2009-05-07-魔法少女リリカルなのは総合スレ

2009-05-07-魔法少女リリカルなのは総合スレ

9 :AmuletHeartBreaker ◆NANOHA2Mhs [sage]:2009/05/07(木) 02:03:22 ID:9iESMZi60
                , -―::.- 、
                  /::/,二≧ >―- 、
                 {::{/    ̄`丶、 \
               ∨ ' /       `'<二::ヽ
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                 /イ /l/ |   !: l |  |  j ノ::::}
              l l' j/仍ト∧ 从|ハ|〓l  辷彡'
              | l 小ヒソ   V7沁│ / ,′/
              | l/{::::.     辷ソ}j / / /
              | l ∧ マ ┐ .:::彳′/_ノ/
              l八!.{\ _´_ // / /   ,. -―;-.、
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             ノ   ∨ `ー‐/::::::::::::':::::::\ ヽ::::::ヽ_/: : : : : /
              ,′   /   .∠:_::::::::::::::::::::::::::::Vハ::::::⌒ヽ: : : : ;/
          /   , ′  ∧   `丶::::::::::::::::::} }::::::::::::::::`く⌒
         /{.  /   ヽ} ヽ r   \::::::::::/ /::::::::::::::::::::::ヽ
      , .:'´::::::|  i      ,′  \    ヽ::/ / -──‐-、:::::}
     /::::::::::::::j  l     /       \ー::=彡'´  ̄ ̄ ̄`ヽ Ⅵ
    /::::::::::::::::::ri  l    ,/       _,>'´         | |リ
   {:::::::::::::::::/人__,'   ム-― ¬''  ̄/                | /⌒ヽ-―― 、
   _>'⌒Yヽ人_/`ヽ、__∧         /               /フ: : : : : : : : : : : ヽ
  (::_⌒:::::::::::;ィ(       }      _/__            /: : : : : : : : : : : : : :_ノ
10 :AmuletHeartBreaker ◆NANOHA2Mhs [sage]:2009/05/07(木) 02:03:28 ID:9iESMZi60  
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13 :学生さんは名前がない[sage]:2009/05/07(木) 04:39:33 ID:BG1Q4v6g0
>>9-10
ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
た、たぬきちゃん……。たぬきちゃん…!
うぅ……そうか…そうだったんだ…。僕がこの時間まで起き続けていた理由が今漸くわかったよ…。
全ては、このたぬきちゃんを拝むためだったんだね…。

14 :学生さんは名前がない[sage]:2009/05/07(木) 04:45:31 ID:BG1Q4v6g0
はやてちゃん…。君は今どんな夢を見てるんだろう…。
君が幸福な夢を見ていることを…、僕は…切に願う…ぅぅ。



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36 :学生さんは名前がない[sage]:2009/05/09(土) 18:53:56 ID:+hI5ydMx0
恋のカツンコツンだよぉ…
「おいお前っ!タッキューやるぞっ!」  「ぇえ!?僕ですかぁ!?」
GW2日目の夕暮れ時、僕と八神家御一行は無事に旅館へと到着したのだけど、
着いて早々ヴィータちゃんがあちこちを散策したらしく、彼女の提案により、僕等7人は館内にある卓球場にいるのだ。
卓球って言ったら温泉旅館の醍醐味ではあるけど、皆今日は疲れているし、明日にしたほうが…。
「ほら、ボール渡すからよっ!お前が先行なっ!」
聞く耳を持たないヴィータちゃんは僕にピンポン玉を軽く投げつけた。ていうかヴィータちゃんさ、ルールは知ってるの…?
「よくわかんないけど、打ち返せばいいんだよな?」
ま、まぁ…。一応当たってはいるか…。でもヴィータちゃん、人選ミスじゃないかなぁ…。僕以外の人のほうが…。
「いーからやるぞ!さぁ来いっ!」  
「わ、わかったよ…、じゃ、じゃあ行くよー。それっ」 カツン…コツン…。ヒョロヒョロの打球がヴィータちゃんの陣地へと入っていく。
「うぉぉぉぉぉ…!」  ヴィータちゃんはアイゼンを振り回すがごとく回転し、その紅いラケットで僕の打球を打ちかえしっ…、って!
「らぁぁぁぁぁぁあ!!!!」  ちょ、ヴィータちゃん!その打法はおかしいでしょッッ!カキーン!! ちょっ、あ、わぁぁっーー、痛ッッ…!!
ヴィータちゃんが全身全霊を込めて打ち込んだ球は、綺麗に僕の頬に直撃した。 ぐ…、ぅ、痛いじゃないかぁ…。
「あ、悪ィ!でもさ、タッキューって何か面白いなっ!」  ぅぅ…こっちは面白くないよ……。  
「もう、ヴィータ。卓球はそんなんやないんよぉ。見ててみぃ。君ぃ、ちょっと打ってみてもらえるぅ?」
え…、は、はやてちゃん…?う、ウソ…。は、はやてちゃんと卓球……。痛みの後に天使の癒し……。
「こっちは準備OKやでぇ~。」  あ、はい…。じゃあ行きますッ…。 先ほどと同様にサーブを仕掛ける。カツン…コツン…。
「はぁぃ。」  カツン…コツン…。はやてちゃんの打球はふっくらとした放物線を描き僕の陣地へゆっくり入ってくる。
カツン…コツン…。それに応えるべく、僕も慣れない手つきでピンポン玉を打ち返していく。カツンコツン…カツンコツン…。
互いの呼吸を合わせることで生まれるラリーの応酬…。カツン…コツン…。その音は一定のリズムを築きあげていった。
僕が打ち、球がはやてちゃんの元へと渡り、はやてちゃんが打ち返す…、ただ只管それの繰り返し…。
カツンコツン…はやてちゃん…カツンコツン…。カツンコツン…はやてちゃん…カツンコツン…。
悠然たるリズムが刻まれる。カツンコツンの音の合間に、はやてちゃんの姿が一定の間隔で僕の視界に入ってくる…。
カツンコツン…はやてちゃん…カツンコツン、カツンコツン…はやてちゃん…カツンコツン…。
ああ、まさしく……。これは、はやてちゃんへの愛の3拍子…恋のメトロノーム。
ラリーを続けるたびにっ、意図をせずともっ、君への想いが自動的に膨れ上がってしまう…。
はやてちゃんへの想い…。好き。好き…。好き……。”好き”がどんどん大きくなってく……。はやてちゃん…はやてちゃっ…!
「…。えと…君…。さっきから少しずつペースが早ぅなってない…?」
「えっ…?あっ。す、すみません…。」  夢中になるあまり、僕の打球速度が速まっていたらしい…。
「私こそ鈍臭くてゴメンなぁ。自分でも自覚してるんやけど……。」  ううん。独りよがりの卓球をしていたのは僕のほうだ…。
卓球は一人じゃ出来ない。きっと人生もそれと同じで…。はやてちゃん…、僕は…勝敗のつかない卓球をこのままずっと…君と…。
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37 :学生さんは名前がない[sage]:2009/05/09(土) 18:55:12 ID:+hI5ydMx0
ずっとはやてちゃんを見てたいよ… うぅ… ぐぅぅ… ぅうう…

47 :学生さんは名前がない[sage]:2009/05/11(月) 03:35:50 ID:2BZSMJTa0
は、はやてちゃん…。どうすりゃ会えるの……

48 :学生さんは名前がない[sage]:2009/05/11(月) 04:28:36 ID:2BZSMJTa0
月曜日怖い
はやてちゃん、もう少しだけ甘えていいかな…
君の姿を見てるだけでいい…

49 :学生さんは名前がない[sage]:2009/05/11(月) 04:41:25 ID:2BZSMJTa0
>>2-6
ほう、これはなのはさんではありませんか。可愛らしいですね。これは9歳ですか?魔法少女やってますね。
>>7-8
これはフェイトちゃんではないですか。おしとやかというか清楚というか…。9歳とは思えないほどオトナっぽい。

さて、次は誰が来るのやら……>>9-10
えっ…こ、これは、もしや天使…?いや、たぬき……?そんな…天使とたぬきのコラボレーションだって…?
そんなことがありえていいのですか?ありえていいのですか!
ドキドキ。あなたを見てると…自然とドキドキしてしまいます…。あのっ、せめてお名前を…お名前を教えてくれませんかっ!
「八神はやていいます。」
八神はやてちゃん…八神はやてちゃんって言うんだ…。
「機動六課で部隊長してますっ。」
機動六課で部隊長してるんだ…。
「正確には、元部隊長なんやけどな…。」
元部隊長なんだ…。
「なんか質問あるぅ?」
なんか質問あるんだ…。何であなただけたぬきなんだ…。
「んー、わからへんなぁ。スレ主さんの趣味やないかなぁ…?」
わからないんだ…。趣味なんだ…。
「けどなぁ、この格好って結構恥ずかしいんよ…。全身茶色やからちょっと地味やし…」
そんなことないんだ…、全然地味じゃないんだ…。
「それに、涼しいわりには所々蒸すんよ…。機能的にはあんまりよくないなぁ。」
蒸すんだ…。
「せやから、手袋と耳のカチューシャ取ってもええかなぁ?」
ええんだ…。いやえくない!えくないんだ!
君がそれを取ったらたぬき成分が抜けてただの天使になってしまうっ!そしたら僕は…まともに会話できなくなってしまう…。
「そぉなん?ちょっと試してみてもええかなぁ?(カチューシャ取り」
だ、ダメだ、よ…・ほ、ほら…それ取ったら…もう…天使になってるじゃないか……。
ああ…たぬきちゃんじゃなくなってるっ…はやてちゃん…になってる…はやてちゃん…うぅ…ぐぅ…
ノオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ

50 :学生さんは名前がない[sage]:2009/05/11(月) 04:46:56 ID:2BZSMJTa0
ねえはやてちゃん……君は一体どんな気持ちでその衣装を着たの…?
はやてちゃん…はやてちゃん……

51 :学生さんは名前がない[sage]:2009/05/11(月) 04:56:37 ID:2BZSMJTa0
断られてもいいから告白したい




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69 :学生さんは名前がない[sage]:2009/05/13(水) 05:15:19 ID:t6Z/a3AB0
通じたいよぉ…
とある平日、GWも終了したということで、外出中に溜まりに溜まった家事を皆で片付けることとなった。
「皆ぁ、気合入れて頑張ろうなっ。」
はやてちゃん総指揮の下、他メンバーに役割が与えられていき、おのおの仕事に取り掛かっていく。
流石一家の主だけあって、各メンバーの特徴を活かした役割分担は見事なものであり、
それプラスはやてちゃんの激励も合わさったことで、メンバー全員の士気はグンッと上がっていた。
八神総司令の命によりリビング地区の埃駆除担当となっていた僕は、せっせと床の雑巾掛けをしていた。
室内は誰の声もなく、作業の音だけが聞こえる物寂しい状況である。皆集中しているのはわかるけど…、
せっかく協力して掃除してるんだし、もう少し楽しく賑やかにやりたいじゃないか…。ねぇ、普通そう思うでしょ?
というわけで、今、丁度目の前を通りかかったシャマルさんに提案してみることにした。
「あの、シャマルさん。もう少し皆でお喋りしながら掃除しませんか?そのほうが楽しめると思いますし…。」
「お喋りですかー?それならさっきからいっぱいしてますよぉー。思念通話で♪」   「え……?ぇええええええ!!?」
思いもよらぬ返答に驚きを隠しきれなかった…。だって、それってつまり、普段から僕の知らないところで皆が話してるってことじゃ…
「あっ、そこらへん気になっちゃいます?ふふっ。普段はアナタのこともこっそりと色々話してるんですよー。悪口とかも。」
……。死にたくなった。やっぱり僕は皆から……うぅ…。ぅぅ…。
「冗談ですよーw じょ・う・だ・ん♪本気にしないでくださいっ。」  「そんな真顔で言われたら冗談に聞こえませんよっ!うぅ…。」
はぁ……。でもいいなぁ思念通話…。僕も皆と心で通じ合いたいよ…。何より…、はやてちゃんと…。はやてちゃん…ぅぅ。
「では通じてみます?やろうと思えばできますよー。魔力のないアナタでも♪」
へ?そ、それは本当ですかシャマルさん!お、お、おお、お願いします!ぜ、是非!
そう乞うとシャマルさんは僕の首の付け根あたりをピッと押した。……えっ。これだけで出来ちゃうんですか…?
「はい♪試しにヴィータちゃんあたり呼んでみてはどうですかぁ?」
わ、わかりました…!”ヴィータちゃん…、ヴィータちゃん来て…!” 2度ほど呼びかけると、
「なんだよ。何か用かー?」
なんとヴィータちゃんが現れた。本当だ…凄い!これ凄いですよシャマルさん!はは、凄い…。ありがとうございますっ!
「うふふ。ほらほら。あの人のことも呼んでみたら?」
はやてちゃんのこと、ですね…。ああ、どうしよう…。ちゃんと会話できるかな…。はやてちゃんと初めての思念通話…。ドキドキ…
「あ。言うの忘れてましたけど、余りに想いが強すぎる場合、感情が思念を通じて漏れてしまうことがあるので注意ですよ♪」
ぇ、ぇええ!?ちょっとシャマルさん!そ、そんなの聞いてませんよっ!そんな事態になったら僕の気持ちが全部バレちゃぅっ……
「3人で集まってどうしたん?」
え?わああ!そんなっ…、まだ呼んでもいないのにはやてちゃんがっ。まさか既にだだ漏れだとでも…?そんな…ダ、だめぇぇぇ…!
「呼んだんは君かぁ?」
ああっ…違う違うンだ…。僕はそんなこと想ってないんだ…いや本当は想ってるんだけど…いや、あの…いや…ぅぅ…。

70 :学生さんは名前がない[sage]:2009/05/13(水) 05:16:07 ID:t6Z/a3AB0
「ごめんなさいっ。全部ウソなのw」  
「えっ…?」
挙動不審に陥っていたところへ唐突に嘘だと告げるシャマルさん。。 あの…どういう…ことですか……。
「実は二人を呼んだのは私なのね。ちょっとアナタをからかいたくなっちゃってw」
なんですかそれ…。
「なになに?何の話してるん?」  
「実は……。」
シャマルさんがはやてちゃんに事情を話してるようだ。。あぁ…残念。でも少しでも夢が見られたんだ。良しとすべきか…。はぁ…。
落ち込んで溜息をついていると、
「なぁ、別に思念通話やなくても、ええんやないかなぁ?」
え、は、はやてちゃん……?
「親から貰った大事な口があるんやし…。せやろぉ?」
はやてちゃんの柔らかそうな唇からほんわか可愛らしい関西弁が発せられる。。 は、はやてちゃん…。うん。そうだね…。
はやてちゃんの言うとおりだ…。無いものねだりをしても仕方ない。今あるもので、この口で会話を重ねていけばいい…。
それを続けていったらいつか…、いつか真の意味での思念通話。魔力なしでの心と心の会話ができるようになる気がするんだ…。

127 :学生さんは名前がない[sage]:2009/05/16(土) 05:52:03 ID:jZo60h3a0
はやてちゃんと一緒に何処か偏狭の星でのんびりと暮らしたいなぁ…
戦いの無い平和な所でさ…、年を重ねながら、四季折々の生活を送っていくんだ…
日本同様、四季のあるその星で、春を迎えて、夏が訪れ、秋が来て、冬を越える…
様々な季節を巡って、そこに映るはやてちゃんの姿を、深く心に焼き付けたい…。
そこにある当たり前の日常を、はやてちゃんと過ごして往きたい…。
10年、20年、30年先までずっと…ずっと過ごしていきたいな…
老後は海鳴市にある八神邸に戻ってきてさ、数十年前の出来事について懐かしむんだ…
嬉しかったこと、悲しかったこと、いっぱい笑ったこと、泣いたこと…、
残りの僅かな人生を、隣にいる人と一緒に分かち合っていきたいな…。
やがては、僕も老衰もしくは病にかかり、死を迎えるときがくるであろう。
そのときは…、

「わしは…はやてさんとおれて幸せじゃった…」

数十年分の気持ちを伝えようと思う。君はなんて応えるかな…?笑顔で応えてくれるかな…?
はやてちゃんの笑顔に見守られながら僕は死にたい…
もしそれが実現できたなら、ああ…、こんなに幸せなことはないよね…
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128 :学生さんは名前がない:2009/05/16(土) 05:59:15 ID:LSOYowDv0
せやけど…それはただの夢や…ただの夢なんや…。
だから、、、君…まだ逝かんといてな…?絶対やで?…絶対や…。」

129 :学生さんは名前がない[sage]:2009/05/16(土) 06:05:09 ID:jZo60h3a0
ああ
朝っぱらから泣くことになろうとは

130 :学生さんは名前がない[sage]:2009/05/16(土) 06:18:21 ID:jZo60h3a0
はやてちゃん… 会いたいよ… ぅぅ…

195. ┌(┐ ・д・)┐の弟子 ◆A.K.O..... 2009/05/20(水) 00:43:22 ID:0Olr9ToQP

せやけどたぬきは人を化かすんやで


204. 学生さんは名前がない2009/05/20(水) 23:19:00 ID:yTz2FHJd0

>>195
はやてちゃん……
僕の心は…、もうとっくの昔に化かされてるのかもしれない…
でもね、もしそうだとしても、僕は全然構わないんだ…。後になって悔やんだりもしない…。
短い人生の中で君に巡りあえたこと、ただそれが嬉しいんだ…。感謝してもし足りないくらいなんだよぉ…


205. 学生さんは名前がない2009/05/20(水) 23:26:58 ID:yTz2FHJd0

「はやてちゃん」って文字を書くだけで心が幸せで満たされていく…
はやてちゃん…。はやてちゃん……。八神はやてちゃん… ぅぅ。





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209. 学生さんは名前がない2009/05/21(木) 07:22:29 ID:SWVkq/Pq0
好きってどういうことなんだよぉ…。
とある平日の夜、リビングのソファに座ってゆっくりしていると、
「なぁ、ちょっといいか?」
声をかけられた。いつも聞きなれているこの人懐っこい声の正体は……。
後ろを振り向くと、二つの三つ網が良く似合うヴィータちゃんが声の主であった。こんな夜に何の用事だろう?
「聞きたいことがあるんだけどさー」
ヴィータちゃんが僕に聞きたいことだって…?聞かれても教えてあげられることなんて無い気がするんですけど…。
「お前って、はやてのことが好きなのか?」  
「えっ…………、、ぇえええええええ!?」
あまりに突拍子でダイレクトなその質問に驚愕するしかなかった…。え、ヴィ、ちょ、ヴィータちゃんっ、どうしてっ…
どうして僕がはやてちゃんのことを好きだって知ってるんだ…。シャマルさんならともかく、ヴィータちゃんにまでバレてるって…。
これは由々しき事態ってレベルじゃないよっ…。まずい…こ、これは…ぅぅ…。ぅぅう…。ぅううぅうぅ…。
「私も、さ…、はやてのことが好き、なんだけどさ……。って、おい!お前ちゃんと聞いてるかっ!?」
「うぇ?」
一人で勝手に混乱していた僕だったが、ヴィータちゃんの話にはまだ続きがあったようだ。なになに、ヴィータちゃんも…?
「なっ…、何度も言わせるなよっ…。わっ、私もはやてのことが…、す…、すきなんだ…っ!!」
両手をぶんぶんさせながら必死に告白するヴィータちゃんは可愛いかった。そうか、ヴィータちゃんも好きなんだ…。けど、、
「うん、よくわかったけど…、どうしてそれを僕に…?ま、まさか…ライバルだから潰すとでも言い張るんじゃ…」
恐る恐るヴィータちゃんの表情を伺う。
「ライバル?何言ってんだ?私はよ、その…、ただ…、この”好き”って気持ちがよくわからなくてさ…」
なるほど…。そういうことか…。そういう類の質問なら答えられそうだ。はやてちゃんへの気持ちを率直に…、素直に…。
「ねえ、ヴィータちゃん。はやてちゃんを見てるとさ、胸がキュンッってならない?もう、いっつもドキドキしてさぁ…」
「いや…そういうんじゃないな…。私はさ、なんつーか…、その…、はやてと…、ずっと一緒に居てぇんだ…。」
照れながらそう答えるヴィータちゃん。あれ、でもおかしいな。同じ”好き”のはずなのに、何故に意味の不一致が起きてしまうのだ?
「私の”好き”とお前の”好き”ってやっぱりちげーのかなぁ?」
いや…どう、なんだろう…。自信が疑念に変わっていく。”好き”って…、何なんだろう…。あれ…、僕もわからなくなってきたぞ…。
「私が答えようか。”好き”とは誰かを守りたいという気持ちだ。私は主はやてを守って生きたいからな…。」
そう言い放ったのは、柱の影から不意に現れたシグナムさんだ。なるほど合点がいく。そしてシグナムさんらしい答えでもある…。
「もー、シグナムは堅すぎよー♪ ”好き”になるってのはね、えっちなことなのよ♪ふふっ。」
にっこり笑顔のシャマルさんがシグナムさんに次いで答えた。 えっと、シャマルさん…、えっちなことですか…?
「そうですよ~。だって好きなんですもの♪」  「シャマルッ…!お前という奴はっ…!」  「でも本当のことですものw」
二人で言い争いが始まったみたいだ…。でも、そうなってしまうのも頷ける。”好き”には答えが多すぎる…。


210. 学生さんは名前がない2009/05/21(木) 07:22:57 ID:SWVkq/Pq0

今ここにいないリインちゃんはヴィータちゃん説、ザフィーラさんはシグナムさん説が濃厚だろうか。
シャマルさん説は……、、まぁ置いといて…、とにかくっ。”好き”って言葉をもう少しシンプルに表現することはできないのかなぁ…。
好き、好き…、どういうことなんだろう…。難しい…

「んー、その人のために一生懸命になるってことやないかなぁ…?」

一生懸命…。そ、そうかっ…。一生懸命かっ…!
好きだから、その人と一緒にいたいって一生懸命願う…。
好きだから、その人を一生懸命守りたいって思う…。
好きだから、その人で一生懸命えっちなことを考える…。
誰かを好きになるってことは、その人に夢中になるってことなんだ…。なんとなく、判ったかも…わかった気がする…
「あの…、今答えた人誰ですかっ…!?一生懸命ってやつですっ!」
「私のやろか…?」
えっ…!?は、はやてちゃん……!?そ、そんなっ……うぅ…いつの間にこの場に天使が舞い降りていたのっ…。
「せやけど、あまり参考にならへんかも…。」
はやてちゃん…。ううん、そんなことないよ…。だって、、
君が出した答え、”好き”の意味…。僕は今、君に対してこんなにも、こんなにも一生懸命になろうとしてるのだから…。
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211. 学生さんは名前がない2009/05/21(木) 07:30:05 ID:SWVkq/Pq0

>>206
ああ…癒されるなぁ…
八神家って本当いいものだ… 照れてるアギトちゃん可愛いな…
アギトちゃんの花火で皆と盛り上がりたい… はやてちゃんと花火… ぅぅ…

220. 学生さんは名前がない2009/05/21(木) 23:59:21 ID:SWVkq/Pq0

まず口を大きく開けて、「は」と発声する…
その感覚を忘れないようにして、もう一度同様に繰り返し、少し大胆に「や」と発声する…
次に、舌を前歯の裏側に優しくタッチさせながらの「て」の発声…。未完成な3文字が心を時めかせる…。
4文字目は復習。さっきまで出来たことがもう一回できるだろうか…?思い出すようにして「ちゃ」と発声し、
最後に、「ん」と発声することで、上唇と下唇が運命の再会を果たす…

は、や、て、ちゃ、ん…、は、や、て、ちゃ、ん……。は、や、て、ちゃ、ん…
徐々に、天使の姿が脳内に炙りだされて来る… 好きな人の姿が…心の回路に連結していく…
キュンキュンキュン。キュン、キュンキュンキュン、キュンキュン、
はやてちゃん…はやてちゃん…
一度でも口にしてしまえば…、寂れた心に幸せシロップ…。温かい…あったかいよぉ…


266. 学生さんは名前がない2009/05/26(火) 00:00:10 ID:giEa8hmO0

>>261
海か…それともプールかなぁ…?
休暇を利用して八神家のみんなと行きたいな…ぅぅ…
次の三連休…、海の日あたりがいいかなぁ…。でもそれまでまだ2ヶ月近くあるのか…
はぁ。





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267. 学生さんは名前がない2009/05/26(火) 05:50:25 ID:giEa8hmO0
わん…わんわんぉぉ…。
「おい!はやてっ!そっち行ったぞ!頼むっ!」
ワンワン…!ワンワン…ワン…!ワンワン!ワンワァン!ワンッ…!
「了解やヴィータ!おいでぇ、怖くないんよぉ…?おいでぇ。」
わん……くぅぅん…。わん…。。ぅぅ…、わん…。ぅぅぅ…。わん…。わ、わん……ワン!!
「あー…逃げられてもうた…」
ワンワワンワン、ワンワワンワン、ワンワン、ワンワンワンワ…。ワンワワンワンワンワンワンワン。
ワン…。ワンワンワンワン…ぅぅぅ…。
「む…、お前はまさか…。アイツなのか…?」
現状に嘆いていると、突き当たりの角から獣モードのザフィーラさんが声を…、
「って、、ザフィーラさん!ひょっとして僕ってわかるんですか!?僕の声が!」
「あ、ああ…。」
よかった…話の通じる相手が見つかって…!聞いてくださいよっ、朝起きたらこんな姿になってたんですよっ…!!
そう、目が覚めて起き上がると体が縮んでいて、僕は全身毛だらけの犬になっていたのだ。
「ザフィーラさん…僕は一体どうしたら…」
「うむ…。それはおそらく、今お前の後ろでほくそ笑んでいるそいつに聞けばわかるはずだ。」
ザフィーラさんの鋭い眼光が僕の後ろ側に向けられる。それに釣られて後ろを振り返ると…
「もーぅ、ザフィーラったら!なんですぐバラしちゃうんですかぁ!」
「俺はばらしたつもりはない。ただ”聞けばわかる”と言っただけだ。」
「うっ……、もう…!ザフィーラの意地悪っ!」
あの…勝手に話が進められているようですけど、シャマルさん…、ひょっとして貴女がこの所業を…?
「……。」
シャマルさんは何も答えない。ただじーっとこちらを見ているだけである。あの、シャマルさん……?
「ねえザフィーラぁ、この子が何て喋ってるかわかるー?」
だぁぁぁ…、そうだった…。ザフィーラさんとの会話で安心して忘れかけてたけど、今の僕は犬語しか喋れないのだった…。
「あの…スミマセン…、ザフィーラさん…翻訳、頼めますか…?」  「了解した。」
ザフィーラさんがうまくやってくれると信じ、僕は高みから見下ろしてくるシャマルさんへと声を張り上げた。
「シャマルさん!どうして…こんな悪ふざけを…!今すぐ元に戻して下さいよっ!」  「…と言っている。」
「あらぁ?戻してもいいのかしらぁ?アナタも知ってるはずよね?はやてちゃんが”犬好き”だってこと♪」
「えっ…あっ…。そ、それは……。」  「…と言っている。」
はやてちゃんは犬が好き…。それは知ってる…。ザフィーラさんが普段から獣でいる理由もこれにあたるからだ…。
「それでぇ、どうだったのぉ?はやてちゃんに追いかけて貰ってぇ♪ 楽しかったぁ?」


268. 学生さんは名前がない2009/05/26(火) 05:50:40 ID:giEa8hmO0

「正直……。…たまりませんでした。もう…死んでもいいってくらい……でした…」   「…と言ってry」
「あらそうw 良かったじゃない♪」
シャマルさんはニヤニヤしながらこちらの様子を伺ってくる。ぐぐっ…悔しいけど…今回はシャマルさんに感謝せねばなるまい…。
はやてちゃんに追いかけて貰える、なんて今後の人生でもう二度とないだろうから…。
「シャマルさん、ありがとうございます…。もう僕は…幸せすぎて……ぅぅ…」
「お礼はいいわぁ♪ その代わり気をつけて。この変身魔法には特別な術式が施されてるのね♪」
特別な術式…?なにやら可笑しなことを言い出すシャマルさん。
「えっと、どういうことでしょうか…?」
「この魔法はですね、はやてちゃんに触れてしまうと解けてしまう魔法なのよぉ♪」
え?ええ…?
「つまりね、アナタがはやてちゃんに触れた瞬間、裸のまま人間に戻っちゃうってことなのよ~w」
なっ……なんですってぇぇぇぇ!!? じゃあ…もしはやてちゃんに捕まったら……
「オ・ワ・リ♪ いろんな意味でね♪はやてちゃんに追いかけてもらえるんですもの、それくらいの代償は仕方ないわぁ♪」
そんな……そんなのって…
「ほぉら考えてる時間はないわよー、ご本人の登場みたい♪」
「ほぁぁー、やっと見つけたぁー。シャマルが見ててくれたん…?」
ウソでしょ…。わ、わあああああ…!! 僕は全速力でその場から逃げ出した。
「あぁ~ん、待ってぇーなぁ。どうして逃げるん?」
はやてちゃんが追いかけてくる。はやてちゃんが…僕を追いかけてくる…。こんなこと…もう二度と起こりえないのに…。
ぅぅ…くそぅ…くそぉぉ…くそぉぉぉぉぉ…。屋内には騒がしい犬の鳴き声だけが響き渡っていた。
ただひたすら逃げ回る子犬…。――と、ここで、犬相手に追いかけっこは流石に疲れたのだろうか、はやてちゃんの足音が止んだ。
掴まらずに済んだのだと、少々安堵しながら振り向くと、約10M先に悲しそうな表情をしているはやてちゃんの姿があった…。
「なんでやろ…。私、あの子に嫌われてるんかなぁ…?」
胸にズキンっと痛みが襲う…。そんな……、はやてちゃん…、嫌いなわけ…ないよ…嫌いわけないんだよ…。
好き……。好きなんだよ…。僕ははやてちゃんが…大好きなんだ……。好き……好き……好き……。
またも屋内に犬の鳴き声が響き渡る。何度”好き”と言おうと、それは人間の言葉に変換されないただの犬語だ。
犬の言葉は…人間には伝わらない…。僕はどうしようもないやるせなさを感じた…。はやてちゃん……ぅぅ…ぅぅぅ…。
「おいで…。」
ぇ…?はやてちゃん…? はやてちゃんはその場にしゃがみ込み、僕を呼び込む。
そんな…まさか気持ちが伝わったの…?いや…でも、例え伝わったとしても、触れた瞬間、魔法は解けてしまうんだ…。
伝わらない”好き”、追いかけ手を差し伸べてくる彼女、触れたら終わり…。色んな想いが交錯し、葛藤塗れの心で僕は……、
ワンワン、ぅぅ…。ワンワン… ワンワン…ワンワン……。
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269. 学生さんは名前がない2009/05/26(火) 05:51:24 ID:giEa8hmO0

ぅぅう……ワンワンワン…わんわん…わんわん…。

わんわん…

うぅぅ…


280. 学生さんは名前がない2009/05/26(火) 23:43:45 ID:giEa8hmO0

はやてちゃん…はやてちゃん……はやてちゃん…
はやてちゃんはやてちゃんはやてちゃんはやてちゃんはやてちゃん…
はやてちゃん…。はやてちゃんはやてちゃんはやてちゃん…ぅぅ…
呼べば呼ぶほど幸せな気持ちになれるぅ…… ぅぅ…
呼ぶだけで幸せになれるなんて…… まるで魔法だよぉ…


281. 学生さんは名前がない2009/05/26(火) 23:46:52 ID:giEa8hmO0

久々に…どうしようかな…。ぅう…。よし決めたぞ…久々に見ちゃうぞ…!
えい!
>>9-10
ぅう…たぬきちゃん…。ああ、あいも変わらず君は愛らしい姿のままで……
ああ、いつぶりかなぁ?10年ぶりくらいな気がする…。長い長い時を越えて、ようやくたぬきちゃんに再び巡りあえたよぉ…ぅぅ


282. 学生さんは名前がない2009/05/26(火) 23:56:38 ID:giEa8hmO0

そういえば…いよいよ迫ってきたよね…。
はぁ。どうしよう…。どうしようどうしょう…。ぁぁぁ…どうしよう…
はやてちゃん…ぅぅぅ…
はぁ。


284. 学生さんは名前がない2009/05/27(水) 00:05:58 ID:98CeOXPL0

うん…。はやてちゃん…可愛い……。か、かわいいよぅ……
す、すぅ…。
ぅぅぅ…。ワン…ワンワン!わんわん!


340. 学生さんは名前がない2009/05/29(金) 23:16:35 ID:RBHUaTX/0

>>323
良かった…。まだ写真が残ってた。
昨日見るより、平日全員を倒して見たほうが、気持ち的に全然違うって思っていたんだ…。
スレの流れからはやてちゃんの写真であることは大方予想はついていたし…。
そして今、ようやっと……その写真の扉を開くことができる…
キィィ…
ああ…。。やっぱり。やっぱりはやてちゃんがいましたね……。
お友達と皆で海に……。ああ…とても、楽しそう。。
とても楽しそうなはやてちゃんを見て、僕の疲れとかそういうのは……もう……あはぁ…


341. 学生さんは名前がない2009/05/29(金) 23:18:24 ID:RBHUaTX/0

>>323
飛行機雲が映ってる……願わくば、僕はその便の飛行機に乗っかって、
高度何万メートルから、はやてちゃんたちが遊んでる光景を眼に焼き付けたい…
高度何万メートルだから、米粒、いやたぶん見えないだろうけど…
それでも、写真じゃない、本物のはやてちゃんが見れるとしたら僕は……


342. 学生さんは名前がない2009/05/29(金) 23:22:50 ID:RBHUaTX/0

>>312
はやてちゃんと電話かぁ……はやてちゃんと会話できるなんて夢みたいだよね…


343. 学生さんは名前がない2009/05/29(金) 23:44:57 ID:RBHUaTX/0

ホント、夢見たいな話だよまったくぅ……

トゥルルル、トゥルルルル

ん?電話…?誰だろうこんな時間に。。えっと今は5月29日の23時44分32秒。僕はいつもどおり2ちゃんねるタイムだ。
普段はあまりならないはずの携帯電話。。 親かなぁ…?いやとっくに寝てるはずだよなぁ…。
携帯電話のディスプレイには見知らぬ番号…。非通知でもなく、何処にでもありそうなありふれたその番号…。
でも何故だろう。この番号、知らないはずなのに……、とても心地よく、あたたかい気持ちにさせてくれる…
ただの電話番号なのに……。どうしてだろう。ドキドキ。妙な好奇心。出たい……という気持ち。
ピッ。
好奇心そのままに、きがつけば僕はその着信を受けていた…。もし…もし…。

「あ、やっと出てくれたぁ。こんばんはぁ。」

えっ……。え?瞬間、疑いの念が生じる。イタズラ…?いや…、でもこの越えは…

「夜分遅くにすみません、八神はやてです。」

は…や…て…ちゃん…?うそ…ホントウに…?はやて…ちゃん…?

「ほんまもんやよ。今日もお疲れ様ぁ。相談事があるって聞いたから電話したんよぉ。」

受話器から、ほんまもんのはやてちゃんの声が、はやてちゃんの意思が、はやてちゃんの心の音が聞こえてくる……
トクン…トクン……安らぎを与えてくれるその声は日々の疲労を癒す天使の声…。話すことも忘れて聴き更ける…。
「もぅ、聴いてるん…?」
はい。聴いています…。生まれたときからずっと、ずっと僕ははやてちゃんの声を聴いてたんだ…。
そして今、ぼくは、僕の声をはやてちゃんに届けたい…。
届いて…、くれるかな…?届いて、ほしい…。
受話器に一つの願いをかける。電話さん電話さん…どうか…僕の声をはやてちゃんに届けてくださいませんか…?
会話の、文章の、1文の、1文字の、その発音を、ひとつひとつ頭の中で…何度も何度も試行錯誤、悩んで…なやんで…組み立てていく。
拙く、恥ずかしい気持ちを…恋の原動力に変えて…。
伝わってくれるかな……





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381. 学生さんは名前がない2009/06/02(火) 04:25:48 ID:qYEg38v20

伝わらない気持ちの届け方だよぉ…。
とある平日の夕方のこと。
その日の掃除が終了し自分の部屋に篭っていると、トントンと扉を叩くノック音が聞こえてきた。
「おい、いるか?リビングに集合だとよ」
扉の外から聞こえてきたのはヴィータちゃんの声だ。こうやって部屋の前まで来ることは初めてな気がする。
「ん?集合?ヴィータちゃん、何かあったの?」
「まぁな、とにかく来てくれ。皆待ってるからよ。私は先に行ってるぞー」
皆が…?一体何の用だろう。うーん…。何か悪い事でもしたかな…?掃除のダメ出しとか…?いやそれとも……。
考えられる理由はいくつかあったけど、僕はとりあえず部屋を後にして、リビングへと行ってみることにした。

リビングへの扉を開けて辺りを見回すと、いつもの八神家のメンバーが……、と思いきや、若干一名足りない。
足りないメンバーは、八神家の主はやてちゃんである。いつも最初にはやてちゃんを探すからすぐに気づいてしまった…。
「あの、シャマルさん。はやてちゃんは何処に…?」
「はやてちゃんなら夕飯の買出しでーす♪」
軽快にそう答えるシャマルさん。ということは、はやてちゃん以外のメンバーが呼び出されたという事になるんだろうか。
リビングの中央では、シグナムさんが腕組みをして立っている。これから何が始まるというんだろう…?
「おお、来たか。これで揃ったな」
なにやら物々しい雰囲気のシグナムさん。この態度から察するに掃除のダメ出しでは無さそうだけども…。
「さて、わざわざ皆に集まってもらったのは他でもない…」
皆に召集をかけた理由…なんだろう…。ゴクリ…。
「皆も知っているとは思うが、我等が主八神はやての誕生日が2日後に迫っている。
 そこでこれから、『2009年度八神はやて誕生日会』についての作戦会議を執り行う!まずは、仕切り役だが…」
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
「む?どうした?お前が仕切り役に立候補したいのか?」
「あ、、い、いや……、その…違いますっ。す、すみません…。」
つい声を大にして取り乱てしまった…。……けどッ。ああぁっ、なんてことだ……。
カレンダーを見るといつの間にか6月になっていて、はやてちゃんの誕生日(6月4日)がすぐそこまで来ているではないか…。
八神家の皆との暮らしがあまりに幸せ過ぎて忘れていた…。好きな人の誕生日を忘れてるだなんて…。僕は…ぁぁ…ぅう…
「ふふ、去年はアナタが仕切って大成功でしたもんね、シグナム♪」
「ああ。去年はサプライズで行ったのが功を奏したのか、主はやても特に喜んでくれた。でだな、今年は…」
ヴォルケンの皆は、今年の誕生会についての提案を各々出し合っているようだ…。
皆はちゃんと日程を把握してこの日のために色々と備えていたのだろう。それに比べて僕は…。ぅう…。一人蚊帳の外だ…。


382. 学生さんは名前がない2009/06/02(火) 04:26:16 ID:qYEg38v20

ああ…。ど、どうしよう…。ぅぅ…。どうしよう…。
背中に嫌な汗が滴り堕ちる。
2日。後2日しかない…。にも関わらず何の準備もしてない…。僕は一体どうしたら…。
「あらぁ、トイレでも我慢してるような顔しちゃって。どうかしたのぉ?」
タイムリミットに絶望していると、その様子を察したのか、シャマルさんが声をかけてくれた。
シャマルさんといえば、いつも僕の話を聞いてくれたり、知恵を貸してくれる人だ。ならば…。シャマルさんなら…。
シャマルさんなら何とかしてくれるかもしれないっ……。
「あのっ、シャマルさんっ!」
「はい?って、ちょっ!キャッ!なんですか!?何処につれてく気ですかぁ~~?」
陵南の仙道に頼るような胸中で、僕は半ば強引にシャマルさんを小部屋の一室に連れ出した。
「もう!何なんですかっ!?こんなところに連れ出してっ!ま、まさか…ひょっとして…だ、ダメですからね…!?」
「ち、違いますよっ!そんなんじゃありませんって!あ、あの、恥ずかしい話なんですが、実は……。」
僕はシャマルさんに事の経緯を説明した。経緯といっても、ただ僕が誕生日を失念していただけなのだが…。
「あらぁ、そんなことで悩んでたのぉ?」
「そんなことて!2日前に気付けたからまだいいですけど…、まだプレゼントも何も用意してないんですよっ…?」
「はぁ。何を言い出すのかと思ったら…。アナタもわかってるはずでしょう?はやてちゃんがそんなこと気にすると思う?」
確かに…。はやてちゃんは気にしないかもしれない。いや、きっと気にしないだろう…。
「こういうのはですね、気持ちが大事なんですよ。キーモーチッ。昔からよく言うでしょう?」
シャマルさんの言っている事は尤もだ。大切なのは気持ち、祝いたいという気持ち…。それはわかってる…。わかってるけど…。
「確かにそうですね…。けれど…、もしも、”伝わらない気持ち”があるとしたら、それはどう届けたらいいんでしょうか…?」
「はい…?」
「僕…、ぅぅ…はやてちゃんを前にしたら喋られなくなってしまうから…。言葉じゃ気持ちを伝える事が出来ないんです…。
 だから…気持ちを具現化してプレゼントという形で、はやてちゃんに渡したいんです……。」
「ふぅん、そうですかぁ。”はやてちゃんの前では喋れない”、ですかぁ。私の前ではこんなに舌が回るのにねぇ?」
「えっ?あ、そ、それは……、あの…、うぅ…。」
「あのですね、言っておきますけど、私はアナタのドラえもんでも何でもないのよ?そこらへんわかってます?」
いつも笑顔を絶やさないシャマルさんには珍しく少々怒っているようだ…。ここはなんとかして機嫌を取らなければ…。
「あ、あのっ、ド、ドラえもんだって…、、その、愛嬌があって、その、可愛らしいと思いますっ…!」
足りない頭から搾り出した会心のお世辞だ…。どうだ…?効いてくれるか…!?
「あらぁ?アナタってそういうことも言えたのねぇ(笑) はやてちゃんにも言ってあげたらいいのに♪」
ぐっ…、この程度のお世辞では見抜かれて当然か…。流石はシャマルさんだ。 …それにしてもドラえもんかぁ。
ぅぅ…。はやてちゃんにドラえもん…。共通点たぬき…。た、たぬきちゃん…。はやてもん…。ドラちゃん…はやちゃん…。


383. 学生さんは名前がない2009/06/02(火) 04:26:33 ID:qYEg38v20

「それで、アナタは結局どうしたいんですか?」
妄想に耽っていると、シャマルさんが具体的な結論を迫ってきた。シャマルさん…。。僕はですね…、、僕はっ…、
「はやてちゃんに……、もっと……、もっと一生懸命になりたいんですっ…!」
「はい…?あのぉ、言っている意味がよくわからないんですが…。」
自分でもよくわからない…。でも、きっと…、伝えたいんだと思う。祝いたいという気持ちと、好きって気持ちと…。だから…、
「僕は…、、はやてちゃんに…、誕生日プレゼントを渡したい……、です…。」
「そんなに渡したいのなら、渡せばいいんじゃないですか?」
「仰る通りなんですが…、急だったもので…、何を買おうにも如何せん資金が足りなくて…。」
「あぁ、そういうことですかぁ。それでわざわざ財政担当である私を相談役に選んだのね…。」
「いえっ、決してそういうわけじゃ…!ただシャマルさんはいつもはやてちゃんと僕の仲を取り持とうとしてくれるから…。それでっ…」
必死に言い訳する僕に対し、シャマルさんは、ふぅ、と軽くため息を漏らした後、静かにいつもの笑みを浮かべた。
「わかったわぁ。それで、私はどうしたらいいんですかぁ?」
「あの……出来れば…、給料の前借りをお願いしたいんです……。」
そう乞うとシャマルさんは懐から黄緑色のサイフを取り出し、6月分の給料を……、って、
「シャマルさん!これ、いつもより多いですよ!?2倍以上ありますっ!」
「サービスよ、サービス。これでプレゼントを買って、はやてちゃんにちゃんと気持ちを伝えなさいな。それじゃ頑張ってね。」
去るシャマルさんのその後姿は、貴女一体いくつなんですかと言いたくなるほどの風貌だったけど、
そんなことより今は、ここまでしてくれたシャマルさんに心からお礼を言わねばなるまい…。
「本当に…本当にありがとうございますシャマルさん…。」
これで、はやてちゃんへの誕生日プレゼントを買う事が出来ます…!
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398. 学生さんは名前がない2009/06/03(水) 04:12:07 ID:MXf7Wf6t0
ちょっと行ってきたよぉ…。
翌日。はやてちゃんの誕生日が明日に迫り、そのプレゼントを買うために僕は電車で街へと出向いていた。
街中は奇抜な格好をした若者やカップルで蠢いており、みすぼらしい身形をしている自分はどう見ても場違いだったが、
それでもはやてちゃんのために、と考えることでそんな惨めな気分もやり過ごす事が出来た。
慣れない人ごみの中を早足で通り抜け、僕は今、とあるデパートの入り口を前に直立している。
何やら豪華そうなデパートだけども、お金ならのことなら大丈夫だ。シャマルさんのおかげで予算はそれなりにある…。
それよりプレゼントの内容をどうするか…。オーソドックスに行けば宝石系だろうか?いや、それとも…。ダメだ…わからない…。
何せ、好きな人にプレゼントを贈るのは初めてだからな…。ぁぁ、どうしよう…。とりあえず何でもいいから何か行動しなきゃ…。
僕は入り口前のマップを参考に1Fの宝石店から順番に見て回る事にした。
店内に入ると、何だろう…、皆から見られているような錯覚に陥る。自意識過剰なだけだろうか。
店員の視線が怖い。全員敵とさえ思えてくる…。怖い…。怖いよぉ…。怖いけど……、
はやてちゃんにプレゼントをするんだと自分に何度も呼びかけ、自分の心を勇気付ける…。
大丈夫。まだ見物している段階だし、店員から話しかけられるなんてことは……、
「お客様、何かお探しですか?」
ひっ…!な、なんで……なんで話しかけてくるのっ…。店員さんってお会計だけやる人じゃないのっ…?ぅ、ぅぅ…
店員の呼びかけは聞かないフリをして、その場から即逃げようとしたそのとき、
「あれ、ひょっとして君は…。」
えっ…?この声…そういえば聞き覚えがあるような…?記憶を信じて、後ろを振り返ると、
「フェイト…さん…?」
「やっぱり君だったんだ。前にはやての家で会ったよね?」
そこにはフェイト・T・ハラオウンさんこと、フェイトちゃんがいるではないか…。で、でも…どうしてこんなところで働いて…。
「えっと…知り合いに代役を頼まれちゃって…。私は無理だって言ったんだけど、立ってるだけでいいって言われて…。
 でも、立ってるだけじゃ仕事とは言えないし…。だからちょっと接客してみたくなったんだ…。」
デパートの接客業なんて一夕一朝で身につくものではないはず…。にも拘らずフェイトちゃんは完璧にその店に溶け込んでいた。
これは、フェイトちゃんの美貌と執務官としてのコミュ力があってこそのものなのだろう…。まぁ…、とにもかくにもだ…、、
「良かった…。話せる相手が見つかって…。本当に良かったです…。これで安心してプレゼントを買う事が出来ますっ…」
「プレゼント?あ、ひょっとしてはやての誕生日に…?」
流石フェイトちゃんだ…。はやてちゃんの友人だけあって理解が早い。これは非常に助かる…。
「予算はどれくらいかな…?」
僕はおおよその予算をフェイトちゃんに伝え、さらに加えてもう一つ…、
「あの…、出来れば、なんですが、この予算を全額フルに使いたいんです…。」
手持ちの資金は全て使い切りたかった。それがはやてちゃんに対する愛情の証明になる気がしたから…。


399. 学生さんは名前がない2009/06/03(水) 04:12:39 ID:MXf7Wf6t0

「わかりましたっ。それではこちらに。」
フェイトちゃんは僕を所定の宝石コーナーまで案内してくれた。周囲には煌びやかなネックレスやイヤリング、指輪が並ぶ。
指輪か……。ああ…、僕もいつか…はやてちゃんに…ぅぅ…。
「えっと、これなんかいいと思うんだけど。どうかな?」
軽く妄想に浸る僕に向けて、フェイトちゃんが紹介してくれたのは”ムーンストーン”と呼ばれる宝石のついたネックレスだった。
「これはね、6月の誕生石なんだ。本来6月には誕生石が3種類あって、一つがこのムーンストーン。
 二つ目はアレキサンドライト。三つ目はパール。あ、三つ目は有名だよね。日本名でいうと真珠だよ。」
フェイトちゃんは素人とは思えない説明をしてくれる…。これも雑学の知識の一つなんだろうか…流石といわざるをえない。
「ほら、見て。ムーンストーンはね、見る角度によって、ほら…」
「本当だ…。凄い…。水色になったり透明になったり……。綺麗…ですね…。」
その透明感のある水色は…まるではやてちゃんの瞳を思わせる様だった…。いとしい人の綺麗な瞳を…。
ムーンストーンは一発で僕の購買意欲を虜にした。
「フェイトさん、僕、これに決めましたっ!」
「う、うん…。でもね、それだと…ほら、金額が…。」
「あっ…。」
値札を見ると予算の約半分の値を示していた。こんなに綺麗なムーンストーンなのに、何で他のモノより安いんだろう…。
「えっとね、この値段近辺の商品となると、基本的にダイヤの数で値段は決まっちゃうんだ…。」
ダイヤの数、ですか……。正直ショックだった。こんなに眩い輝きを放つ宝石なのに、値打ちが低いだなんて…。
「これじゃ予算には程遠いですね……。はぁ……。残念です…。」
「ねえ、そんなに予算に拘らなくてもいいんじゃないかな?はやてならきっと喜んでくれると思うよ…?」
はやてちゃんなら、はやてなら、フェイトちゃんもシャマルさんと同じことを言ってくる。確かに…、確かにそうかもしれない…。
「でも…、それは結局のところ妥協ということになる気がするんです…。僕は…妥協したくない……。だから…。」
「わかったよっ。君がそこまで言うのなら…。」
そう言ってフェイトちゃんは違う宝石ケースからもう一つのネックレスを取り出した。小さな一粒の宝石が輝いている。
「えっと、フェイトさん……それは…?」
「これはただのダイヤだよ。小さいけどね。値段もムーンストーンよりちょっと安くなっちゃう。だから、こうしてみるのはどうかな?」
フェイトちゃんはそのダイヤとムーンストーンのネックレスを二つ重ねてその細い首に装着してみせた。
「ほら…、こういうのもいいと思うんだ…。どうかな…?」
フェイトちゃんの首元で上下二つの宝石が輝きを放つ…。なるほど…。これは素晴らしい…。二つなら値段も申し分ないし…。
「フェイトさん…。僕っ…この二つに決めましたっ…!お会計をお願いします!げ、げ、現金で!」
”現金で”。一度は言ってみたかった言葉だった。
「ふふ。君はせっかちさんだね。こちらへどうぞー。」


400. 学生さんは名前がない2009/06/03(水) 04:13:01 ID:MXf7Wf6t0

フェイトちゃんは二つのネックレスを包装してくれているようだ。
はぁ。良かった。フェイトちゃんのおかげで無事に買い終えることが…、、、いや、ちょっと待てよ…。
ここに来て一抹の不安が頭を過ぎる。それは資金面の話ではなく、
「あの…フェイトさん、本当にネックレスで大丈夫ですかね…?」
「うん?」
「はやてちゃんはいつも剣十字型のネックレスを身に纏ってるから…ネックレスに関しては事足りているのでは…」
「ああ、それなら大丈夫だよ。うん、きっと大丈夫。それともネックレスはやめて指輪にしてみる?」
冗談交じりに言うフェイトちゃん…。
「い、いや……、ネッ、ネックレスで大丈夫です……」
「ふふ。」
はやてちゃんに指輪のプレゼントなんて…そんなの絶対恥ずかしすぎるよ…ぅぅ…
「はい、出来たよ。」
彼女が差し出したそれは、薄ピンク色の小さな長方形の入れ物に、白いリボンが丁寧に巻かれていた。
「ああ、すごい…。本当に何から何までありがとうございますっ。後は会計を済ますだけですね…。」
「支払いはこんな感じだけど大丈夫かな?」
フェイトちゃんは二品の合計値を電卓で計算し、僕に見せてきた。うん。希望通り予算ギリギリだ。良かった…。
「じゃ、じゃあこれでっ。。」
「はぁぃ、確かにいただきました。ありがとうございましたぁ。あ、それと…ちょっと気になったことが…。」
「はい…?何でしょうか?」
フェイトちゃんはプレゼントを持って帰ろうとする僕を呼び止めた。
「君の…、その、帰りの交通費は大丈夫なのかな…?」
「へっ…?あっ……。ぁぁぁぁぁっ…」
しまったぁぁ…。帰りの電車賃を計算に入れるのを忘れてた…。ぅぅ…このままじゃ帰りは徒歩という事に…ぁぁぁぁ…。
「はい、じゃあ帰りはこれで。」
おろおろしていると、フェイトちゃんは手持ちのサイフからお札を一枚取り出し僕に手渡した。
「えっ…!?あの…いいんですか…?」
「うん。私からのサービスだよ。ちゃんとはやてにプレゼント渡してあげてねっ。」
「ぅぅ…フェイトさん…ありがとうございます…。」
フェイトちゃんの女神級のサービスにより、僕は無事に帰りの電車に乗る事が出来たのだった…。
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412. 学生さんは名前がない2009/06/03(水) 22:42:32 ID:MXf7Wf6t0
その帰り道だよぉ…。
時刻は既に20時を回っていた。
僕の手には、はやてちゃんへのプレゼントと雑貨店で購入したメッセージカードが入った紙袋が握られている。
持ち歩く手が視界に入るたび、自然と笑みが零れ、
「はやてちゃんはこのプレゼントを喜んでくれるかなぁ…?」
そんなことばかりを考えるようになっていた…。
泣いても笑っても明日がはやてちゃんの誕生日。明日は一体、どんな一日になるんだろう。楽しみで楽しみで……、おっとっ…、
明日のことを考えながら歩いているといつの間にか馴染みのある家の門の前に来ていた。八神家の門だ。
ピンポーン 「只今戻りましたぁ」
チャイムを鳴らし挨拶をすると、ガチャと施錠の解除音がなる。ゆっくりと扉を開くと……、
「もう、きみぃ、こんな時間まで何処行ってたん!?」
えっ…。は、はやてちゃん……!?
それは、街中を歩き回った僕の疲労を余裕で癒してくれる天使のお出迎えだった…。
「いや、あの…ちょっと、プ、プレz…あっ…んむぐっ…」
僕は滑りそうになった口を手で塞ぐ。危うく、明日渡すはずの誕生日プレゼントを今渡すところだった…。
「んー、なんやよくわからへんけど…。遅くまで外出するときは、ちゃんと連絡せなあかんよぉ?」
「は、はい…ご、ごめんなさい…。」
「ご飯は食べてきたん?」
「い、いえ…。ま、まだです…。」
「ほんなら、今から準備するから食卓で待っててなぁ。」
あぁ………。あぁぁ……。あぁぁ……。ぁぁぁぁ………。もう……。。ぁぁ…もう…。まさに、感無量という奴だ…。
はやてちゃんに出迎えてもらって、さらにはやてちゃんの手料理が食べられるなんて…。
ああ……。もう幸せすぎて明日死ぬんじゃないか僕は…。ぅぅぅ…はぁ…あはぁ…――。

――夕食後、僕は自分部屋に戻り、メッセージカードと睨めっこをしていた。
どうもカードの大きさが少し小さい気がする。もう少し大きいカードにすればよかっただろうか…。
はやてちゃんには伝えたいことがいっぱいある………。
誕生のお祝いのこと、日頃の感謝のこと…、それから…いつも笑顔をくれる貴女に…
僕は、自分の中で言葉を厳選し、何とかそれに収まる様、ピンク色のペンで今のありのままの気持ちを綴った。
「よし、出来た…。あとは……。これを明日はやてちゃんに渡すだけだ…。」
http://hisazin-up.dyndns.org/up/src/95588.jpg
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434. 学生さんは名前がない2009/06/04(木) 23:11:04 ID:s0Wpv4nl0
大好きな人の大切な日だよぉ…
現在の時刻は6月4日木曜日の19時。リビングの灯は既に消され、僕の眼に映るのは、
円形の特大ケーキに刺さる蝋燭の火とそれによって照らされた愛しい人たちの姿のみである。
今まさに、八神はやてちゃんの誕生日会が始まろうとしていた。
消灯の中、はやてちゃんは少し強めに息を吹きかけで蝋燭の火を消していく。フゥゥ…。その瞬間、再びリビングの灯はともり、
「はやて!誕生日おめでとぉぉ~~~」
元気いっぱいなヴィータちゃんがいち早くはやてちゃんに駆け寄り抱きついた。
「ヴィータぁ、ありがとうなっ。」
満面の笑みを浮かべるはやてちゃん…。その流れに乗って僕もはやてちゃんにお祝いの言葉を……、
「は、はやて、さん……ぅぅ……、おた、おたん…おめd…」
あぅっ……。しまった…。大事なところで噛んでしまったぁ…。あ、あぁ…。
「主おめでとうございます。」 「はやてちゃんおめでとうございま~す♪」 「おめでとうですぅ~!」 「おめでとうございます。」
ミスった僕を置いてけぼりに、続々と皆の祝いの言葉がはやてちゃんに伝えられていく。
「皆もありがとうな…。なんやほんま嬉しいわぁ…。」
皆に祝いの言葉をかけられ、はやてちゃんは本当に嬉しそうだ…。僕の言葉は途中で途切れちゃったけど……ぅぅ…、
で、でもっ、僕にはまだ最終兵器があるのだっ。シャマルさんとフェイトちゃんの協力により買うことが出来たこのプレゼントだ。
ガクガク。プレゼントを持つ手が震える。渡すタイミングは祝いの言葉を伝え終えた今しかないっ。よ、よし…い、いくぞっ…
「は、はやて…s…」
「なあはやて!これ見ようぜこれ!」
ぇ…?ヴィータちゃんのはつらつとした声が僕の弱弱しい声を掻き消した。
「もう、ヴィータぁ、そんなん何処から持ってきたん?恥ずかしいやろぉ…?」
ヴィータちゃんがその手に取り出したのは、なんと、はやてちゃんのアルバムだった…。…って、いや待て待て待て待て、
はやてちゃんのアルバムだとぅ…!?アルバムを振り返ること。それは誕生日会ではよく見られる光景だけど、
それが好きな人のアルバムとなれば話は変わってくる。好きな人の…、はやてちゃんのアルバムが見られるなんて…、ぁ、ぁぁ……。
勝手に舞い上がっている僕を他所に、ヴィータちゃんが1ページ目をめくると、”はやて0歳”と書かれた写真が眼に飛び込んできた。
ゼ、ぜろさいのはやてしゃん……。生まれたての天使がそ、こに……。ぐぅ…。ぁぁ…。か、かわいいよぅぅ…ぅうぅぅうぅぅぅうううううう!
あまりの可愛さに絶叫しかけたが、そこはなんとか心の中で収めてお、けない…!ぅううううううううううううううううううううううう!
これは…、いくらなんでも刺激が強すぎる…。その後も1ヶ月2ヶ月…、1歳2歳…と幼きはやてちゃんの写真が次々に明かされていく…。
年齢が等差数列的に増加するのに対し、僕の感情はもう指数関数的に爆発していった…。
ぅぅ…つ、次は…?次は何歳のはやてちゃんが来るんだぁぁぁっ?ドキドキ…、んっ……、あれ?
興奮気味に見ていると、写真は、ある年齢からいきなり9歳のはやてちゃんにジャンプしてしまった。
存在するはずの数年分の写真がすっぽりと抜けてしまっていたのだ。


435. 学生さんは名前がない2009/06/04(木) 23:11:12 ID:s0Wpv4nl0

これは一体…。少し戸惑う僕。その一方で、
「あっ!これってさ、私らとはやてが出会ったときに撮った奴か!?なんだか懐かしーなっ」
ヴィータちゃんは写真を指差し、思い出に浸っているようだった。
写真には、9歳だった頃のはやてちゃんとヴォルケンリッターの皆が仲良く並んで映っている。まだ5人だった頃の八神家だ。
はやてちゃんは、優しい表情でその写真を見つめ、ヴィータちゃんの頭をそっと撫でた。
「なんだよはやてー。急にどうしたんだよぉ~」
「ん…?あぁ、ごめんなぁ。なんやろう、えらい懐かしくてなぁ…。
 それまで私ずっと一人やったけど…、皆が来てくれたおかげでほんま楽しくなったんやで…。」
それまでずっと一人……? はやてちゃん、それはどういう……、、、あっ。。
少し考えればわかることだった。先の疑問、写真のない理由…。
それは突然消えたわけでも誰かが故意に抜いたわけでもなく、”最初からなかった”のだ…。
写真は、撮られる人間の他に撮る人間も必要だ…。はやてちゃんは親を亡くしてからずっと一人だったから……それで…。
僕はなんだか無性に切なくなってしまった…。
はやてちゃん、君は…、写真のない過去の君は、誕生日でさえも一人ぼっちで過ごしてたというの…?ねぇ…はやてちゃん……。
「ん…?どうしたん?ボーっとしとるよぉ?」
「え?あ、いえ…、だ、だいじょうぶですっ…」
「そぉかぁ?」
はやてちゃんは心配そうに首を傾げて僕の顔を伺う。ああ、いかん…。
いかんいかん…。今日は祝い事だというのに、こんなしょぼくれた顔をしてどうするんだっ。
「主はやて、これから私とリインで考えた誕生日イベントを行うので付き合ってもらっていいですか?」
「ほんまぁ?何するん?」
「それは来てからのお楽しみですぅ♪」
どうやらこれからシグナムさん&リインちゃんが考えた楽しいイベントが始まるらしい。
はやてちゃんを案内するリインちゃんにシグナムさん。
ヴィータちゃんはずっとはやてちゃんにくっ付いて甘えっぱなしだし、
ザフィーラさんは相変わらず寡黙だけど、今日はちょっとだけテンションがUPしているみたいだ。
シャマルさんは夜空を見上げながら祝い酒をグイグイいってる。
ああ、なんかいいな…。
こんな楽しい面々に囲まれて、はやてちゃんは笑顔いっぱい幸せいっぱいといった様子だ…。
幸せそうな貴女を見ていると、僕も幸せな気持ちになって、プレゼントに拘っていた自分が馬鹿馬鹿しく思えてくる…
ああ…、はやてちゃん…。今日は本当に誕生日おめでとう…。これからもずっと、ずーっと、皆と一緒に居られたらいいね…。
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481. 学生さんは名前がない2009/06/06(土) 23:59:48 ID:zvnD0Eo/0
一人反省会だよぉ…
翌日の夜。僕は自分の部屋に閉じこもり前日の反省会を行っていた。
前日といえばはやてちゃんの誕生日(6月4日)であり、誕生会自体は無事に成功。
八神家の皆も楽しんでいるようだったし、全体の内容は満足のいく結果に終わったといえよう。
皆が満足してくれたんだし、反省することなんてない……。普通ならそう考えるのだが、
ぼくは反省しなければならないことがある。 それは………、右手に持つ ”これ” が原因だ…。
プレゼント。
はやてちゃんのために買った誕生日プレゼント…。僕は結局それを渡すことが出来なかったのだ…。
無論、渡せなかったこと自体は猛省しなければならない点だ。けども、今回はそれ以外にも反省すべき点がいくつかあると思う…。
まず第一に、はやてちゃんの誕生日を2日前まで忘れていたということだ。好きな人の誕生日を忘れるバカが何処にいるというのか…。
第二に、金銭に余裕がなく、シャマルさんに給料の前借りを頼んだということ…。
お手伝いという名目で働らかせてもらい給料を貰ったりしているけど、その給料は元を辿れば八神家のお金であり、
はやてちゃんのお金なのだ…。そのお金で買ったとしても本当のプレゼントということにはならない。
シャマルさんにもあんなに迷惑かけてしまったし…。後でちゃんとお怒りを受け、その謝罪をしておかなければ……。
あと反省することは…。ああ、そうだ…。謝らなきゃいけない人がもう一人いる…。フェイトちゃんだ…。
会計の時に言われたのにな…、「はやてにプレゼント渡してあげてねっ」って…。それなのに僕は…。ぅぅ……。
誕生日を終えて、僕の手元に残ったのは、このプレゼントと、空っぽになった財布と、謝罪の念、くらいなものか…。
ハハハ…あまりに情けなくて笑えてくるね…。今の心境と財布のすっからかん具合がマッチして……、って、うん?なんだ?
財布を覗くと、すっからかんだと思われていた札入れに1枚の紙切れが入っていた。プレゼントを買ったときの領収書だ。
二つに折られた領収書を開いてみると…
http://hisazin-up.dyndns.org/up/src/95786.jpg
そこにはボールペンで「がんばってね!byFate」と書かれている…。たぶん奮起していた僕のためにこっそり書いてくれたのだろう…。
ぁぁ…フェイトちゃん…。本当に、本当に御免なさい…。全ては準備不足の僕が悪いんだ…。
ちゃんと時間をかけていれば…、色々と選択肢も増えただろうに…。もっと高価なものだって…。
初めて本気で好きになった人への、初めてのプレゼント…。内容は正解かどうかわからない。けれど準備段階では間違いなく失敗…。
でも来年は…。来年こそは絶対に頑張ろうと思う…。そうだ、来年は3ヶ月前から準備を……、トントントン!トントントン! ん?ノックの音?
「部屋におるん?夕食出来てるよぉ。」
え…、この声…まさか…は、はやてちゃん…?そ、そんな…今部屋を空けられたら…ま、まずぃ…
「何度呼んでも降りて来ぇへんから…。いないんかぁ?明けてもええ?」
「ダ、ダメですっっっ!」
「なんや、おったんか。はよぉ降りてきてなぁ~。」
一瞬、扉が開いてはやてちゃんが入ってきて「それ何なん?」と聞いてくる未来を想像したが、現実は非情。誕生日に延長戦なんてないのだ。
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最終更新:2012年09月13日 22:43
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