minpou-959

(残余財産の国庫への帰属)法令>民法

民法 959条

(残余財産の国庫への帰属)
前条の規定により処分されなかった相続財産は、国庫に帰属する。この場合においては、 第九百五十六条第二項の規定を準用する。


解説
相続人がおらずさらに特別縁故者もいない場合、所有権等はどうなるかという問題がある。
死者の権利というのは認められていないため誰のものでもない(無主物)となってしまうが、それではどうやって処分・利用させるかというのに困ってしまう(相手がいないのに「買う」ということができない)。
そこで(誰のものでもない)無主物となるのを避ける最終手段として国の物になる(国庫に帰属する)こととした。

補足
相続財産について誰の取り分になるか=誰が優先的に得られるかというのは大きな問題になる。
相続人・不明の相続人・国・特別縁故者・相続債権者・受遺者・共有者
以上の登場人物の優先順位を考えてみる
  • 相続人は包括的にその地位を承継する(負債ひっくるめて全ての財産を得る)のでいたら真っ先に得られる。相続人>その他
  • 国のものにするのは最終手段。どうしようもない場合に出てくるので全ての者の後にくる。その他>国
  • 相続債権者は相続人がいれば相続人に対して請求すればいい。逆に相続人がいない場合には出してやるべきなので相続人の後にくる。相続人>相続債権者
  • 受遺者は「モノをよこせ」と言える立場とおなじなので相続債権者と同順位。相続債権者=受遺者
  • 不明の相続人は公告を出していちいち探さないといけない。債権者は不明の相続人が出てくる(あるいはいないことが確定する)まで待てというのは酷(いるのかいないのか不安になる)。先に債権者のものにして不明の相続人には我慢してもらう。債権者>不明の相続人
  • 特別縁故者はあくまでおこぼれがもらえるだけ。不明とはいえ相続人に優先させることはできない。不明の相続人>特別縁故者。
  • 共有者がいたからといって特別縁故者に出ていけというのは酷。被相続人と共有状態にあったのだから被相続人と強い繋がりがある特別縁故者との共有も認めるべき。特別縁故者>共有者
以上をまとめると
相続人>相続債権者・受遺者>不明の相続人>特別縁故者>共有者>国
この順位はそのまま手続きの順位になっている。
つまり手続きの順番は覚えずに(相続人がいない場合相続財産管理人を選任する手続きだけ注意)、公告および請求の期間だけ覚えればいい(基本2ヶ月と考える)。
  • 相続財産管理人選任の公告=最低2ヶ月←すぐに選んで知らせるだけ。短い。
  • 相続債権者及び受遺者への公告=最低2ヶ月←債権者や受遺者ならよく調べてるはず。短い
  • 相続人捜索の公告=最低6ヶ月←いるかいないかわからない人を探す。ものすごく長い
  • 特別縁故者への財産分与の請求=3ヶ月以内←死亡は知っててもおこぼれを貰えるかどうかは知らない。ほんの少し長い
以上共有者への分配か国庫への帰属は少なくとも13ヶ月かかる。


参考


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最終更新:2012年09月29日 12:36
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