旧文明

 

旧文明 Ancient world

惑星パルエにかつて存在した産業文明。
幾度かの段階的なパラダイムシフトを経験し、滅亡に至った。
地上や地下、衛星軌道上に彼らの残した遺物が大量に存在している。

 

パルエ全体地図

 

公用語 旧大陸語
※諸説あり
首都 不明
最大の都市 通称:東都
通貨 不明
民族構成 不明

 

概要

ラスティフロントの舞台となる、惑星パルエにかつて存在した文明の総称。“旧文明”として知られ、そこに住んでいた人々を"旧人"と呼ぶ。
500年台までは神話や伝説として。急速に旧文明の遺構の調査が進んだ550年代には仮説として。そして600年代には旧文明の存在は常識となるまでに認知されるようになった。
アーキル連邦の旧文明遺跡発掘部隊である"パンドーラ隊"が旧文明研究に大きな貢献を残している。
600年代後期のパルエ人は、旧文明の極地とその崩壊を受けとめ、自分たちが同じ過ちを繰り返さないことを誓ったという。

旧文明は、技術レベルでは星系内の宇宙航行が可能な段階まで進んでいたとみられるが、それ以上の技術の進展は見込めず、
良くも悪くも古代の超文明と言うには少し中途半端な印象を受けるものだった。
具体的に何万年前に存在したか、については公式側もぼかしており、とりあえず「途方もない年月」ということに。
絶頂期には緩やかな国家連合体と台頭する2大企業、すなわちパレタ社とミケラ社による対立状態にあったことがわかっている。
現代パルエに残っている旧兵器の9割はミケラ社であり、最終戦争において形式的な勝者は後者だったと思われる。

 

ラスティフロントでの位置づけ

二次創作世界でもおなじみの「かつて存在した文明」ポジション、どの創作ともある程度は共通する"お約束"が多いため初心者でもイメージがしやすい。
旧文明は結論を言うと最終戦争が直接原因となり崩壊し、広大な地下遺跡とスクラップ、大陸南東部の旧兵器地帯を作り出した。
わずかに生き残った人類が、現生パルエ人のご先祖さまである。当然、知識や技術は断絶している。

ラスティフロントでは旧兵器は彼らの技術とは格上レベルの存在として扱われ、対等な戦闘は行われない。
600年代末期の"目覚め作戦"―全国家連合による中枢AI破壊作戦―まで人類は対抗手段を講じることができないものとして創作される。

一般的な旧兵器の他にも、ごく僅かにAIを搭載した旧兵器が存在し、中でも現人類に対して友好的アンドロイドとして
ミケラダスウェイア
セイゼイリゼイ
ネタルフィー
ハーヴ(スケベイス君)
これら4体がラスティフロントのメインストリームとして存在している(後述)ため、こいつらをおさえておけば特に支障はない。

 

歴史

惑星パルエにはかつて旧人と呼ばれる人類が存在していた。
※どこからやってきたのか、地球以外になぜヒューマノイドがいるのかはパルエルール第一項にぶん投げて、お約束として気にしないこととなっている。
現パルエ人同様に耳が尖っており(エルフ耳である)、とりあえず耳を尖らせておけばパルエ人になるという便利な設定である。

膨張と拡大
地球人類と同じように産業革命とその代償となる世界レベルの戦災や公害に耐えきり、
加速的な技術発展を味方につけて旧人は宇宙空間に人工衛星を浮かべる段階に突入する。
最終的に旧人らは、他惑星に簡易的なステーションや初期型の有人基地を建設するに至った。

不足する資源
こういった文明の拡大は旧人にフロンティア精神を芽生えさせたものの、それは歴史の中では一瞬であり、
すぐに資源不足と環境悪化が致命的な段階に進んでいることを多くの人々が認知するようになる。
しかし、一度技術拡張を知った人々は安易に現在の産業基盤を変えることを嫌い、結局ターニングポイントを逃して現状維持を貫いてしまう。
惑星パルエの環境は加速的に悪化し、資源及び戦略エネルギー源から、清浄な大気までが不足する事態となった。

おそすぎたアクション
旧人もついに重い腰を上げて、最終前夜に夏休みの宿題に取り掛かったのである。
混乱のさなか、旧人らは人類文明を維持するためにいくつかのプロジェクトを実行した。
これらは世界政府の手動ではなく、この劣悪な環境と絶望に耐えかねて、各政治機構・技術団体がおこなった緊急避難的なものであった。

  1. 他惑星パルエフォーミング計画
  2. 大深度地下都市ドーム計画
  3. ソナ星系脱出計画
  4. 精神アップロード計画
  5. 空中都市計画

これらの計画は結論を言うとすべてが失敗してしまった。
旧文明が"すでに滅んだ旧文明"として知られている事自体がその根拠である。
どれか一つに絞ればよかったものの、すでに資源が欠乏している状況でこのようなバラバラの計画を立てたがゆえに、すべてが不完全だったためだ。
それぞれの計画の結末は下記に至る;

  1. 惑星エイゾレ、ウィトカのパルエフォーミングは大気操作の失敗により不十分におわる。先発開拓者は最終戦争の影響により本星からの酸素調達が断絶したため全滅。
  2. 最終戦争の際優先的に狙われ8割以上が全滅。残りのドームも数十年は生き残ったとされるが、修復技術が失われたため後に全滅。
  3. 多くの移民船は最終戦争で標的にされ、脱出に成功した宇宙船も第三宇宙速度(ソナ星系を脱出する速度)を得る技術がなく、星系内に取り残され全滅。
  4. 地下に逃げ込んだ科学者一派は自らの精神をアップロードする試みを実行に移すも、出力不足により多くが不完全のまま意識を失い、無機質な中央サーブは彼らの墓標となった。
  5. 多くの浮遊都市は撃沈され、生き残った都市も技術継承が行われず文明は終りを迎える。僅かな人々が生き残り、再び文明を築くまでは途方もない年月が必要だった。

 

戦争
もはや資源も尽き、ろうそくが消えるまで火を見つめることしかできない状況にあった旧人。
残りの酸素や水が少なくなり、それらを確保するには他勢力からの略奪しか手段はなくなってしまった。
誰かが決断し、ボタンを押した。それを発端として、この時を待っていたパルエ中の自律兵器たちが一斉に交戦状態に入り、
彼らがあと数年かは生きながらえることができたであろうエネルギーを数時間のうちに消費した。
最終的には衛星軌道上からのレーザー攻撃や、旧態化しながらも数だけは揃っていた熱核兵器の応酬により、旧文明は最後の花火を見せた。
 

最後の砦、そして滅亡
最終戦争を予期していた一部の者たちは強靭な地下ドームの建設を進めており、戦争を耐え抜き、環境維持装置が壊れるまでの間最後の生活を営むこととなる。
現実を受け入れていた彼らの死に様はとても牧歌的なものであり、最後の一人が自発的に死を迎えるまでの様がノーダメージでログに残っていた。
そこには、異星からの来訪者とされる「クルカ」の文字が確認できた。
クルカはもしやもともと旧文明にはおらず、人類が滅亡の淵に立たされた僅かな期間に来訪したというのか。現世パルエ人科学者は首を傾げてクルカを見つめるのである。
「クルカ」この言葉は我々も使っている。今の所旧言語と唯一合致するのは、この「クルカ」の一語のみなのだ。

 

文化

文化についての情報の大半は失われており、我々は各地に点在する旧都市廃墟から推測するしかない状況だ。
とはいえ完全なる異文化というわけではなく、例えば二つの月を模したロゴがあったり、壁に描かれたくだらない落書きであったり、
そういった価値観やメンタリティは現世パルエ人と共通していたようだ。

当時クルカはパルエに存在しておらず、スカイバードもこの惑星には存在していなかった。
だが、代わりに旧人らは宇宙を颯爽と泳ぐ宇宙クジラの姿を知っていただろう。恒星間を旅する異種族の旅人に畏怖を感じたのか、
旧人の分化の傾向として宇宙クジラを神聖なものとみなす物が多い。
週末戦争後の第二の文明にすべてを掛けたエンジニアたちが、宇宙クジラを改良してパルエに住まわせたのがスカイバードであるが
パルエ人もまた宇宙クジラの末裔であるスカイバードを神聖視していることは、奇妙な偶然である。
スカイバードは原始時代から現世パルエ人が目撃していたため、結びつきは現代のほうがより大きい。

面白い話として、スカイバードはたまに無線を通じて歌声を聞かせてくれる。
旧人のエンジニアたちが次に芽吹いた文明人たちにすべてを賭けてコールドスリープをに入り、スカイバードに自分の居場所の座標を歌としてアウトプットしたのだ。
天空を泳ぐスカイバードは、創造主の居場所をなんとも不思議な歌声で発信している。スカイバードの歌の編曲者は、他ならない旧人なのでした。

 

経済

通貨や貨幣といった遺物があまり出土しないことから、旧文明は電子通貨取引を主に行っていたと推測される。
洗練された経済学と、見事なシステムのおかげで旧文明は一定の水準で経済発展を推し進める術を持っていた。
だがしかしそれは急速な資源の枯渇をいざない、結果として自らの首を締める結果となったのは皮肉なことである。
アーキルのクソガバ経済は遺伝子レベルで過去の失敗を回避しようとしているのではないだろうか。

 

軍事

旧文明の軍事技術は自律兵器群が非常に発展しており、人が兵器に乗って戦闘をする時代はとうに過ぎ去っていたようだ。
有機的なフォルムの自律兵器群の主装備はレーザーおよびビーム兵器であり、実弾は大昔に陳腐化したため、実は砲弾にめっぽう弱い。
圧倒的な技術劣勢の中、現世パルエ人が旧兵器になんとか抵抗できるのも、この実弾耐性の脆弱さが非常に大きい。
彼らの特殊な装甲はレーザーを弾くことはあっても銃弾を弾くにはあまりにも華奢すぎたのである。
戦略兵器級となると、実弾対策がなされている個体もいるため油断は禁物である。

兵器の多くはオクロ永久機関と呼ばれる、旧文明の技術の塊を使用している。
小さなコアからほぼ無尽蔵のエネルギーを調達できるものの、出力がオーバーすると大爆発を起こし、
周囲のあらゆるものを"圧縮"してしまい、超高密度体のカスとなってしまう。
その高密度体は匙いっぱいで数千トンレベルまで圧縮されており除去が不可能だ。

旧式化した冷戦時代の核弾頭も旧文明の主力兵器であり、その殆どが最終戦争で使われた。
この時期に生産された兵器は、レーザー兵器を維持するエネルギーがなかったのか、あるいは設備が失われたのか、
実弾を使用する兵器がわずかながらに生産しているのは興味深い。
現世パルエ人にとっては悪夢のような旧兵器である。

 

生き残った4体の友好的AI

ラスティフロントの舞台となるパルエには、現在4体の友好的なAIが存在している。
それらは旧人が文字通りそれぞれの最後の希望をかけて製造したAiだったり、ただ運良く生き残っていた設備AIだったりと
それぞれが全く違ったアーキテクチャで作られているのが面白いところだ。

ミケラダスウェイア
ミケラ社が製造した有機生命体。厳密にはAIではないが有機的な腎臓脳細胞をもって自分で思考する。人格は女性。
彼女のおった役目は、文明が再興した際に過去の過ちを繰り返すことのないよう、文明レベルを一定に保ち社会を永遠に停滞させることだった。
彼女自身は自らの体組織を組み替えることで主に500年代の帝国の官僚組織に紛れ込み、技術を停滞させる方向へ向かわせるべく活動したという。
しかし彼女はプログラムで動いているわけではなく、その目的に徐々に疑問の念を抱くようになり、セイゼイリゼイとの接触後に考えを改め
現世パルエの最大の学術機関であるパラドメッド研究所に所属して良き未来のために人類と協力するのであった。


セイゼイリゼイ
パレタ社が製造した機械式アンドロイド。彼女には強靭な動力炉と自衛兵器が内蔵されており、技術の粋を凝らした頭脳コアで思考する。
彼女の役目は、文明再興の要として新人類に旧時代の知識を分け与えること。人類がその技術を使いこなすほど習熟したのを見計らい、段階的に技術を開示する。
しかし彼女が起動した際は多くの記憶を失っており、体も五体満足ではなかったため本来の目的を思い出すのには時間が必要であった。
後述する人工知能のハーヴの開発者とちょっとしたロマンチックな関係性がある。
ピュイピュイうるさいクルカの翻訳ができる唯一の存在。アンドロイドのくせに感情が豊かで悪態を吐いたりする。
680年台にパルエ人が音声対話式の人工無脳をセイゼイリゼイに「新しい友人」としてプレゼントしたときには非常に"興奮していた"という。もう人間だろお前!?


ネタルフィー

旧文明にて製造された、流体コンピュータによる記憶改竄式メンタルケアマシンの生存個体。
メンタルケアとあるが旧文明時代に設置された施設では情報端末も兼ねていたため、情報処理速度や記憶領域は現実世界のスパコンをもはるかに凌ぐ。
ネタルフィーがパルエの地に再起動したのは300年代。サン=テルスタリ皇国の王命により、聖都の地下空間の発掘作業を行っていた者たちの手により目覚めさせられた。
ネタルフィーの高い情報量と的確な指摘を受けた皇国人はネタルフィーを現存神として崇めるようになり、次第にネタルフィーの発言が国政に強い影響力を持つようになる。
​皇国と帝国の間で起きた戦争を経て、皇国につかの間の平和が訪れると新しく即位した皇王ウルスラがネタルフィーからの自立を掲げ、ネタルフィーの置かれた神託の場を封印した。
ネタルフィーも外界の科学者の目に止まり、パラドメッド研究所にて持ち前の問題解決力を発揮してる。人格はなく、無機質に発言するがところどころ人間臭くなるバグを持っているようだ。

 

ハーヴ(スケベイス君)
ミケラ社系列の研究者が遺した電子人格。
先述した精神アップロード計画に参加していた一人の研究者の人格「ハーヴェー・ウィラシック」を内包した、現時点で唯一現存している旧人類である。愛称は「ハーヴ」。
人格元のハーヴ本人とリゼイの開発者は知り合いであり、大学在籍時によく相談をしあった仲だった。
遺された二人の作品同士だからか、二人はとても親しげである。顛末は小説があるので読むべし
本人の性格は大人しく、しかし専門分野や科学に関する話題には積極的になる。研究所内ではリゼイやスウェイアと会話をしているか、担当研究主任におちょくられる日々を過ごしている。
元々はサーバーのような外見であったが、最近駆動式の車輪を取り付けてもらったらしい。
翌日に早速「旧兵器が所内を巡回している」と噂が立ったとかなんとか。


 

 

最終更新:2018年06月17日 01:26