4話案

4.
体力的・精神的疲れから、帰宅してすぐ就寝。お昼近くまでぐっすり。
起き出してきた朱璃に、背広の文哉がごきげんに挨拶する。
劇を見ていた文哉は、親心半分で朱璃を女の子として扱い、冷蔵庫にあるイチゴショートを食べるよう促す。
舞台上で吐いた本音を文哉に聞かれてしまったことに気付き、すわりが悪くなって、寝起きにそんなもの食べられないと言い事務所を後にする。
昨夜は晩飯を取らずに寝ていたため、お腹がぐうと鳴る。コンビニでシュークリームを買おうとして、少し躊躇い、コーヒーゼリーを手に取る。
コンビニを後にする。寝起きにそんなもの食べられないーなんて言った手前、このまま買えるのも気まずいことに気付いた朱璃は、コーヒーゼリーの入ったビニルを揺らしながらあてどなく街を歩き、思索にふける。昨日の発言をじゃっかん後悔しつつ。

  • 思索
舞台上での問答:「普通の女の子になりたかった」
→殺戮をする自分と、街を楽しそうに歩く同年代の人間を比較
→自分は元人間の鬼を殺した
→鬼化した退魔集団の部隊員(の復讐)について
→人を鬼に変える地獄級の存在……?(ミスリード,破戒戦で回収,パートナーが鬼化の仕組みに勘づくキー,主人公の思い込みでパートナーの忠告を無視:分岐変数に影響する選択肢を入れてもいいかも、鬼化を鬼の能力のせいにするしないで。お任せ)

事務所へ帰る途中、急いている様子の文哉が現れ、右近・左近の発生が知らされる。
道路脇に停まっていたバイクに跨り、現場へ急ぐ。

これから、また血なまぐさい狩りをする。どんどん普通の女の子からは遠のいていく。
少しだけ逡巡しながらも、仇を狩るまで、自分に血なまぐささと無縁な生活は出来ない。ならばそんな夢を忘れられるくらい愚直に進むしかない、と気を引き締める。

考えているうちに文哉から声をかけられ、状況を伝えられる。
現在、退魔集団は窮屈な廃墟で蟹の異形をした二匹の鬼と拮抗した戦闘を行っている。
多大な犠牲を払いながらも、巨体が動きを取りづらい地形に追い込んだ。
がしかし、二頭の修羅級を相手にするには戦力を削りすぎていたため、救援が必要とのことだった。

到着し状況を確認したあと、右近を一人で相手に取り、左近から引き剥がす。左近は退魔集団に任せる。
右近に致命傷を負わせ、あと一歩で討伐できるというところで、退魔集団の一人が首をはねられる。
退魔集団の戦闘能力は二頭の鬼に対して拮抗していたはずなのに、左近一頭に何故……と思案を巡らせる間もなく、首をはねられた男の隣に立っていた同僚の退魔師の様子が急変する。鬼化。
その動揺が対応を遅れさせ、鬼化した退魔師が退魔集団を襲う。朱璃がすぐに鬼化した退魔師を仕留めるが、その間に五名の死者がでる。

眼前の惨状を正確に把握することが出来ず、ただ狼狽するばかりの退魔集団。
その隙を付いたかのような左近の攻撃に、退魔集団の一人が襲われる。それを朱璃が防ぎ、押し飛ばすように跳ね返すと、左近は負傷した右近を伴って戦闘中に崩壊したコンクリートの壁から離脱する。

六体の亡骸と、腐乱してゆく人間級の死骸。退魔師たちの慟哭。
この鮮烈な感情のうねりが、いつ自分へ矛先を向けてくるか……
昨日の復讐者の、憎しみに満ちた眼光が思い浮かぶ。
朱璃は陰惨な光景に歯を食いしばりながら、音も立てずにそっと場を後にする。

鬼の姿を追っていた文哉が場へ戻ろうとするところを鉢合わせる。朱璃の様子を見た文哉は、何も言わずにジャケットを肩に掛けやり、バイクへ乗るよう促す。
最終更新:2013年12月27日 21:23