」カシャ

 

和「ポー!」パシッ

 

京太郎「うるせーよ!」

 

 

 

池田「ツモ! メンタンピン三色ドラ2で4000、8000!」

 

池田「裏はめくらないでおいてやる! 裏ドラサービスだし!」

 

 

 

一「そういえばさ、君って結構麻雀上手いよね」

 

京太郎「え、そうっすか?」

 

和「個人戦の牌譜は見ましたが、普段よりもずっと綺麗な打ち方でしたよ」

 

京太郎「なんつーかあの時は夢中だったし…でも褒められると悪い気しないな、サンキュー」

 

一「それにイケメンだし、案外優良物件かな?」

 

和「そうですね…あら? 須賀君、耳元にゴミが付いてますよ」

 

京太郎「え? この辺か?」

 

和「いえ、そちらではなく……」

 

和「ふーっ」

 

和「取れましたよ」

 

京太郎「普通に取ってくんない?」

 

和「よく見ると耳が汚れてますね。耳掃除もしましょうか? 舌を使うのは初めてですが…」

 

京太郎「世界には耳かきっていう便利な道具があるんだよね」

 

一(ちょっとだけハードル高いなあ)

 

 

 

美穂子「おにぎりとサンドイッチを作ってきました」

 

久「いただくわねー…ん、おいし」

 

未春「具はなんですか?」

 

美穂子「アサリの佃煮と昆布、鮭よ」

 

池田「キャプテンの貝はあたしが貰った!」

 

久「下はこんなに黒くて太いのが生えてるのかしら?」

 

優希「上はサーモンピンクに間違いない!」

 

未春「風評被害は許しませんよー」

 

 

 

星夏「うわ…あの卓すごい」

 

久「あらあら、面白そうじゃない?」

 

 

咲「えっと」

 

靖子「あと一人」

 

衣「遊び相手は誰だ?」

 

 

透華「そういうことでしたら――」

 

透華「是非、お願いしたいですわ」

 

 

 

透華「――ツモ」

 

咲(ん…)

 

靖子(コイツ…!)

 

衣「♪」

 

咲「――なんだか、凄いね。Mが急にSに変わったみたいだよ」

 

靖子「参ったな。そこまで変わるか…女の子の日か?」

 

 

透華「――」

 

透華「くす…残念ながら私はM。生理は終わっていますわ」

 

透華「さ、続きをしましょうか」

 

咲「う、うん…」

 

靖子「ああ…そうだな」

 

衣(サキと藤田の言葉にあえて応え、そして波立たせずに潰す)

 

衣(治水――!)

 

 

 

透華「――ロン。これでわたくしがトップですわね」

 

咲「またカンできないかあ…鳴きたいのに鳴けないなんて、上のお口を塞がれたみたいだよ」

 

透華「そうですわね」クスッ

 

咲「…あう」

 

靖子「独走、か。随分立派なモノを隠してたみたいじゃないか」

 

透華「さして意図したものではありません」フフッ

 

靖子「…む」

 

 

京太郎「なんだ、あの人…!」ゴクリ

 

未春「笑みとほんの一言だけで、それ以上を言わせないなんて」

 

桃子「ツッコミすら存在しないっす…! 突っ込まずしてボケを止めてるっすよ!」

 

 

和「なんだか須賀君たちが熱くなってますね」ポケー

 

一「あー、やっぱりあの透華にはボケが通じないよねー」

 

池田「みはるんもやたらと真剣だし」

 

ゆみ「ふ…モモには難しいだろうな。しかしそれでも人に憧れるモモというのは可愛らしい」ワキワキ

 

 

 

透華「ところで――須賀さん?」

 

京太郎「え?」

 

透華「衣達だけでなく、わたくしは貴方とも打ってみたいのです」

 

透華「男子とて、弱くはない。運だけでは入賞など至難の業」スッ

 

透華「もしもわたくしと打っていただけるのでしたら…」スタスタ

 

京太郎「な、なんですか…?」タジッ

 

透華「――衣との仲を、認めて差し上げますわ」ボソッ

 

京太郎「え…」

 

 

京太郎「?」

 

透華「あら? まだそんな関係ではありませんでしたか」クスクス

 

 

 

透華「…ん……ハッ!?」

 

一「あ、おはよう透華」

 

衣「トーカ、目が覚めたか」

 

透華「夢…夢オチですの?」

 

一「衣と清澄、プロの人相手に連戦連勝したあげく、須賀君を10回飛ばしたことなら夢じゃないよ」

 

透華「いえ…そちらではなく」

 

透華「わたくしがアイドルデビューして彼氏を寝取られたのは?」

 

衣「紛うことなく夢だっ」

 

透華「そうですの…」ホッ

 

透華「では、ついつい濡れてしまっているのも気のせいですわね!」

 

衣「何故!?」

 

 

 

一「はいこれ。透華の牌譜」

 

透華「あら…?」ペラ

 

透華「むむむ…」ペラッ

 

衣「? 唸るほど派手な打ち筋は無かったよ?」

 

一「あ、ごめん。それダウンロードした素人投稿画像だった」

 

透華「この九州のS女子のSBRさん、なかなかのアングルで撮りますわね…」ムムム

 

衣「何を見ているんだっ!」

 

一「あ、牌譜はこれね」

 

透華「ふんふむ、却下ですわ」ポイッ

 

衣「麻雀を大事にしろーっ!」

 

 

 

咲「りゅーもんさん凄かったよ。カンしても一回だけしか嶺上開花できなかったもん」

 

和「普通そうそうできませんけどね」

 

京太郎「和了るどころか…東風戦すらオーラスまで行かなかった…」マッシロ

 

優希「どんまいだじぇー」ナデナデ

 

咲「でも、あのりゅーもんさんを相手に他を飛ばせる人が全国に居るんだ…」

 

咲「あは…ワクワクするよ」

 

和「はふぅ…相変わらず素敵な目ですね」ゾクゾク

 

まこ「咲は相変わらずじゃのー」

 

久「…気づかない? 咲たち、とんでもない人たちの共通点」

 

まこ「ん?」

 

久「咲、天江さん、靖子、そして龍門渕さん」

 

久「みんな…平たいのよ」

 

京太郎(咲の目から光が消えた…)

 

 

 

「あ、あのうー…失礼しますっ」

 

咲「…誰?」

 

「ひっ、ひぅっ!?」

 

京太郎「咲、目が怖いから」

 

優希「ムロマホコンビだじぇ」

 

和「同じ中学の後輩で、インターミドルの団体戦にいっしょに出た子達なんです」

 

久「私が許可したの。楽しそうだしね…せっかくだから咲、和、須賀君。一緒に打ってあげたら?」

 

和「いいですね」

 

咲「はい」

 

京太郎「俺もっすか? いいですけど…」

 

マホ「あ…須賀先輩ですか! おうさわはかねがね」ペコリ

 

マホ「清澄の種馬として毎日頑張ってると聞きました! 和先輩に!」

 

和「不思議なことがあるものですね…」フイッ

 

京太郎「こっち向けや」

 

 

 

衣「……ふえた」

 

衣「呆け者か、否か…」

 

衣「後者だと衣は嬉しいけれど」

 

 

 

マホ「ところで須賀先輩!」

 

京太郎「ん?」

 

マホ「種馬ってなんでしょうか? 馬っていうくらいだから凄そうです!」キラキラ

 

京太郎「……」

 

和「いいですかマホ、種馬というのはングっ?」モガモガ

 

京太郎「この子だけは…」

 

京太郎「俺が守るっ!」キリッ

 

和「もが…」

 

和(こう、須賀君の手で強く口を覆われるのは…いいものですね)ハアハア

 

 

 

優希「マホ、タコス食べるかー?」

 

マホ「ありがとうございます!」

 

裕子「久々にマホのタコスぢからが見られるね」

 

マホ(このタコスの味…懐かしいです。和先輩と卓を囲むのも4か月ぶりですし)

 

まこ「このコマいのが例のアレか?」

 

久「そうよ。生で見るのはこれが初めて」

 

まこ「中学生はモザありでもアウトじゃからのー」

 

久「残念よねえ」

 

京太郎「言っとくけど高校生もアウトだからね」

 

 

 

マホ「ロン! 18000ですー」

 

優希「ほほう、初っ端から18000とは成長したなおぬし」

 

マホ「えへへ…タコスぢからですよー」

 

優希「チッチッチ。タコスの力はそんなもんじゃないじぇ?」

 

マホ「ええっ!?」

 

優希「タコスの真髄はタコスにあり…よく見るんだじょ。タコスの字を!」

 

優希「タコス、タコス、コスタ、擦った…」

 

マホ「す、凄いです! でも擦ったって何を?」

 

優希「そのためにこの京太郎だじぇ! 京太郎の分身を擦りあげるだけで!」

 

京太郎「牌でも擦って磨いてろ」

 

マホ「はっ…須賀先輩は牌を磨いて強くなったんですね! マホも見習います!」グッ

 

京太郎「おう、頑張れよー」ナデナデ

 

 

 

マホ「またまたマホの親ですー」

 

マホ「いきます」

 

裕子「今度はまほっちか…」

 

和「まほっち?」

 

裕子「ええ、こいつ和先輩に憧れてネト麻やってるんですけど」

 

裕子「わざわざのどっちと同じ天使のアバターやってるのに、激弱でレーティング1200台なんです」

 

和「それは…」

 

マホ「うぅ、ごめんなさい…」

 

和「見た目は私のアバターそっくりなんですか?」

 

裕子「ええ…やめろって言ったんですが」

 

和「別に構いませんよ。名前が違いますし、レートも表示されますから」

 

和「それに、私そっくりのアバターが蹂躙されるって…イイですよね」ハアハア

 

京太郎「包容力ハンパないな」

 

 

 

マホ「…もしかして、宮永先輩が待ってるのって五萬ですか?」

 

咲「え?」

 

マホ「マホ、嶺上でツモれるような気がします…カン!」ギュンッ!

 

マホ「嶺上開花ツモドラ2…2000、4000です」

 

咲(嶺上開花?)

 

咲(この子…)

 

咲「ちょっとだけ」

 

咲「ヤル気出てきたよ…あは」ゴゴゴ

 

マホ「あわわわわわ」ガクガク

 

京太郎「あー…大丈夫大丈夫。取って食われたりはしないから」

 

京太郎(多分)

 

 

 

マホ(なんだかもう一回嶺上開花できそうな気がするです…)

 

マホ「もっかい、カンです!」

 

裕子「へ?」

 

久(あら? 2発目もイけるのかしら)

 

咲「……」

 

マホ「りんしゃん…ならずですー」ガックシ

 

マホ「えっと、じゃあこれで!」トン

 

咲「カン」

 

マホ「え?」

 

咲「カン、カン。もいっこ、カン」ゴッ

 

咲「嶺上開花ツモ。責任払いだね」ニコッ

 

マホ「……はえ?」

 

京太郎「スマン、マモレナカッタ…」ナデナデ

 

 

 

和「安直な鳴きはやめた方がいいと言ったはずです。単調な喘ぎほど萎えるものはありませんよ」

 

マホ「? 須賀先輩、なんで和先輩が喋ってる時にマホの耳を塞ぐんですか?」

 

京太郎「聞いたらダメなことだから、かなあ」

 

マホ「そうなんですか! まだマホは未熟だから聞いちゃいけないことがあるんですね…」コクコク

 

京太郎「この子ほんっと純粋だな…」

 

裕子「ええ…人のいう事を真に受けやすいんですけど、基本的に意味が分からなくても頷いてて」

 

裕子「だからたまーに」

 

マホ「そういえば前に花田先輩が言ってました! 好きな人ができたら聞けって」

 

マホ「須賀先輩、ゴムの色は何色がいいですか?」

 

京太郎「ちょっとその先輩連れてきてくれない?」

 

和「私たちも聞かれましたねー」

 

優希「中学の麻雀部全員聞かれたじょー」

 

京太郎「ピュアって怖い!」

 

 

 

和「けれど、打ち方は人真似ばかりでは…それが上手く行っても一日一局あるかないか」

 

マホ「あぅ…」

 

和「人真似の前に自分自身の底上げをした方がいいのでは?」

 

マホ「ぅ…」グスッ

 

和「そもそも対局中にべらべらと話し続けるのは――」

 

裕子「ちょっと待ってください和先輩!」

 

京太郎(お?)

 

裕子「マホは無謀にもプロの麻雀教室に行ったりして勉強してるんです!」

 

裕子「だいたい和先輩こそ普段から馬鹿みたいなこと言ってるじゃないですか!」

 

裕子「この馬鹿っ! 駄牛っ! メス豚っ!」

 

和「はふう…申し訳ありません、言い過ぎました…」ハアハア

 

優希「ムロはのどちゃんにしこたま仕込まれたんだじぇー」

 

京太郎「不憫すぎる…」ホロリ

 

マホ「あのう須賀先輩、マホはいつまで耳を塞がれてればいいんでしょうか」

 

 

 

裕子「結局マホは全部最下位か…」

 

優希「案外京太郎がのどちゃんといい勝負だじぇ!」

 

京太郎「そうか? ボロ負けだろ」

 

和「いえ、やはり須賀君は強くなってますよ。いい感じで突っ張って私のをオろしてましたから」

 

咲「うん。京ちゃんからカン材が出にくくなってると思うよ?」

 

マホ「須賀先輩凄いです! 憧れちゃいますー」キラキラ

 

京太郎「いや、そんなに褒められると…なんか恥ずかしいな」

 

マホ「決めました! マホ、須賀先輩の打ち方も真似してみたいです!」

 

優希「じゃあもう一局やるかー。今度は私が入るじぇ! きょーたろ、椅子になれ!」ポスッ

 

京太郎「へいへい…」

 

 

和(下ネタが分かりにくかったでしょうか…)

 

京太郎(多分あれ、下ネタ混ぜてたんだろうなぁ)

 

 

 

久(さて、いい感じでまこのイメージも増えてる…)

 

久(正直オカルトを覚えさせる目的だったけど、須賀君のおかげで『普通に』打つ相手が覚えられた)

 

久(言い方は悪いけど、これで普通の対局者を狙い撃ち、なんてこともできるかもしれない)

 

久「ほんと、須賀君を甘く見てたわ」

 

まこ「ん…多分、わしより強いぞ?」

 

久「そうかもねー。でも、負けないでしょ?」

 

まこ「さて…それもわからんのう」

 

まこ「京太郎には勝てなかったよ…というのもあり得るじゃろ」

 

久「正直にされたらダメかもねー」

 

 

京太郎「そこ! 人を良くないダシにしているなっ!」

 

 

 

久(咲の調整はもう、全然問題なし)

 

咲「京ちゃん、マッサージしてあげよっか? 足ふみマッサージとか」ニコニコ

 

京太郎「それはさっきから大興奮してる和にしてあげて」

 

久(和と優希は交流戦で経験値稼ぎ、それと別メニューね)

 

和「咲さん踏んでください! どこでも!」ハアハア

 

咲「えいっ」グニッ

 

和「ふぉふぁー…ほっへをふはれるほは、ひほひいいへふへ」

 

優希「ほっぺを踏まれるのは気持ちいいですね、とはのどちゃんの言だじょ」

 

京太郎「無茶苦茶幸せそうだな」

 

優希「…京太郎も、踏んでみるか?」

 

京太郎「幸せの価値観は人それぞれだから…やらんわ!」

 

久「ふふ…私自身は、誰とヤりたいかしら」

 

 

 

久「こんばんはー」

 

透華「あらいらっしゃいまし。何用ですの?」

 

久「いやいや、ちょっと天江さんと打ちたいと思ってねー」

 

衣「ん、いいぞ! 衣も打ちたい!」

 

 

久「ゆみー」

 

ゆみ「ああ、久か」

 

桃子「二人とも仲良いっすね。いつの間に下の名前で?」

 

ゆみ「昨晩仲良くなってな」

 

久「昨日は…楽しかったわね」ポッ

 

ゆみ「ピロートークならぬデスクトークだったな」フフッ

 

衣「それは」

 

桃子「超普通っす」

 

衣「モモコも一緒に行くか?」

 

桃子「そうっすねー、ころたん先輩が行くなら行くっすー」

 

 

 

ゆみ「あと一人は?」

 

久「決めてるわ」

 

 

美穂子「麻雀ですか?」

 

久「ええ、どう?」

 

池田「問題ないし! 胸無し共め、キャプテンの驚異的な脅威を知るといいし!」

 

衣「お前の言えたことかっ」

 

桃子「はー…やっぱり風越の部長さんは綺麗っすねー」タプン

 

池田「ぐあーっ!」

 

美穂子「か、華菜? 大丈夫?」ポヨン

 

池田「ぐあーっ!」

 

未春「華菜ちゃん何してるの?」ペターン

 

池田「いや別になんでもないし」スクッ

 

未春「華菜ちゃん…ちょっとお話しようか」ゴゴゴ

 

 

 

翌朝

 

智美「荷物はこれで最後かー?」

 

桃 「忘れ   っす」

 

佳織「あれ? このマッサージ器って」

 

ゆみ「おっとすまない。私の私物だ」

 

智美「ゆみちんはおっちょこちょいだなー」ワハハ

 

佳織「肩が凝ってるんですか?」

 

ゆみ「いやいや、凝っているのは一部の豆粒でっ!?」

 

睦月「さっさと行きますよ先輩」フー…

 

ゆみ「……あ、ああ…脇腹は…キツイな…」ヨロヨロ

 

 

 

ゆみ「ん…見送りはいいと言ったはずだが」

 

久「あんまり寝られなくてね。それに、私だけじゃないし」

 

桃子「あ…」

 

京太郎「よっ。せっかく色々話し合った仲だしな」

 

衣「お見送りだー!」

 

未春「ぜひ、また逢いましょう」

 

桃子「あはは…嬉しいっすね。ありがとうっすよ」

 

ゆみ「ふふ、どうしたモモ。顔を赤らめて…見られながらイクのもイイだろう?」

 

京太郎「全然そういう話じゃなかったよね」

 

衣「話の流れが違いすぎるっ!」

 

未春「下らないことを言わないでくださいね」ニコッ

 

桃子「これっぽっちも合ってないっす!」

 

ゆみ「さすがに四対一は分が悪いな」

 

 

 

久「ありがとね、来てくれて」

 

ゆみ「なに、こちらとしても楽しめた。礼という訳じゃないが、この夏は張り切って応援させてもらおう」

 

美穂子「あの…お弁当作ったので、もしよろしかったら…」

 

ゆみ「おお、ありがとう」

 

久「さーすが、気が利くわね」

 

美穂子「それとお茶とおしぼりと」

 

ゆみ「ああ…」

 

美穂子「割りばしに取り皿、酔い止めに梅と昆布と」

 

ゆみ「あ、ああ…」ズシッ

 

美穂子「あとは眠くなった時のコーヒーとガソリンスタンドの割引券と、お土産の風越饅頭と」

 

ゆみ(なんかこう…)

 

久(おばちゃんを思い出すわね)

 

 

 

 

睦月「あの…風越の部長さんと天江さん」

 

睦月「これを星夏さんと智紀さんに…」スッ

 

衣「これは」

 

美穂子「カード?」

 

睦月「はい…」

 

睦月「それと伝えてください」

 

睦月「あのロット、藤田プロの封入率は通常通りだそうです」

 

美穂子「?」

 

衣「フジタ?」

 

睦月「何かの呪いなんでしょうかね」フフッ…

 

 

 

そして八月が迫り――

 

照「せ、せめて…咲と反対のブロックになりますように…」ガタガタ

 

全国の猛者たちが――

 

洋榎「行くで! 目指すは天辺! え、絶頂…? そ、そうや! それが言いたかったんや!」

 

一つ所に集い――

 

小蒔「くー…すぴー…んぐ…ふあ…」

 

インターハイが――

 

塞「はいはい、教育に悪い口は塞いじゃおうねえ」

 

始まろうとしていた――

 

咲「全国って生中継されるんだよね」

 

和「生本番が中継だなんて…私、どうなってしまうんでしょうか」ドキドキ

 

京太郎「麻雀打って大活躍するだけだから心配すんな

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最終更新:2014年05月14日 00:05