「ただいまー」
月曜の放課後、帰宅する磯野カツオ、所がみんなの気配を感じない。
「みんな……?」
居間に行くと、なんと……みんなの死体が!?
「みっ、みんな……」
マスオ、サザエ、ナミヘイ、フネ、ワカメ、タラちゃん、サトシの死体が並んであった。
「みんな……!? なんで……、」
振り向くと、ゾンビが数匹いた。
「ぐおぉぉぉ!!」
「!?」
慌てて居間から逃げるカツオ。
「とっ、とにかく逃げなきゃ……」
ゾンビの群れから逃走するカツオ。
「いったい何が起こったんだ……。とりあえず、伊佐坂先生の家に!!」
一人無関係な奴の死体が置いてあったような気がしたそれはさて置き、 隣人の小説家の家に逃げ込むカツオ。
「伊佐坂先生!!」
「!!」
「先生……。かるさん……。じんなんとかさん……。うきえ、さん……。田中……」
時既に遅しであった、みんな死体になっていた。そしてそこにもやはりゾンビの群れが。
賞味期限が切れたお寿司も置いてあった。時既にお寿司、であった。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
そこからも慌てて逃走するカツオ。
「はぁはぁ……」
街中を独走するカツオ。
すると、見慣れた親友の姿が。
「中島ぁ!?」
いつも「磯野……野球しようぜ」と言って来てくれてる、中島。
彼の姿を見掛けて安心するカツオ。
こんな時に、いや、こんな時だからこそ親友の有り難味が再確認出来た。
「磯野……、」
中島は神妙な面立ちで、中島が持っている剣と同じ剣を置く。
「中島……?」
「磯野……。剣を取れっ!! 勝負するんだ……」
「出来る訳ないだろ……。友達を切るなんて……」
「!?」
「イソ、ノ……」
呆然とし立ち尽くす中島。
その時だった。
「ピカピー!!」
『黄色の未確認生命体』が中島に電気攻撃をした!!
「ぐわぁぁぁ!!」
「中島!?」
「大丈夫、ショックを与えただけだ!!」
そう言って現れたのは、ポケモンマスターの『サトシ』だった。
「死んだはずでは……???」
そう、確かにマスオさんたちと一緒に死体が並んであった。
「死んだフリ(習得:レベル58)だ。それより……、中島くんは洗脳されて操られてる!!」
「なんだって!? 一体、誰がそんな事を……!?」
「月曜日を亡くそうとしている組織だ」サトシは淡々とそう告げる。
「月曜日を亡くそうとしている組織!? なんでそんな事を……」
「それは……。タマ……、」サトシが神妙な面立ちで口を開こうとすると、バン!
何処からか飛んで来た銃弾がサトシに命中した。
「うわぁぁあああああぁ!!」
「サトシさん!?」
「早く、ピカチュウと一緒に逃げるんだ!」
「でも?」
「早くうぅぅぅぅぅぅうう!!」
「わっ、わかりました……」
さっきまでの優しい表情からは想像もつかない、鬼気迫る表情のサトシに圧倒され、
その場から立ち去るカツオとピカチュウ。
逃亡途中、カツオの脳裏にはある疑問が過ぎった。
自宅に並んでいた死体には、飼い猫のタマの死体が無かった事だ。
そして、サトシが言い掛けた言葉……。
この町がゴーストタウンになってしまったのは、タマが原因なのではないかと漠然ながら推測した。
商店街に行くと、ジャニーズのアイドルグループ『NEWS(ニュース)』がゾンビに囲まれていた。
「大変だ、助けないと……!!」
だが、彼等は歌を歌っていた。『weeeek(ウィーク)』だ。
「 明日からまた日月火、ほら水木、回って金土日曜……夢の日々を大事にいきましょうっ!!
もういっちょっ……!!
大人になるってどういう事? 外面良くして35歳を過ぎた頃俺達どんな顔? カッコいい大人になれてるの?
日々生き抜いて心は曇り 僕たちは過ぎ去って行く……。
ゆっくりでいいやめないで いつか水滴必ず石を打つ!! 」
とても、とても元気の出る歌だ……。
ゾンビ達もその名曲に感動し、浄化された。
しかし、ゾンビの中には一匹ジャスラック○の社員がいた。
「歌詞使用料をハラエ……! 歌詞使用料をハラエ……!!」と、ニュースの面々に迫る。
「やばい!」助けようと身をのり出すカツオ。
「待て、俺が行く……」と、洗脳が解けた中島が申し出る。
「中島、死んじゃうぞ?」
「いいんだ、それでも……」と即答する中島。
「中島?」
「磯野、俺はお前に教わったんだ……。
真の勇者とは寧ろ、自ら勇気がある者では無く、
他人に勇気を与える者だと……!!
もし俺がここで死んでも、俺がゾンビに挑んだ事で誰かに勇気を与えられるなら、磯野ほどじゃないけど……、
俺も勇者になれるんだ!」と豪語する中島。
「ノヴ……、中島……。あの自分勝手だった奴がこんなに成長するなんて」涙ぐむカツオ。
「やいゾンビども……。お前等に比べたら、俺達人間なんてチッポケなんだろうけどな……。
残りの人生が50年だろうが5分だろうが同じ事だ……。
一瞬、だけど閃光のように……! まぶしく燃えて生き抜いてやる!!
それが、それが俺たち人間の生き方だ! よーく目に刻みやがれ……バカやろう!!」と断言する中島。
「僕が……、本当にくじけそうな時、本当に諦めてしまいそうな時……。
いつも最後のひと押しをしてくれた奴……。僕を立ち上がらせてくれた奴……。
最高の友達……。ポッ、中島……! 君に出会えて……良かった!!」
と言い、泣きながら立ち上がるカツオ。中島の目からは大量の汗が出ている。
しかしそこに、「ニャーー!!!」と磯野家の飼い猫、タマが現れゾンビに噛み付く!
「タマ、お前まさか!?」タマの真意を察するカツオ。
「ニャーー」それに呼応するように鳴くタマ。
「やめろ、やめろ、タマあぁぁぁぁ!!」
タマはゾンビと共に、上空へと浮遊して行った。カツオもしがみ付いたが、タマは振り解いた。
タマの力で宇宙まで連れて行って共に破裂するつもりだったんだろう。
「タマ……。ばかやろおおおぉぉおおおぉぉぉぉっ!!!」
剣だけが残ってしまった。だが彼等は信じている。
何時かタマが、この人間界に戻って来てくれると……。
それまでは、この人間界を守ろうと決意した。
月曜だからって、自殺なんてしてる場合では無いのだから。
- 主題歌:いつもあなたが 作詞:高橋良輔 作曲、編曲:乾裕樹 歌:TETSU
「 さみしい時も かなしい時も
いつもあなたが 目にうかぶ
ひとりの時も あいたい時も
いつもあなたは 胸の中
遠くはなれていても
たとえ別れていても
この世のひかりとともに まぶしく
あの日のあなたが…… 」
タマ、ありがとう……。
君のお陰で、君のお陰で……、
ジャスラックにビクビクせずに歌詞を書けるよ。
最終更新:2012年09月12日 15:17