能動分詞と相



分詞には能動分詞と受動分詞があり、前回は受動分詞を扱った。
受動分詞は「~される」という意味で、-at(進行), -it(完了), -ot(未然)の3つに分かれたな。
今回は能動分詞だが、実は能動分詞は受動分詞とよく似ている。以下の表を見比べてほしい。

能動分詞 受動分詞
進行 -ant(~している) -at(~されている)
完了 -int(~した) -it(~された)
未然 -ont(~しようとしている) -ot(~されようとしている)


あれ、能動分詞って受動分詞にnが入っただけなんだ?
なんだか思ってたより難しくなさそうだね(0゜・∀・)
じゃあ例えば、「飛んでいる飛行機」って何ていうの?


「飛ぶ」の語幹がflugだから、「飛んでいる」はflugant。「飛行機」はaviadilo。
flugantを形容詞として使うからaが付いて、最終的にはfluganta aviadiloというの。
flugantaは分詞からできた形容詞だから、分詞形容詞というのよ。


分詞形容詞?じゃあ分詞名詞とか、そういうのもあるの?


えぇ、そうよ。じゃあ、ここで勘の良いリディアちゃんに問題。
エスペラントという単語を見て何か気付かないかしら。


esperanto?
……ん、そういえばこれにも-antが入っているね。
esperiは「希望する」という動詞だから、esperantで「希望している」か。
最後のoは名詞を作る語尾だから、esperantoで「希望するもの」という意味……なの?


大正解♪もともとエスペラントは「希望するもの」という意味なのよ。
分詞esperantからできた名詞だから、こういうのを分詞名詞というの。


ほかにも分詞副詞というのがあるが、これは難しいのでここでは割愛しよう。
文法ノート(作成中)に書いておくよ。


ところで、上の表に「相(そう)」って書いてあるけど、これは時制とは違うの?


時制は「過去・現在・未来」のような時間の概念のことよ。
相というのは「ある行為がどの程度進んだか」とか「ある行為がどの段階にあるか」を表したものよ。
例えば「書きつつある(skribont)」という未然は「書くという行為の前段階」。
「書こうとしている(skribant)」という進行は「書くという行為が今まさに行われている最中」。
「書き終わった(skribint)」という完了は「書くという行為が済んだ段階」。あるいは「書いてある」という結果状態を示すこともあるわね。


ふむふむ。相は「行為がどの程度進んだか」を示すもので、時間とは関係ないのね。
じゃあ「過去で完了」というのもあるし、「現在で未然」というのもあるし、時制と相の組み合わせは自由なのね。


その通りだ。時制と相を組み合わせる場合、時制はbe動詞estiの活用で示し、相は分詞で示す。
Mi skribis la leteron(私はその手紙を書いた)を元に、時制と相を組み合わせた例文を挙げておこう。

 Mi estas skribinta la leteron. 私はその手紙を書き終えた。
 Mi estis skribanta la leteron. 私はその手紙を書いていた。

なお、estiと分詞を組み合わせるほかに、estiを使わずに動詞だけで時制と相を表す方法もある。

 Mi skribintas la leteron. 私はその手紙を書き終えた。
 Mi skribantis la leteron. 私はその手紙を書いていた。


うーん、理屈はわかったけど、覚える自信がないよ。


一度に覚える必要はないわ。徐々に慣れていくものよ。
あなた、リディアは分詞に疲れちゃったみたいだから、ちょっと話題を変えてあげてくださいな。

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最終更新:2012年07月25日 15:04