6話案


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事務所のベッド(寝室)で目が覚める。頭が重い。昨日の出来事を軽く思い浮かべる。
携帯の日付を見てみると、二日経っている。昨日の出来事と思っていたことが一昨日の出来事だったらしい。

事務所に誰もいないことに気付く。強い寂寞感を覚える。
お茶……と冷蔵庫へ。ビニル発見。『女子之滋養物、非成仏』と書かれたメモ用紙がはられている。なるほどなんとくだらないと独白しつつ、中からコンビニのプリンアラモードで喜ぶ。
鳥の声と車の音なんかが聞こえて、なんとなく平和気分。一昨日の激しい感情の高ぶりが嘘だったかのように感じる。
幸せそうに食べる。食べながら、メモ用紙の裏になにか書いてあることに気付く。
休暇を与える、机引き出しの封筒のチケットを使うべしという旨の文。
食べ終わった後、机の引き出しから封筒を取り出してみると、中には映画のチケットが三枚。
封筒の表には『朱璃の分、それと仲が良かった二人の分』。学校にいる時の様子をばっちり見られていたことにちょっとした不快感、ツン。

机の固定電話から電話がかかってくる。無言。切るとすぐに掛かってくる。数回繰り返し。
五度目くらいで、口を尖らせながら受話器を取ると、山へ逃げ込んだ手負いの鬼の討伐依頼。半ば怒鳴りながらの第一声だったため、赤っ恥。
出撃する気が起きないが、さてどうしよう。

1,鬼が出たからというには倒さなければいけない。(+0)
2,鬼は手負いだ。退魔集団に任せておけばいい。(+1)
3,ここで態度を変えたら恥ずかしい。人違いということにして逃げよう。(+1)


藍に携帯から電話をかけて、チケットのことを伝える。
「いま一直は入院しちゃってるんだけどね、これから――」電話ぶっちん。最後まで聞かず事務所を飛び出る。五章の場面を思い出しつつ。
病院の近くで二人にばったり。説明される。ついでに最後まで話を聞かないのを咎められる。
打撲ほどの痛みらしいが、あの後嘔吐・吐血をしたらしく、検査入院していたとのこと。(討伐部隊の知人を持っているため、ああいった外傷の怖さを知っている)
藍はチケットの話から一直を病院に迎えに行って、二人で事務所へ向かおうとしていたところらしい。
朱璃は一直を心配するが、藍はふたりをぐいぐいと引っ張ってとなり町の映画館へ。


文哉視点
朱璃に関係のあることなので、鬼化の調査については秘密にする。
右近左近との戦闘で鬼化した退魔師、勝田俊樹の実家を訪れる。
表札には吉見の苗字。呼び鈴を押し応答を待ちながら、住所は何度も確認したことを思い出す。
インターホン越しに勝田かどうか尋ねると、前に住んでいた人がそんな名前だったようなという返答が帰ってくる。借家らしいので、大家の連絡先を聞く。
大家のおばちゃんに電話してみれば、向かい側にある木造平屋の住宅に住んでいるという。おじゃまして話を伺うことに。
父母次男の三人暮らしの勝田一家は、つい先月に長男の俊樹を除いてみな鬼によって惨殺されたそうだった。出先でのことらしい。
俊樹が鬼化した先日の事件を伝えると、驚きながらも勝田俊樹について話してくれるという。勝田一家は長く家を借りていたので、勝田俊樹を幼少から知っていたらしい。また、近所ということで深い交友があったという。
身長がとびぬけて高いわりに温和な性格をしていた俊樹は、近所の年の近い子たちからウドの大木とからかわれてたが、人一倍優しい子だった。
近所に住んでいた、快活だが多少荒っぽい性格の中津智則と行動を共にしているのをよく見かけたという。相性のいい組み合わせには見えなかった分、記憶に残っているらしい。
ただよく観察してみれば、根の優しい部分が似通っていて、引き合うところがあったのかもしれない。中津智則は友人が多いタイプだったが、俊樹はその逆だったため、俊樹にとって智則が唯一の理解者だったのだろう。
鬼が発生しはじめたころ、妹の美優が鬼に首を飛ばされたところを遠目で目撃していたそうで、それから中津智則と共に退魔集団の一員に志願したそうだった。
勝田一家には17になる次男が居て、妹の美優がいなくなってからというもの俊樹は弟をひどく大事そうに接していたという。

文哉は中津智則の名前が先日の事件の死傷者のリストに上がっているのを知っていた。
やはり…… 的なところで場面切り

朱璃視点
上映おわり、映画館から出る。
スタジオヂュブリ、カーネル三代目引退作品『泣く子も黙る三千里』を見て微妙な雰囲気。
「なんつーか、初めから飛行機で行けばよかったよな。なんの物語だよあれ」
『泣く子も黙る三千里』は主人公アシナガが母に会うため、長い道のりをその足で踏破する感動アニメーション作品だった。踏破の旅の途中、人間と昆虫が戦争をはじめ地上が戦火に呑まれたので、主人公アシナガは本業の飛行機設計で世界最速の飛行機を完成させ、空路を用い、感動の再会を果たす。
「そうそう。初めから飛行機ですっ飛んでいけばいいのに」
沈黙。朱璃は俯いたまま。様子がおかしいことに気付いて顔を覗いてみる。聞いてみれば、感動した……と涙。
非難轟々。朱璃は、自分の足で歩いてお母さんまで辿り着いたことに意味がある!と力説。
「だからといってわざわざ沼地を歩いたり泳いだりで渡る必要はないだろ……なら船でもいいから作ってさ」
「それじゃあアライグマとの感動的な死別がなくなる!」
「いやいや、どうして殺す」
最後まで理解してもらえず、住宅街で別れる。

事務所へ帰ろうとすると、道路に鵺が立っている。
あの時はそれらしい覇気があったのに、すぐに戻ってしまった。そうやって日和っていればまた人が死ぬ。悲劇が起こる。と煽られる。
朱璃は動揺する。しかし、力の引き出し方が分かったからとこれでいいと突き放す。鵺は軽くあしらう。
力を引き出した状態(人の幸せを求めず、負の感情に抗わない)でいるのが心地良いか聞かれる。

■グッド寄りの場合
きっぱりと否定。負の面に落ちてしまえば今日みたいな日が来なくなる気がするから、気分が悪い。
現実に抗うために、今後も仕方なく使うかもしれない。と主張。
鵺は認識が甘いと苦言。不機嫌をにじませながら消える。

■バッド寄りの場合
曖昧に返答。気持ちが良いと感じているかどうかはごまかす。
復讐を果たし、鬼を殺し、みんなを守るために力を振るえるなら(無意識の建前)、これ以上のことはないと言う。
朱璃のことを偉い、退魔師の鏡だと褒め囃し、無邪気な笑みを浮かべながら消える。