無題:part1 > 768(オールキャラ) 6


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 朝になった。
(さて、食堂に向かうか)
 食堂に着くと、すでにサシャとクリスタがいた。
「よう、二人ともおはよう」
 俺は二人に声をかけた。
「おはよう」「おはようございます」
 クリスタも昨日より幾分機嫌が戻っている様子だった。
「あっ、私、ユウジのお皿持ってくるよ」
「いや、私が……」
 クリスタとサシャが同時にそんなことを言い出す。
「はは、ありがとう。じゃ、一緒に行ってきてくれ」
 俺は冷や汗を垂らしながらそう言った。どうやらクリスタはまだ、俺とサシャが付き合っていることを知らないようだ。
(でも、それとなく伝えないとな……)
 それを考えると気が重くなる。
「おまたせ」「おまたせしました」
 サシャとクリスタが俺の食事を持って戻ってきた。
「あ……ありがとう」
 この事さえなきゃ夢のようなシチューエーションなんだけどなあ。とりあえず、俺は主菜と主食の一つをサシャにやった。
「ありがとうございます」
 音符が付いていそうな声でそう言うと、サシャは喜んで食べ始めた。
 さて、今日は待ちに待った乗馬の訓練だ。乗馬はもちろんやったことがないが、やりたいとは常に思っていた。ただ、あまりに
お金がかかるから手が出せなかっただけだ。それにややこしい事情を抱えているとはいえ、こんな美人二人に教えてもらえるなんて、
こんな幸せなことは無いぜ。
「それじゃ食べ終わったら乗馬の訓練をするからな」
「了解」
 二人が声を揃えて言う。
「でも、ユウジ道具持ってるの?」
「道具? そんなものがいるのか?」
「持ってないなら兵団に借りてきた方がいいよ」
 そうか、それじゃ後でリヴァイに聞いてみるか。

 食事も食べ終わり、俺達は乗馬場……、なんてものは無い、適当に馬を三匹選んで、適当な空き地に連れてきただけだ。
「それじゃ、まずお手本を見せますからよく見てて下さい」
 サシャがそう言って、クリスタとともに馬を走らせて見せた。それにしても上手いもんだ。サシャにしてもクリスタちゃんにしても、
とても鮮やかに馬を駆る。映画かなんかの登場人物みたいだぜ。それに……、服装も乗馬服だもんな。乗馬服なんて、トモちゃんがTKに
フラれた時のニュースでしか見たことないぜ。しかも、二人共よく似合ってる。
「どうですか?」
 二人がしばらく馬を走らせた後、戻ってきて俺に聞いた。
「うん、よく似合ってる」
「えっ?」
「その服装」
 俺がそう言うと、サシャはニコッと笑っていった。
「そうですか? ありがとうございます。でも、そんなとこばっかり見てないで、真面目に乗らないと怪我しますよ」
 サシャの口調は朝からずっと、語尾にハートマークでも付きそうな優しい口調だ。付き合ってんだから、当然と言や当然かもしれないけれど。
「……」
 なんか、クリスタちゃんが俺たちのこと怪しんでるんだよなあ。うーん、何か言い出しづらいぞ。
 よし、じゃあ、まあ、とりあえず乗ってみるか。見てるだけじゃしょうがないしな。
「ほっ!」
 俺は掛け声を上げて、鐙(あぶみ)に足をかけ、馬の背中にまたがった。
「っと……、これは思ったより……」
 不安定な馬の背中……、というより自分のバランスが不安定なのだが。しっかり捕まっていないと振り落とされてしまいそうだ。
「わあ、すごい。初めてなのに台も使わずに乗れたんだ。センスあるよ」
 クリスタちゃんがそう言ってくれたので嬉しくなった。
「でも、あんまり調子に乗り過ぎないでね。落馬したら大変だよ。ほら、もっと胸を張ってまっすぐな姿勢をとらないと馬が不安になっちゃうよ」
「そ……、そうか……?」
 俺は馬上の意外な高さにびびりながら、体勢を整える。乗馬を馬鹿にしていたが、これは思ったより危険で難しいスポーツだ。ちょっと気を
抜いてると落馬して大怪我しちまう。
「実はサシャがいてちょっとホッとしてるんだ。一人だと訓練中に何かあった時にユウジを助けられないかもしれないから」
 それを聞いて俺も納得した。クリスタちゃんと二人きりで楽しく訓練とか、そんな余裕は全く無いぜ。乗馬を舐めていたとしか言いようが無い。
今の俺は落馬しないようにビクビクしながら乗っているだけで精一杯だ。それでも馬が突然暴れだしたりしたらアウトだ。落馬して、打ちどころが
悪ければ大怪我、場合によっては死んでしまうぜ。
「でも、サシャと二人でしっかり見てるから安心してね。何かあってもフォローしてあげるから」
 そうしてもらえるとすごく助かる。クリスタちゃん、ずっと弱い子だと思ってたけど、こうして見るとすごく頼りになるなあ。人は見かけに
よらないってことか。
「それじゃあ今日は、発進と停止、それから常歩(なみあし)までやってみようか」
「はい、よろしくお願いします、先生!」
 俺は元気よくクリスタに対してそう言った。

「ふぅ……」
 部屋に戻ってきた俺は、全身の疲労と筋肉痛に苦しみながら、ベッドに横になった。
「まさか、乗馬がこんなにきついものだったとは……」
 仰向けになって天井を見ながら独りごちる。
 それにしても、怪我などしなくて良かった。馬が暴れだしたり、突然走りだしたり、何度か危ないところはあったが、あの二人がすぐに駆けつけて
助けてくれた。本当に、優秀な部下を持ったもんだ。二人とも女の子だけど、やっぱ成績優秀な軍人ってのは伊達じゃないんだな。見直しちまったぜ。
 さてと、もうすぐ晩飯の時間だから、ちょっと休んだら食堂に行くか。

コンコンコン

 ん? 誰だ? ノックのクセからするとリヴァイかな……。そんなことを考えながら、俺はベッドから起き上がりドアを開けた。

ガチャ ギィッ

 相変わらず、ドアの蝶番がきしむ音が大きい。油ぐらい差せよ。といつも思ってしまう。
「よう」
 そこにはリヴァイが立っていた。
「ああ、リヴァイか」
「ちょっといいか?」
「いいよ、入んなよ」
 俺はリヴァイを椅子に座らせた。
「聞きたいことがある」
 俺はベッドに座り、リヴァイの顔を見た。心なしかいつもより真剣な表情をしている。
「お前……、あの、超大型巨人に勝てるか?」
「……」
 それは、いきなりの単刀直入な質問だった。だが、いつかは聞かれるだろうと思っていた。どこの馬の骨とも知れない素性不詳の俺を、役職まで付けて
調査兵団で匿ったのも、それが目的の一つだったのだろう。以前の俺なら答えを隠したが、今の俺は調査兵団を……、リヴァイを信頼している。もはや
隠す理由は無い。
「結論から言えば……、勝てる」
「本当か?」
「だが、条件がある」
「それは何だ?」
 リヴァイが緊張してごくりと生唾を飲んだのが聞こえた。
「トラックに積んであるミサイルを命中させることだ。そのためには、目標の位置を正確に把握してプログラミングするか、目視してロックオンする必要がある」
「目標の位置を正確に把握するか、目視出来ればいいんだな?」
「そういうことだ」
 リヴァイはこの返答を想像はしていたのだろうが、改めて聞くとあまりにも現実離れした話に戸惑っている様子が明らかに見て取れた。
「それで、倒せる確率はどれくらいだ?」
「100%だ」
 俺は、考える間もなく即答した。実際、考える必要が無いほど、このミサイルには威力がある。
「ひゃ……、100%……!?」
 リヴァイが明らかに驚愕した表情を見せた。
「実際にはうなじ周辺に当てないと倒せないだろうけどな。だが、俺なら確実にうなじ周辺に当てられる。だから100%だ」
「……実は超大型巨人の正体が分かった」
 リヴァイが打ち明けた。
「……」
 それを聞いて俺も真剣な表情になる。
「明朝、作戦を決行したい」
「作戦? 作戦ってのはその超大型巨人を倒すってことか?」
 俺がそう尋ねる。
「そうだ」
 リヴァイが答えた。
「それは急な話だな。俺はもうちょっとサシャやクリスタちゃんと楽しく訓練したりイチャイチャしたかったんだが……」
「作者の都合でな。俺にもこればかりはどうしようもない」
「そうか、それならしょうがないな」
「それで作戦だが……」

「分かった、そうしよう」
 作戦が決まった。
 明朝ヒトマルマルマル、超大型巨人の正体を壁外に連れ出し、拘束する。もし巨人化して抵抗しようとしたら、俺がミサイルで射撃する。
ミサイルを対象に誘導するための発信機(俺が持っていた携帯電話を改造して使用する)の目標うなじ付近への取り付けはリヴァイがやる
ことになった。
「それにしても本当に壁内から発射するのか? 壁に当たってしまわないか?」
 リヴァイが疑問を口にした。
「大丈夫だ。このシーバスターは地形回避機能を搭載していて、山の裏側から海上の戦艦を攻撃出来るように設計されている。あらかじめ
プログラミングしておけば、超低空飛行で壁の出口から壁外に出て、それから目標に電波を照射しながら向かって行く」
「回避されることはないか?」
「敵が時速1,150km以上、亜音速の速さで30分走り回れるなら回避されるけどな。だがそれでも2発め、3発めがある」
「蒸発して逃げることも考慮されるが?」
「ミサイルが壁外に出てから目標に到達するまで、距離が1kmあったとしてもおよそ3秒だ。3秒という対処時間では最新鋭イージス艦
でも必ず命中するし、敵が壁から出てきたミサイルを発見した瞬間に蒸発して逃げるという決断をしたとしても、ミサイルは目標を消失した
瞬間に爆発するように出来ている。人間体でこれを食らえば、熱風に巻き込まれて黒焦げだ」
「分かった。では、この作戦で行くとしよう」

 そして、翌日になった。
 今日は朝からものものしい。ある者は作戦の内容を知っており、他の者は壁外に出て遠征に出発すると思っている。超大型巨人の正体と
やらも、まさか壁外に出た途端自分が退治される側に回るとは思ってもいないだろう。
 俺は壁内にいて、サシャとクリスタとともに、88式地対艦誘導弾(SSM-1シーバスター)のスタンバイに入った。トラックを定位置まで動かし、
ミサイル発射の衝撃に備えるため、ジャッキで固定する。そして、発射機を射撃姿勢に移し、レーダーを起動する。発信機が目標に正しく設置
出来たらレーダーに反応があるはずだ。
 さて、当然のことではあるが、サシャとクリスタはこの超ハイテク兵器の登場に朝から驚きっぱなしである。
「安心しな。もうすぐ全てが終わる」
「は……、はい……」
 とは言うものの、彼女たちは二人ともこの兵器の威力に半信半疑の様子だ。それもそのはず、この世界の人間は誰も、あんな巨大な物体を
倒せる兵器があるとは思わないだろう。だが、このミサイルなら倒せる。なんたって、こいつは排水量1000トンの駆逐艦でさえ一発で大破させる
威力がある。たとえ敵が硬化していたところで、のぞむところだ。その硬化を突き破ってうなじの中の人間に大損害を与えてやるぜ。

 それからしばらく後、レーダーに電波の反応があった。
「ついに来たか」
 俺はすかさず、ミサイルの発射スイッチを押す。するとミサイルは射出され、固燃ロケットモーターによる慣性航法により超低空を壁出口に
向かって飛んでいく。
「よし、あとはあのデカブツにぶちかますだけだ」
 ミサイルは無事に出口を通過した。そしてその瞬間、エンジンがターボジェットに切り替わり、アクティブレーダホーミングによる誘導方式に
移行する。1、2、3秒後、ドカーンと敵に命中する音が響いた。
「よっしゃ、命中だ!」
 俺は飛び上がって喜んだ。しかし、それもつかの間、命中した場所から巨大な白い光が立ち上がって広がっていくのが目に見えた。
「……、なんだありゃ……?」
 その白い光はあっと言う間に、巨大な壁を飲み込み、俺達がいる市街地まで飲み込もうとしている。
「やばいぜ、なんだありゃ……。まさか、ミサイルの弾頭に核が搭載されていたのか……? いや、そんなはずはない。シーバスターに核弾頭を
搭載するのは不可能なはずだ……!」
 考えている時間は無い、この白い光は俺たちのすぐ目の前まで来ている。これに飲み込まれたら、多分、死ぬ。いや、確実に死ぬだろう。
「クソッ、どうする?」
 とは言っても、どうしようもないぜ。とりあえず、俺の近くにはサシャとクリスタちゃんがいる。二人とも呆気にとられて生気を失っているぜ。
とにかく、両方を助ける余裕は無い。どちらかを庇わないと。庇ったからと言って、助かるとは限らないが、あの世に一緒に行く事ぐらいは出来る
かもしれないぜ。
(時間がない! 早く決めてくれ!)

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