エスペラント-アルカ例文比較 > 01

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このエス文、アルカではどう訳す。第一回
エスペラントと第十四期新生アルカの比較。

  • 私は生徒です。
Mi estas studento. an et felan.
(私 繋辞現在 学生) (私 繋辞通時 学生)

  • 彼は労働者です。
Li estas laboristo. lu vik et labes
(彼 繋辞現在 労働者) (この人 男 繋辞通時 労働者)

  • 彼女はタイピスト(女性)です。
S^i estas tajpistino. lu min et minlotspretan.
(彼女 繋辞現在 タイピスト[女性]) (この人 女 繋辞通時 女タイピスト)

エスペラントでは名詞は詩の韻律を整えたり、固有名詞でやむを得ない場合を除き、-oが語尾に付くが、アルカの場合はそのような決まりはない。


エスペラントの人称代名詞は次のようになっている。
三人称は男性のli、女性s^i、中性g^iに区分され、中性のg^iが英語のitに当たる。
単数 複数
一人称 mi ni
二人称 vi vi
三人称 男li 女s^i 中g^i ili
一般人称 oni oni

一方、アルカの標準的な人称代名詞は次の通り。「標準的な」と言うのは性・性格・知性・年齢によって多様な語形が存在するためである。
三人称は近距離のlu(この人)と遠距離のla(あの人)に区分され、性の区別は明示されない。明示する場合、lu vik(この男), lu min(この女)などと表記する。
非人称三人称はtu(これ)とle(あれ)があり、英語のitにあたるものはtuのほうである。

単数 複数
一人称 an ans
二人称 ti tiis
三人称 近lu 遠la 近luus 遠laas
非人称の三人称 近tu 遠le 近tuus 遠lees
四人称 el el

なお、エスペラントのoniとアルカのelはともに、「一般の人々」を表す人称であり、フランス語のoniに当たる。


繋辞(be動詞)はエスペラントではestas、アルカではetを用いる。どちらも人工言語なだけあり、数・人称・性による変化はない。
ただ、どちらも時制による変動はする。
エスペラントでは語尾部分が変動し、アルカ場合は、全部が変化する方式である。
前者は学習効率、後者は喋りやすさを追求した結果である。

過去 現在 未来
E estis estas estos
A at et sil

  • あなたは学生ですか?
C^u vi estas studento? ti et felan (mia)?
(ですか あなた 現在繋辞 学生?) (あなた 通時繋辞 学生 (ですか)?)

  • はい、私は学生です。
Jes, mi estas studento. ya, an et felan.
(はい、私 現在繋辞 学生) (はい、私 通時繋辞 学生)

  • いいえ、私は学生ではありません
Ne, mi ne estas studento. tee, an de felan
(いいえ、私 不 現在繋辞 学生) (いいえ、私 でない 学生)

  • 彼は労働者ですか?
C^u li estas laboristo? lu et labes (mia)?
(ですか 彼 現在繋辞 労働者?) (この人 通時繋辞 労働者 (ですか)?)

  • はい、彼は労働者です。
Jes, li estas laboristo. ya, lu et labes.
(はい、彼 現在繋辞 労働者) (はい、この人 通時繋辞 労働者)

  • いいえ、彼はは労働者ではありません。
Ne, li ne estas laboristo. tee, lu de labes.
(いいえ、彼 不 現在繋辞 労働者) (いいえ、この人 でない 労働者)

エスペラントでは、文頭C^uをつけて疑問文を作る。
アルカでは通常何もつけず、上昇調アクセントをつける。明示する場合、文末にmiaをつける。

エスペラントのYesはJes、NoはNe。
アルカのYesはya、Noはtee。ただし、丁寧な言い方ではax, teoという。

エスペラントの場合はneを前に着け、動詞を否定する。
アルカの場合はenを前に着け、動詞を否定する。エスペラントのne kuras(走らない)はen lofとあらわす。
なお、繋辞(be動詞)の場合は、特別な屈折形が存在する。

過去否定 否定 未来否定
E ne estis ne estas ne estos
A det de de sil


  • 私は新しい学生です
Mi estas nova studento. an et felan sam.
(私 現在繋辞 新しい 学生) (私 通時繋辞 学生 新)

  • 彼は勤勉な労働者です
Li estas diligenta laboristo. lu vik et labes faan.
(彼 現在繋辞 勤勉な 労働者) (この人 男 通時繋辞 労働者 勤勉)

  • 彼女が綺麗なタイピストです。
S^i estas bela tajpistino. lu min et minlotspretan lant.
(彼女 現在繋辞 美しい タイピスト(女性)) (この人 女 通時繋辞 女性タイピスト 美)

  • 私は若い
Mi estas nova. an et sam.
(私 現在繋辞 新しい) (私 通時繋辞 新)

  • 彼は勤勉だ
Li estas diligenta. lu vik et faan.
(彼 現在繋辞 勤勉な) (この人 男 通時繋辞 勤勉)

  • 彼女が綺麗だ
S^i estas bela. lu min et lant.
(彼女 現在繋辞 美しい) (この人 女 通時繋辞 美)

エスペラントの場合、形容詞の語尾は-aになる。そのためnova studentoでもstudento novaでも「新しい学生」という解釈が可能である。
アルカの場合、このような特別な語尾はなく、形容詞は名詞の後ろに着く。


  • 私は鉛筆を持っている。
Mi havas krajonon. an til zomk.
(私 持つ 鉛筆を) (私 持つ 鉛筆)

  • 彼は本を持っている。
Li havas Libron. lu vik til lei.
(彼 持つ 本を) (この人 男 持つ 本)

  • 彼女は花を持っている。
S^i havas floron. lu min til miina.
(彼女 持つ 花を) (この人 女 持つ 花)

  • 私は赤い鉛筆をもっている。
Mi havas rug^an krajonon. an til zomk har.
(私 持つ 赤いを 鉛筆を) (私 持つ 鉛筆 赤)

  • 彼は新しい本を持っている。
Li havas novan Libron. lu vik til lei sam.
(彼 持つ 新しいを 本を) (この人 男 持つ 本 新)

  • 彼女はきれいな花を持っている。
S^i havas belan floron. lu min til miina lant.
(彼女 持つ 美しいを 花を) (この人 女 持つ 花 美)

エスペラントもアルカもSVO語順である。
エスペラントの場合、対格(~を)には-nがつく。そのため語順が固定せず、Mi krajonon havasやKrajonon havas Miのような語順がよく見られる。
アルカの場合は基本的にSVOに固定されているが、主格(~が)のsol、対格(~を)のyulという前置詞を用いることでエスペラントのような自在な語順をとることもできる。Mi krajonon havas = [sol an] [yul zomk] til、Krajonon havas Mi = [yul zomk] til [sol an]

エスペラントの形容詞が対格(~を)の語彙に着く場合は、rug^an krajononのように、-nがつく。
そのため理論上、ラテン語のようにMi rug^an havas krajonon bela(私 赤いを 持つ 鉛筆を 美しい = 美しい私が鉛筆を持つ)のような修飾語と被修飾語を放して配置しても解釈に問題はないはずである。
このレベルの自由語順はアルカの場合不可能である。

  • あなたは新しい本を読んでいますか?
C^u vi legas novan libron? ti isk lei sam?
(ですか あなた 読む 新しいを 本を) (あなた 読む 本 新?)

  • はい、私は新しい本を読んでいます。
Jes, mi legas novan libron. ya, an isk lei sam.
(はい、私 読む 新しいを 本を) (はい、私 読む 本 新)

  • それは面白いですか?
C^u g^i estas interesa? tu et lol?
(ですか それ 現在繋辞 面白い?) (これ 通時繋辞 面白い?)

  • はい、それは面白い。
Jes, g^i estas interesa. ya, tu et lol.
(はい、それ 現在繋辞 面白い.) (はい、これ 通時繋辞 面白い)

  • 私と彼
Mi kaj li. an o lu vik.
(私 と 彼) (私 と この人 男)

  • 新しい本ときれいな花
Nova libro kaj bela floro. lei sam o miina lant.
(新しい 本 と 美しい 花) (本 新 と 花 美)

  • 彼女は赤い花と新しい本を持っている。
S^i havas rug^an floron kaj novan libron. lu min til miina har o lei sam.
(彼女 持つ 赤いを 花を と 新しいを 本を) (この人 女 持つ 花 赤 と 本 新)

  • それは新しくて、面白い本だ。
G^i estas nova kaj interesa libro. tu et lei lol o sam.
(それ 現在繋辞 新しい と 面白い 本) (これ 通時繋辞 本 面白い と 新)

Andはエスペラントではkajを用いる。なぜラテン語などで一般的なetを使わなかったかというと、エスペラントは名詞が原則-oで終わるため、「オエ」という不快な音声を発するためだという。
アルカではoを用いる。an / luのように"/"で表記するのが一般的である。

  • 私と彼は友達だ。
Mi kaj li estas amikoj. an o lu et hacn.
(私 と 彼 である 友達ら) (私 と この人 である 友達)
※アルカのcはエスペラントの巻き舌のrに当たる発音をするので、hacnはハルンと発音する。普通のrはredのrのような歯茎接近音である。

  • 私たちは学生だ。
Ni estas studentoj. ans et felan.
(私たち である 学生たち) (私たち である 学生)

  • 彼らは若い学生だ。
ili estas junaj studentoj. laas et felan lif.
(彼ら である 若いたち 学生たち) (彼ら である 学生 若)

  • 彼らはきれいだ。
ili estas belaj. laas et lant.
(かれら である 美しいたち) (彼ら である 美)

  • 彼らはきれいなタイピストだ。
ili estas belaj tajpistinoj. laas et minlotspretan lant.
(彼ら である 美しいたち 女性タイピストたち) (彼ら である 女性タイピスト 美)

  • あなたは先生です。
Vi estas instruisto. ti et xaxan.
(あなた である 先生) (あなた である 先生)
※アルカのxはエスペラントのs^にあたる音であるので、xaxanはシャシャンと発音する。

  • あなた方は新しい教師です。
Vi estas novaj instruistoj. tiis et xaxan sam.
(あなたがた である 新しいたち 先生たち) (あなたたち である 先生 新)

  • あなたは若い
Vi estas juna. ti et lif.
(あなた である 若い) (あなた である 若)

  • あなた方はわかい。
Vi estas junaj. tiis et lif.
(あなた方 である 若いたち) (あなたたち である 若)

エスペラントでは複数のものは-jが付く。junaj studentojのように複数形に接続する形容詞にも-jがつく。
アルカの場合は、日本語や中国語と同じように特に言及がなければ複数形にしない。


  • 私は複数の赤い鉛筆を持つ
Mi havas rug^ajn krajonojn. an til zomk sein har.
(私 持つ 赤いたちを 鉛筆たちを) (私 持つ 鉛筆 たち 赤)

  • 彼らは美しい花を持つ。
Ili havas belajn florojn. laas til miina sein lant.
(彼ら 持つ 美しいたちを 花たちを) (彼ら 持つ 花 たち 美)

エスペラントの場合、対格かつ複数の名詞に着く形容詞は-jnがつく。
このように-a -o, -aj -oj, -an -on, -ajn -ojnと形容詞と名詞の語尾が一致するところは120年以上前から、たびたび改造論者の攻撃の的になっていたが、ザメンホフの伝記小説によるとここは覚えやすさより喋った時の主観的な心地よさを優先した部分という。
アルカの場合、修飾する名詞が複数であろうが、対格であろうが、英語・日本語・中国語と同じく形容詞の形状は変化しない。
アルカで複数をつける場合は、ket sein(猫たち)とket sif(猫たち)がある。
ket seinは猫だけからなる集合である。ket sifは、犬やハムスターなど猫以外の成員を含めた集合である。
エスペラントの場合はどちらもkatojであらわすと思われる。


参考文献およびサイト

大島義夫 『新エスペラント講座 : 第1巻 入門編』 (要文社 1968年3月5日) ←これ
大島義夫 『新エスペラント講座 : 第2巻 基礎編』 (要文社 1969年1月10日)
大島義夫 『新エスペラント講座 : 第3巻 研究編』 (要文社 1970年4月15日)

古書なので、アマゾンではあまり取り扱われていません。
なので 財団法人 日本エスペラント学会 の図書販売で注文するか、図書館、エスペラント会館をご利用ください。

セレン=アルバザード 人工言語アルカ

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最終更新:2012年07月25日 12:31