Legacy of Kain: Defiance 抄訳

日本語版が出ておりませんので、会話部分はほぼ全部訳出していくことにします。ケイン編とラジエル編が交互に展開されていきます。


項目

ケイン

ラジエル

500 BC

(1) サラファン砦

0 B/AC

(1) 地下世界

(2) サラファン砦

(2) 共同墓地

(3) ノスゴスの柱

(3) ノスゴスの柱

(4) ヴァンパイア要塞

(4) ヴォラドールの館

(5) ヴァンパイア要塞

(5) アヴァナス大聖堂

0 B/AC

(6) アヴァナス大聖堂

(6) ヴォラドールの館

~ヴァンパイア要塞

(7) 悪魔界

~ヴァンパイア要塞

 


500 BC


  • ケイン(1)サラファン砦

 

ケイン(独白)

「選択肢があった。堕落し衰退した帝国を支配するか、それとも、個の宿命に逆らい、別の(賽の)目を、より良い目を求めて運命の神に挑戦するか()。王はどうすべきだったのか?」

「しかし、個には本当に選択権があるのだろうか?個に為しえるのは、一手一手、運命の神の策謀に立ち向かい、過酷な命運に挑戦することだけなのだ」

「そういうわけで、私は敵の聖域へと戻った()。サラファン教団の要塞だ。人間には侵入不可能だと考えられていた」

「・・・人間には不可能だとな」

「この城壁の奥深くで、私の獲物が待っていた。モビウスだ。時の旅人、ペテン師、永遠の賭博者。奴は生者を自分のポーン(手先)として利用していた」

※これはケインが帝国建設後、オラクルの洞窟でノスゴスの歴史や自分の未来を学んだ時に生じた選択肢だろう。荒廃した世界の玉座に腰を据え続けるか、腹心のラジエルを処刑して歴史改変に挑むか、である。

※SR2ラストから数年後と言われている。ややこしいのでおよそ500 BCということにしておくが。

 

サラファン衛兵1

「ついに俺たちはあの悪鬼共の巣全部を根絶やしにしたんだな」

サラファン衛兵2

「しかし俺たちは以前あの地域を掃除したはずだ」

サラファン衛兵1

「十分じゃなかったのさ。しかし問題ない。俺たちはあの種族を一匹残らず火で浄化してやったんだからな。奴らの魂の冥福でも祈ろうぜ」

サラファン衛兵2

「モビウス卿もお喜びになるだろう」

 

モビウス(何者かに対して)

「ええ・・・分かっております・・・」

「・・・果たされるでしょう・・・舞台は整っています・・・」

※もちろん見えないエルダーゴッドと会話している。

モビウス

「影でこそこそする必要はないぞ、ケイン。

久しぶりではないか、ええ?」

ケイン

「戯れ言はいらん、モビウス。私がなぜここにいるか分かるな」

モビウス

「ああ・・・ラジエルのことだな。お前は自分自身のポーンをこのゲームに持ち込み、今や奴はボード上から取り除かれてしまったわけだ」

ケイン

「貴様がそうしたんだろう。あいつはどこにいる?」

モビウス

「おそらく『いつ』と尋ねるべきだろうな?

ひどく屈辱的であるに違いない。答えを求めて私の戸口へ物乞いにやってくるとは」

ケイン

「言葉遊びはもういい」

モビウス

「私を脅すでないぞ、ケイン」

 

(モビウスの杖が光ると、ケインは胸を押さえて倒れ、リーバーを取り落とす)

モビウス

「分かっただろう。私の方が上手なのだ」

「あの偉大なケインが、他の凡庸なヴァンパイアと同じように笏の力の前に屈服せねばならんとは、なんとも驚くべきことだ」

「これほど長い年月が経っていてもまだそれほど傲慢とはな。見事な計画を案出できたとでも思っておるのだろう。お前は何も知らん。しるしを目にしても、その意味を捉え損ねたのだ。お前は、自分がヴァンパイアの予言の作り話、調和の子孫だと信じておるのだろう。そしてラジエルがお前の運命を果たす鍵を握っていると」

「しかし、その救世主的妄想のせいで、お前はラジエルの真の本性が見えなくなっている。お前は自分が何を解き放ったのか分かっておらん」

「かつてはお前も、賢明な助言が与えられれば、それに耳を傾けたかもしれん。(しかし)今や、お前は自らの虚栄心で無分別になった。お前は自力で真実を学ばねばならんだろう」

(モビウスは足でリーバーをケインの方へ押しやる)

「お前にはこれが必要だろう」

「私が立ち去れば、お前の力は戻るだろう。しかしその時までに、お前は私を追いかけることよりも緊急の問題に直面するだろう。おそらく次に会う時には、お前ももう少し謙虚さを学んでいることだろう」

 

(モビウスが去って)

ケイン(独白)

「この奇妙な化け物共は影そのものから姿を現したように見えた・・・」

「私を足止めしようとしたモビウスの試みは、奴の企みの中でも大したものではなかった。(今度)奴を見つけた時、ささやかなサプライズを提供するのは私の番だ」


??? B/AC


  • ラジエル(1)地下世界

 

エルダーゴッド

「降伏しろ、ラジエル。このつまらぬ反抗を止めるのだ。お前を創ったのは私だ。(かつて)お前の生命は尽きていたが、私の恩顧によってお前は救われた。お前は我が魂の収穫者だ。お前には、他にいかなる目的も、より高等な運命もない。ただこれだけだ。自分の衝動を受け入れろ。そんな無駄な希望など捨ててしまえ。自分の意志など放棄し、喰らえ」

ラジエル

「嫌だ」

エルダーゴッド

「この挑戦からお前は何を得るというのだ?」

ラジエル

「あんたを怒らせることには確かな満足がある」

エルダーゴッド

「我が忍耐は永遠だぞ、ラジエル。お前はどれほどの永劫に渡り、ここで惨めに暮らすことに耐えられるだろうな?」

「運命の車輪は回らねばならん。あらゆるものは、生と死と再生の清めの苦痛において救われる。これが生命の原動力、宇宙の浄化周期であり、あらゆる魂は否応なくそこに引きずり込まれる。お前は、必要かつ気高い役目を担っているのだぞ、ラジエル」

ラジエル

「説教はもういい。俺をうんざりさせて屈服させようとでもしているのか?なぜこのゲームは続かねばならん?俺たちは共にあんたが何者か知っている。あんたは自分が軽蔑するヴァンパイアと変わらん。正義の装いの内に食欲を覆い隠した、貪欲な寄生虫だ。あんたの意志を遂行するなどまっぴらだ」

エルダーゴッド

「私にはお前の心中が見えるぞ、ラジエル。お前をここに留めているものは、お前の意志ではなく、臆病さであろう」

ラジエル

「どうしてそうなる?」

エルダーゴッド

「お前は、自分がこの地下世界から出て行けば、どんな運命が待っているか知っている。お前の持っているその霊体の武器が、いつも思い出させるのではないか?あの剣は外のどこかでお前を待っている。だからお前は、剣と出会わぬようぐずぐずしているのだ」

ラジエル(独白)

「それは否定できなかった。俺がここに留まり、虜囚化を拒んでいる限り、俺は、自分が恐れている不可避の破滅――リーバーに囚われし貪欲な霊魂となること――を先延ばしにすることができた。しかしその判決は、俺が今耐えているステールメイトより悪いものではなかった。運命からあとずさるぐらいなら、立ち向かった方がましだった」

エルダーゴッド

「私はお前を魂の収穫者として創った。我が死の天使よ、その役目に戻るのだ」

ラジエル

「もういい。分かった。降伏する」

エルダーゴッド

「よろしい。空腹を満たすがよい」

 

(ラジエルが魂を喰らう)

エルダーゴッド

「そうだ・・・自分の衝動を受け入れろ、ラジエル。お前は知ることになる。挑戦に代償が待っているのと同じく、服従には報償が待っている」

ラジエル(独白)

「そして降伏はいつも見掛け通りというわけではない」

 

(ラジエルが移動を開始する)

エルダーゴッド

「お前は、自分の価値をそれほど容易く証明できるとでも思っているのか?服従のさらなる証拠を示すまで、お前の道は閉ざされる」

ラジエル

「俺がこの場所を去る前に、あんたに餌を与えろということか」

エルダーゴッド

「お前は自分に餌を与えねばならんのだ、ラジエル」

ラジエル

「『車輪は回らねばならん・・・』」

エルダーゴッド

「おお、ようやく分かったようだな」

「行ってもよかろう。しかし覚えておけ。お前は私のものだ。お前は、自分自身から逃れられないのと同様、私からも逃れられない」

 

(いくつか魂を喰らった後、本格的に脱出を試みる)

エルダーゴッド

「どこへいこうとしているのだ、小さき魂よ?」

「だめだ!」

ラジエル(独白)

「明らかに俺の脱出は予想されていなかった。あるいは、俺の『慈悲深い』主人は、俺が出て行くのを妨げる労を惜しんだのだろう。そして、もし俺の出発が奴を不快にさせたのなら、俺にとってはどれほど小さいにせよ勝利だった

 

(物質界へのポータルを発見して)

ラジエル(独白)

「ついに物質界への通路を発見した。ようやく俺は精神界から脱出し、煩い奴から一歩遠ざかることになる・・・」

(急にポータルが消える)

エルダーゴッド

「お前は、反逆の後もかつてと同じ好意を受けられると思っていたのか?それはない、ラジエル。私にとってお前が物質界に入る必要はない。それゆえいかなる通路も与えられん。お前は霊体として十分私の役に立つ。それゆえお前は霊体に留まることになる」

ラジエル(独白)

「ならば俺の拘束は取り除かれたのではなく、緩められただけだということか。俺は精神界の囚人に留まる気はなかった。別の道があるに違いない」


500 BC


  • ケイン(2)サラファン砦

 

モビウス

「ようやく来たか。調和の紋章の断片を1つ見つけたようだな()。他3つの断片も見つけられれば、それはさらに役に立つだろう。さて、それでは」

※調和の紋章は、調和を示す中心部以外に、4つの断片を持つ。ここで言われているのは炎の断片である。リーバーに炎の属性を与え、ケインの念動力を強化した。

 

(ケインは念動力でモビウスの杖を部屋の隅へと飛ばす)

ケイン

「うむ。話し合いを再開しようか」

 

(さらに念動力でモビウスの首をつかみ、その体を宙に持ち上げる)

ケイン

「ただし少々趣を変えてな。さあ、私に教えなければならんことはなんだ、モビウス?」

モビウス

「お前には私を殺せん。我々は共に知っているだろう。私はこのようにして、あるいはこの時点で死ぬわけではない」

ケイン

「死が起こりうる唯一の結果というわけではないぞ」

 

(ケインはモビウスに苦痛を与える)

モビウス

「ヴァンパイアの愚かな予言を果たそうとする妄想のせいで、お前の判断はひどく歪められてしまっている。そしてラジエルも、お前が考えている通りのものではない」

ケイン

「私がどう考えているか、厚かましくも想像しているわけか?」

モビウス

「だからお前はラジエルの魂がリーバーに入るのを阻止したのだろうが。お前はそうすることで、自分の運命を回避できたと少しでも信じているのか?あるいはラジエルの運命を?あるいはノスゴスの運命を?お前の操作など全く取るに足らん」

ケイン

「しかしラジエルは自由意志を保っている。そして、それこそ貴様の恐れるものだ。そうであろう、モビウス。貴様はあいつの歩みが見えぬ。だから貴様には制御できんのだ」

モビウス

「お前にもだ。然り、ラジエルは我々から覆い隠されている。しかし、奴の潜在的な行いの波紋(影響)を知ることはできる。奴が選びうる道は、全て同じ結果につながっている。奴はお前を殺すぞ、ケイン。ラジエルを救ったことで、お前は自ら、自分の死刑宣告を記したのだ」

ケイン

「貴様はまだ私の問いに答えていない。私はそれを尋ねるために来たのだ。ラジエルはどこにいる?」

モビウス

「奴は本当の意味でここにいるとは言えない。今ではないのだ」

ケイン

「私の忍耐を試さんことだな、モビウス。貴様はあいつに何をした?」

モビウス

「奴は拘束されている。しばらくすれば、奴を解放しても安全になるだろう。奴の運命は完遂されねばならん。奴はその剣に入ることになる。しかしその時まで、奴は危険だ。お前が理解しているより遙かに危険なのだ」

ケイン

「それで、明白な証拠でもあるのか?」

モビウス

「その答えは明らかなものだ。お前がどこを探せばいいか知っていればな。柱の西へ向かえ。そこでお前は石に刻まれた証拠を見つけるだろう」

 

(モビウスは消える)

ケイン(独白)

「しかし石もまた嘘を付きうる」

「ノスゴスの柱は、地平線を背景にして本来の姿のままでそびえていた。その西に向かえば知恵を得られるかもしれん。モビウスが私に欠けていると感じた知恵を」


0 B/AC


  • ラジエル(2)共同墓地

 

ラジエル(独白)

「俺はこの地下聖堂で、内部の朽ちた死体から立ち上る霊妙なガスを発見した。近くまで来ると、特有の霊的な引力を感じた。そして近寄るほどに、その引力はますます激しくなった」

 

(ラジエルは死体に取り憑いて物質界に戻り、さらに自らの形態を取り戻す)

ラジエル(独白)

「結局さしたる困難ではなかった。俺は自らをその墓に投射し、気付いた時には物質界に甦っていた。それはおぞましい器ではあったが、意志の力によって変えることも出来た」

※ラジエルが「物質界の存在に取り憑き、その形状を変える」能力を持っていることは、ある共通性を示唆している。BO1のラストで何が起こったかを思い出してみよう。

 

(柱に出没する幽霊について話しているヴァンパイアハンターたちと遭遇した後)

ラジエル(独白)

「こいつらはモビウスのハンターだった。ヴァンパイアを根絶せんとする奴の聖戦軍に加わった傭兵だ。奴の記章は間違えようもなかった・・・。しかしこれが意味するのは、俺が何世紀にも渡って地下に囚われていたということだ。俺は500年間を浪費したらしい」

※通説では、精神界での時間の進みは物質界と一致していないらしい。それゆえ、物質界では500年が経過していた、ということになる。

「また、柱に出没しているのがどんな幽霊なのか俺は知っていた。アリエル、殺害された調和の守護者の亡霊だ。おそらく彼女は俺の求める答えを提供できるだろう。しかしまずはこの共同墓地から抜け出す道を探さなくてはならなかった」

 

(再び地下聖堂に戻ったラジエルは、甦った死者の群れに襲われる。彼らの目は緑色に輝いていた)

ヒルデン1

「ラジエル・・・」

ヒルデン2

「ラジエル・・・」

ヒルデン1

「堕落した英雄・・・」

ヒルデン3

「変節者にして裏切者・・・」

ラジエル

「なんだこれは?どうしてお前達は俺のことを知っている?」

ヒルデン1

「ラジエル、お前は何者だ?」

ヒルデン4

「なぜ誰もがお前の名前を知っていると?」

ヒルデン2

「お前など何でもない・・・」

ラジエル(独白)

「物質界に入る俺の方法は、完全に独自なものでもなかったようだ。しかしこの者たちはどこからやって来たのだろうか?」

※もちろんラジエル自身は、死体に取り憑いているのがヒルデン種族だと知らない。

 

  • ラジエル(2)ヴァンパイア要塞闇の炉

 

ラジエル(独白)

「これは明らかにヴァンパイア文明の古代の廃虚だった。ことによると、俺はここでついに自分の運命の謎を解き明かせるかもしれない」

 

(壁画群を見て)

ラジエル(独白)

「これらの廃虚の至る所で壁画が見つかった。それはヴァンパイアの歴史上で重要な出来事を描いていた。これらのシーンは、古代ヴァンパイアとその対立者の大戦争を記念していた。勝利の際、古代ヴァンパイアたちは敵対者をこの世界から追放し、彼らを縛り付ける錠前として柱を築いたのだ」

「この場所の至る所にリーバーの絵が刻まれていた。それは常に敬意を持って描かれていた。ヴァンパイアの聖なる武器は、予言されし英雄によって用いられる運命にあり、彼のために鍛造されたのだ。しかし、もしこれが俺の運命だとすれば、リーバーはなぜ俺を喰らい尽くそうとしたのか?」

「このシーンは最初のヴァンパイア守護者の任命を描いていた。柱が建てられた時、仕えるために召喚された者たちだ。各守護者は、自らが仕える柱の主要素と結びつけられており、調和の守護者は彼ら全員の枢軸だった」

 

  • ラジエル(2)ヴァンパイア要塞光の炉

 

(壁画を見て)

ラジエル(独白)

「敗北に際し、ヴァンパイアの敵は恐るべき呪いによって報復した。ヴァンパイアたちを血の渇きで苦しめ、かつての高貴な種族を貪欲な捕食者へと変えたのだ。この呪いは、ヴァンパイアたちを絶望へと追いやり、どうやら多くの者を狂気と自己消滅へと走らせたようだ。彼らを自殺へと走らせるほどの挫折とは一体何だったのだろうか?」

※ヴァンパイアの呪いの本質は、吸血ではなく不死である。そしてそれが意味することは・・・。


500 BC


  • ケイン(3)ノスゴスの柱

 

ケイン(独白)

「私の誕生より遙か前に、この地を眺めるのは何とも不思議だった・・・。大地を汚し、未だ続く背信の道を私に歩ませた、あの腐敗が始まるより数世紀前に。未来では、この大建造物は闇と腐敗へと追いやられる。私はその崩落を引き起こし、その廃虚の上に自らの帝国を築くことになる。正しい知識と正しい指し手をもってすれば、私はいつの日か、もう一度、回復したノスゴスと汚れ無き柱を目にすることがまだできるのだろうか?モビウスによれば、私の答えはこの地から西のどこかにあるという。私は世界を元に戻せるかもしれない。しかし、ノスゴスに元の純潔を返すことは決してできないだろう」

 

(ヴァンパイア要塞=守護者の要塞を発見して)

ケイン(独白)

「この湖を覆っていた霧は今や不思議なほど晴れており、古代の要塞を露わにしていた。ではモビウスは嘘を付かなかったということか。あるいは、これもあの時の旅人による新たな幻影に過ぎないのかもしれない。私のしかるべき務めを遅らせようと意図して」


0 B/AC


  • ラジエル(3)ヴァンパイア要塞火の炉

 

(壁画群を見て)

ラジエル(独白)

「俺は自分の運命の謎を解き明かそうと努めた。そしてこの絵に最初の手掛かりがあった。というのも、この場面はリーバーの鍛造を描いていたからだ。俺の牢獄となる運命の武器。そして俺はその制作者が誰か分かった。長い年月が彼を変化させていたが、それでもこの者は間違いなくヴァンパイア・ヴォラドールだった。そしてこの時代、彼はまだ生きている。モビウスの暴徒がヴォラドールを追い詰める前に、彼の元へ辿り着くことができれば、俺の求める答えを与えてくれるだろう」

「これらの絵はヴォラドールの創造を記録していた。俺が既に知っていた通り、彼はヴァンパイアとして生まれたわけではなかったが、悪名高いヤーノス・オードレンによって(ヴァンパイアに)変えられたのだ。しかし、この壁画が示唆するところによれば、ヴォラドールの誕生は遙かに重要な意味を持っていた。明らかに彼は、闇の賜物を伝授された最初の人間だったのだ。これこそ、ヴァンパイアが血統を維持するための苦肉の策だった・・・というのも、敵の呪いは、ヴァンパイアに血の渇きだけでなく、不妊をも課したからだ」

 

ラジエル(独白)

「俺は自然の守護者の亡霊と出会った。何世紀も昔に死んで以来、ひどく醜い姿に変わっていた」

自然の守護者

「喜ぶがよい、怪物よ、なぜなら今日でお前の魂は唯一者の元へと帰るのだから・・・」

※「唯一者 (the One)」とはもちろん姿無き神エルダーゴッドのことであろう。古代ヴァンパイアはエルダーゴッドと運命の輪を崇拝していたからだ。

 

ラジエル(独白)

「その納骨堂に近付くと、俺は守護者の亡霊と出会った」

戦いの守護者

「永遠は重くのしかかる・・・」

ラジエル

「俺は解決策を知っているぞ」

戦いの守護者

「私は償いのため、永遠に耐えている・・・しかしお前が存在すべき時は過ぎ去った。こちらに来い、そして解放されるのだ・・・」

 

(ラジエルに倒された守護者達の魂は、火の炉の霊魂の器に取り込まれる)

ラジエル(独白)

「リーバーが自然と戦いの守護者の魂を吸収すると、彼らの本質が結びつけられている火の元素の力がリーバーに宿った」

 

  • ラジエル(3)ノスゴスの柱

 

ラジエル(独白)

「再び俺はノスゴスの柱を目にした。今や腐敗してぼろぼろになっていた。輪が堕落した結果だ。ここでアリエルが見つかるだろう。殺害された調和の守護者の亡霊。守護者の輪のうちで、最後に残った清浄で汚れ無き構成員。彼女は死ぬとここに縛り付けられ、柱に出没するよう運命付けられていた。彼女の後継者が自分の恐るべき義務を果たし、調和が回復されるまでは」

アリエル

「近付いてくるのはいかなる化け物かしら?」

ラジエル

「あんたのことはよく知っているぞ、アリエル。あんたは俺のことをまだ知らないだろうが」

アリエル

「謎かけに付き合っている時間はありません、見知らぬ者よ」

ラジエル

「あんたにあるのは時間だけだろう。俺はあんたの導きを求めにやって来た」

アリエル

「私はただ一人の男にしか助言しないわ。そしてお前は彼ではない。しかしお前はすぐに彼のことを知ることになるでしょう。お前の種がもたらした悪影響は終焉を迎えようとしているわ」

ラジエル

「俺の種だと?一体あんたは俺が何だと思っているんだ?」

アリエル

「お前の名は、我らの祖先が定めた通り、『語られざる者』のままよ。お前は、私の生命をあれほど残酷に奪い、この悲劇を始めた者に仕えている。しかしまだ希望はあるわ。調和は回復され、お前の種は永遠に放逐されるでしょう」

ラジエル

「あんたは自分の希望をケインに押しつけたわけだ。あいつはあんたを失望させることになるぞ」

アリエル

「お前にケインの何が分かるというのですか?」

ラジエル

「あんたが理解しているよりも多くのことをな」

アリエル

「彼は時が来れば自分のなすべき事をする」

ラジエル

「自分自身の死を選んでか?世界のための犠牲を?あんたはケインのことをよく分かっていないな」

アリエル

「私は彼が何をなすために召喚されたのか知っています。この信頼が私を支えている」

ラジエル

「それは信頼なのか?恐怖じゃないのか?あんたには分かっているはずだ。もしケインが犠牲を拒めば、あんたは決してこの場を離れられなくなる。そしてあんたは疑い始めている・・・」

アリエル

「お前の毒に耳を貸す気はありません、悪霊よ」

ラジエル

「俺が求める答えを与えてくれ。そうすれば好きなだけ哀れな妄想にふけらせてやる」

アリエル

「ならばお尋ねなさい」

ラジエル

「俺はヴァンパイア・ヴォラドールを探している」

アリエル

「彼を殺すためかしら?あるいは、彼と共に死ぬために?ケインを除けば、彼はその種の最後の一人。モビウスの暴徒がその仕事を果たすでしょう」

ラジエル

「俺の理由は独自のものだ」

アリエル

「彼の隠れ家は暗き森の中心にあります」

「そして終焉の訪れまで、お前たちがそこで一緒に朽ちていきますように」

 

  • ラジエル(3)ヴァンパイア要塞空気の炉

 

(壁画を見て)

ラジエル(独白)

「これらの壁画はいくらか傷んでいた。俺は再びヴァンパイアの英雄を見出したが、この場面は新たな事実を露わにしていた・・・というのも、ここには彼の運命的な敵も描かれていたからだ。現状では不明瞭な点もあるが、その敵は燃えさかる剣を携えているように見えた」

 

心の守護者

「全てを勝ち取った時、我々は全てを失った・・・。我々が重要だと思っていたものを勝ち取った時、我々は本当に重要なものを失った・・・。しかしお前には見込みがある」

ラジエル

「何の見込みだ?」

心の守護者

「死の喜びの。私がそれを授けよう」

ラジエル

「だが俺は受け取らん」

 

次元の守護者

「お前も呪いを分かち合っているな。服従し、解放されるのだ・・・」

ラジエル

「ありえん」

 

(二人の守護者の魂を吸収し、リーバーに空気の力が宿る。ラジエルは自分の運命から逃れる方法を求め、テルマゲントの森に入り、ヴォラドールの元へ向かう)


500 BC


  • ケイン(4)ヴァンパイア要塞

 

ケイン(独白)

「かくして私はヴァンパイアの祖先の要塞に辿り着いた。それは、遙か昔に彼らが絶滅して以来、長きに渡って見捨てられていた。おそらくこの要塞はまだ創造者達の知恵を保持しているかもしれない。モビウスの言によれば、ここで私は、ラジエルが私の考えている通りの、あるいは希望している通りのものではない、という証拠を見つけるらしい。しかし私をここに向かわせたことで、モビウスは予期せぬ、あるいは、うっかりしたサービスを私に提供してしまったのだ。というのも、私がここで見つけようとした秘密は、ラジエルの運命ではなく、私自身の運命だったからだ。すなわち、調和の子孫としての私の役割だ」

 

(壁画を見て)

ケイン(独白)

「ここには、明らかにモビウスが私に見せたがっていた証拠があった・・・なぜなら、ヴァンパイアが予言していたのは一人ではなく、二人の闘士だったからだ。一人はノスゴスの救い主になる運命であり、もう一人はその破壊者になる運命であった。ヴァンパイアの英雄はリーバーを用いていた。リーバーはまさにそのために鍛造されたのだ。そして、彼の敵対者は明らかにヴァンパイアの敵、ヒルデン種族の英雄だった。その者は燃えさかる剣を振り回していた。そして予言されし結果は明らかだった。ヴァンパイアの英雄が敗れることになる」

 

(しばらく探索した後)

ケイン(独白)

「ヴァンパイア要塞の新たなエリアが開かれた。私にはまだ発見しなければならぬことが沢山あった」


0 B/AC


  • ラジエル(4)ヴァンパイア要塞水の炉

 

(ヴォラドールの館を探索する中でヴァンパイア要塞へと移動する)

 

(壁画を見て)

ラジエル(独白)

「ここではあの絵が本来の姿を保っていた。そしてその意味は不吉にも明らかだった・・・。リーバーを携えたヴァンパイアの英雄は、その力に見合う敵と対峙していた。かつて追放されたその敵の種族にも、自分たちの闘士がいたのだ。それは燃えさかる目と炎の剣を携えていた。

俺とその敵との類似性は、俺のあらゆる希望を挫いた()。結局は、ケインこそ予言にあるヴァンパイアの英雄だったということか?あいつは俺が何者だと考えていたのか?というのも、もし俺がこの予言されし敵であるなら、モビウスが正しく、常に正しかったことになる。つまり、俺はケインと戦い、奴を破壊するか・・・あるいは破壊される運命だったことになるからだ。このことに関して自由意志が何の役に立ったというのか?・・・」

※燃えさかる剣=霊体ソウルリーバー、燃えさかる目=ラジエルの目

 

死の守護者

「お前の解放は間近に迫っている。死んでお前は解放される」

状態の守護者

「今の状態は単なる償いに過ぎない・・・」

 

(同様に、二人の守護者の魂を吸収し、リーバーは水の力を得る)

 

  • ラジエル(4)ヴォラドール

 

ヴォラドール

「そうか・・・我らの惨めで小さき救済者が戻ってきたか・・・。ヴァンパイア種族の最後の哀れな戦いに加わりに来たのか?しかし、どちらの側に付くのだろうな・・・」

ラジエル

「俺はあんたと戦いに来たわけじゃない、ヴォラドール」

ヴォラドール

「お前は自分がなぜここにいるのか分かっておらんのだろう」

ラジエル

「俺がよく分かっているのはこれだ。あんたが俺の運命の書き手であり、それゆえ、あんただけがそれを書き換えられる、とな」

ヴォラドール

「私を過大評価しているな」

ラジエル

「リーバーを鍛造したのはあんただ。俺はその証拠を見てきた」

ヴォラドール

「いかにも、私がその作り手だ」

ラジエル

「ならばその目的も知っているだろう」

ヴォラドール

「いいや。我が主が私と共有したのは、予言の断片だけだ」

ラジエル

「ならばその断片は、どうしてあんたの鍛造した武器があんたの救済者を虜囚化するのか、理由を説明しているか?」

ヴォラドール

「ほう、そういうことか・・・我々は答えを得たようではないか。お前は自分の道を選んだのだ」

ラジエル

「俺は何も選択していない。俺はいつも騙されてきたのだ」

「あんたは俺が何者か知っているようだ。教えてくれ」

ヴォラドール

「かつては知っていると思っていた。しかし今や全ての予言は破綻してしまった。柱は腐敗し・・・私は我が種族で最後の者となった・・・そしてモビウスのハンターが私を見つけ出す時、全ては無に帰す」

ラジエル

「あんたはケインのことを忘れている」

ヴォラドール

「ああ、そうだな、ケインか・・・。私は、奴が自分で理解している以上の重荷を背負ってしまったのではないかと危ぶんでいる。

お前を助けることはできない。たとえ私がそうしたくともな。私は確かにリーバーを制作した。しかし私はただ、我が父ヤーノス・オードレンの命に従ったまでだ。後で彼や他の者たちがあの剣にどんな魔法をかけたのか、私には分からぬ」

ラジエル

「ヤーノスは死ぬ前、俺にリーバーを渡そうとした。彼は言っていた。リーバーは俺のために鍛造されたのだと・・・しかし彼は何を意味していたんだ?(リーバーが鍛造されたのは)俺の武器としてなのか、それとも俺の牢獄としてなのか?」

ヴォラドール

「おそらく本人に尋ねるべきだろうな」

ラジエル

「ヤーノスがここにいるのか」

ヴォラドール

「ある意味ではな」

 

(心臓のないヤーノスの遺体の前で)

ヴォラドール

「我ら全ての内で最も偉大な者、我らの種族の父祖。5世紀前、サラファンは彼の生きている体から心臓をもぎ取った」

ラジエル

「しかし、ここには何の腐敗の兆候もない。これほど年月が経って、なぜこんな事がありえるんだ?」

ヴォラドール

「どこかで、心臓がまだ脈打っているのだ。そしてその間、死体は保存されたままに留まるだろう。もし彼の心臓が戻されれば、ヤーノスは甦るやもしれん」

ラジエル

「それであんたは、この長い年月の中、心臓を取り戻そうとしなかったのか?」

ヴォラドール

「何度も試みたさ・・・しかし我々の敵は実に巧みに心臓を隠したのだ。それは数世紀前、戦利品としてアヴァナス大聖堂へと持ち込まれた。そこで奴らはそれを『暗黒の心臓』と命名したのだ。その心臓が我らの闇の賜物の根源を体現していると信じ、悪者の手に渡らぬように隠したのだ。我らの手にな」

「己自身を救うがいい。お前は我々最後の希望かもしれん。おそらくお前だけがあの心臓を見つけられるのだろう。もしあの心臓が見つけられる運命にあるのならな。もしヤーノスが甦れば、彼はお前の求める全ての答えを持っていることだろう」

「この鍵がアヴァナスへと至る道を開くだろう。しかし忠告しておこう。大聖堂には邪悪な魔法が働いている。お前は用心せねばならん」

「アヴァナスは炎に包まれている・・・そしてそれと共に我らの希望も霧消するかもしれん」

ラジエル

「そんな混沌のただ中で、どうすれば心臓を見つけられるんだ?」

ヴォラドール

「素早く行動せねばならん。しかし気をつけるのだ。内部には古の悪が棲み着いている。我らの種族の中で久しく語られなかったものだ。それこそ輪を汚染した腐敗の源泉であることは間違いない。もしうまく事を運びたいなら、お前はその悪の影響力に耐えねばならん」


500 BC


  • ケイン(5)ヴァンパイア要塞

 

(壁画群を見て)

ケイン(独白)

「この歴史の一部は既に知っていた・・・。つまり、ヴァンパイアが死に絶え始めた時、どのようにして柱が人間の守護者を召喚し、自らの役割を果たそうとしたかだ。古代ヴァンパイアたちは、人間の守護者を養子に取り、必要なら誘拐して、彼らが成人になるとヴァンパイアに変えたようだ。人間が自分の主に反乱を起こすまでは・・・。そしてここで私は驚くべき発見をした。その血塗られた反逆を導いたのは、時の旅人モビウスと死の守護者モータニアスだったのだ。これで、なぜモビウスが私をあれほど激しく憎悪するのか分かった。私はここ何世紀もの間で初めてのヴァンパイア守護者だったのだ。そして奴は、私の到来が意味することを悟ったのだろう・・・あるいは、私(の存在)は、奴に自分が縁切りしたもの全てを思い出させたのだろう」

「再び私は、リーバーを携えたヴァンパイア闘士の描写に出会った。そしてここにも、燃えさかる目を持ち、炎の剣を振るうヒルデンの敵対者がいた。二人の英雄は、いずれか一方しか生き残れぬ戦いで組み合っていた。しかしいずれが(生き残る)?これらの壁画は二つの可能な結果を予言していた。私にはモビウスが企もうとしていることが分からなかった。しかし、これでは余りにも(私に)都合が良すぎるように思われた・・・」

 

ケイン(独白)

「古代の祖先にとって、闇の賜物は明らかに呪いだった。彼らをある種の精神的煉獄へと落としたのだ。しかしなぜ彼らはこの部屋をかくも厳重に隠さねばならなかったのだろうか?ことによると、この錠前は、侵入者を防ぐためではなく、内に潜む何かを閉じ込めておくためのものだったのかもしれない」

エルダーゴッド

「ケイン・・・調和の子孫よ。ノスゴスの救済者よ」

ケイン

「なんだこれは?」

エルダーゴッド

「お前の到来は予言されている・・・ 運命の神がそれを意志したのだ」

ケイン

「ほう」

エルダーゴッド

「私はお前の祖先のオラクル(預言者)だ。お前の求める答えを与えられるぞ・・・」

「言わずともよい。お前の心は分かっている。お前は自分の被造物ラジエルに関する知識を探している・・・それこそ私が提供できるものだ。もしお前が見ようとするならな」

「彼はヤーノスの亡骸を発見した・・・」

「彼は今、暗黒の心臓を求め、アヴァナス大聖堂へと旅している。お前にはこれが何を意味するか分かるな・・・」

ケイン

「しかし、どうしてお前の予言を信用せねばならん?」

エルダーゴッド

「こうした出来事は既に記されている。ちょうどお前が恐れたようにな。しかしまだ時間はある。彼を止められるぞ」

ケイン

「アヴァナスが炎に包まれているなら、ラジエルは私の手が及ばぬ5世紀先にいる」

エルダーゴッド

「その点についても私はお前を助けてやれるぞ・・・」

「このポータルはお前を時間的に転送し、ラジエルがアヴァナスに到着するまさにその時へと連れて行ってくれる」

「この任務はお前が実行すべきものだ・・・なぜなら、彼を今の姿にしたのはお前だったのだからな。準備が出来たら通るがよい」

ケイン(独白)

「無論私は、この『オラクル』を信用すべきでないと分かっていた。しかし結局、私にどんな選択があったと言うのか?」


0 B/AC


ケイン(独白)

「この特有の感覚は馴染み深いものだった。そして実際、この部屋は時間の経過で変わったように見えた・・・。少なくともこの点に関して、あのオラクルは誠実だったようだ」

エルダーゴッド

「私はお前が望むまさにその時へと正確に運んでやったぞ。お前は為すべき事を知っているな、ケイン。ラジエルが甚大な災いをもたらすのを防ぐ手段は、ただ一つしか存在しない」

ケイン

「あいつは俺の敵ではない」

エルダーゴッド

「しかし、お前は奴にとっての敵だ・・・」

 

ケイン(独白)

「この場所から、炎に包まれたアヴァナスの都市を見ることができた。あのオラクルは本当に約束の時へと私を送ったようだ。だとすれば、ラジエルが既にそこにいて、暗黒の心臓を探しているというのも真実なのかも知れない。もしそうなら、あいつを止めなければならない。ヤーノスを甦らせるわけにはいかなかったのだ」


(アヴァナス大聖堂を探索する中、ヴァンパイア要塞へと移動)

 

  • ラジエル(5)ヴァンパイア要塞大地の炉

 

(壁画を見て)

ラジエル(独白)

「この廃虚の至る所でこのシンボルを目にした。彼ら(古代ヴァンパイア)が何を崇拝していたのか気付くべきだった。もう疑問の余地はない。というのも、この場面は、呪いによって運命の車輪から排除された、古代ヴァンパイアの苦悩と絶望を描いていたからだ。つまり、これこそ、彼らを見捨て、狂気と自殺へと追いやった神だった。ようやく分かった。呪いの真の本質は、血の渇きではなく、不死化だったのだ。最も賢明で、強く、高貴な種族は、あの古の寄生虫の声に騙されていたのだ。しかし俺は奴を見た。奴が何であろうと、神などではない」

 

活力の守護者

「車輪にある者はみな幸福だ・・・」

時の守護者

「車輪の回転を喜ぶがよい・・・」

活力の守護者

「我々の目には見えずとも、車輪は回転している・・・」

ラジエル

「お前達の車輪はまやかしだ」

活力の守護者

「お前は車輪を回すことになる・・・」

時の守護者

「来たれ・・・」

活力の守護者

「死ぬのだ・・・」

 

(活力と時の守護者の魂を吸収し、リーバーに大地の力が宿る)

 

  • ラジエル(5)アヴァナス地下埋葬所

 

ラジエル(独白)

「その見事な棺は、中に腐敗した死体を隠していた。アヴァナスの偉大な大聖堂は、独自の秘密を抱えているようだった。その秘密は、丸天井の部屋の下、地下埋葬所に隠されている。これがノスゴスを汚染した腐敗の源だったのか?ヴォラドールはもっと多くのことを仄めかしていた」

 

(壁画群を見て)

ラジエル(独白)

「歴史は勝者によって書かれる。俺はアヴァナスの地下墓所の下で、見慣れた物語を語っている場面を見つけた。ただしそれは全く異なる視点から語っていた。これは敵の種族(ヒルデン種族)による作品だった。そしてヴァンパイアの歴史が都合良く省いていたことを暴露していた。つまり、あの高貴で、神に支配されし正義のヴァンパイアたちが、いかにしてあの戦争を開始したかということを。戦争は両種族を、勝者も敗者も同様に、破滅させることになった。敵対者たちはヴァンパイアの神に反抗し、運命の車輪への服従を拒んだ。それゆえ彼らは追放されたのだ。今や俺は、彼らの呪いの詩的な皮肉を理解した。そして俺とヴァンパイアの敵が似ていることは、もはやただの偶然と思えなかった」

※ラジエルはエルダーゴッドと運命の車輪に反抗している。その意味でも、ラジエルはヴァンパイアの敵と共通している。従って、姿が似ているのも偶然ではないだろう、ということ。

「追放されし種族は一人の英雄を予言していた。その英雄は、彼らを迫害者たちから解放し、ヴァンパイアの暴虐の神の軛を破壊することになっていた。燃えさかる剣を携えたあの英雄だ。これはどんなゲームなんだ?ボード上のプレイヤー全員が、同じポーンを自分のものだと主張している」

エルダーゴッド(声)

「かくして、ラジエル・・・ついにお前の真の本性が明らかになったわけだ。お前は決してヴァンパイアの救済者ではなかった。お前が属しているのはヒルデン種族だ。そしてケインがこのことに気付けば、奴はお前をどうすると思う?・・・」

 

(謎のカルト集団の儀式に遭遇)

崇拝者達

「Hash'ak'gik! Hash'ak'gik! Hash'ak'gik!」

モータニアス

「偉大な Hash'ak'gik よ、我らはあなたの声を聞く」

崇拝者達

「我らは震え上がり、服従する」

モータニアス

「我らは地上の祭壇にこの犠牲を捧げる」

崇拝者達

「我らが第一子の血をあなたに犠牲として捧げる」

※このカルトの伏線はBO1(ケイン・ザ・バンパイア)にあるので参照のこと。

 

ラジエル(独白)

「アヴァナス大聖堂の地下深くで、俺は血塗られた儀式に遭遇した。これこそ都市を襲った腐敗の源泉だったのか?」

 

モータニアス

「この血が永遠にあなたの滋養とならんことを」

崇拝者達

「あなたの怒りを我らから逸らしたまえ、偉大な神よ」

モータニアス

「Hash'ak'gik の怒りは再び避けられた。今こそ旅立たん、常に変わらず、神のために」

崇拝者達

「我らは震え上がり、服従する。Hash'ak'gik をたたえよ、常にたたえよ!」

崇拝者達

「Hash'ak'gik! Hash'ak'gik! Hash'ak'gik!」

 

ラジエル(独白)

「この欺かれし人間どもは、何をそれほど熱心に崇拝していたのだろうか?これこそ、ヴォラドールが俺に警告した恐るべき『語られざる者』なのか?」

 

(ラジエルは崇拝者達の前方にある巨大な穴を覗き込む。すると見えない力によって穴の中に引きずりこまれる)

 

ラジエル(独白)

「何であれ神と呼ばれしものが、この忌まわしい穴に棲み着いていた。俺は今にもそれと遭遇しようとしていた」

トゥレル

「血の臭いがせん・・・」

「まず喉が切り裂かれ、血が滴り、そしてそれがこの穴へと落ちる・・・。生け贄は拒否された。汝らは我が怒りを知ることになる」

「ありえん。違う。そんなことは」

ラジエル

「近寄るな、化け物め」

トゥレル

「違う。その声、ありえん。私はその声を知っている・・・しかし奴は落ちた。アビスで、奴はそこで死んだ」

ラジエル

「俺はアビスへ落ちたわけではない」

トゥレル

「おお、そのことを覚えているのか?」

ラジエル

「俺は自分の同胞に投げ込まれたんだ」

トゥレル

「お前が彼らに何をしたか聞いたぞ・・・そして今お前はついに私を見つけたわけだ」

ラジエル

「・・・トゥレルか」

トゥレル

「トゥレル。そうだ。それがかつての私の名前だった」

ラジエル

「他の奴らは奇怪な姿だったが、しかし」

トゥレル

「そうだ、私は変わった。私は神になった。かつてのお前よりも偉大なのだ、ラジエル。お前は決して神ではなかった。ケインよりも偉大なのだ!」

ラジエル

「この人間達はお前に血の犠牲を捧げているのか?」

トゥレル

「『Hash'ak'gik・・・Hash'ak'gik・・・』。そうだ」

ラジエル

「しかし、どうしてこんなことが起こったんだ?・・・」

トゥレル

「召喚されたのだ。闇と、ひどい空腹感があった。そしてその後・・・発見された」

※トゥレルを召喚したのは、BO1で登場した次元の守護者アジマス。モビウスの時間転移装置を使い、2000 AC以降の未来にいるトゥレルを呼び寄せたのである。

ラジエル

「なぜお前はこんなひどい場所に留まっているんだ?」

トゥレル

「なぜ留まっているかだと?脱出できるのに私が留まっているとでも?(=脱出できるものならそうしている)奴らは私を追い詰め、苦しめ、そして」

※「奴ら」とは下記の通りヒルデン種族のこと。

 

(急にトゥレルは何者かに取り憑かれ、目が緑色に輝く)

ヒルデン1

「時は近い」

ヒルデン2

「予言通りだ」

ラジエル

「トゥレル?」

ヒルデン3

「我らはこの者の声を使って上の信奉者たちに命じているのだ」

ヒルデン2

「我らはこの宿主を生かし続けるために、捧げ物を要求している」

ヒルデン1

「この者は頑丈な器だった。しかしもうこれ以上我らを受け入れられない」

ヒルデン3

「お前は勝たねばならん。我らの敵の闘士が近付いている」

※もちろんケインのこと。ただしケインは「ヴァンパイアの闘士」ではない。

 

(トゥレルに意識が戻る)

 

トゥレル

「駄目だ!私は血を飲まねばならん。血をよこせ。さもなくば神の怒りに触れるぞ。お前達は、お前達の(血)は、そうだ、奴らよりも私を強くしてくれる」

※同様に、「奴ら」=ヒルデン種族

ラジエル

「どうした?」

トゥレル

「やめろ、質問はよせ。崇拝もいらん。走る時だ。叫ぶ時だ。死ぬ時だ・・・」

 

(戦闘後)

トゥレル

「そうだ、今こそ・・・」

ヒルデン1

「行け、自分の務めを急げ」

ヒルデン2

「奴と立ち向かい、殺せ」

ヒルデン1

「そして戒めを破壊しろ・・・」

ヒルデン3

「我らは皆・・・」

トゥレル

「自由だ・・・」

※トゥレル自身の言葉とヒルデンの言葉が、意味は違いながらもシンクロしている。トゥレルの自由は「憑依からの解放」すなわち死。ヒルデンの自由は「現世への回帰」。

 

(ラジエルはトゥレルの魂とヒルデンのエネルギーを吸収し、念動力が強化される)

 

モータニアス

「私の元へ来るのだ、アンデッドの息子よ。柱へ急げ。舞台は大団円に向けて整えられている。お前は復讐を果たすだろう」

※ケインに対して。BO1(ケイン・ザ・バンパイア)ラスト参照。

ラジエル

「モータニアス」

モータニアス

「そうか、ついに表へ出てきたのだな。戒めは本当に脆くなっているに違いない。しかし、お前は知ることになるだろう。お前は遅すぎたのだ」

ラジエル

「今度は何に遅れたって言うんだ?」

※ラジエルは、SR2でヴォラドールにも「来るのが遅すぎた」と言われている。

 

(突然モータニアスは何かに抗う)

モータニアス

「駄目だ。駄目だ、今は駄目だ」

 

(回復して)

モータニアス

「お前の求めた勝利にはもう手遅れだ。結局私はお前に勝ったのだ」

ラジエル

「あんたは俺が何者か分かっていない」

モータニアス

「私が?お前は誰が私に古代の予言を教え込んだか忘れている」

 

(モータニアスが何かに取り憑かれ、目が緑色に輝く)

ヒルデンロード

「この器が語ったことは真実だ。お前は本当に来るのが遅かった。しかしそんなことはもはやどうでもいい。お前がいようといまいと、我々が勝つだろう」

ラジエル

「ではついに俺は、サークルの中枢に巣くう『語られざる者』と出会ったわけだな。皮肉だ」

ヒルデンロード

「詩的な正義だよ。柱の根幹を内部から倒す。我々は復讐を果たすだろう。完全に、そして永遠にな」

「ああ・・・この器にはほとんど力が残っていない。こいつを破壊するわけにはいかん」

 

(モータニアスが意識を取り戻す)

モータニアス

「お前の種族は負けたくないようだ」

ラジエル

「俺は暗黒の心臓を探している」

モータニアス

「ああ、ようやくそのことを思いついたか。しかし私が言った通り、お前は遅すぎた。あの心臓はその役割を果たしたのだ。私はあれを使って予言を始動させた。我が主によって予言された闘士を創り上げたのだ。彼はお前を破壊する運命にある。調和の子孫がノスゴスを救う。柱は目的通りヴァンパイアの守護者に戻される。そしてお前の種族は、永久に打ち負かされることになる」

ラジエル

「ケインだな。あんたはケインを創るために暗黒の心臓を使ったわけだ」

モータニアス

「他にどうやって?私は最初、古代の神話を信じるのを拒んだ。ヴァンパイアは人間にとってただの疫病だと思ったのだよ。蔓延を防がねばならぬ伝染病だとな。しかし、彼らは正しかった。我々は誤って彼らを滅ぼしてしまったのだ。モビウスと私がな。我々は、柱が何を防いでいたのか理解していなかったわけだ。私は償いをしたのだ。私は終焉まで償い続けるだろう。今や終焉はすぐそこまで来ている。しかし私は知っている。ケインが正しい状態にし、調和を取り戻すだろう」

「そしてちょうどいい頃合いだ。私の敵はますます強くなっている」

ラジエル

「今、暗黒の心臓はどこにある?あんたが破壊したのか?」

モータニアス

「まだ分からないのか。お前があの心臓を利用することはできん。ケインが自分自身の命と共に心臓を守っている限りな」

ラジエル

「ケインが、持っているだと?

心臓はケインの内部にあるんだな!」

モータニアス

「チェックメイトだ。この業により、最初に私が、そして全ノスゴスが救われるだろう。(いや)そうなるに違いない、うう」

 

(再び取り憑かれて)

ヒルデンロード

「この器は弱くなっている。しかし我々はすぐにもっと強い器を手に入れるだろう。久しく待ち望んだ時が近付いている。我々の解放はもうすぐだ」

 

(意識を取り戻す)

モータニアス

「ああ・・・終わらさねばならん。今こそ」

 

(モータニアスは姿を消し、ケインと会いに柱へ向かう)


 

(アヴァナス大聖堂に到着したケインの前にラジエルが突然姿を現す。以下、ラジエルの目は断続的に緑色の輝きを放つ=ヒルデンの影響下にある)

ラジエル

「ケイン。どうして驚かないんだ?」

ケイン

「我々の運命は一つになって流れているからだ、ラジエル。2本の川が一度出会えば、二度と離れられぬようにな。お前は、あらゆる重大な局面で、私を見つけることになる」

ラジエル

「しかし、自由意志は俺のものだとお前は言っていたな。それはどうなった?」

ケイン

「お前は変わらず自由意志を持っている。私が今ここにいるのも、そのことに深く関わっている」

ラジエル

「俺の運命を始動させることがお前の企みだった。お前が投げたコインは地面に落ちたんだ。今お前はその結果を甘受せねばならん」

ケイン

「コインはまだ回っているぞ、ラジエル。我々が共に受け入れられる、我々の未来に最善の仕方で貢献する解決へと達するためには、ヤーノス・オードレンを生き返らせてはならん」

ラジエル

「お前がそれを望まないからか?俺の自由意志は、お前の気分と一致した時にしか発揮されるべきでないと?」

ケイン

「このことには、お前が知るよりも遙かに多くのことが危険にさらされているのだ」

ラジエル

「そうだな、そして俺が望む答えを持っているのはヤーノスだけだ」

ケイン

「お前は私を信頼せねばならん、ラジエル。我々の目的は、ノスゴスに関しても、我々の未来に関しても、それほど違うものではない」

ラジエル

「お前を信頼しなければどうすると?」

ケイン

「私はお前を脅かしにここへ来たわけではないぞ、ラジエル」

ラジエル

「そんなことを言いつつも、お前はその手に俺の破滅をもたらす道具を握りしめている」

 

(ケインはリーバーをしまう)

ケイン

「私はかつてお前をリーバーから救ったではないか。この剣にお前を閉じ込めようなどという意図はない」

ラジエル

「少なくとも、そうすることがお前の計画に役立つ時までは、か」

ケイン

「リスクを負っているのはお前だけではないぞ。私はお前を破壊する道具を持っているかもしれないが、私もここへ来ることで危険を冒している。それとも分かっていないのか、お前は私を殺せる唯一の道具を携えている」

ラジエル

「ならばお前は俺が何者かしっているわけだな。そしてお前が何者かということも?」

※ラジエルは「俺はヒルデンの闘士、お前はヴァンパイアの闘士(=調和の子孫;予言されし英雄)であり、互いに戦う宿命だと知っているのだろう?」と聞いているわけ。

ケイン

「そのつもりだ」

※しかしケインは、ラジエルはヴァンパイアの闘士、ケインは調和の子孫であり、共に協力関係にあると信じている。もっとも、壁画を見た今、ラジエルがヒルデンの闘士である可能性も脳裏をよぎっているだろう。心中は不明だが、自由意志を持つラジエルへの信頼は揺らいでいない。

ラジエル

「それでもまだお前は、俺を自分のポーンのように動かせると思っているわけだ。考え直すことだな、ケイン」

 

(ラジエルは霊体リーバーでケインを脅す)

ケイン

「気をつけろ、ラジエル」

ラジエル

「なぜだ?もし俺たちが(運命通りの)俺たちであるなら、俺たちは死ぬまで戦い、ノスゴスの運命を決する宿命にあるんじゃないのか?」

ケイン

「馬鹿なことを言うな。お前と戦う気はない」

ラジエル

「では、それが予言されし英雄の戦いなのか?俺が勝つ、なぜならお前は俺と戦わないから?」

「偉大なケイン、調和の子孫、ノスゴスの救済を志す者が、最後の戦いが始まる前に降伏するわけだ」

ケイン

「いいだろう。これでお前が道理を知るならば」

 

(戦闘になり、ケインが優位に立つ)

ケイン

「さあ、私の話を聞くのだ。暗黒の心臓は発見されぬままにしておかねばならん。それを使えば、恐るべき災いがもたらされる」

ラジエル

「お前は心臓がどこにあるか知らないのか?」

ケイン

「ああ」

ラジエル

「お前は決してあの心臓を探さなかった」

ケイン

「それは問題では無い、ラジエル。聞くのだ。お前は理解せねばならん。あらゆる被造物は一つの運命付けられた道に縛り付けられている。我々は皆、繋がれているのだ」

ラジエル

「運命の車輪にな。信じろ、俺はそのことをお前よりも遙かによく知っている」

ケイン

「一つのことを除いてな。お前は再創造により、縛られぬ被造物になった。我々皆の中でただ一人、真に自由意志を持つ者に。お前には選択権があるのだ、ラジエル」

ラジエル

「どうせ俺はお前の指示に従って選択せねばならんのだろう。お前のポーンはボードの端に届いたんだ、ケイン。そして今、俺の力はお前の力を上回ってさえいるだろう。お前の創った被造物がお前自身に破滅をもたらすとしたら、なんという皮肉だろうな。さあ、終わらせるぞ。これきりだ」

 

(ラジエルはケインの胸を浅く切り裂く。ケインは左腕でラジエルの右腕をつかみ、霊体リーバーを押しとどめる。すると突然、ラジエルの魂がケインの体を通り、ケインが右手に持つ物体リーバーへと流れ込む。ラジエルは怒りをかき立てる)

 

ラジエル

「貴様・・・」

ケイン

「違う、ラジエル」

ラジエル

「Vae Victis」

ケイン

「私は」

 

(ラジエルはケインの心臓をむしり取る)

ラジエル

「『征服されし者に災いあれ』。暗黒の心臓を見つけたぞ。そして貴様は、忘却へと向かう」

※間が空いているが、ラテン語の "Vae Victis" とその英訳 "Woe to the conquered" を並列している。これはBO1のケインの決めゼリフであり、ラジエル流の皮肉である。

 

(ラジエルはヒルデンのエネルギーによって強化された念動力によってケインを異次元=悪魔界へと消し去る)

ラジエル(独白)

「ケインは死んだ。この場所の狂気がどういうわけか俺の怒りを煽り立てていた。そしてそれが鎮まった時、俺は喜びも勝利感も感じなかった。ただ静かな確信だけだった。我々は、またしても無分別に敵の罠にかかったのだ。俺には、ケインが本当に俺を破壊しようとしていたのかどうか、分からなかった。そしてもう、俺がそれを知ることは決してないだろう」


 

ラジエル(独白)

「俺がいない間に、この屋敷はモビウスの兵士で覆われていた。俺は、奴らがまだ地下聖堂への入り口を見つけていないことを、ヤーノスの遺体を発見していないことを祈った。ヴォラドールに関しては、何の気配もなかった」

モビウス

「ラジエル、征服せし英雄よ。分かっているぞ。我々は祝辞を送らねばならんな。ついに、ケインは死んだ」

ラジエル

「貴様はヴォラドールの死にも同じ祝辞を期待しているんだろう?それとも彼は貴様の手を逃れたのか?」

モビウス

「奴は捕らえた。しかし、かなりの犠牲を払わねばならなかったがな」

ラジエル

「それには彼も喜んだだろう」

モビウス

「慰めにさせてやろうではないか。奴の首が切り落とされるまでは、ノスゴスの全ヴァンパイアが死に絶えるまではな」

ラジエル

「それでその記憶が貴様の慰めになるわけか?お前もまた死に向かっているのだからな」

モビウス

「一なる神の忠実な僕にとって、死は決して辛くはない。私は死ぬだろう、再び安らかに。我が主の計画において小さな役目を果たせた、という記憶と共にな。ついにケインは破壊された。そしてお前がその業を果たした。今お前は、自分がどちらの英雄だと思っておる?ヴァンパイアの救済者か?それとももう一方の?もう分かったか?お前がどう思っていたにせよ、最終結果が同じである限り、そんなことは問題ではなかったのだ。今やケインは死んでいる。全く、お前には感謝しきれんよ」

ラジエル

「ならば全ては計画されていたということか、あらゆる段階でな。そしてケインは俺が本当に自由意志を持っていると思っていた」

モビウス

「いや、お前は確かに自由意志を持っておるぞ。だからこそこれ以上に偉大な勝利はないのだ。選択権を持ったプレイヤーに強いて、まさに我らの望むことをさせたのだからな。よくやったぞ、忠実な僕よ。さて、私は(ヴォラドールの)処刑を取り仕切らねばならん」

 

(モビウスは去る。ラジエルは地下に向かう)

 

ラジエル(独白)

「この遺品(=心臓)には途方もない犠牲が伴った。この謎めいた死体から探し求める答えを得るために、俺は血塗られた犠牲を払ったのだ。それは俺の自由の代償だった。それをケインは自分の命で支払ったのだ」

 

(心臓をヤーノスに返すが何も起こらない)

ラジエル(独白)

「俺がこれまで旅してきたのは、多くのものを捨ててきたのは、ただこんな結末を迎えるためだったのか?」

 

(ようやくヤーノスが復活して)

ヤーノス

「覚えているぞ。

ラジエル、予言の継承者よ・・・。お前はかつてリーバーを求めてやって来た。サラファンが私を見つける直前に・・・」

ラジエル

「あんたはここで5世紀の間、埋葬されていた。あんたを殺した者たちは遙か昔に死んだ」

ヤーノス

「5世紀だと?それでヴォラドールは」

ラジエル

「彼もまた死んだ」

「あんたの血統は消滅する。ヴァンパイアの時代は終焉を迎えようとしている」

ヤーノス

「ならば時間を無駄にするわけにはいかん」

ラジエル

「俺はあんたが考えているような者ではない。これも慈愛からの行いじゃない。俺は問いを抱えているんだ。その問いに答えられるのは、明らかにあんただけだ」

ヤーノス

「ラジエル、この世界には、お前を欺き、お前の運命を堕落させようと努める勢力が存在する。しかしお前は信じなければならない。お前の到来は、ヴァンパイア種族の救済を予示しているのだ」

ラジエル

「ならばどうしてヴァンパイアは、自分の救済者を破壊し、虜囚とする武器を作り出したんだ?」

ヤーノス

「そんな、そんなはずが・・・」

ラジエル

「あの剣が存在する限り、俺は容赦なく破滅へと引きずりこまれる。俺をこの運命に縛り付けたのはあんただ。あんただけが俺を解放できる」

ヤーノス

「ラジエル、お前は誤った方向に導かれている。お前がリーバーを行使することは予言で定められているのだ」

ラジエル

「確かに俺はそうしている。ただし、あんたが思い描いていた通りではない」

 

(ラジエルは霊体リーバーを召喚する。その姿はヒルデンの英雄に見える)

ヤーノス

「救い主と破壊者・・・」

「・・・そんなことがありうるか?私はしるしを読み違えたのか?」

「お前の運命は私が想像していた以上に入り組んでいるようだ。私を信頼するのだ、ラジエル。我々にはほとんど時間が残されていないだろう。お前を答えのある場所へと運ぼう」

 

  • ラジエル(6)ヴァンパイア要塞

 

ラジエル

「どこへ連れてきたんだ?」

ヤーノス

「我々はヴァンパイア種族の古代要塞にいる。長らく損なわれ、見捨てられていた場所だ。この要塞は、我々の強大な敵との数世紀にわたる戦争の間、耐え抜いてきた」

ラジエル

「(強大な敵とは)ヒルデン種族だな」

ヤーノス

「然り。我々はこの部屋から、柱が召喚され、我らの敵がこの大地から追放されるのを目撃した」

 

(ヤーノスは初めて腐敗した柱を眺めて)

ヤーノス

「これは不吉な予兆だ・・・。戒めは危機に瀕している。予言の時は近い」

ラジエル

「もう手遅れた。柱は既に呪われている」

ヤーノス

「我々の内、ただ一人でも生きている限り、まだ希望はある。柱は人間の守護の下に留まってはならない。彼らには(柱を)支える力がない」

ラジエル

「ならばどうしてあんたは柱が人間の手に落ちるのを許したんだ?」

ヤーノス

「ラジエル、時間が無いのだ」

ラジエル

「俺は答えが欲しい。世界が今終わろうが、俺にはどうでもいい」

ヤーノス

「よかろう。ヒルデンは敗れた時、我々に呪いをかけた。我々の種族を捕食性の血の渇きで苦しめたのだ。しかし、この変貌と共に、敵の真の復讐がもたらされた。不死化だ」

ラジエル

「彼らはあんたたちを運命の車輪から解放したんだ」

ヤーノス

「(いや)我々の魂をこの肉体の虜囚としたのだ。死と再生の浄化サイクルから我々を排除したのだ」

ラジエル

「しかしあんたはその呪いを伝えた」

ヤーノス

「必要悪だったのだ。不死化により我々は神の恩寵から追放された。神は我々を見限り、沈黙した。多くの者が自らの命を絶った。神との断絶に耐えられずにな」

ラジエル

「しかしあんたは違った」

ヤーノス

「呪いであれ祝福であれ、それはヒルデンをこの地から追放し続けるために、我らが払う代償だ。戒めを維持するために、我々は自分の血統を守らねばならなかった。だから我々は、死んだ守護者の後継者となる人間に闇の賜物を伝授したのだ。彼らは当然反乱を起こした。呪いを拒絶し、柱を自分たちの物にしたのだ。

だからこそ我々は今ジレンマに直面している。人類が柱を支配している間、戒めは衰える。ヒルデン種族は、牢獄の障壁に圧力をかけ、この世界に戻る足場を築こうともがいている」

ラジエル

「それで、全ては俺にとってどういう意味がある?」

ヤーノス

「我々は新たな時代の敷居に立っているのだ、ラジエル。そしてお前は我々の運命が回る支点だ。この部屋の下に、我々の最も奥深き聖所がある」

「外の部屋が開かれている。事態は既に動き始めているようだ」

※500年前にケインが開いた。

「この象徴物はお前が追求する謎へと至る鍵だ。私はお前と一緒に行ってやれない。お前は一人でこの試練に立ち向かわねばならん。もしお前が勝てば、答えを得られるだろう」

ラジエル

「では、もしこの試験に失敗したら?」

ヤーノス

「お前が戻ることはないだろう」

 

(ラジエルは精神の炉に辿り着き、そこでエルダーゴッドと遭遇)

ラジエル

「ここであんたに出会うと予想しておくべきだったな」

エルダーゴッド

「ここであろうとどこであろうと・・・今であろうといつであろうと。我は車輪にしてその回転、生と死の輪なり」

ラジエル

「そして俺はこう思い始めている。ヴァンパイアが自殺に走ったのは、単にあんたの声から逃れるためだったんじゃないか、とな」

エルダーゴッド

「無礼な口をきいて我が賛美を押しとどめるでないぞ、ラジエル。お前はついに目的を果たした。私は嬉しいぞ」

ラジエル

「ならば、あんたはここで何を覆い隠そうとしているんだ?俺の何があんたをそれほど恐れさせているんだ?」

エルダーゴッド

「お前の運命など取るに足らんのだ、ラジエル」

「最初から問題だったのは、ケインの運命だったのだからな」

ラジエル(独白)

「我が主は、精神の炉の浄化の炎を消そうと躍起になっているようだった。おそらくリーバーなら奴の触手を取り除けるだろう」

 

(ラジエルは精神の炉を解放する)

アリエル

「成し遂げたわね。この炉は(歴代)全ての調和の守護者の霊魂を召集しています。この最後の目的のために」

ラジエル

「アリエル?あんたか?」

アリエル

「ええ、ラジエル。でも、かつての私とは全く違うわ。ベール(=覆い)が私の視界から取り去られたの。私の霊魂は前任者たちの魂と一つになり、その剣に最後の洗礼を与えるため、今ここに引き寄せられたのです。調和を回復させるためには、その剣を精神(霊魂)で浄化しなければならない。私を解放して、ラジエル。ソウルリーバーにはその力があります。私たち皆を解放して。このために私たちは呼ばれたの」

 

(ラジエルが手を差し伸べると、浄化の炎に包まれたアリエルの魂が、ラジエルの体を通って霊体ソウルリーバーへと流れ込む)

アリエル(声)

「よくやりましたね、ラジエル。しかしあなたはもう一つの試練に耐えねばなりません。離れてしまったものを一つにするのです。その時初めて、調和の子孫は自分の真の目的に適う武器を手に入れるでしょう。その時初めて・・・」

ラジエル(独白)

「今やリーバーは浄化の炎で輝いていた。しかし、知恵を与えられたとは到底言えず、俺はさらに大きな謎の網に絡め取られていた。ヤーノスが私に学ぶよう期待したことは何だったのか?そして、アリエルの謎めいたメッセージはどういうことだ?この剣が調和の子孫、ケインのために力を授けられたのなら、奴が死んでいる今、いかなる希望が残っているというのか?俺はヤーノスを見つけなければならなかった。すぐに。俺はこうした不吉な不満の声が予告していることを考え、恐怖を抱いた」

 

ラジエル

「ヤーノス!これは何だ?!」

ヤーノス

「戒めが崩壊しようとしている。全てが失われる」

ラジエル(独白)

「俺たちはあの激動の時を迎えていた。若きケインが、調和の守護者として致命的ジレンマに直面した時だ。奴は犠牲よりも自己保存を選び、柱を永遠の荒廃へと運命付けた」

ヤーノス

「ラジエル、まだ希望があるやもしれん。ある者が呼ばれることになっている。お前は調和の子孫を探さねばならん」

 

(今にも柱が崩壊しようとする)

ヤーノス

「おお、神よ・・・」

 

(閃光と共に柱が崩壊する。ヤーノスは衝撃で倒れ、起き上がった時には別人になっていた。その目は緑色に輝いている)

ヒルデンロード

「ああラジエル、また会ったな。お前は完璧に役目を果たした。一撃で自由と復讐を手に入れられるとは愉快なことだ」

ヤーノス

「だめだ、させるものか・・・」

ヒルデンロード

「こいつは強い・・・結構なことだ。私の次の一手にはより頑丈な器が必要だからな。死すべき人間どもは余りに脆い器だ。望もうと望むまいと、お前は我らに勝利を導く道具を提供したわけだ」

ラジエル

「安心するのはまだ早いぞ」

ヒルデンロード

「哀れな化け物め。お前には見当もつかんか。輪の誘惑、モータニアスの憑依、アリエルの殺害、柱の腐敗と崩壊。全てはこの瞬間の序曲として計画されたのだ。我々は壊れぬ器を求め、お前がそれを提供した。我々は古代の敵の血を求め、お前がヤーノス・オードレンを差し出したのだ。最初は暗黒の心臓に誘われてな。中でも最もよかったのは、その心臓を手に入れるために、調和の子孫を殺したことだ。既に我々の勝利なのだ」

ヤーノス

「ラジエル、奴らの計画を実行させてはならん。私を殺せ、奴らの計画を今終わらせるんだ」

ヒルデンロード

「自殺的だな。他の奴らと同じだ。自分の立場を知るがいい、ラジエル。真の英雄は自分の役割を果たせば、脇へ退くものだ」

「勘違いをしたグールめが。それほど死にたいのか?ヴァンパイアどもの失われた理想の殉教者としてな」

ラジエル

「貴様はこの部屋から出られん。俺は必要ならヤーノスを破壊する」

ヒルデンロード

「ならばよかろう。わがままを聞いてやるぞ・・・」

 

(ヒルデンロードを倒し、ヤーノスが意識を取り戻す)

ヤーノス

「ラジエル・・・止めを刺せ、奴が戻る前に・・・」

 

(しかしラジエルは躊躇する。機を窺っていたヒルデンロードが再びヤーノスに取り憑く)

ヒルデンロード

「奴の言葉を聞くべきだったな」

 

(ヒルデンロードはラジエルに致命的な攻撃を加える)

ヒルデンロード

「これで終わりだ。かくして新たなる時代が始まりを迎える」

 

(力尽きたラジエルは精神界へと墜ちる)

 

  • ラジエル(6)精神界精神の炉

 

エルダーゴッド

「分かったか?どれほど道から外れようと、お前は常に私の元へ戻ってくるのだ。降伏しろ、ラジエル」

ラジエル

「するものか!」

 

(ラジエルは何度も霊体リーバーでエルダーゴッドを切りつけるが、エルダーゴッドを傷つけることは出来ない)

エルダーゴッド

「お前の努力は無駄だ、ラジエル。お前が持つその武器は、どれほど強化されていようと、所詮は霊体の剣に過ぎん。それでは私に手出しできん」

ラジエル

「貴様の囚人になどなるものか」

エルダーゴッド

「お前に選択肢はない。お前の任務は果たされたのだ。ケインはボード上から取り除かれた。そしてこの部屋は、もっと従順な我が僕を迎えることになる。お前がなすべき事などもう何も無い」

ラジエル

「俺は意志を曲げたりしない」

エルダーゴッド

「お前が満たしていたのは常に私の意志だったのだ。決してお前自身の意志ではない」

ラジエル

「寄生虫のペテン師め。貴様が俺を閉じ込めねばならんのは、俺が自由意志を持っているからだろうが」

エルダーゴッド

「お前が持っているものなど何も無い」

「そしてお前は不滅だ。それゆえお前の魂が車輪に戻ることはありえぬ。しかし、私と共にここで永遠に暮らすことは、お前の慰めとなるだろう」

「モビウス、我が良き僕よ。汝を、我らが初めて出会った場所へと呼び寄せよう。ここへ、私の元へ戻るがよい・・・」


 

ケイン(独白)

「目覚めると、私は不気味な世界にいた。私の心臓があった場所には不穏な静寂が横たわっていた。その心臓は結局、ヤーノス・オードレンのものだった」

ヒルデン1(声)

「まだまともな形をしているな、ヴァンパイアよ・・・」

ヒルデン2(声)

「それ(=形の変化)が最初だ・・・」

ヒルデン3(声)

「この世界はお前を醜悪にする・・・」

ヒルデン2(声)

「お前は狂気に陥り、それに気付かない・・・」

ケイン

「この場所は何だ?」

ヒルデン1(声)

「お前たちは日々この場所のことを考えないのか?」

ヒルデン3(声)

「それとも、我々は本当に忘れ去られているのか」

ヒルデン2(声)

「我々は忘れ去られた・・・」

ヒルデン1(声)

「ここは我々が送り込まれた流刑地だ」

ヒルデン3(声)

「しかしもうすぐだ。すぐに我々は自由になるだろう・・・」

ヒルデン2(声)

「我々は自由になる」

 

(ヒルデンにけしかけられた悪魔を倒してから)

ケイン(独白)

「ここでぐずぐずせず、すぐヴァンパイア要塞へ向かうよう強く引かれるのを感じた。いや、強制力を感じたと言ってもいい」

 

  • ケイン(7)ヴァンパイア要塞精神の炉

 

ケイン(独白)

「私は、今がノスゴスの歴史上、どれほど不吉な時かということを知っていた。というのも、ここで、私の在り方をすべて決定付ける出来事が起こったからだ・・・。私は自分の運命を投げ捨てた。犠牲を拒み、柱を破壊し、その廃虚に破滅的な帝国を築いたのだ。私はサラファンの聖職者を自らの側近として甦らせることになる。そしてある日、その中で最も強き者、我が従者ラジエルをアビスへと投げ捨てる。運命と立ち向かうために、最後の手札を放ったのだ。しかし結局、それで何か変わったか?モビウスが語ったように、私はしるしを読み違えたのだろうか?傲慢さのせいで、運命における自分の配役を見誤ったのだろうか?」

 

(ケインが精神の炉に至ると、甦ったモビウスが何者かと会話をしていた)

モビウス

「・・・ヒルデン(の復活)はただ一つの面倒な結果というだけです。いずれ処理されるでしょう。ケインの死と比べれば小さな代償です」

ケイン

「少々気が早いな」

モビウス

「ケインだと!?」

ケイン

「結局、貴様の全知にも欠陥があるということか、モビウス?」

 

(モビウスは杖でケインを封じようとするが、暗黒の心臓がないケインには全くきかない)

※あり得る解釈としては、「調和の子孫」たるケインにはそもそも杖の力が効かない。これまで効いていたのは、ヤーノスの心臓を利用していたからに過ぎない、というもの。

ケイン

「最初に貴様の全知、そして今やその力。貴様は凋落の一途を辿っている」

モビウス

「こんなことはありえぬ・・・」

ケイン

「その杖が作用していた私の一部は、もうここに存在しない」

「しかし、貴様はそのことをもう知っていたんじゃないのか」

「私は常に心無い者と考えられていた。そしてもう、時間だ、モビウス」

※「心無い (heartless)」。もちろん心臓が無いことと無慈悲さがかかっている。

モビウス

「私を殺す(時だ)というのか?また?あらゆる問題に対する、お前の唯一の解決策、殺す」

ケイン

「これは討論ではない。分かっているな、今貴様は、俺の求めるものを何一つ持っていない」

 

(ケインはリーバーでモビウスを貫く)

モビウス

「お前はこれが大したことだとでも思っているのか?・・・」

「・・・私は生と死を司る絶対者に仕えている」

ケイン

「ならばそいつの所へ行くがいい」

モビウス

「我は神の従者・・・神の忠実な僕・・・。すぐに、痛みは全て消え去り、我が主はもう一度私を甦らせてくれる」

 

(モビウスは死に、霊魂となって精神界に現れる)

モビウス

「主よ、申し訳ありません、一時の不注意でした。どういうわけかケインはまだ生きており、思いがけずも私を殺しました。あなたの良き僕をご利用下さい、そうすれば」

 

(ラジエルが浄化された霊体リーバーでモビウスを貫く)

ラジエル

「ならば貴様の主の元へ行くがいい。俺が貴様を車輪へと解き放ってやる」

 

(ラジエルはモビウスをエルダーゴッドと直面させる)

モビウス

「おお・・・神よ、そんな・・・」

ラジエル

「見えたな?貴様の仕えていた化け物が?こいつこそ、貴様が崇拝したときに思い描いていた奴なんだろう?」

モビウス

「違う・・・」

ラジエル

「そしてその記憶と共に行くがいい。そいつの餌になるんだ。俺が貴様を解放する」

 

(ラジエルはモビウスの魂を吸収し、エルダーゴッドの元へと送る)

エルダーゴッド

「お前のつまらぬ行いなどどうでもよい、ラジエル。モビウスは良き僕であったが、もう役に立たぬ。あの者の長き生は終わりを迎えていたのだ。分かったか?お前は反逆している時ですら、我が意志を遂行しているのだ」

ラジエル

「そうかもしれん。しかし、何かが変わったんじゃないか?貴様はケインの帰還を予見できていなかった」

エルダーゴッド

「お前達は二人とも車輪に沿った道を歩んできた。ここがその旅の終点だ」

ラジエル

「貴様には俺たちを殺す手段がない」

エルダーゴッド

「ああ、しかし足止めすることはできるぞ。そしてお前達は、消滅がどれほどの慈悲かということを知るだろう」

 

(エルダーゴッドは要塞を崩落させようとする)

エルダーゴッド

「お前とケインはここで共に生き埋めにされ、永遠を過ごすことになる。決して訪れることのない、死の慈悲深き解放を祈ってな」

ラジエル(独白)

「だが、俺には新たに得られた知識があった。それが俺の中で胎動していた。

(ヤーノス)『・・・救い主と破壊者・・・』。

モビウスはソウルリーバーで視界を浄化されるまで、自分の主を見たことはなかった。古代ヴァンパイアでさえ、自分たちがあれほど熱心に崇拝していたのが何者か分かっていなかった。

(アリエル)『・・・離れてしまったものを一つにするのです・・・』。

歴史上のあらゆる対立と紛争は、あらゆる恐怖と憎悪は、ただ一つの目的に適うものだった。すなわち、我が主の車輪を回転させ続けるためだ。あらゆる魂は虜囚だった。存在の無意味な周回に捕らえられ、散漫で鈍感な生を送る。死が彼らを――いつも気付かぬ内に――車輪へと引き戻すまで。

(ケイン)『・・・コインはまだ回っているぞ・・・』。

しかし、どんな希望があった?人は見えざるものと戦うことはできない。

(アリエル)『・・・その時初めて、調和の子孫は自分の真の目的に適う武器を手に入れるでしょう・・・』。」

エルダーゴッド

「絶望しろ、ラジエル。どこにも逃げられはせん」

ラジエル(独白)

「その時、俺は自分の為すべきことが分かった。俺だけがこれを終わらせられる」

 

(ラジエルはモビウスの死体に取り憑き、物質界に現れる)

モビウス(ラジエル)

「ケイン・・・」

 

(ケインはすかさずリーバーでモビウスを貫く)

ケイン

「それほど死ぬのが楽しいか」

モビウス(ラジエル)

「ああ・・・」

 

(モビウスの体がラジエルのものへと変わる)

ケイン

「ラジエルだと?そんな」

 

(ケインはリーバーを抜こうとするが、ラジエルはそれを止める。ラジエルの魂はリーバーへと吸収され始める)

ラジエル

「そうだ、これこそ・・・」

ケイン

「駄目だ、ラジエル!」

ラジエル

「あらゆる腐敗から浄化されたソウルリーバー。これこそこの剣の存在意義だった()。そして、これこそ俺の存在意義だ」

※ The Soul Reaver -- pure of all corruption -- this is what it is for. 「pure of」に困った。とりあえずソウルリーバーにかけて、「this」は「これからラジエルがしようとしていること」を指す、と解釈しておいた。

 

(ラジエルは右手をケインの傷ついた胸に差し伸べ、霊体ソウルリーバーの浄化エネルギーを送り込む。するとケインの傷が癒える)

ラジエル

「二つのものが一つになる。二本のソウルリーバー(=霊体と物体)が一本に。そして調和の子孫は癒される。俺は、あなたの敵ではない。あなたの破壊者ではない。俺は、かつてと同じように、あなたの右腕だ。あなたの剣だ」

ケイン

「よせ、ラジエル、こんな方法など・・・」

ラジエル

「そして今ならあなたにも見えるだろう、真の敵が」

 

(ラジエルは魂を吸い尽くされて消滅する。そしてソウルリーバーが完成する)

ケイン

「ラジエル」

ケイン(独白)

「そしてその時、私は見た」

 

(ケインは初めてエルダーゴッドの姿を目にする)

エルダーゴッド

「では・・・ついにお前は私の姿を目にしたわけだな」

ケイン

「一体何なんだ・・・」

エルダーゴッド

「我は生命の起源にして・・・死を貪る者。我は車輪の中心、全ての生命が引き寄せられねばならぬ浄化サイクルの中心なり」

ケイン

「私はラジエルをアビスへと投げ込んだ時、こんな悪夢を強いてしまったのか?」

エルダーゴッド

「お前は、瓦礫の下で死ぬことなく永遠を過ごす間、己の野心の無益さを沈思することになるだろう」

「お前とお前のソウルリーバーは、永劫が過ぎ去る内に、共に狂気へと陥るだろう。この背教者どもの要塞は、お前たちが生きながらに入る墓となるのだ」

ケイン

「貴様の言葉は励みになるな」

 

(ケインはエルダーゴッドの触手をソウルリーバーで叩き斬る。エルダーゴッドは明らかにダメージを受ける)

ケイン

「なぜなら、我々が本当に貴様を傷つけられないのなら、貴様は我々を恐れたりせんだろうからな」

エルダーゴッド

「やめろ!貴様など取るに足らん!」

ケイン

「偽りの神よ。

これが終焉だ。貴様の車輪が回転するのもこれで最後だ」

 

(戦いの果てに)

エルダーゴッド

「お前には私を破壊できん、ケイン。我は生命の原動力そのものなのだ。車輪は回転するだろう・・・。疫病たるお前の種族は、この世界から取り除かれよう・・・。そして、必ず訪れるその日に、お前の薄汚く悪臭を放つ魂は、ついに私のものとなるのだ」

ケイン

「それまでは地中深くに隠れ棲むがいい」

ケイン(独白)

「今ようやく覆いは剥がれ落ちた。操りの糸が可視化され、最上位の操り手が暴露された。何より皮肉だったのは、ラジエルが私にくれた最後の贈り物だ。それは、今彼の魂を捕らえている剣よりも力強く、彼の犠牲が授けてくれた視覚よりも鮮烈だった。(その贈り物とは)初めてその苦さを味わう、あの恐るべき幻想、すなわち希望だ」

※微修正(2013/10/6)。

 

Legacy of Kain: Defiance 完


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

最終更新:2012年11月03日 23:34