続サシャ×ジャン2


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part1>>391


ジャンは、今朝妙な成り行きでサシャに迫られた時のことを思い出した。
「なあ、サシャ」
頬を染めて近づいてくるサシャの顔を見つめながらジャンは声を絞り出した。
「はい?」
「お前は…その、俺が他のヤツを好きでも…やれるもんなのか?」
「んー…気にならない訳ではないけれど…それより、自分が相手を好きかどうかですね。
した後キライになる人もいるし、それまでたいしたことなかったのが実はイイ人だって
分かる時もあるし…」
「そういうものなのか?」
「そういうものですよ~。してみないことには本当に好きかどうかなんて分かりませんよ。
…その手始めがキス……ですよ?嫌ならやめればいいんです」
「はは…」
こ、これが据え膳喰わぬはなんとやらというやつか。
サシャが気にしないと言っているのだから話にのればいいと思う自分4割、
そうは言ってもお互い何の遺恨も残らない保証もないだろう、と慎重な
自分が7割いて、ジャンは動けないでいた。実は「慎重な自分」の中には
「手順が分からない不安」と「どうやら経験豊富な相手に主導権を
握られそうな不満」も含まれているのだった。
「大丈夫ですよ、嫌だったらすぐやめますから…」
サシャの顔がどんどん近くなり、こいつ、まつ毛が長いんだなどと
考えているうちに口をふさがれた。やわらかく、つるりとした皮膚が
上唇にあたる。ほのかに甘いサシャの汗のにおいが感じられた。
もっと近くで感じてみたい、もっと唇を味わいたい、という衝動が
慎重な4割を5割、6割に押し上げそうになる。
ところがサシャの唇は、ついばむ様にすぼめてジャンの口にもう一度だけ
触れてから、離れていった。サシャは目を細めて、ジャンの背後を
みつめながら笑顔で言った。
「うーん、残念、時間切れですね。太陽が出てしまった…」
「そ、そうか」
ジャンはほっとしたような、肩すかしをくったような情けない気持ちに
なった。それを気取られまいと、急いで背後を振り返り太陽を確認する
(ふりをする)。林のむこう見える山脈の頂から、赤い太陽の先端が
顔を出していた。
「急ごう」
ジャンは(平静を装うために)立ち上がってサシャのワナに向かった。
踏んでしまった機構はぱっと見分からなくなっている。サシャが背後
から追い越し、迷うことなく枯れ葉をよけて地中のそれを掘り出した。
バネと小刀を組み合わせた簡単な仕掛けだった。
「それだけか?…自分で持てよ?」
「もちろんですよ。ジャンも忘れ物しないでくださいね」
思わず胸ポケットの手帳をたしかめた。ふん、と鼻で笑って返したが、
これは強がりだと自分でも分かっている。
「行くぞ」
早朝の林の中を駆けもどる二人の足取りは軽かった。
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