【エルスの過去について】
■エルス(希望)
NEFCOが希望(エルス)と呼ぶ異世界の事。
新東名高速道路で偶然にも発見されてしまい。「異世界見えちゃう事件」とされた。
以前、希望(エルス)では戦争があり、戦の爪痕は深く残り、荒廃し、文明は衰退した。
残った人々は復興につとめ、幾ばくかの時が過ぎた。(作品紹介より)
▲巨人(美女かつて女神だった。)(第三話)
▲エルスでの戦い。(第三話)
①戦い前。
巨人曰く、かつて空気が澄んでいて、鳥が沢山いた。
巨人は長いこと、のどかな歌を歌っていたという。
小さな子供たちがせがむので、ともに歌う技も教えた。
②大規模絶技戦
自分達は「全能である」と歌を覚えた子供達が勘違いした上で暴走した。
③環境変化
大地は削られ、山が隆起し、あるいは丸い穴が穿たれ、平野部は海に呑まれた。
④大虐殺
「戦闘騎」が放たれ、何の意味もなく、多くの子供たち、すなわち市民が蹂躙され、殺され、水に流された。
⑤惑星規模の絶技が使われ、黒い雨が降った。月軌道は大きく傾いた。
惑星規模の絶技が使われ、黒い雨が降り、絶技使用の中心部では何が起きたのかは、誰も知りようがない。
何もかもが消滅した。月軌道は大きく傾いた。
かつて女神だった美しい巨人は、黒い雨に打たれながら歌を歌っていた。
⑥黒い雨は何百日も続いた。
再生の絶技すら顕現しない。黒い雨が、巨人の心まで黒く濡らしていた。
⑦雨が止む。
不意に雨が止み、太陽を見て、生き残った人や巨人や妖精は、太陽が破壊されていなかったことを喜んだ。
それ以外はひどい有様だった。
⑧長く明けない冬が来る。人間同士による争い、人の数の現象。
長く明けない冬が来た。生き残った少数の市民もばたばたと死んだ。もはや市すらも存在せず、市民はただの民になり果てた。
数少ない土地、数少ない食料を奪い合い、さらにまたその数を減らした。民は何が良くて何が良かったのかを忘れて生きた。
⑨絶技が顕現しない状況が続く、春の帰還。
かつて女神だった美しい巨人は、透明な雨に打たれながら歌を歌っている。
絶技が戻ることはなかったが、他に過ごす方法も知らぬ。
民はまた空を見上げ、春の帰還を喜んだ。
▲戦いの後の巨人。(第三話)
①稲の歌を歌い、かつて黄金の稲穂が並ぶ頃を夢見ている。
かつて女神だった美しい巨人は、もういつだったか分からない頃の稲の歌を歌っている。
いつか足下に見渡す限りの黄金の稲穂が並ぶ頃を夢見ている。
②足下の無数に散らばる骸骨の隙間から、草が出た
③絶技を使えぬ”地べたすり”が、骨を片づけだした、どうにか水路を引きなおした。
④そのうち稲穂が顔を出した。
⑤かつて女神だった美しい巨人は、足下を猫(巨人曰く、とうの昔に絶滅したと思っていた弱い種族)が歩いているのに気づいた。
⑥猫を雇って、長い髪を束ねる係りにした。三交代六匹。
髪をまとめ、古いトーガを巻いて、かつて女神だった美しい巨人は猫の歌を歌った。猫も一緒に歌いだした。
⑦窓が開く。
▲窓が開いた後の巨人。(第三話)
①巨人は、小声で猫の歌を歌いながら、異世の土地を見て回った。
▲深い霧の中を歩くようなものでまともに見れたものではなかった。
(それでも寂しい心を紛らわすことはできた。)
▲足元から声が聞こえるが、無視した。
(礼儀を知らぬ子供は嫌いだった。100万の歌を教える気にもなれなかった。)
②心には後悔だけがあり、黒い雨が降っていた頃から何も変わっていないことを再確認し、窓を閉じた。
③巨人は、一度落ち込むと長く、体育座りから回復するまで50年かかった。
▲50年ぶりに窓が開いた後の巨人。(今日)(第三話)
①猫の歌を歌って窓を開け、異世を見て歩く。珍しい鳥が飛んでいるのに目を奪われ、うろうろしていた。
②髪止め係をやっている猫が職務放棄して鳥をおいかけようとするので叱った。
③そもそも窓では行き来ができず、開いて、見るだけ。窓越しに話をするくらいはできるかもしれないがそれだけだった。
④霧が薄れている。 2つの世界が近づいている。(向こうが滅びに向かっているのか、こちらが復活をはじめたのか。)
⑤判断が難しく悩む巨人。
少し歌を歌えば人の顔だって見分けられるほど鮮明化を掛けられる。
見極めるべきか、放っておくか。