無題:part1 > 768(オールキャラ) 3


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 深夜。兵舎の消灯時間はとうに過ぎ、俺も布団に包まりながらウトウトと眠りにつきかけていたその時、
部屋の外からガサゴソという怪しげな音が聞こえた。
 なんだ? 時間は……、もう十一時を回った頃だぞ。一体何をしているんだ?
 俺はその音が気になって、一応警戒しながら、ドアの側まで静かに移動し、耳を壁に付けて外の音を
伺った。
「おい……本当に……るのか?」
 男の声が聞こえる。
「黙って……に気づかれるわよ」
 今度は女の声だ。クソッ、壁越しだから会話の内容がが途切れ途切れにしか聞き取れない。音も不明瞭で
一体誰の声だかわかりゃしない。聞き覚えのあるような気がする声だが……。
「……じゃあ……けるぜ」
 今、「開ける」と言ったのか? 一体どこを開けるんだ。もしかして、この部屋じゃないだろうな。
クソッ、話の内容からすると、穏やかじゃないぜ。もし、この部屋のことだったらどうする? 一応、
9mm弾を装填したP220なら持ってはいるが……。撃つのか……? 入ってきたら……。それだけは避けたい
ところだぜ。殺らなきゃ殺られるかもしれないが……。

ガチャ

 ドアノブが回される音がした。

ゴクッ

 嫌な予感に思わず息を飲む。

ギイィィィ

 ドアが開けられる音……。
 一瞬、緊張が走る。俺はドアに向かって拳銃を構えていた。
 ……。
 ……。
 開かない……。隣室だったのか? だが、隣室は空き部屋のはずだ。俺はすぐさま自室のドアを音を立てない
ように注意深く開け、誰かが入って行ったと思われる隣室のドアに耳をそばだてた。
「ミカサ、本当に大丈夫か?」
 さっきの男の声だ。……って、何、ミカサ? ミカサが中にいるのか? 男と二人で?
「大丈夫、この部屋は空き部屋だし。夜になると誰も来ないから」
 この声は、やっぱりミカサだ。その時、俺はこの状況から全てを理解した。
 ははあ、ミカサの奴、上手くやりやがったな。ということは、一緒にいる男は例のエレンって奴か。それにしても
俺がアドバイスをしたその日のうちに実践するなんて、なかなか優秀じゃないか。さすがはエリート兵士。いや、エロ兵士
というべきか……。
 っと、こんなことしている場合じゃない。さっさと覗かないとな。まあ、覗くこと自体は難しいことじゃない。俺の部屋と
この部屋は天井裏で繋がっているし、天井裏に廻ってしまえば部屋の中が一望できる覗き穴もある。そこからミカサの情事が
覗き放題ってわけさ。
 そうと決まれば、早速行動だ。俺は慎重に、だが素早く自室に戻り、机を踏み台にして天井裏に上がった。そして、これから
まさしくミカサとエレンとの行為が始まろうとしている部屋の真上に移動すると、予め発見してあった覗き穴に目を近づけた。
「ん……んっ……」
 ちょうどミカサとエレンの二人は、溶ろけんばかりのディープキスに勤しんでいる最中であった。灯りは、点けたままだ。
 思ったとおりだぜ。ミカサの奴、ああ見えてどエロだからな。好きな男とやる時に部屋を暗くするはずがない。むしろ照明を
全開にするタイプだと思ったぜ。ま、そのおかげで俺はこの決定的瞬間を鮮明に目に焼き付けることが出来るわけだけどな。
「んっ、エレンっ、好き……」
 エレンの奴ミカサの胸を揉んでやがる。パジャマの上からだが、形の良さと柔らかさがわかるぜ。クソッ、俺も揉みたいな。
それにしてもミカサの奴、意外と着やせするタイプなんだな。胸も……でかいぜ。貧乳だと思ってたんだがな。
「ああ、エレンっ……! エレンっ……!」
 好きな男の名を呼びながら喘ぐミカサの瑞々しい乳房を、エレンは好きなように揉みしだいている。ミカサの乳房は弾力的で
エレンの指を跳ね返さんばかりだ。パジャマ姿のミカサは胸を揉みしだかれながら、エレンにしがみ付くように抱きついている。

ゴクッ

 俺は普段のミカサと、今のミカサのギャップに興奮して、思わず唾を飲み込んだ。気付けば俺の下半身はギンギンに膨張していた。
 くっ、これはある意味……。
 目の前でこのような絶景が広がっているのに、身動き一つ出来ないなんて、ある意味拷問である。俺は辛くなってきたが、充血した
目で、その光景を見続けた。
「……ミカサ、脱がすぞ」
 エレンが、ミカサの胸を鷲掴みにする手を止めてそう言った。
「うん……」
 ミカサも緊張した面持ちで承知した。
「それじゃ……」
 と言って、エレンはおもむろにミカサのパジャマのズボンを脱がしにかかる。
「えっ!?」
 これにはミカサも慌てて驚いた声を出した。
「どうした?」
 エレンもその声に反応して手を止め、ミカサに問いかける。
「こ……、こういう場合普通上からじゃないの……?」
「そ……そうか?」
 エレンもこういうことは初めてなのか、緊張した様子でそう聞き返した。
 俺は、このやりとりを見て頭を抱えた。あちゃー、ミカサの奴、何を考えてんだよ。そんなこと言ったら、経験豊富な女みたい
じゃないか。純情なイメージで売ってるのに……。っていうか、純情なんだろ、本当に。そもそも、エッチする時に服を上から
脱がそうが、下から脱がそうが、どっちだっていいじゃねぇか。俺は下から脱がす派だ。
「じゃ……じゃあ、改めて」
 そう言って、震える手で今度はパジャマの上着のボタンに手を掛けるエレン。ぎこちない手つきではあるが、パジャマのボタンは
確実に上から順番に外れていく。ミカサもボタンが外されるごとに緊張の度合いを増しているようだ。さっきより表情が固くなっている。
……心なしか、ミカサも震えているようだ。
 ミカサの胸が見れる……。俺の期待は否が応にも高まっていく。あいつはこの世界で、同じ東洋人として、それ以上に人間として、
気心の通じ合う良い友人ではあるが、やはり異性として惹かれる部分が無いかと言えば嘘になる。あいつは美人だし、スタイルも良いし、
性格も良いし、……優しいし……な。敢えてあまり意識したことは無かったが……。

ごくっ……。

 とにかく、今の俺には生唾を飲み込むことしか出来ない。もしかしたら俺はすごく悪いことをしているのかもしれないが、ここまで
来たら乗りかかった船だ。泥船だろうがなんだろうが、最後まで見届けるぜ。

スッ

 ミカサのパジャマのボタンがお腹の辺りまで音もなく外されると、ミカサの布に覆われていた乳房が衣服の外に飛び出し、露わになった。
その瞬間、ミカサは羞恥に眉をしかめ、目を瞑る。
「ミカサ……」
 エレンは手を止め、呟くようにミカサの名を呼ぶと、無言になった。初めて見るミカサの乳房を凝視しながら、何かを考えているのだろう。
 俺は、おそらくエルヴィンが何かのために作っておいたのであろう小さな覗き穴から、ミカサの乳房を見るのに躍起になっていた。思った
とおり良い形の乳房だ。大きくは無いが、張りがあって、バランスが良い。それに柔らかそうで、挟まれたくなる乳房だ。……乳首も見えた。
薄桃色で、ミカサらしい可愛らしい乳首だ。
 吸い付きたい……。俺がそう思うより先に、エレンがミカサの乳首に吸い付いていた。
「んっ……」
 ミカサの表情が快楽に歪む。
 ちゅうちゅうという音を立てて、エレンがミカサの乳首に吸い付く度に、ビクンビクンと電流が走ったように身体を震わすミカサ。
「あっ……、エレンっ……」
 ミカサが悩ましい顔でエレンの名を呼ぶ。しかし、一心不乱に乳首を吸っているエレンには届いていない。
「エレンっ……、やめて……、気持ちいい……っ」
 普段のミカサからは想像も出来ない恍惚の表情と、媚びるような口調で懇願するミカサ。しかし、それでも興奮しすぎているエレンには
届かない。

ビクン ビクンッ

 ミカサも大好きな相手にこんなことをされて、相当興奮しているのだろう。大きく全身を波打たせて、一度目のエクスタシーを迎えた。
「あ……あぁっ」
 イった後、緊張が解けて全身の力が一気に抜けたのか、艶っぽい声を漏らすミカサ。その声だけで俺は危うくイってしまいそうになる。
 ミカサが力なくベッドに横たわったことで、ようやくミカサが達したことに気付いたエレン。乳首から口を離し、ミカサを気遣うように
声をかける。
「大丈夫か、ミカサ? 痛かったか?」
 よほど力強く吸っていたのだろう。ミカサが痛くなかったかをまず心配するエレン。
「ううん……、すごく、気持ち良かった……」
 ミカサは潤んだ瞳でエレンの目を見つめると、穏やかな口調でそう呟いた。
「そうか……」
 エレンという男は、想像するだに自分の下半身も大変な状況だろうに、ミカサのことばかりを気遣っている。ミカサも視覚的に容易にそれに
気付いたのだろうか。自らパジャマの下を脱ぎ、エレンを仰向けにさせて、それに跨った。
 いきなり挿入か……? と思ったが、それは躊躇ったのか、ミカサはその姿勢のまま少し後ろに下がり、上体を倒して、エレンの屹立したそれを
口に含んだ。
「あっ!」
 今度はエレンが瞬間的な強烈な快感に身を震わせて、思わず声を漏らす。その可愛らしい反応に悦んだのか、ミカサが目を閉じて、ナニを口に
含みながら、うっとりとした表情をしたのが見て取れた。
「恥ずかしい?」
 唐突に、ミカサがエレンのナニから口を離して、顔を上げ、エレンの顔をじっと見ながら問いかけた。
「う……うん……」
 エレンはミカサに真っ直ぐに見つめられ、気圧されたのか、それとも羞恥したのか、目を逸らしながらそう答えた。
「そう……」
 ミカサは蛋白にそう言ったが、俺は、ミカサが口角を吊り上げ、満足気に「うふふっ」と微かに笑みを漏らしたのを見逃さなかった。
 ミカサは何事も無かったかのように、再びエレンの一物を口に含むと、今度は勢い良く頭を上下に動かし、エレンのナニを強烈に刺激する。さっき
の一瞬のやり取りで弛緩した快感神経を、一気に奇襲されたエレンはひとたまりもない。
「あっ、あっ!」
 と男にあるまじき、情けない喘ぎ声を出して、ミカサに大事な尊厳を好きなように弄ばれる。
「あっ……、あん……、あんっ」
 次第に、少女のような喘ぎ方でよがるようになるエレン。ミカサは構わず、エレンの張り裂けんばかりに膨張したそれを吸ったり、舐めたりして刺激する。
あまりの快楽にびくびくと痙攣しているそれを手でつまんでは観察し、一番弱いカリの部分を舌の先端で容赦なく責め立てる。これにはエレンもたまらない。
「あああっ!」
 女の子のような高い声で断末魔のような声を上げると、びくんびくんと身体とあそこを痙攣させながら、白い液体をミカサの口内に放出するエレン。その
目は涙ぐんでいるように見えた。ミカサはその白い液体を恍惚の表情で存分に味わうと、ごくりと一気に飲み込んだ。はあっ、と至高の美酒でも飲んだかのよう
なため息をつき、そして、改めてエレンの顔を見直す。そして、先ほどの味を脳内で反芻し、エレンを見つめて満面の笑みを浮かべた。
「あれ、エレン。泣いちゃったの?」
 ミカサが意地悪な顔で、そんなことを問いかける。
「ば、バカ言うなよ。泣いてないよ」
 エレンが慌てて否定する。
「そんなに必死になって否定しなくてもいいのに」
 そう言って、ミカサが自分より小柄に見えるエレンの手を取り、引き寄せて抱きしめる。
「ミカサぁ……」
 エレンはミカサの両腕に包まれて、母親に甘える子供のような声を出す。

 そんなやり取りをしばらくして、二人はそれぞれの自室に戻って行った。俺は物音を立てないように気を付けながらそれを見ていたが、二人が部屋に戻って
行ったのを確認すると、自室に戻り、ベッドに横になった。
「ふう、今日はなかなか良い物が見れたぜ」
 それにしてもミカサは最高だった。
 俺は、先ほどの光景をベッドの中で幾度も反復しながら、そう実感した。
「しかし……」
 今度ミカサに会うときには、なるべく今日あったことは意識しないように気を付けないとな。いや、完全に意識しないことは無理だとは分かっちゃいるが……。
 その後、俺は男なら当然と思われることを、当然にやり終えると、気持よく眠りに落ちた。

 朝になった。この世界に来てから三度目の朝だ。まだこの世界に慣れてはいないが、ミカサや、リヴァイ兵士長、エルヴィン団長やクリスタちゃんのおかげで
何不自由なく暮らしてはいる。ミカサ……のことを考えると、どうしても昨日のことが頭に浮かんでしまうな。薄桃色の乳首……、くびれたウエスト……。
いかんいかん、こんなことではどこかで足をすくわれてしまうぜ。気を引き締めないと。
 さて、今日から朝は兵舎の食堂で食べることになるんだ。兵士たちの朝の訓練が始まるまでには食事を終える必要があるから、毎朝かなり早く起きなければ
ならないことになる。ま、それはいいんだが、問題は集団生活だな。俺は知ってのとおり、こういう複雑な経緯を抱えた人間だから、あまり自分のことを他の団員
に話すわけにはいかない。かと言って、話をしなければ諜報活動など出来るはずがないし、ずっとぼっちでいることも、それはそれで問題を引き起こしてしまうだろう。
それに現実的に考えて、自分がこの世界で生き残っていくためには、信頼出来る人間を少しでも多く作っておいたほうがいい。
 とにかく初日からごちゃごちゃ考えていても仕方がない。腹も減ったし、食堂に行くぜ。
 俺は部屋を出て食堂に向かった。途中、大勢の人間とすれ違ったが、知らない顔ばかりだった。向こうも俺を知らないだろうが。っと、食堂はこっちでいいん
だったか? 俺はリヴァイから簡単な地図を渡されていたが、道に迷ってしまった。そもそも、簡単過ぎるんだよな、この地図は。俺の部屋と矢印と、食堂しか
書かれてないじゃないか。こんなんで辿り着けたら俺はサイコメトラーだぜ。
 さてと、どうするかな……。俺は途方に暮れてしまった。やっぱりそこら辺の奴に聞くしかないか……。と思いかけたその時、
「あっ! ユウジ、こんなところにいたんだ。探してたんだよ!」
という聞き覚えのある女の子の声が聞こえた。
 この声は……、間違えようはずもない。クリスタちゃんだ。
「ごめんね、部屋まで迎えに行こうと思ってたんだけど、寝坊しちゃって……」
 彼女は、そう言って駆け足で俺の近くまで駆け寄ってくると、よっぽど俺を探して走り回ったんだろう、肩でゼェゼェと息をし始めた。
「そうだったのか……。いや、俺の方こそすまなかった。道に迷わなければ君が探し回ることも無かったのにな」
 俺がそう言うと、彼女はぶんぶんと首を大きく振って否定した。
「ううん……、そんなこと! とにかく、食堂に行こう! 私の友達も紹介するから」
「あ、ああ……」
 俺はクリスタに手を引かれるように食堂に向かった。

「二人共、おまたせ」
 食堂に入ると、クリスタの友達という二人の少女が待っていた。一人は長身でスリムな体型の、ポニーテール?のような髪型が特徴的な素朴系美少女、
もう一人は、普通な体型で、顔のそばかすが特徴的な、目立たない感じのちょっと因業そうな少女だ。ポニーテールの娘は鷹揚な笑顔で俺を見ているが、
そばかすの方は鋭い目付きで俺を観察しているかのようだ。
「ユウジ紹介するね。こっちがサシャ。で、こっちがユミル。二人共、私の同期なの」
「サシャ……、にユミルか。よろしく」
 俺は二人に挨拶をした。
「それでこの人はユウジさん。今日から新設される部隊の部隊長さんなんだよ」
 クリスタが振り返って二人に向けて俺を紹介すると、サシャは平然としていたが、ユミルは驚いて「はあ!?」と声を上げた。
「どうしたの?」
 クリスタが聞くと、ユミルは詰め寄るようにしてクリスタに向けて言った。
「それじゃ私達の上官じゃないか。なんでそんなタメ口聞いてんのさ!?」
「あっ、そっか」
 クリスタも納得したようにそう言った。
「いや、いいんだ。部隊と言ってもそういう種類のものじゃないし、普通に話してくれて構わない」
「でも……、ねえ」
 俺がそう言っても、ユミルは釈然としない様子だ。

「まあ、いいじゃないですか。部隊長さんがそう言ってるんですし」
 さっきから黙っていたサシャという娘が思いっきり敬語を用いてそう言った。
「いや、だから敬語は使わなくていいんだって」
「ほら、部隊長さんもここまで言ってくれてるんですし、これで敬語を使ったら逆に失礼ですよ」
「あのさぁ……」
 俺がサシャにツッコもうとしたところで、クリスタが口を挟んだ。
「うん、そうだよね。私も今さらユウジに敬語を使うのもなんか変な感じがするし。今まで通り話すことにするよ」
「それがいいですよ。ね、部隊長さん」
「あ、ああ」
 もしかしてこの娘は天然なんだろうか。そう思った俺はこれ以上何も言わないことにした。
「ふん、私はやっぱり出来ないね……」
 ユミルはまだブツブツ言っているようだったが、まあいい。口調なんて大して問題じゃない。ただ、俺はクリスタちゃんに敬語で話をされるのが
嫌なだけだ。
「それじゃユウジ。ユウジの食事持ってくるから、ここで待っててね」
「えっ?」
 俺が呼び止める間も無く、クリスタちゃんはそう言って食堂の奥に行ってしまった。悪いなあ、と思いつつ、俺もお言葉に甘えることにした。
彼女は本当に面倒見が良くていい娘だ。絶対に、巨人なんかに殺させる訳にはいかない……。俺は改めてそう決心した。
 クリスタちゃんが食事を運んでくる間も、ユミルは俺のことを不審者でも見るような目でジロジロと観察してきた。俺はなんだか居心地が
悪かったので、とりあえずサシャに話しかけてみることにした。
「あのさ、サシャって言ったよね」
「はい、なんでしょうか?」
 彼女は相変わらず敬語で話してくる。だが、彼女の敬語はなんだか軽い。上手く言えないが、友達と話すような敬語だ。
「君は何で兵士になったの?」
「それは目的でしょうか? それとも手段でしょうか?」
 ああ、まあ確かに曖昧な聞き方だったな。目的というか理由を聞きたかったんだけど、なんか手段とか意味深な台詞が出てきたから、ちょっと
聞いてみるか。
「じゃあ、手段の方で」
「テストを受けてです」
 っておい。全然普通な答えじゃねえか。でも、意外とこういう所に重要なメッセージが隠されていたりするからな。とりあえず、もうちょっと
深く掘り下げてみるか。
「へえ、それはどんなテストなんだい?」
 と聞くと、彼女はちょっと暗い顔で俯き加減になって答えた。
「罵倒されたり、罰として死にそうになるまで走らされたりといったテストです……」
 そして彼女は深くため息をついた。俺は気まずくなって、引きつった笑顔を浮かべながら話題を変えることにした。
「そうか、それは大変だったね……。じゃあ、目的の方は?」
 俺がそう聞くと、さっきまで落ち込んでいた彼女は顔を起こして眼の色を変えて答えた。
「ご飯をお腹いっぱい食べられるからです」
 しかし、言い終えるとすぐにまた下を向いて暗くなって、
「……と、思ってたんですけどね……」
 そう言って、また溜め息をついた。
「うーん、これは重症だ」

 俺がそう思った時、ちょうどクリスタが戻ってきた。
「ユウジ、お待たせ。持って来たよ」
 そう言って、俺の朝食が盛りつけられたトレーをテーブルの上に置く。
「ああ、ありがとう」
 その時、俺はそれを見てあることに気が付いた。もっとも、サシャは俺よりもっと早くに気付いたようだが。
「あれ、俺のだけなんか量が多いな」
「ですよね……」
 サシャが俺の朝食を凝視しながらそう答えた。
「そりゃあ、ユウジは上官なんだから私たちみたいな一般兵より多くて当然だよ」
 クリスタがさらりともっともらしいことを言う。
 しかし、言われてみればそのとおりだ。上官と下級兵士が同じ服を着て同じ物を食べている軍隊なんて、古今東西存在したことがない。
しかし……だ。今の俺のように下級兵士からも情報を集めなきゃいけない立場になると、その格差が障害になる。誰だって、自分より立場
や待遇が上の人間に対して明け透けに物事を語ることは出来ないものだ。とりあえず、これは対処が必要な問題だな……。
 俺はそう考えをまとめると、改めて自分の前に置かれた食事を見直した。主食のパンが2つに、野菜のスープ、白身魚のムニエルと、水だ。
他の三人のトレーにはパンが一つと、スープと水しか乗っていないので、比べると俺の方はかなり豪華だ。どうやら、上官の食事には毎朝昼晩
に主菜が付き、主食が多めに配分されるようだな。軍隊の構成員としては、この差を当然視するしかないんだろうが……。
「なあサシャ、さっきから見てるけど、これ欲しそうだよな」
「えっ!」
 俺がそう言うと、サシャは図星を突かれたような慌てた顔をした。
「いっ、いえ、そんな……。欲しそうな顔なんて……、してましたけど……」
「だよな。これ、あげるから食べなよ」
 そう言って俺は、パンを一つと白身魚のムニエルを差し出した。
「えっ……、ええっ!!」
 サシャは驚いて目を丸くした。
「そんな……、ほ……本当にいいんですか?」
 そう言って俺に確認を求めるサシャ。
「うん。俺は元々少食なんだ。朝からこんなに食べられないから、食べていいよ」
 それを聞いた途端、サシャは地獄に仏を見たような、感激の涙でも流しそうな顔になって、
「あ……、ありがとうございます!!」
と俺に礼を言った。
「いいよ、礼なんて。本当にそんなに食べられないんだ。機会があったらまたあげるよ」
 サシャはさっきより感極まった表情で俺の手を両手でしっかりと握って、
「か……神様。あなたは神様です……」
と言って、その後は一心不乱に目の前に並んだ料理を食べ始めた。

「お……おいしい、おいしい」
 ハグハグと音が聞こえてきそうないい食べっぷりだ。
「良かったね、サシャ」
 クリスタもそれを見て、自分のことのように喜んでいる。ユミルは気に入らなさそうに終始こちらを見ていたが。
 それにしても、こんなに喜んでくれるとは思わなかったな。たかが料理を一品二品分けてあげただけなんだけど。もしかしてこの世界の
食糧事情は相当酷いのか? それとも、この娘が特別なだけか? どちらにせよ、こんなことで仲良くなれるなら安いもんだぜ。よく見れば
結構俺好みの顔してるしな……。って、俺は何を考えてるんだ。俺にはクリスタちゃんがいるじゃないか……。
 ……。
 いや、どうなんだろうな。俺はクリスタちゃんに好意を寄せているが、彼女も俺のことを好きだとは決まったわけじゃない。むしろ、俺の
ことなんかどうでもいいと思っている可能性の方がずっと高いんじゃないのか? だとすれば、この娘……、サシャにだって……。

ブルンブルン

 俺は頭を大きく振って、自分の考えを打ち消した。何を考えてるんだ俺は。俺は確かに恋やエッチなことに興味がある健康優良な日本男児だが、
こんな最低野郎ではなかったはずだぜ。

「ユウジ……、ユウジ?」
 気付いたら、クリスタが俺に呼びかけて来ていた。
「っと……、どうしたんだ?」
「大丈夫? なんか、ボーッとしてたよ?」
「あ……ああ」
 サシャとクリスタのことを考えているうちに、いつの間にか自分の世界に入ってしまっていたんだな。気を付けないと。
「それじゃ、私たちはもう食べ終わったから行くね。ユウジは訓練には参加しないんでしょ?」
「あ……ああ、そうなんだ」
「だよね。それじゃ、またね」
 そう言って、三人は食堂から出ていった。俺は一人になって、周囲を見回してみた。……大分減ったな。それもそのはず、もうすぐ訓練の
時間だ。
「さてと……」
 俺は無意味な掛け声をかけると、立ち上がって兵舎の外へ出ることにした。他の連中が訓練している中で、俺一人だけ兵舎の中をうろちょろ
していたら奇妙だと思ったからだ。
 ま、異世界見物と洒落込みますか。そんなことを考えながら、廊下を歩いて玄関に向かう。そういえば、今朝はミカサを見なかったな。まあ、
俺も道に迷ったりして遅くなったから当然か。

ガチャッ、ギィッ……

 俺は玄関のドアを開けた。


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