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ソウルリーバー2 (Soul Reaver 2) 抄訳

モビウス、ケインとの会話が中心になります。一つ一つの会話が長いです。


項目

30 BC

モビウス(1)/リーバーの集合/モビウス(2)/ケイン(1)/柱の地下/エルダーゴッド(1)/ヴォラドール/エルダーゴッド(2)/ケイン(2)/モビウス(3)

100 AC

モビウスの幻影/アリエル/エルダーゴッド(3)/ケイン(3)

500 BC

ヤーノス/エルダーゴッド(4)/モビウス(4)/復讐/ケイン(4)


30 BC


  • モビウス(1)

(タイムトラベル後)

モビウス

「ラジエル・・・救い主にして破壊者・・・ポーンにして救世主。よく来た、時をかける魂よ・・・。よく来た・・・お前の運命に・・・」

「『ここはどこか?』というのが普通の問いだが、お前の場合、『いつか?』と尋ねるのが適切だろうな」

 

(モビウスの杖が輝き、ラジエルの霊体ソウルリーバーが消滅)

ラジエル

「上等だ、老いぼれの蛇め。お望みとあらば素手で・・・」

モビウス

「こんなことは全く予想していなかった!

この宝玉は、我らの敵ヴァンパイア共を無力化するためのものなのだ。体の自由と能力を奪うことでな。

それと同じ影響がお前の特別な武器にも作用するとは不思議だ。

しかし、どうか私を信じてくれ。お前に危害を加えるつもりはない」

ラジエル

「慈悲の仮面なら外しても構わんぞ、モビウス。

俺はお前が誰で、どういう奴かということも知っている。

お前が生きているなら、ここで殺しておくべきだな・・・」

モビウス

「そうすべきかもしれんな、友よ。しかしお前はそうしない」

ラジエル

「それは確かか?モビウス」

モビウス

「時の守護者という役目により、私はある程度の全知を許されているのだ、ラジエル。

いいやお前は私を殺さんよ。その栄誉は、今からおよそ30年後、お前の主ケインに与えられるものだ」

ラジエル

「ふん。お前たちは同類だな。お前も奴と同じ運命論者か」

モビウス

「死は我々に等しく訪れるのだ、ラジエル。

それは時間の問題に過ぎない」

ラジエル

「お前はどうやって俺の名前を知った?これまで会ったことはないぞ」

モビウス

「それどころか、ラジエル、私はお前のことをよく知っている・・・。

ケインがお前にした残酷な仕打ちを見て、私は悲しんだものだ。

お前がサラファン教団の一員だった時、私はお前のことを知っていたぞ、ラジエル。

我々はごく親しかった」

ラジエル

「おい、勘弁してくれ」

モビウス

「安心するがいい、もうお前は私と同盟を結ぶために、私を敬愛する必要はない・・・」

ラジエル

「ここはサラファンの聖職者たちの砦なのか?」

モビウス

「そうだ。しかし、あいにく、サラファンの栄光の日々は遙か昔に過ぎ去ってしまった。

ここはずっと・・・冷笑的で不作法な時代だ。

今この砦には私の傭兵部隊が駐在している。我々はつつましい聖戦を通して、サラファンの記憶に敬意を表しようともがいているのだ」

ラジエル

「これはヴァンパイア・ヴォラドールか?」

モビウス

「ああ、輪の災厄。奴の堕落した種族の中でも、最も邪悪で退廃的な実例だ。

奴は、この部屋で、我が同胞である守護者の内6人を虐殺した。震え上がり、無防備な彼らをな」

ラジエル

「そしてお前はどういうわけかその殺戮を生き延びたと?」

モビウス

「私の他にも2人いる。輪は破壊され、我々3人だけが助かったのだ」

ラジエル

「都合のいい話だな。

お前がよこした情報の断片を、全部はいそうですかと受け入れられるわけがなかろう。

お前は詐欺師だと評判だ」

モビウス

「誰が私をそのように中傷したのだ?

お前に害をなしたケインか?お前を裏切り、破壊した者か?我ら共通の敵か?

軽率に判断する前に、情報源について考えてみるがいい。

まあよい、かつての友情を取り戻すことは諦めよう。その代わり、共通の立場に基づく同盟を考慮してみよ。

我らは共にケインの死を望んでいる。

私はその手助けができるぞ」

ラジエル

「余計なお世話だ、老いぼれめ。

お前の下劣で卑しい企みの数々はよく知っている。しかし、この件はお前が手出しできることではない」

モビウス

「私を見くびるでないぞ、ラジエル。

見せてやろう・・・」


(水盤の前で)

モビウス

「今もケインはお前を待ち続けている。私がお前を時の流れからさらい、ここへ、私の元へ連れてきたことも知らずにな」

 

(ケインがノスゴスの柱の地で待っている場面が映し出される)

モビウス

「自分で破壊する運命にある柱の前で、奴がぐずぐずしている様を見るがいい。愚かにも奴はお前の手から逃れたと信じている」

ラジエル

「この時代、柱はまだ元の姿を保っているのか?」

モビウス

「そうだ、ラジエル。柱は、この世界の生命を維持している神聖な力の化身だ。我々は柱に仕え、その繊細な調和を保っている。そしてケインは、その調和を支える要となる運命にある。

お前は、奴の忌むべき利己的な決定によってもたらされた荒廃の時代に耐えてきたのだろう。

ケインの存在自体が、この世界における癌なのだ。奴が生きている限り、全ノスゴスは危機に瀕している」

モビウス

「お前は決して再び人間になることはできないだろう、ラジエル・・・。しかし、人間性の本質と、かつてサラファンだった気高さを再び取り戻すことはできる。奴の元へ行け、ラジエル。そして終わらせるのだ。(後略)」


(モビウスと別れ、霊体ソウルリーバーに力が戻って)

ラジエル(独白)

「モビウスの忌々しい杖の影響下から離れると、ソウルリーバーの力が徐々に戻るのを感じた。

もしあの宝玉がこの剣に対してと同様にヴァンパイアを弱体化させるとすれば、モビウスは敵に対して強く有利な立場にあったことになる。

ようやく俺は、どうしてモビウスの聖戦が非常に手際よくヴァンパイアを駆逐することができたのか理解した。奴が敵を動けないようにすることができるなら、彼らは奴のなすがままだ。

しかし、なぜその杖がこのリーバーにも影響を及ぼすのだろうか?」

 

  • リーバーの集合 (The Reaver Convergence)

(砦の聖所にて)

ラジエル(独白)

「砦内部の聖所へ近付くと、俺は奇妙な感覚に襲われた。それは、名状しがたい変位の感覚であり、俺の周囲で現実が歪み、ねじ曲がったかのような目眩の感覚だった。その妨害は、聖域のさらに奥にある礼拝堂から発されているようだった。俺が注意深く近付くにつれ、一歩ごとにその転位の感覚は強まっていった」


(ウィリアムの礼拝堂にて)

ラジエル

「これは敬愛されし義人ウィリアム王の墓だった。モビウスの聖戦の殉教者にして支援者として、ここに列福されていた。

俺は、まだ駆け出しのヴァンパイアだったケインの旅を思い出した。いかにしてモビウスが奴を追い詰め、歴史を遡行させ、ウィリアムを暗殺させたか。その結果、ノスゴスの国民は、ヴァンパイアを虐殺せんとするほどの憎悪をかき立てられたのだ」

「俺はここで変位の源泉を発見した。ソウルリーバーだ。まるで聖遺物であるかのように安置されていた・・・。

そして剣は折れていた。明らかにウィリアムとケインの戦いによるものだ。

かつて俺は、そんなことが起こりうるとは考えたこともなかった・・・。

(しかし)無論その後、ケインが俺を打ち倒そうとした時、剣は俺に触れて粉々になったわけだが」

「そしてリーバーに棲まう囚われの霊魂は解放された。それは俺と結び付き、共生関係にある武器となったのだ」

「つまり(今)、リーバーは前世の自分と出会ったわけだ。まだこの物体の殻に囚われている自分と・・・。

俺は魅了されながら見た。霊体の剣が自らを解き、物体の剣に沿って蛇行していく様を・・・」

「自らの双子を、鏡像の自分を包み込んだことで、久しく眠っていた(霊体の)リーバーの霊魂は、今や完全に目を覚ましていた。

そして俺は初めて、この他なる実体の真の存在感を感じた。それは、数千年に渡る幽閉により、強情で、貪欲で、狂乱していた・・・。

今や指揮を執っているのは(霊体の)リーバーの方だった。そして俺は無力な宿主に過ぎず、(物体の)剣を修復するために自分の魂が吸われるのを感じた」

「しかし、(霊体の)リーバーは自分の宿主を破壊するほど愚かではなかった。俺が忘却の淵に近付くや、剣は俺を解放した。

俺は立ち直り、我々が危うい同盟関係で結ばれていることを認識した。(霊体の)リーバーはもはや俺と共生関係にあるただの武器ではなく、感覚を持ち、支配権を要求する寄生体だった」

 

  • モビウス(2)

(近くで様子を見ていたモビウスに気付いて)

ラジエル

「俺に何をした、モビウス?

これは貴様の罠か?!」

モビウス

「どうして私が?!

忘れるな、お前をここに連れてきたのはケインであって、私ではない!

私はノスゴスでただ一人、進んでお前を導き、助けようとしている者だぞ。そんな私を罵っている間にも、ケインは我々の愚かさを嘲笑い、お前の狼狽に満足していることだろう」

※「ここに (here)」が「この時代に」を意味しているならその通りだが、「この場所に」だとすると大嘘である。時間転移中にわざわざラジエルをかっさらい、サラファン砦に連れてきたのは他ならぬモビウスだからだ。

ラジエル

「今や不吉な抱擁で絡み合っているこの(2本の)剣は、これまで貴様などより遙かに強靱な化け物共を震え上がらせてきたんだぞ、老いぼれめ。

それが一つになったわけだが、この剣は貴様の魂の脆い殻に対して何ができるのだろうな。

俺はそれを想像することしかできない」

モビウス

「ラジエル、どうか剣を収めてくれ。

これは私がしたことではない。私はただお前の高潔な旅を助けようとしてきただけだ」

ラジエル

「なぜ震えているんだ、モビウス。貴様の自信はどこへ行った?

致命的なミスを犯したようだな。大切な杖を置いてくるとは。

あれがお前の勇敢さの源だというわけか?」

※実際にはミスではない。モビウスが杖を持ってくるとラジエルの霊体ソウルリーバーは力を失うため、折れた物体ソウルリーバーを修復することができなくなる。そうなれば、ソウルリーバーが若きケインの手に渡ることも無くなり、モビウスの計画は破綻する。それ以前に、既存の歴史が滅茶苦茶になってしまう。

 それではなぜモビウスは、危険を冒してまでラジエルの様子を見に来たのか。未来を見通せるモビウスでも、自由意志を持つラジエルの行動は完全に把握できない。それゆえ、歴史通りに剣を修復しているか確認しに来た、というのが一つの解釈だろうか。

モビウス

「話を聞いてくれ、ラジエル。お前は自分が何をしようとしているのか分かっておらん。

私は途方もない危険を冒してでも、無防備なままお前の前に現れたのだ。私の善意を証明しようと願ってな。

お前の中にサラファンの心がわずかでも残っているなら、こんなことをしようとはせんはずだ。

私を脅している間に、お前は真の敵を逃してしまうぞ!」

ラジエル

「ケインのことは心配するな、老いぼれ。奴もすぐに地獄でお前と会うことになる。

お前が言った通り、死は我々に等しく訪れるのだからな・・・」

モビウス

「そうだ・・・運命の車輪がそれを命ずる」

ラジエル

「何だと?」

モビウス

「運命の車輪だ。全ての者が従わねばならぬ、死と再生の不変のサイクルだ。

我々は同じ神に仕えているのだ、ラジエル。

私を殺すということは、神の従者を殺すということ。お前もそのような危険を冒すことはできまい」

※「同じ神」とはもちろんエルダーゴッドのこと。

ラジエル

「お前とのゲームにはうんざりだ、モビウス。お前が俺を恐れていると分かった以上、お前にかかずらう必要はない。

ケインが俺を待っている」

モビウス

「行くのだ、ラジエル。ケインを探し出し、破壊しろ。我らが共に仕える神の名の下に。

お前はかつてサラファンの聖職者であった。そして殺され、汚され、破壊されたが、神の慈悲によって再び甦ったのだ。

今のお前には、神の代理人――復興と懲罰の道具――たる資格が十二分にある」

ラジエル

「動機なら俺自身の復讐で間に合っている」


(別れた後)

モビウス

「本当に危ないところだったぞ、我が小さく青き暗殺者よ。

しかし、請け合ってやってもいい。あれがお前に与えられた唯一の機会だったのだ」

※2つのソウルリーバー(ラジエルに取り憑いている霊体と物体に囚われている霊体)が集合しており、かつラジエルは自由意志を持っているので、ラジエルの意志次第で歴史をねじ曲げ、モビウスを殺すことは可能だった。

 

  • ケイン(1)柱の腐敗

ラジエル(独白)

「ノスゴスの柱・・・本来の、完全な、腐敗無き姿。

俺はその時まで、このように純粋な状態にある柱を見たことはなかった。しかしその光景は、俺の内に何か深遠で拭い去りがたいものを思い出させた。

そしてその柱の中央で奴は待っていた。奴こそ柱を破壊するべく運命付けられた病根なのだ」

ケイン

「そこにいるのは分かっているぞ、ラジエル」

ラジエル

「モビウスが貴様の居場所を教えてくれた、ケイン。もっとも(そうでなくとも)貴様とはここで会えると見当をつけていたかもしれないがな」

ケイン

「もしモビウスが私は地獄の底に隠れていると告げていたら、お前は私を追って忘却へと身を投じたか?

モビウスは無知で軽率な者たちに網をかけ、つかんだ獲物を彼らの運命の流れから手繰り寄せる。

奴の網に近寄らぬことだ、ラジエル」

ラジエル

「手の込んだ隠喩は無用だ、ケイン。

俺が貴様を追ってきた目的はただ一つ。裏切りの代償を払うがいい。そうすればノスゴスに調和が戻る」

ケイン

「それで誰の意志が果たされたことになる?ラジエルお前の意志か、それともモビウスの?」

ラジエル

「お前に操られた方がましだとでも言うのか?ケイン。

さあこっちを向いて俺を見ろ。追跡劇は終わりだ」

ケイン

「これは追跡劇などではないぞ、ラジエル。我々は運命の車輪 (the wheel of destiny) に運ばれているに過ぎん。運命の車輪はこの時点まで完全な円を描いている。我々はある理由があってここに連れてこられたのだ。しかし私は、我らの物語の始まりと終わりを見た。その物語ときたら粗雑で稚拙なものだ。我々はその終わりを書き換えねばならん。お前と私でな」

※物語の終わりとはもちろん二人の破滅。現状の年表(2)では、この後、ケインはラジエルに殺され、ラジエルは生前の自分を殺した直後、リーバーに吸収されてその虜囚となる。

ラジエル

「俺と向き合え、ケイン。貴様とて臆病者として死ぬべきではない」

ケイン

「死刑囚には最後の望みを叶えてやるものではないか?」

ラジエル

「俺は貴様からそんな便宜をはかられた覚えなどない」

ケイン

「わがままを言わせてくれ、ラジエル。

私の望みは、お前に話を聞いてもらうことだけだ」

「今この時こそ、我々の破滅の元となる崇高な瞬間なのだ、ラジエル。我々の歴史全体は、この畏れ多い支点を中心として回転している。

(つまり)ここで全ノスゴスは裏切られることになる。

この瞬間、調和の守護者アリエルは、柱を破壊せんとする闇の勢力によって殺害される。

今頃、彼女の霊魂は遊離して駆け回り、天空をさまよい、ここに至る道を見つけようとしている。

お前は既に、どのようにして彼女が柱に出没するようになるか知っているな」

※「崇高な (sublime)」「畏れ多い (ineffable)」というのはケインお得意の皮肉だろう。

ラジエル

「貴様が死を拒んだせいでここに縛り付けられていた。貴様こそ、この大地が病んだ元凶だ。お前が生きている限り、ノスゴスは永遠の腐敗を強いられる」

ケイン

「静かにしろ、ラジエル。これを見ろ」

「アリエルが死んだ時、私は生まれようとしていた。調和の守護者としての立場を引き継ぐために。

それが私の運命だ」


(柱が腐敗する)

ラジエル

「・・・なんてことだ・・・」

ケイン

「私が産声を上げる時、アリエルの恋人、守護者ナプラプターが彼女の死体を発見する。

悲嘆に暮れ、背信の疑念に悩み、ナプラプターは狂気に陥る。その狂気は、彼と共生関係で結ばれた守護者全員を覆い、汚染していく。

私も含めてな。

アリエル暗殺の余波は巧みに計算されていたのだ・・・。

輪全体が狂気に陥り、私は誕生すると共に汚され、運命が用意していた役割を果たせなくなった」

ラジエル

「ならば、貴様が輪の残りに見せたのと同じ慈悲を、今俺が見せてやろうか?

貴様は柱を回復させるために、楽しげに彼らを殺していった。しかし最後の犠牲に至るや、その手は尻込みした。

貴様が特別扱いされる理由がどこにある、ケイン?。貴様は生き残った最後の一人だというだけだ。

貴様が勇気を欠いたためになしえなかったことを、俺が代わりにやってやるだけだ。それのどこが悪い?」

ケイン

「道徳家じみた装いは捨てようではないか。我々は共に知っている。この追跡にはいかなる利他精神も存在しない。

お前は向こう見ずな憤りによってここに来た。俺が期待したのはその憤りなのだ」

「恥じることはないぞ、ラジエル。復讐は立派な動機だ。少なくともそれは正直なものだからな。

私を憎め。ただし正直にな」

「これより30年後、私はジレンマに直面する。それを表と裏のあるコインにたとえよう。

もしコインが表を向けば、私は自らを犠牲にして柱を回復させる。

しかし、(その時)私はノスゴスで生き残った最後のヴァンパイアであり、私が犠牲になれば、我らの種族は絶滅することになる。モビウスがそう仕組んだのだ。

もしコインが裏を向けば、私は犠牲を拒み、柱を永遠の崩壊へと運命付ける。

どちらにしても、ゲームは不正に操作されている」

ラジエル

「ならば俺たちは、柱が重要であり回復されねばならない、という見解で一致しているのか?」

ケイン

「そうだ、ラジエル。だからこそ我々は一周してこの場所にやって来たのだ」

ラジエル

「ならば結局、貴様は俺に賛成だということか。このステールメイトを終わらせるために、貴様は死なねばならん。新たな守護者が生まれてこれるようにな」

※腐敗した守護者が全員死ねば、彼らと柱の結びつきは消え、柱は腐敗から免れる。そして柱は新たに生まれた汚れなき守護者と結びつく。この後半の説明は、ここでラジエルの口を通して初めて明示的に語られた。

ケイン

「柱は彼ら(人間)のものではない、ラジエル・・・。

・・・我々のものだ」

ラジエル

「どこまでも傲慢な奴だな、ケイン」

ケイン

「第三の選択肢がある。それは、お前がまさにここに存在しているということに隠された、途方もない秘密だ。しかしその秘密は、お前が自分自身で見つけなければならない。

自分の運命を暴くのだ、ラジエル。全てはお前のために用意されている」

ラジエル

「自分で言ったはずだぞ、ケイン。貴様のコインには表と裏しかないと」

ケイン

「その通りだ。しかし想像してみるがいい。幾度もコインを投げ続けていれば・・・

・・・いつの日か、コインが縁で立つやもしれぬ」

 

(ケインが消え去った後)

ラジエル(独白)

「いかなる衝動が俺に剣を収めさせたのか分からなかった。なぜ俺はみすみすケインを逃してしまったのか。あれほど長い間追跡していたというのに。

奴を信頼する理由など何もなかった。かつて奴はあれほど俺を軽んじたのだ。

しかしそれでも俺は奴の言葉に興味を引かれた。

俺はかつて軽率にも奴のポーンを演ずるために残酷に利用された。しかし、もしこの世界が本当に暴かれるべき秘密を隠しているなら、それを明るみに出そうと決意した」

 

  • 柱の地下/エルダーゴッド(1)

(絵の描かれた巨大な扉を発見して)

ラジエル(独白)

「その様子から見て、この扉は何世紀にも渡り封印されていた。

俺は、自分がここに立っていることがただの偶然ではないと気付き始めた。そこには、青い肌と(三つに)裂けた手を備えた、翼ある者の肖像が描かれていた。それは俺自身とよく似ていた。・・・そしてこの独特な鍵だ」


(ソウルリーバーで鍵を開けて)

ラジエル(独白)

「俺は厳粛な感覚と不安を覚えつつ、その古代の扉を開放し、敷居をまたいだ」


(古代人の壁画を見て)

ラジエル(独白)

「部屋に入ると、俺はそこが何百年も、おそらく何千年も封印されていたのだと感じた。そしてこの部屋が作られたのは、明らかに柱が建てられた時だった。また、この場所が人間の手で作られたということはありえず、おそらく人間の目に触れたことさえなかったのだと知った。

周囲の壁画は翼の種族を描いていた。彼らは俺と酷似した特徴を備えていたが、彼らのは美しく、俺のは醜くかった・・・また彼らのは天使のようであり、俺のは悪魔のようだった・・・。

俺はこれらの絵を解読しようとした・・・

・・・大戦争だ。しかし、彼らの交戦相手()は、俺がかつて見たことのある何者にも似ていなかった・・・

・・・柱はこの翼の種族によって建てられた。そして彼らはその敵を打ち負かした・・・

・・・また翼ある者たちだ。彼らは苦痛にもだえていた。明らかに、俺が最近まで耐え忍んでいたのと同じ血の渇きに苦しめられていた・・・

そしてこの部屋の至る所に、リーバーの絵が描かれていた。

これこそケインが俺に発見するよう促したものだったのだろうか?

俺は考えあぐねていた・・・」

※翼の種族の敵は、ヒルデン種族である。

 

エルダーゴッド

「まやかしだ、ラジエル・・・」

「騙されるな」

※古代人の壁画のことを言っているが、もちろんまやかしなどではない。

ラジエル

「ああ、俺の古い『恩人』か・・・。

もうあんたとは会わずに済むと思っていたんだがな。あんたが沈黙を保っているのは清々しかったぞ。

あんたがここにいるのは、何か都合よくも口に出来ない理由があってのことなんだろうな?」

エルダーゴッド

「無礼な口をきくな、ラジエル。

私は永遠に存在している。ここであろうとどこであろうと、今であろうといつであろうとな。

私は回転する車輪の動かざる中心、世界の運命のハブ(中心)なのだ」

ラジエル

「しかし、俺に信用させるほど全能でもないようだな。

あんたの俺に対する支配力は些細なものらしい。俺はもうあんたを必要としていない。だが、あんたはまだ俺を必要としているようだな」

エルダーゴッド

「そんな生意気な言葉はお前に似つかわしくないぞ、ラジエル。

お前にはここで果たさねばならぬ仕事があることを忘れるな。

お前は私に恩義がある」

ラジエル

「恩義だと?俺が望みもしなかった『賜物』に感謝しろとでも言うのか?

あんたは、俺がこの卑しい残骸に宿るよう強制したことを忘れたのか」

エルダーゴッド

「私はお前をそのまま復活させたのだ、ラジエル。

お前を破壊したのはケインであろう。

お前はその敵をみすみす逃してしまった。

私を失望させるな、我が僕よ・・・」

ラジエル

「俺は何者にも仕えない。あんたにも、ケインにも・・・そしてあんたの追従者モビウスにもな」

エルダーゴッド

「モビウスは我がよき僕だ。

私には多くの僕がいる」

ラジエル

「もし俺がモビウスに『お前が崇拝しているのは巨大なイカだ』と教えてやったら、奴の信仰もぐらつくとは思わないか?」

エルダーゴッド

「強情になったものだな、ラジエル。

しかし気をつけるがいい。蛇を抱けば、自分の心臓に毒を招き寄せることになる。

ケインは狡猾な怪物だ。奴はお前を唆し、欺こうとするだろう。

お前は自分の自由意志を誇りにしているが、あの堕落者はお前の決意を押しとどめてしまったではないか」

ラジエル

「俺は奴の誠実さについて幻想など抱いていない。他の誰にもな。

実際俺は、四方八方から操作誘導に取り巻かれている。俺はただ真実を求めているだけだ」

エルダーゴッド

「これからその深遠な真実を示してやろう、ラジエル。

生と死と再生の苦しみ。これが運命の車輪であり、あらゆる生命を維持している浄化のサイクルなのだ。

ヴァンパイアは忌まわしいものだ。霊的な力に溢れたこの世界を搾取する疫病なのだ。

奴らは生と死の流れを妨げる。奴らの魂はその哀れな死体の内で淀んでいる。

しかし車輪は回らねばならん。死は避けられぬものであり、拒否し得ぬものなのだ。

お前の運命は否応のないものだ、ラジエル。お前は我が魂の狩人(ソウルリーバー)であり、ヴァンパイアの災厄であり、背徳の魂を収穫する者なのだ。

心を揺らすな。ヴァンパイア共の寄生虫じみた呪いを終わらせ、ノスゴスを回復させるのだ。

ケインの死はお前の手にかかっている」

ラジエル

「確かにケインは死に値する。俺をこんな不快な姿に追いやったのだからな。

しかし、俺が奴を殺すか否か、いつ殺すか、決めるのは俺だけだ」

エルダーゴッド

「ケインは僅かな良心の呵責すらなくお前を破壊したのだぞ。

奴はお前の気高い死体から魂を引きはがし、お前が奴に1千年も忠実に仕えた後、ただの嫉妬心からお前をアビスへと投げ捨てた。

怒りを思い出せ、ラジエル。そして怒りに手を委ねるのだ」

※「1千年」というのは、500 AC~1500 ACに該当する。そしてラジエルは処刑され、五百年後の 2000 ACにエルダーゴッドの手で復活し、SR1の本編が始まったのである。

 

  • ヴォラドール

ラジエル(独白)

「これで、俺をこそこそ見張っていた奴が誰か分かった。

その化け物は、俺に気付かれたと分かるや姿を消した。だが俺は奴を垣間見た。そして、その特徴からして何者かは明らかだった。

ヴァンパイア・ヴォラドールだ。砦に描かれていた怪物的な殺し屋。

おかしなことに、その化け物は一人で輪を襲撃するほど図々しいくせに、俺と対面することを避けようとしていた。

結構だ。ヴォラドールが会いに来ないなら、俺の方から会いに行ってやろう。(後略)」


ヴォラドール

「救世主とは名ばかりの見すぼらしい姿だな」

※ヴォラドールは古代の予言に精通しており、一目でラジエルが予言されし人物だと見抜いている。しかし、予言されていたのはヴァンパイアの闘士だけでなく、ラジエルがヒルデンの闘士である可能性も捨てきれない。

ラジエル

「ヴォラドール」

ヴォラドール

「私も有名になったものだ」

ラジエル

「その通りだ」

ヴォラドール

「いい噂ばかりであればよいが」

「お前があの忌まわしい砦から姿を現して以来、私はお前を見張っていた。奇妙なことに、お前の到来は柱の腐敗と符合している。

しかし分からんな。お前は一連の出来事のきっかけなのか、それとも答えなのか?」

ラジエル

「何が言いたいのか分からん」

ヴォラドール

「ならば、はっきり言ってやろう。

私はお前の素性を怪しんでいる、見知らぬ者よ。モビウスの要塞の悪臭漂う奥底からお前が這い出してくるのを見て、私はお前の目的に疑念を抱いたのだ。

それにお前の姿をどう解釈すればよい?明らかに人間ではない。そしてヴァンパイアというよりも悪魔に近い

それから柱だ。お前があの空き地()に現れたことは、柱の腐敗の前触れとなった。これはただの偶然ではない。

それゆえはっきり問おう。お前は柱を破壊しに来たのか、それとも救いに来たのか?()」

※ヴァンパイア種族というよりヒルデン種族に近い、ということ。

※「あの空き地 (that clearing)」とは「柱の地」のことだろう。ノスゴスの柱は森林が切り開かれた場所に立っている。

※この二択を言い換えると、「お前は、ヒルデンの闘士なのか、それともヴァンパイアの闘士なのか?」になる。

ラジエル

「どちらでもない」

ヴォラドール

「よかろう。ならばコインの裏側を見てみよう。私はお前の旅を追い、何千年も封印され、禁じられてきた秘密をお前が楽しげに解き明かしていくのを見た。

お前が歩んできた道は、ただ一人()にしか足を踏み入れることのできぬ場所なのだ・・・

お前は自分が何者なのか知らないのだろう?」

※「ただ一人 (only one being)」とは予言されしヴァンパイアの闘士のことだと思われる。

ラジエル

「俺はいろいろな者()だった・・・。

俺が無知だと分かったら、俺の蒙を啓くがいい」

※ラジエルは、かつて人間であり、ヴァンパイアであった。そして今は魂の狩人である。

ヴォラドール

「つまりこういうことだ。この世界は救いようがない。

こんなもの人間の家畜にくれてやれ」

ラジエル

「あんたには、そんな腰抜けの降伏宣言よりもましなことを期待していたんだがな」

ヴォラドール

「何世紀にも渡る迫害から十分に学んだのだ。

500年前、我々の種族はもう少しで絶滅するところだった。サラファンの狂信的な聖戦のおかげでな。

そして今、同じ吐き気を催すドラマが再び繰り広げられている。たった十年で、モビウスの無慈悲な市民軍は、サラファンが成し得なかったことをほとんど達成した。

ヴァンパイアが人間の問題に干渉すればどうなるか・・・(

我々の行き着いた先を見るがいい」

※ここで言う「干渉」とは、20年前(50 BC)のケインによるウィリアム王の暗殺であろう(BO1参照)。モビウスが市民軍を結成できたのはその事件がきっかけだったからだ。

ラジエル

「では、俺が明るみに出した秘密はどう解釈すればいい?翼の種族、柱、リーバーに関する絵は?」

ヴォラドール

「おとぎ話さ、若者よ。

ある古代文明の妄想だ。世界が彼らを見捨てた後も、彼らはずっと望みを捨てなかった。

彼らの血統は徐々に絶えていった。そしてついに、古代人の内ただ一人だけが残った。責務と、古い予言に対する確固たる信仰のみに支えられてな」

「しかし分かるな、たとえお前が見た目通りのものであったとしても、もはやどうでもいい・・・。

お前は来るのがあまりに遅すぎた。

ヤーノス・オードレン――リーバーの守護者にして最後の古代人、そして私の創造主――は、およそ5世紀前()、サラファンによって殺されたのだ。

彼ならばお前の求める答えを知っているだろう。しかしその秘密は彼と共に葬られた。

私には分からない。彼の導き無しに、どうやってお前がこれほど遠くまでやって来たのか。あるいはリーバー無しに。それは500年前、サラファンに盗まれてしまった。

友よ、残念ながらお前は、そして我々は皆、運に見放されているようだ」

※正確には470年前の500 BC。


ラジエル(独白)

「ヴォラドールは、俺が出会ったどんな奴よりも信頼するに値した。実際、あの古きヴァンパイアは、それまでに俺が遭遇した者の中で、最も率直だった。

もしヤーノス・オードレンが全ての鍵を握っているなら、俺は彼を見つけるつもりだった。

そしてモビウスの時空転移装置が私の道を開くだろう。(後略)」

 

  • エルダーゴッド(2)

エルダーゴッド

「おお、私の意固地な息子が戻ってきたな・・・」

ラジエル

「おそらくあんたが望むよりも多くのことを暴いてからな。

世界中に散らばるこうした遺跡や、この部屋にあるこれらの絵を俺はどう解釈すればいい?」

エルダーゴッド

「滅んだ文明の欺瞞に過ぎん。

お前は誤った方向に導かれているぞ、ラジエル。

その古代種族は、ここに落書きされた偽りの指示によって、未来を操作せんと願ったのだ。

お前は注意深く歩まねばならん。

この世界では闇の勢力がうごめいている。お前の真の運命を蝕もうと決意してな」

ラジエル

「それは間違いないな。

質問はこうだ。俺はまさに今、その闇の勢力とやらの目の前にいるんじゃないのか?」

エルダーゴッド

「お前の傲慢さは死を招くぞ、ラジエル。

我が意志を拒絶してみるがいい、そうすれば、お前の運命の物語は、唐突な終焉を迎えることになる」

ラジエル

「あんたの脅しには乗らん。

今ですら、俺はあんたの手を逃れている」

エルダーゴッド

「私の手はお前が認識している以上に遠くまで届く。

お前は危険なゲームをしているぞ、ラジエル」


(光の炉で)

「これらの壁画に疑いの余地はなかった。この翼ある生き物たちは本当に柱の建設者だった。その絵は解読が困難だったが、柱は何らかの方法で彼らの敵を追い払うか、弱らせるかしたらしい・・・」

 

  • ケイン(2)第二のパラドクス

(ウィリアムの礼拝堂にて)

ラジエル

「姿を見せろ、ケイン」

ケイン

「ここだ、ラジエル」

(ラジエルが礼拝堂に入ると、物体リーバーとの接近により再び歪みを感じる)

「全てはここで決する・・・。

お前にはこの瞬間の重要性を把握できんだろう。その歓喜と悲劇を・・・。

それでもお前は把握せねばならん。ノスゴスをその地獄行きの難破から引きずり出すためにはな」

ラジエル

「俺に分かるのはこれだけだ、ケイン。貴様とモビウスは俺をこの瞬間へと押しやった。その結果は単純だ。俺はお前たちのいずれも信頼できない。俺には誰が糸を引いているのか分からない。しかしもうそんなことはどうでもいい。なぜなら、俺はその糸を断ち切りつつあるからだ。ここからは、自分自身で道を決める」

ケイン

「それほど単純であればな」

ラジエル

「貴様の運命論にはうんざりだ、ケイン」

ケイン

「それに(私の運命論は)根深いものだぞ、ラジエル。

お前は理解せねばならん。我々がここに存在しても、歴史は改変されないということを。お前と私がここで出会ったのは、そのように強制されているからなのだ。我々は常にここで出会ってきた。

歴史は修正のきかぬものだ。

流れの急な川に石を落としてみるがいい。その流れはただ石の周りを通り、障害物など存在しないかのように進み続けるだけだ。お前と私は小石だ、ラジエル。時の流れを乱す望みは遙かに小さい。

歴史の連続体は、あまりにも強く、弾力的なのだ」

「ただし例外がある・・・ならば、このウィリアムのことはどう説明する?

敬愛されし若き王は暴君へと変わった。

(ケインはソウルリーバーを手に取る)

私は年若い頃、ウィリアムが権力の座に就き、ノスゴスを荒廃させる『ネメシス』へと変貌するのを目撃した」

(ケインはラジエルの方に向き直り、剣を見せつける)

ラジエル

「近寄るな、ケイン」

ケイン

「数年後、私は歴史を遡る機会を偶然得る。全てがモビウスによって注意深く仕組まれていたことにも気付かずにな。

私は賢明にも、その機会を逃さず、後にノスゴスを破壊する若き王を殺害する・・・

・・・その結果、私はモビウスにきっかけを与えてしまう。我らが種族に対する虐殺戦争を引き起こすためのな」

ラジエル

「警告する、それ以上近寄るな!」

ケイン

「そのたった一つの無思慮な行いが、歴史のもつれをほどくことになる。

ネメシスは決してネメシスにならない。ウィリアムは殉教の聖人として死ぬ。

ヴァンパイアの暗殺者である私は、自らの種を絶滅させる張本人となる。

それら全てから得をするのはモビウスだ。私は一人の暴君を殺したことで、遙かに悪しき者を生み出してしまった」

「しかし、なぜそんなことが起こりうるのか?歴史が不変であるなら、どうやって?

答えはこの部屋にある、ラジエル。

モビウスはウィリアムと私を共に駆り立てた。しかし何よりもまず、二人が確実にソウルリーバーを手にするよう仕向けたのだ。

リーバーが鍵だ。

剣の二つの化身が同じ時空で出会う時・・・パラドクスが生み出される。歴史を狂わせるほどに強力な時の歪みが」

 

(ケインが歩み寄ると、ラジエルの霊体のソウルリーバーが自分の意志で姿を現す)

ラジエル

「これは貴様の魔法か?」

ケイン

「私のではない、ラジエル。お前のだ。

私を恐れることはない、ラジエル。

全てのカードを握っているのはお前だ」

 

(ケインはラジエルにリーバーを渡し、霊体と物体のリーバーが一つになる)

ラジエル

「ならば俺は、貴様の誠実さを試すべきだな」

(ラジエルはリーバーでケインを脅す)

ラジエル

「もしお前の言っていることが本当なら、お前は恐れるはずだ。俺は今ここでお前を殺すことができるだろうからな」

ケイン

「だからお前は実際そうするのだ、ラジエル」

※And so you do, Raziel. もっとかみ砕いて言うと、「現状の歴史において、ラジエルはいつもここでケインを殺してきた。だから今回もラジエルがケインを殺すことは必然なのだ」ということ。もちろん、ケインはラジエルの意志とソウルリーバーパラドクスを利用して、その必然(自分の運命)に抗おうとしている(ちなみに単なる保身のためではない)。だから日本語版の「ならば殺せ」という訳は大誤訳である。これ以降の発言と合わせて、ケインの意図が意味不明になってしまう。

 

(剣が自らの意志を持っているかのように震える)

ラジエル

「何が起こっている?」

ケイン

「我々は自分の運命に向かって突き進んでいる、ラジエル。お前が感じているのは、我々に向かって押し寄せてきている歴史の引力だ。今ここで、歴史と運命は衝突する」

「もしお前が本当に自由意志を信じているなら、ラジエル、今こそそれを証明する時だ。

今私を殺せば、我々は共に歴史のポーン(手駒)となり、人為的な運命の軌道へと引きずり下ろされる

私はノスゴスにおいて調和の守護者としての役割を引き受けるよう定められていた。そしてお前はノスゴスの救世主になる運命だった。しかし私の運命の地図はモビウスによって書き換えられた。そして次にお前のもな・・・」

※Kill me now, and we... という形。本心で殺せなどと命令しているわけではないので、条件文「私を殺せば~」で訳しておいた。前文で、ケインはラジエルに「自由意志を証明する」よう鼓舞しており、それはすなわち、「歴史の力に抗ってケインを助命する」ことを意味する。従って、ここでケインは「今私を殺せば、こんなひどいことになるぞ、だから抗え」と説得しているわけだ。

ラジエル

「これは狂気の沙汰だ!」

ケイン

「戦え、ラジエル・・・。この瞬間が結末である必然性はない。この瞬間は序曲となりうるのだ」

ラジエル

「俺には無理だ・・・」

ケイン

「お前ならできる、ラジエル。心の中を覗き込み、ありのままに見るのだ。お前には、我々の避けられぬ未来を作り替える力がある」

(ラジエルはソウルリーバーの矛先を逸らし、ウィリアム王の石棺を破壊する)

ケイン

「・・・かわいそうなウィリアム」

 

(突然、周囲の空間がねじ曲がり、ぼやけ、うめき声のようなもので満ちる)

ラジエル

「何だこれは?」

ケイン

「歴史はパラドクスを嫌うのだ、ラジエル。

今も時の流れは、自らの進路を変えるべく懸命に努力している。お前が私を破壊するのを拒絶したことで、古い通路が閉ざされたことに気付いてな。

そして未来は、お前の重要な決定を受け入れるべく、自らを切り直している」

「ここで(=この改変された世界で)我々は自らを取り戻し、本来の運命を奪還するのだ、ラジエル。

まだ私は、調和の守護者としての役割を引き受け、柱を正当な継承者に返すことができるかもしれん」

ラジエル

「ヴァンパイアに、だな。

ではこれこそ、お前が俺に見つけるよう促した運命というわけか?」

「俺にはお前とモビウスが何のゲームを進めているのか分からん、ケイン。しかし、俺はお前たちのポーンになりたくない。

お前と違って、俺はまだ、自分がなんとか保ってきた人間性のどんな欠片にも敬意を払っているんでな。

お前の救世主的妄想の道具として使われはしない」

ケイン

「いいだろう、ラジエル。俺を信頼しろとは言わん。お前の真実はお前自身で発見するのだ」

ラジエル

「至る所で図々しく教訓をたれる奴にしては、謙虚な言葉だな」

ケイン

「では、お前の旅を続け、自分自身の教訓を学ぶことだ、ラジエル。

覚えておくがいい。お前はモビウスによってここに導かれたが、足枷を外されて立ち去るのだ。自由意志の擁護者にして、偽りの歴史の征服者よ」

「お前が見出すべきものはまだまだ沢山ある。お前に真実を求める心と、それを見る意志があるのならな・・・」

※ラジエルが引き起こしたパラドクスにより、年表は2から3へと移る。ゲーム中では分かりにくいが、奇跡的な偉業を成し遂げたと言ってよい。年表2では、本来この時、幾度もケインを殺してきたのであり、それが運命と歴史の必然だった。ラジエルはノスゴスで自分だけが持つ自由意志を総動員して、世界を支える根本原理すらねじ曲げ、歴史改変を実現したのだ。

 

  • モビウス(3)

ラジエル

「ああ、それだ。俺はお前のその表情が好きだ、モビウス。今何をしたらいいか、本当に分からんようだな、じいさん?お前はここで、あの忌々しい杖も持たずに見つけられてしまったわけだ。どうやらお前の望んだ通りに事が進んでいないと見える。

お前は自分の蜘蛛の巣に入ったハエが刃向かってくることに慣れていないようだな?」

モビウス

「ケインの狡猾な感化に心を毒されてしまったのか、ラジエル。今や裏切りは至る所で起こる。最も近しい味方の間でさえ」

ラジエル

「我々が味方同士だったことはない、モビウス。

共謀者といったところだ。束の間のな」

モビウス

「お前には機会があったものを、なぜケインを殺さなかった?奴はお前の掌中にあった!()」

※原文は He was at your mercy! で、定訳だと「慈悲 (mercy)」が消えてしまうが、次のラジエルの発言はこれとひっかけられている。

ラジエル

「その通りだ。俺には選択権があった。そして俺は慈悲を選んだのだ。

そして今の俺は貴様の薄汚く卑劣な秘密を知っている。あの・・・二つのリーバーが出会った時に俺が感じた、変位の重要性だ。

おかしなことに、俺はその『狡猾な』ケインに教えられた。貴様ではなくな。

実際、俺は貴様が予想していた以上に多くのことを学んだのだ。俺は今や、貴様がどのようにして己の個人的利益のために歴史全体を操ろうとしてきたか分かっている。

しかし、もはやお前のあらゆる卑劣な企みは台無しになり、お前の周りで空転しているんじゃないか?

全ては、今回に限り俺が自分の意志を行使することを選んだからだ。魔術師や霊魂や悪魔どもの要求に従うのではなくな。どいつもこいつも、うんざりするほど同じ言葉を繰り返しさえずりやがる。『ケインを殺せ!』ってな。

これからは自分自身で道を決めることにしたんだ、モビウス。

俺は、全ての背後にある真実を見つけ出すつもりだ」

モビウス

「しかしお前は、その性急な行いで我々皆の運命を左右しているのだ!」

ラジエル

「性急なものか。俺に奮い起こせる意志の力を全て使わねばならなかった。

俺がケインの殺害を拒絶したことで、貴様が注意深く細工したカードの束も切り直されてしまったわけだな?」

モビウス

「お前は本当に自分が自由意志を行使していると思っているのか、ラジエル?

お前はケインの僕に過ぎん」

ラジエル

「俺はケインに仕えてはいない。俺はただ奴を殺さなかっただけだ」

モビウス

「ラジエル、今のお前の目的を忘れるな。お前はノスゴスの救世主となる定めなのだ!」

ラジエル

「やれやれ、そのお決まりのフレーズは聞き飽きた。

今のところ、ノスゴスの救済について俺があれこれ悩まねばならん重大理由などほとんどない。

そしてこれ以後、俺は自分自身の目的を選ぶつもりだ、時の旅人よ。

今は貴様を操ることにしよう。趣向を変えてな。

行け、あの中だ」

モビウス

「何をするつもりだ?」

ラジエル

「さっさとしろ、モビウス。貴様はずる賢い蛇だ・・・じきにその(俺がしようとすることの)全貌を知るだろう。

この時代にはもう用がない。お前はその装置を作動させて、俺に道を提供するんだ。俺はもっと素朴な時代のこの世界を見てみたい。サラファンが聖戦を始める前のな」

モビウス

「それでケインはどうするんだ?自分の獲物を置いていくのか!」

ラジエル

「自分で殺せよ、そんなに重要なことならな」

モビウス

「そのスイッチの二つの極に触れるだけでよい。そうすれば装置がお前を転送する。

しかし、私は考え直すよう強く・・・」

ラジエル

「お前にはもう説得力がないんだ、ジジイ。

ここで朽ち果て、俺のことは忘れろ」

(モビウスはラジエルに背を向けてほくそ笑む)


100 AC


  • モビウスの幻影

ラジエル(独白)

「あの不快な時間転移室から出てくるや、すぐに俺は裏切りに感づいた。

砦は空だった。放棄され、見捨てられていた」

「俺が今いる時代について疑う余地があったにせよ、それはこの不気味なタブローによって完全に払拭された。

というのも、ここには(像となった)モビウスがいたからだ。遙か昔ケインに殺されて以来、その血生臭い聖戦で殉死した指導者として、もてはやされ、列福されていたのだ。

そしてそれ以上の証拠が必要なら、そのモビウスが高く掲げている身の毛もよだつ戦利品を見るだけでよかった。それは切断されたヴォラドールの首だった。モビウスの血に飢えた暴徒が最後に仕留めた獲物だ。彼の処刑は、ヴァンパイア根絶の印だった。

モビウスは俺をノスゴスの過去へ運ぶどころか、一世紀以上も先の恐るべき未来へと送り込んだのだ」

「この小さな遠回りの背後にある意図は明らかだった。

モビウスは俺を従順な暗殺者にすることに失敗したため、俺に本当の運命を悟らせまいとしたのだ。明らかにそれはノスゴスの過去にあるというわけだ。

モビウスのペテンは、単に俺の目的を強めただけだったが、俺をここで効果的に立ち往生させたのも確かだった。

残された道は、俺が今いるこの時代を探索し、ケインの不幸な決定の後、この1世紀でどんな変化が起こったかを知ることだけだった。

おそらく時が経ち、あの山脈()へと至る道も開けているだろう。そこに行けば、ヤーノス・オードレンの謎の背後にあるさらなる手掛かりを見つけられるかもしれない」

※ラジエルはヴォラドールと会う前に、北方の山脈へと至る道を発見したが、当時は通れずにいた。それから百年後の世界なので行けるようになっているかもしれない、ということ。なお、そこにはヤーノスのお膝元ウーシュテンハイムの村と、ヤーノスの隠所がある。


モビウスの霊魂?

「ラジエル・・・」

ラジエル

「今度はどういう悲劇の茶番なんだ、モビウス?」

モビウス

「茶番などではない、ラジエル。殉死した霊魂の哀願だ」

ラジエル

「貴様の懇願など俺には何の意味もない。俺を騙したんだからな。

貴様は俺をノスゴスの未来へと送り込んだんだ、モビウス。そして俺はここで立ち往生させられている」

モビウス

「本当に済まなかったと思っている、ラジエル。しかし必要だったのだ。運の尽きた男の、最後の勇気ある行いだったと思ってくれ。

お前は自分の目的から逸脱した。そして今その結果を見ているのだ。お前とケインが共に生み出した、不毛の大地を!」

ラジエル

「俺にどんな責任がある」

モビウス

「お前はケインを助命した!そうすることで、お前はこの世界に計り知れぬ恐怖を解き放ったのだ。

ケインが私を殺したことは構わんのだ、ラジエル。時の守護者として、私はそれが実際に起こるより遙か前に予見していた。

そして私は、ケインがその卑しい種族で唯一の生き残りとなることをささやかな慰めとするのだ。

しかし、お前は一人で私の犠牲を無意味なものにしてしまった」

ラジエル

「お前の議論は不誠実だな、時の旅人よ。

未来のケインを殺すか助けるかということが、どうして一連の出来事を左右することになるんだ。

この不毛の大地は、柱の地におけるケインの元々の拒絶によってもたらされたものだ。これまでの紆余曲折の間、その出来事は何も変わっていない。

貴様は狡猾な奴だ、モビウス。しかしどうやら自分の蜘蛛の巣に絡め取られてしまったらしいな」

モビウス

「ケインが恐るべき権力の座にしがみついている間、柱は腐敗の泥沼に沈み込み、ノスゴス全体を自らの巻き添えとするのだ!」

ラジエル

「俺は、これが柱や、ケインが自己犠牲を拒んだことと何か関係するとは思わない。

貴様は単に恐れているんだ。なぜなら、貴様には奴が何をしようとしているか分からんからだ。

奴はワイルドカード(不確定要素)なんだろう。だから貴様は、奴が貴様のゲームに関わって欲しくない。

それこそ、貴様が俺に奴の排除を求めた理由だ。

奴が生き残った今、貴様は次に何が起こるか分かっていない。違うか?おそらくそんなことは、貴様の生涯で初めてのことなんだろう。

貴様は恐れている。奴が本当に第三の選択肢を見つけてしまったのではないかと。貴様が奴にお膳立てしたジレンマから抜け出すための第三の選択肢をな」

モビウス

「ケインの欺瞞がお前の心を堕落させてしまった。

ここから出て行け、そしてこれ以上、我が魂を苦しめるな!」

ラジエル

「貴様が本当に霊魂であればな。

お前は忘れているようだな。俺にはそれを確かめる術がある・・・」

 

(ラジエルはモビウスの魂を喰らおうとするかのように、自分のカウルに手をかける)

ラジエル

「・・・貴様が進んで危険を冒すというのなら」

 

(モビウスの幻影は姿を消す)

ラジエル

「違うと思っていた。いずれにせよ、お前の負けだ」

 

  • アリエル

(柱の地で)

ラジエル(独白)

「これは俺の荒んだ目にとっても見慣れた柱だった。しかし、柱の真の重要性を学び始めた今、俺は、知識に基づく新たな恐怖感と共に、柱の倒壊した姿を見つめた。

そして今や俺は疑念を抱いていた。ケインの拒絶だけで、奴の野心だけで、本当にこんな荒廃が引き起こされたのかどうか。

ここにはそれ以上に邪悪な影響が作用しているように感じた。

俺は(柱に)近付くや、アリエルの霊魂を見つけた。彼女は1世紀以上ここに縛られていたのだ」

アリエル(独り言)

「私は永遠にここに縛りつけられる。希望は潰え、私の霊魂はこの場所に繋ぎ止められて・・・

輪を破壊したものは私に手出しできなかった。私は既に死んでいて、害が及ばなかったから。

私だけが狂気に陥らずに済んだ。そしてケインだけが死の苦痛から免れた。

まだ子宮に守られていたケインがナプラプターの毒に捕らえられた時、彼の運命を遙かに超えるものが失われた。全ノスゴスが調和を失ってしまった。

今の私たちのことを考えてみなさい・・・二人とも、かつてより劣った存在になってしまった。

私は汚れていないけれど、実体を持たない。そしてケインは恐ろしいほどに実在しているけれど、堕落している」

ラジエル

「あんたはここに囚われている内に錯乱してしまったようだな、亡霊よ。

あんたがケインに固執しているのは、奴があんたをここに縛り付けた足枷だと信じているからだな。しかし分かっているはずだ。奴はあんたの苦しみの元凶ではない。

柱を堕落させたのは闇の勢力だ。そしてその闇の勢力を招き入れたのは守護者自身だろうが。

輪について学べば学ぶほど、入り組んだ操作の錯綜がますます見えてきた」

アリエル

「彼らを勝利に導いたのはケインよ。

彼らは柱を倒壊させようとした。そしてケインは進んで彼らの手先となった」

ラジエル

「いや、奴は不本意なポーンだったのかもしれんぞ?

これを知ればあんたの怒りも鎮まるか?ケインのジレンマは柱を破壊するべく計算されていたのだ。奴の選択とは無関係にな。そして、もし奴があんたの示した道を選んでいたら、荒廃はさらにひどくなっていただろう、と」

アリエル

「お前は狡猾で嘘つきな化け物ね。

しかしお前の巧妙な議論をもってしても、ケインの恩赦にはならないわ。

柱が回復するためには、彼は死ななければならない。他に道はないの」

ラジエル

「ならばもっと不吉な可能性を考えてみるがいい。ケインが死んでも、柱は回復しないとしたらどうだ?もはや手遅れかもしれない。この世界は救いようがないかもしれない。

そしてあんたは永遠にここに縛り付けられるかもしれない、とな」

 

(アリエルは精神界に逃げ、ラジエルも追いかける)

アリエル

「どうしてお前は私を追い回すのだ、悪魔よ?

見ての通り、私はここに囚われているわ。少しは慈悲を見せてちょうだい」

ラジエル

「あんたがケインをけしかけた時、仲間の守護者に見せたのと同じ慈悲か?

あるいは、あんたが輪の災厄としてケインを利用しつつ、奴に自分の運命を教えなかった時に見せた慈悲か?

それとも、あんたが恋人であるナプラプターをケインの最初の犠牲者にした時、彼に見せたのと同じ慈悲か?」

アリエル

「お前は残酷だわ。どうして私を苦しめるの?」

ラジエル

「俺はただ答えを求めているだけだ、アリエル。

いいだろう、そっとしておいてやる。

しかしこれだけは知っておけ。あんたと、あんたが逃れようと切望しているこの煉獄に関することだ・・・

・・・あんたはまだその敷居すら跨いでいない」

※ラジエルは2000 ACのアリエルと出会っている。彼女はその時もまだ柱に縛り付けられていた。従って少なくともこれから1900年間はこのままだというわけである。しかし、ラジエルがなぜこうも彼女に辛く当たっているのか判然としない。一つの想像としては、真相に近付きつつあるラジエルにとって、ケインに執着し続け、真実を見ようとしない彼女が、かつての自分と重なって見えたのかもしれない。つまり、同族嫌悪という解釈だ。

 

  • エルダーゴッド(3)

エルダーゴッド

「ラジエル、出来損ないの暗殺者よ。

お前はケインを手中に収めたにもかかわらず、それを果たす勇気がなかった。

そして今お前が見ているのは、あの暴君の手でもたらされた不毛の大地だ。これは奴の利己的な決定によるものだ。奴は、全世界が犠牲になるにもかかわらず、自らを生きながらえさせる方を選んだのだ。

ケインが生きている限り、ノスゴスの運命はこの有様だ」

ラジエル

「皮肉な糾弾だな。この罪深い光景の前では。

あんたが独力で柱を破壊したなどと誰に予想できようか。

この部屋にその忌まわしい体を入り込ませて、あんたは何を拭い去ろうとしているんだ?

そして、ノスゴスが狂気と苦難に陥っている時に、どうしてあんたは成長しているように見えるんだ?

俺にもだんだん分かってきた。この世界の物事は、見た目通りってことがほとんどない。

どうやらあんたも例外ではないらしい」

エルダーゴッド

「我は生命の原動力であり、ノスゴス自体の存在の源だ。

我は車輪の中心であり、全生命の起源であり、死を貪るものだ」

ラジエル

「・・・それとも、あんたは単に腹が減ってるだけか。それほど単純なことってあるか?

だとしたら詩的な皮肉じゃないか?ヴァンパイアの偉大な敵が、彼らの誰よりも巨大な寄生虫だということなんだからな」

エルダーゴッド

「私の忍耐を試すのはやめろ、ラジエル。

お前を創造したのは私だ。私がその気になれば、お前を破壊することになる」

ラジエル

「あんたの代理人として、俺は死を超えている」

エルダーゴッド

「死よりもひどい運命が存在するぞ、ラジエル」

ラジエル

「おお、ようやく正体を現したようだな。

癌だ。この世界の中心に深く潜んだ、絡みつく寄生虫だ」

エルダーゴッド

「もう行け。

哀れな反逆を最後まで演じるがいい。そして、破壊された者や使い捨てられた者、地獄に墜ちた者の列に加わるがいい。

しかしこれだけは知っておけ。お前は永遠に私のものだ。

お前は常にそうであったし、これからもそうだ、我が魂の狩人(ソウルリーバー)よ・・・」

 

  • ケイン(3)

(北の山脈へと至る道で)

ラジエル(独白)

「時の経過は、本当に俺が前に進むための道を開いていた。これでノスゴス北方の山脈を探索することができる。

もしヤーノス・オードレンの存在に関する証拠がまだ残っているのなら、それを発見したいと願った」


(ウーシュテンハイムの村で)

ラジエル(独白)

「ここで俺は、ウーシュテンハイムの古風で趣のある小村を見つけた。今や長らく見捨てられ、廃墟と化していたが・・・

伝説では、ヤーノス・オードレンはこの村を恐怖に陥れたと言われている。サラファンのハンターが彼を探り出し、破壊するまでは。

もしこの古い物語に少しでも真実が含まれているなら、あの悪名高いヴァンパイアの住処もそう遠くはないだろう・・・」


(廃虚となった住処で)

ラジエル(独白)

「この巨大な建造物は明らかに人間の建築家によって建てられたものではなかった。そのバルコニー下部の像が物言わぬ証言となっている通り、これらはあの翼ある者たちの住処だった。

明らかに俺は、伝説的なヤーノス・オードレンが潜んでいた山の隠所の前に立っていた。しかし、その聖域全体は廃虚と化し、何らかの古代の地殻変動によって崩壊していた。

薄々分かっていた通り、例の時の旅人の裏切りによって、俺がここで何か重要なものを暴き立てるには何世紀も手遅れになっていた」

「俺に背後には、それまでに通ってきた不毛の大地以外何も無かった。そこで俺は先に進み、この深い峡谷を探索することに決めた」


(ケインが近付いてきて)

ラジエル

「勘弁してくれ。お前が現れると、いつもとんでもなくひどいことが起こる。

今はそんな気分じゃないんだがな」

ケイン

「今回は何のドラマもないぞ、ラジエル」

ラジエル

「お前もしつこいな。こんな風に時を越えてまで俺を追ってくるとは。まだお前のコインが縁で立つのを待っているのか?」

ケイン

「私が待っているのは自分の時だ。

モビウスはお前につまらん悪戯をしたようだな」

ラジエル

「ああ、奴は明らかに俺が『ヤーノス・オードレン』と会うことを望んでいない」

ケイン

「おそらくな。

あるいは単に、私が『たった一人で作り上げた』この不毛の大地を見せることで、私に対するお前の心を硬化させんと願っただけかもしれん」

ラジエル

「俺の心は硬化される必要などないぞ、ケイン。

もしお前を破壊することで何か変化が起こるだろうと感じさえすれば、俺は今すぐにでもそうするだろう」

ケイン

「お前ならば見抜くと分かっていたぞ、ラジエル。

確かにヤーノスはお前の運命の鍵だ。しかしお前は自分でノスゴスの過去へと戻る道を見つける必要がある。

ただし、自覚しておくことだ、ラジエル。お前と私は今、非常に危険な立場にある。

我々はここでは苛立ちの種だ。我々を排除するため、悪の勢力が集結している」

ラジエル

「我々が味方同士であるかのような言い方だな」

ケイン

「お前の意向は関係がないのだ、ラジエル。奴らの目にはそう見えている」

ラジエル

「いいか、奴らがお前を排除しようとしているのは確かだ、ケイン。そのことに疑いの余地はない。

俺はお前の死を望む声に絶えず煩わされている。

お前の企みが何であれ、奴らはお前のことを死ぬほど恐れている。

俺に関して言えば、奴らは俺に類のない復活を許した時点で、とんでもない間違いをしでかしたんじゃないか。

奴らが俺を破壊する方法を知っているとは思えん」

ケイン

「奴らを見くびってはならんぞ、ラジエル」

ラジエル

「ところで、俺たちが言及し続けているその邪悪な『奴ら』ってのは本当のところ何者なんだ?

もし何らかの壮大な共謀が進行しているとすれば、その右手は、左手が何をしているか分かっているとは思えん(=連中はちぐはぐなことをしている)。モビウスでさえ、毎度窮地に陥っているように見えるんだからな」

ケイン

「モビウスはただの傀儡だ、ラジエル。まだ分かっていなかったのか?

これはあらゆることの中で最も甘美な皮肉だ。ノスゴスの『偉大な操り手』が、奴らの玩具だとはな。

しかし、奥で糸を引く者たちは、まだその顔すら見せていない」

ラジエル

「ただし奴らは、我々が奴らの注意深くお膳立てした歴史を取り消したことを喜んでいない、ということか?」

ケイン

「お前は理解せねばならん、ラジエル。我々は歴史を取り消したのではない。単に書き換えただけだ。

未来は我々のささやかな行いの周りを流れ、最も小さな改変のみを許容し、最も抵抗の少ない道を見つけ出す。これこそ、私の殺害を拒絶したとき、お前が感じた切り直しだ。

そして覚えておくことだ、ラジエル。我々はこの点でも苛立ちの種なのだ。歴史はパラドクスの導入を許そうとしない」

ラジエル

「では、もし一連の出来事が、その変化を受け入れるべく切り直されることが不可能な場合はどうなる?」

ケイン

「追い出されるのは苛立ちの種の方だ。

心に留めておけ。それこそ、まさに我々の敵が引き起こそうとしている結末なのかもしれん。

我々は極めて慎重に事を運ばねばならない」


(空気の炉にて)

ラジエル(独白)

「ここで発見した(壁画の)場面は明快だった・・・

翼ある者の種族――柱の建設者にしてリーバーの創造者――は、ノスゴスで最初のヴァンパイアだった。

彼らの血の渇きは、彼らが追放した敵によってかけられた呪いだと思われた。

これらの絵は、かつてケインが俺に明かした真実を確証した。当時の俺は疑いの余り、それを受け入れなかったが。

俺はこれらのピースがどのようにして一つになるのか理解しようと足掻いた・・・。

ケインはどのようにして運命のジレンマから逃れようとしたのか、また、奴は俺に対してどんな役割を構想していたのか・・・

さらに、なぜモビウスは、おそらく仲間である闇の権力者たちと共に、ケインの死をあれほど切望していたのか。そして、なぜ俺を奴の処刑道具にしようと没頭していたのか・・・」


(沼の時空転移装置を作動させて)

ラジエル(独白)

「俺は盲目的に信じて実行する他なかった。

この装置がどの時代に調節されているのか知る方法は無く、自分で機械を設定する知識も手段も無かった。

俺は少しだけためらい・・・それからスイッチを入れた。自らを忘却へと投じ、自分の意志を運命の手に委ねたのだ」


500 BC


  • ヤーノス・オードレン

ラジエル

「ヤーノス・オードレンか?」

ヤーノス

「久しぶりに自分の名が蔑みなく語られるのを聞くのは、慰めになるな」

「ラジエル?

我が子よ、奴らはお前に何をしたのだ?」

ラジエル

「俺は地獄で引きずり回され、そして連れ戻された。どうやら、全てはこの瞬間に至るためだったらしい。

しかし、俺にはまだその理由が分からない」

ヤーノス

「何千年間も、私は待っていたのだ・・・ここでただ一人、信念も揺らぎつつ・・・。

戒めの時、9人の守護者が柱に仕えるべく呼ばれた。そして私は、10番目の守護者として召喚されたのだ。我らが救世の武器、リーバーの保護者として。

時と共に、我々の種族は死に絶えていった。そして、私だけが残ったのだ・・・お前に対する責務と、剣を守護する任務のみを支えとして」

ラジエル

「では他の9人は?なぜ彼らの守護者としての任務は彼らを支えなかったんだ?」

ヤーノス

「私にも分からない」

「我々の種族が衰え行くにつれて、人間たちは栄えていった。私は何世紀にも渡って見守ってきたよ。我々の歴史が色褪せて神話となり、ついには完全に消え去る様を。人間たちは我々のことを一切忘れてしまった。そして柱を自分たちのものだと主張したのだ。柱の真の目的すら何も知らずに。彼らからすれば、私はただの悪魔だ。ヴァンパイアという『疫病』の起源なのだ」

ラジエル

「ならば、なぜ柱は人間の守護者を召喚するんだ?柱がヴァンパイアに仕えられるよう作られているというのなら」

ヤーノス

「柱は新たに生まれた者の中から守護者を選ぶのだよ、ラジエル。そしてヴァンパイアはもはや生まれない。

これが我々のジレンマの核心だ。

そしてこれこそが恐るべき皮肉なのだ。ヴァンパイア粛正によって、輪のメンバーは自分たちが守ると誓った柱のまさに制作者を襲撃してきたのだからな。

彼らは危険な道に足を踏み入れたのだ。全てのヴァンパイアを殺すことで、人間たちは自分の喉を切り裂いている」

「彼らは私がここにいることを知っている。彼らの手の届かぬ所にな。だから彼らは恐れている」

「お前にも見えるだろう。彼らがどんな風にして仕留めた獲物を見せつけているか。私を苦しめるために・・・あるいはただ私を誘い出すために。

彼らは、私を破壊すればどうにか我が血統全てを倒せるという愚かな考えを抱いている。

ありがたいことに、我々はそれほど脆くない」

ラジエル

「俺は下の村で奴らが兵をかき集めているのを見てきた」

ヤーノス

「うむ。彼らが何を企んでいるのかは分からない・・・しかし私は、我々の時間がひどく短いのではないかと危ぶんでいる」

ラジエル

「人間はあんたに苦痛と悲しみしかもたらさなかったようだ。

あんたは奴らを憎んでいるに違いない」

ヤーノス

「彼らは自分に理解できぬものを恐れるのだ。そして、恐れるものを嫌悪する。

しかし答えはノーだ。私は彼らを憎んではいない」

ラジエル

「ヴォラドールはそうだった」

ヤーノス

「彼は遙かに苦しんできたからな。彼らを許せないのだ」

ラジエル

「奴らは許されるべきだと?」

ヤーノス

「彼らは自分が何をしているのか理解していない。

彼らはただ物を知らぬだけなのだ・・・そして操られやすい」

ラジエル

「それでは全て真実だったということか。ケインとヴォラドールが俺に語ったことは。俺は本当に、ある種の、汚れたヴァンパイアの救世主だというわけだ」

ヤーノス

「汚れた?そんなことはない。救世主・・・おそらくな」

ラジエル

「俺はその言葉が好きじゃない。受難の匂いがする」

ヤーノス

「ラジエル、この世界の運命におけるお前の役割は、遙かに重要で、慈悲深いものだぞ。お前が自分に信じさせてきたものよりもな。お前の旅は容易ではないだろう。闇の力がお前に対抗して結束を固めている。

しかし、そのことはお前も既に知っているだろう・・・お前は残酷な試練を受けてきたようだからな」

「戒めは守られねばならん、ラジエル。

柱が錠前だ」

ラジエル

「そして、リーバーが鍵だと」

ヤーノス

「その通りだ」

ラジエル

「リーバーがここにあるのか?なぜ俺は何も感じないんだ?」

ヤーノス

「我々の刀鍛冶によって鍛えられた、最も畏怖すべき武器・・・

彼らは剣にヴァンパイアのエネルギーを注入し、リーバーは敵の貴重な生き血を吸い取る力を得たのだ」

ラジエル(独白)

「ヤーノスが剣を見せると、名状しがたい恐怖感が俺を襲った。それは俺がかつて感じたいかなるものよりも鮮烈だった。俺は即座に剣から恐るべき嫌悪感を感じた。しかしそれでも、抗いがたい力によって、それに触り、持ち上げるよう強いられた」

ラジエル

「頼む、それを俺から遠ざけてくれ」


(サラファンの兵が近付く音が聞こえる)

ヤーノス

「どうやらお前はつけられていたようだな・・・」

「お前は生き延びねばならん、ラジエル」


(ヤーノスはラジエルをテレポートさせようとする)

ラジエル

「ヤーノス、駄目だ!」


(制止も間に合わずテレポートされて)

ラジエル(独白)

「俺の周囲が不快なほど渦巻き、気付いた時には、奇襲から逃れ、隣の部屋へと無事に転送されていた。

ヤーノスは俺をサラファンから救った。俺の命を守るため、私心無く、自分の安全を手放したのだ。

そして俺は今危惧していた。俺の新たな師が、つい最近まで俺が崇めていた聖戦の兵士に殺されるのではないかと。

その皮肉は身に染みた。そして迫り来る恐怖と共に、俺は最初からモビウスに騙されていたことに気付いた・・・。

というのも、俺は軽率にもこの聖域で道を切り開き、サラファンはただその道を辿り、到達したからだ。奴らはモビウスの杖を携えていた。(史実でも)サラファンはあれを用いて、ヤーノスを意のままにしたのだ。

扉を通し、俺は彼らが十歩と離れていないところで戦っているのを聞いた。しかしそれは千マイル離れているに等しかった。なぜならこの障壁は、俺が持っていない元素の力で封印されていたからだ。

どうやらヤーノスは俺を炎の寺院の中心部へと送ったようだった。そこで俺は考えた。もし時間内にその炉を活性化し、リーバーを染めることができれば、ヤーノスをその酷い運命から救う微かな可能性があるかもしれない、と」

「俺はリーバーをその炉に沈め、剣を元素の炎で鍛えた。

リーバーはかくして染まり、今やあの元素の障壁を破り、処刑人からヤーノスを救い出す準備が整った」


(ヤーノスは杖の力で無力化されている)

サラファンのラジエル

「奴を押さえろ!」


(サラファンのラジエルがヤーノスの胸から心臓をえぐり取る。戻ってきたラジエルはまさにその瞬間を目撃することになる)

トゥレル

「奴の黒い心臓を見てみろ、あんな風にまだ脈打っているぞ!」


(ラジエルはサラファンのラジエルと目が合う。そして地震が起こり、部屋が崩れ始める)

デュマ

「その悪魔は我々を生き埋めにする気だぞ!

ラジエル、ここから離れなければ!」

サラファンのラジエル

「その剣を忘れるな!」


(サラファンは去り、ラジエルは死にかけているヤーノスに手を添える)

ラジエル

「許してくれ、すまない・・・俺はあなたを助けられなかった」

ヤーノス

「いいんだ、ラジエル。

おそらくこれが私の真の目的だったのだ。ただ、ここでお前の命を救うことが」

ラジエル

「しかし俺はあなたの命を奪ってしまった・・・」

ヤーノス

「自分の運命を受け入れるんだ、ラジエル・・・。

お前はリーバーを取り戻さねばならん。あれはお前のために、お前だけのために鍛えられたものだ・・・。

あれがなくては、いかなる希望もない・・・」


ラジエル(独白)

「ヤーノスの亡骸から離れると、俺は深い自己嫌悪感に苛まれ、ほとんど抑えることができなかった。

その時、俺は過去の自分を完全に拒絶し、俺のためにヤーノスが何世紀にも渡って忍耐強く守り抜いてきた役割を受け入れた。そして俺は自分がなすべき事を知った。俺のためだけに用意された任務を・・・」

「俺はサラファンの犬を追ってその不快な要塞に向かい、ヤーノス殺害の復讐を遂げようとした。

モビウスは奴の裏切りの大きな代償を払うことになる。そして我がサラファンの同胞は、奴らが見せた恐怖をその身で知ることになるだろう。

そして最後に、全ての負債が支払われた時、俺は奴らの汚らわしく不相応な手から、ヤーノスの心臓を取り戻すつもりだった。

もしあの心臓が本当にヴァンパイアの不死生を取り戻させる力を秘めているのなら、その最重要な用途は俺にとって明らかだった・・・俺は心臓をヤーノスに返し、忌まわしい前世の自分によって為された卑劣な悪行を帳消しにするつもりだった」

 

  • エルダーゴッド(4)

エルダーゴッド

「お前は私を失望させたのだ、ラジエル」

ラジエル

「疑問に思っていることがある、古き者よ・・・。

あんたは本当に俺を甦らせたのか?それとも、アビスで俺が苦痛から目覚めた時、ただそこにいただけなのか?あんたは単に俺が使いやすいと思っただけなんじゃないのか。ケインによってあんたの住処に落とされ、どういうわけか破壊されなかった。あんたが操るのに好都合な、丈夫で騙されやすい道具ってわけだ。

一つ確かなことがある。俺は幾度となく他人に利用されてきた。しかし、いつも俺は奴らの道から外れるらしい・・・悪魔よ、俺の何が、俺自身をそれほど信頼ならぬ手先にさせるんだ?なぜ俺は次から次へと試練を生き残る?・・・屈辱的な死と再生の終わりなき連続の中で、いつまでもな。どうやら、俺の運命と歴史には、俺が知っているよりも遙かに多くのことが隠されているようだ。そしておそらくは、あんたが知っているよりもな・・・」

 

  • モビウス(4)

(サラファン砦に戻って)

ラジエル(独白)

「唐突かつ不可解なことに、リーバーを発見した。胡散臭くも道の途中に置かれていたのだ。

やはり俺は、例の『時の歪み』を何ら感じなかった。ウィリアムの礼拝堂でリーバーに出会った時に感じた奇妙な変位の感覚を。

ここにある剣には、ヤーノスが初めて俺にこのリーバーを見せた時に経験したのと同じ、名状しがたい恐怖を覚えた。

俺はすぐに剣から嫌悪感を感じたが、なおそれを手に取るよう抗いがたくも強いられた」


(その場にモビウスとマレックが現れる。モビウスの杖により、ラジエルの霊体リーバーは封印される)

モビウス

「やはりラジエルか。ようやくここに至ったわけだ。

お前は今、私と対面する以外に選択肢はないのだ。そして私は、かつてお前に信じさせたほど愚かではないのだよ。

我々には成し遂げねばならんことがある」

ラジエル

「貴様は俺がサラファンをヤーノスへと導くことを知っていたな、卑劣な奴め!

貴様は俺のあらゆる動きをお膳立てしていたのだ!」

「俺の運命は貴様にとって娯楽なのか?」

モビウス

「楽しませてもらったぞ」

「やめておけ、ラジエル。

マレック、この化け物を逃がすな。奴は輪に危険をもたらす」

「哀れな、欺かれしラジエルよ・・・お前は、私に関わる歴史を変えられるほど自分が狡猾だとでも思ったのか?

我は時を旅する者。お前のあらゆる目論見は、実行される前から露見していたのだ、愚か者めが」

ヴォラドール(遠くの声)

「犬を呼ぶがいい、貴様らの骸を食わせてやるぞ!」

マレック

「モビウス卿、砦内部で問題が発生しています。輪が攻撃にさらされて」

モビウス

「動くでない、マレック。

こやつこそ我々にとって真の危険なのだ」

ラジエル

「貴様はここで何を企もうとしているんだ、モビウス?」

モビウス

「毒をはらむ化け物め。私がお前を放し飼いにして、お前が遭遇するあらゆるものを腐敗させるのを許すとでも思ったのか?」

ラジエル

「これまでお前を過小評価していたことは認めよう、モビウス。しかし俺は間違いを繰り返さない」


(ラジエルは物体のリーバーを手に取る)

モビウス

「また間違えたな、ラジエル。

今だ、マレック!扉を締めろ」

※モビウスは単に本性を現したわけではない。霊体リーバーを封印した上で、ラジエルを口汚く罵ったのは、彼に物体のリーバーを手に取らせるためだった。その理由はラストシーンで明らかになる。


(鉄格子の扉が閉まり、ラジエルは取り残される)

ラジエル(独白

「モビウスは杖を用いて霊体の剣を無力化し、効果的に俺の武器を奪った。それゆえ、俺はただ一つの武器(=物体リーバー)を選ぶほかなかった。

だが認めよう。俺がリーバーを手にしたのは、他に選択肢が無かったからではなく、無分別な怒りのせいだった。憤激の最中、まるで俺の手がそれ自身の意志で動いたかのように感じられた。

今や、その手は(リーバーの)揺るがぬ力に満ちた柄を握りしめていた。そして俺は抑制された疼きを感じた。それは微かだが明白な渇望の感覚だった。無力化された霊体の剣が、物体の双子を抱きしめようと足掻いていたのだ」

 

(リーバーを手放そうとすると)

ラジエル(独白)

「リーバーを手に取った今、リーバーと俺は不可避に結びつけられていた。

剣を手放そうとすればするほど、俺の手はその柄をきつく握りしめた。まるで自分自身の意志を持っているかのように」

 

  • 復讐

ゼフォン

「復讐しに来たのか、悪魔よ?」

メルカイア

「地獄に帰るがいい!」

ラジエル(独白)

「俺にはこいつらがかつての同胞だと分かった・・・生前はサラファンとして、不死になってからはケインのヴァンパイアの『息子たち』として。

メルカイアとゼフォンは、ケインの子の中でも最も弱かった・・・。奴らは自分たちにどんな未来が待ち受けているのか全く分かってはいなかった。自分たちがあれほど忌み嫌っていたものに、どのようにしてなるかということを。

リーバーは貪欲な期待にうなり声を上げていた。ヤーノスはこれを『ヴァンパイアの』剣だと呼んでいた。犠牲者から生き血を吸い取る力を与えられているのだ。

俺はリーバーがこの二人にどんなことをするのか見たくてたまらなかった・・・」

「メルカイアとゼフォンが俺の剣の前に倒れるや、俺は、まだヴァンパイアだった頃に自分が感じた血の渇きよりも鋭く、リーバーの血の渇きを感じた。俺たち(自分とリーバー)の境界が消え失せていくのが分かった。剣は俺に生命力を与えた。俺の肉体的なエネルギーはもや時と共に衰えていかず、敵に負わされた傷もほんの一瞬で癒された。

リーバーは俺を無敵にしたのだ」

 

デュマ

「あの化け物の黒い心臓を取り戻しに来たのか?」

ラハブ

「その前に貴様は俺たちを倒さねばならんぞ」

ラジエル(独白)

「次に立ちはだかったのは、俺のかつての同胞であるデュマとラハブだった。全てが見事にお膳立てされているように思われた。

リーバーに鼓舞され、俺は意外な事実に酔いしれていた・・・

ようやく俺は、ケインの冒涜的で密やかなジョークの甘美な皮肉を理解できた()。そして俺は、何世紀にも渡って奴と共謀していたかのように浮かれていた。

というのも、この馬鹿共を墓に送り込んだのはまさに俺自身だったからだ。今から千年後()、ケインが自分のヴァンパイアの息子として甦らせるために、俺はこうして死体を提供したというわけだ」

※SR1のラストでケインが語っていた、最大の敵を自らの腹心にするという皮肉のこと。

※今は500 BCなので、1000年後は500 ACである。詳しくは年表を参照のこと。

 

トゥレル

「貴様が這い出てきた穴へと帰るがいい、悪魔め!」

ラジエル(独白)

「ついに我が兄弟トゥレルの登場だ。奴はデュマと共に、ケインの命令に疑念を抱くことなく、俺をアビスへと運んだのだ。ヴァンパイアになってすら、なんと忠実にして廉直なことか・・・。ある種の癖はなかなか抜けないということだろう。

ヴァンパイアのトゥレルは俺の復讐を逃れた。しかし、サラファンのトゥレルはそういうわけにいかない」

 

サラファンのラジエル

「そうか、ヴァンパイアめ。ここまできたか。

お前は俺の同胞を殺した。そして今度は俺の番か?

俺がそれほど容易い獲物ではないということを教えてやろう」

ラジエル

「俺はお前を殺したくない。しかしやむを得ないのならそうするまでだ。

あの心臓を返せ。そうすれば今、俺たちはこれを終わらせることができる」

サラファンのラジエル

「つまりお前はあの薄汚い寄生虫の復讐に来たという訳か。そして奴の汚れた心臓を取り戻そうと?

お前は正義感に満ちた悪霊だというわけだな?」

ラジエル

「どうやらそうらしい」

サラファンのラジエル

「答えはノーだ、ヴァンパイア。(確かに)ここは終焉の地なのだ。ただし、お前がこの部屋から出て行くことはないがな。

さあこれを終わらせようか。慈悲深くさっさと済ませてやろう」

※「これを終わらせる」の意味が二人の間で対照的である。未来のラジエルは、生前の自分を殺すのに躊躇っており、戦いを回避して終わらせたい。しかし、何も知らぬサラファンのラジエルは、相手を殺して終わらせたい、というわけ。

ラジエル

「ヤーノスにしたようにか?」

サラファンのラジエル

「いいや、あの化け物は遙か長きに渡って我々の手を逃れてきた。

奴を手早く始末したのでは勿体なかっただろう。

皮肉なことだ。全く、あの『偉大なヤーノス・オードレン』が全く何の脅威でもないと分かったのだからな・・・お前のおかげだ。俺が奴の図体から心臓を毟り取った時、お前は奴の惨めな叫び声を聞いたか?」

 

(サラファンのラジエルをリーバーで貫いて)

ラジエル

「お前とは縁切りだ」

 

  • ケイン(4)第三のパラドクス

ラジエル(独白)

「かくして終わった。俺の歴史は一周して元に戻ったというわけだ」

 

(モビウスに封印されていた霊体のソウルリーバーが復活する)

ラジエル(独白)

「霊体の剣は自分の双子を感じて、俺から自分を解き、前世の自分を愛おしそうに包み込んだ。

俺は(自分をつかんでいた)霊体の剣の手が緩むのを感じた。そして剣が俺から離れるや、俺は剣の不在から、剣がまだ存在していた時以上の寒気を感じた。空虚と喪失の不吉な感覚に襲われた・・・ そして俺の意識の縁で、恐るべき発見が嵐のようにつのっていた・・・」


(霊体ソウルリーバーに包まれた物体リーバーがラジエルを襲う)

ラジエル(独白)

「他に敵がいなくなり、結びついた(2本の)剣は俺に向かってきた。そして俺はようやく分かった。ヤーノスが俺にこの剣を差し出した時、どうして俺が何も感じなかったのかを。

リーバーは決して、魂を盗む武器として鍛造されたわけではなかった・・・

・・・あの剣(=未来のソウルリーバー)に囚われていた、貪欲で魂を喰らう存在は、俺自身であり、これまで常にそうだったのだ。

だからこそ、ケインが俺を打ち倒そうとした時、あの剣は粉々になった。リーバーは自分自身(ラジエル)の魂を喰らうわけにはいかなかったからだ。パラドクスが、あの剣を砕け散らせたのだ。

つまり、これが俺の恐るべき運命というわけだ。永遠に、煉獄の循環を演じ続けるという・・・。

俺は耐えられなかった。絶望に打ち負かされていた」

※この時代のリーバーはヤーノスが古代から守り抜いてきた吸血剣リーバーであり、ラジエルの魂が入っていない(ソウルリーバーではない)。従って、ラジエルに巣くう霊体ソウルリーバーと出会っても、時の歪みを伴ったパラドクス的瞬間は生じない。だからラジエルも変位の感覚を感じなかった。じゃあいつラジエルの魂が入るのか?それは今だ、というわけ。


(ケインが現れる)

ラジエル

「貴様!」

「これで満足か、ケイン?」

ケイン

「抗うな、ラジエル・・・。

剣に身を委ねるのだ・・・」

ラジエル

「最初から、これが俺に対するお前の運命だったというわけか?!」

ケイン

「私を信じろ・・・」

ラジエル(独白)

「俺は自分が弱っていくのを感じた・・・もう持ちこたえられなかった。

リーバーはあまりにも強く・・・諦めの衝動は余りにも大きかった・・・」

「そしてその時・・・膨らみつつある目眩の感覚を覚えた。あの馴染み深い変位の感覚。

俺の対をなす魂が物体リーバーの外と内の両方で漂っていた()。それはあのパラドクス的瞬間だった。

これは一瞬の微かな時の歪みだった。ケインは最初からこれを待ち望んでいたのだ。

(つまり)これこそコインの縁だった。この僅かでおぼろな可能性に、ケインは全てを賭けていたのだ」

※物体リーバーの外には「元々の霊体ソウルリーバー(=一周前のラジエルの魂)」があり、内には「ほとんど剣に取り込まれソウルリーバーを完成させつつある当代のラジエルの魂」がある。パラドクスが起こるのはこの一瞬であり、タイミングを逃せばラジエルは剣の虜囚となる。それがこれまでの年表(1~3)におけるラジエルの運命だった。


(ラジエルが完全に吸収される寸前、ケインはラジエルからリーバーを引き抜く)

ケイン

「これでもうお前は自由だ。真の運命を取り戻すことができるぞ、ラジエル」

※歴史は改変され、ここで年表は3から4へと移る。


(空間がねじれ、未来が切り直され始めるや、ケインの顔は恐怖に曇り始める)

ラジエル(独白)

「ケインの目の奥で、新たな記憶が生まれては消えているのが分かった。歴史はこの重大な妨害の周りで、自らを切り直そうと努力していたのだ・・・。

そして俺は、奴の顔に立ちこめる恐怖から悟った。どうやら俺たちは今回、歴史を余りにも酷使したらしい・・・

・・・俺の運命を改変しようとしたことで、奴は致命的なパラドクスを引き起こしてしまったのかもしれない」

ケイン

「なんたること・・・ヒルデンめ・・・

・・・我々は奴らの罠にかかったのか・・・

ラジエル!ヤーノスは死んだままにさせておかねばならん!」

※年表4での凶事の真相はBO2で明かされる。

ラジエル(独白)

「しかしケインの警告は届かなかった。俺は自分の物質的な体を維持できないほど衰弱し、精神界へと滑り落ちたのだ・・・。

そしてそこには、いつもと変わらず俺を待っているものがいた。リーバーだった・・・霊体の剣だった。永遠に俺と対をなし、結びつけられた、俺自身の魂だった。

そして俺は理解した。自分が決してこの酷い運命から逃れられないということを・・・。

俺はただそれを先延ばしにしただけだったのだ」

※霊体ソウルリーバーが存在するということは、物体ソウルリーバーがどこかで完成しなくてはならない(その後2000 ACで霊体化する)。つまり、年表4においてさえ、当代のラジエルはいずれリーバーの虜囚になる運命だということ。

 

ソウルリーバー2完
Defianceへと続く)