本ページはとかく自衛隊の合憲性が問われた訴訟としてのみスポットが当たりがちな長沼ナイキ事件をマスコミが語らない別の視点から比較・検証するものである。

■ 事件の概要

北海道夕張郡長沼町に航空自衛隊の「ナイキ地対空ミサイル基地」を建設するため、農林大臣が1969年、森林法に基づき国有保安林の指定を解除。
これに対し反対住民が、基地に公益性はなく「自衛隊は違憲、保安林解除は違法」と主張して、処分の取消しを求めて行政訴訟を起こした。
一審の札幌地裁は「平和的生存権」を認め、初の違憲判決で処分を取り消した。国の控訴で、二審の札幌高裁は「防衛施設庁による代替施設の完成によって補填される」
として一審判決を破棄、「統治行為論」を判示。住民側・原告は上告したが、最高裁は憲法に触れず、原告適格がないとして上告を棄却。
一部の政財界による青年法律家協会への圧力との絡みや、また申立て却下を札幌地裁所長が裁判長に示唆したり、
さらには当時の70年安保闘争下に全国で裁判長の激励集会が行なわれるなど、裁判の動向は注目を浴びた。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%95%B7%E6%B2%BC%E3%83%8A%E3%82%A4%E3%82%AD%E4%BA%8B%E4%BB%B6#.E6.A6.82.E8.A6.81

■ TV報道では

TBS(HBC) 070720(ハナテレビ)争点の現場5「憲法改正」長沼ナイキ訴訟と今現在の長沼分トン基地と当時反対運動に参加した人間のインタビュー
ナレーション「基地建設をめぐり住民が国を相手に起こした裁判では~」
映像(機動隊とデモ隊の衝突)

TBS(HBC) 071213(ハナテレビ)航空自衛隊長沼分トン基地レーダードーム解体と当時反対運動に参加した人間のインタビュー
http://www.veoh.com/videos/v17187026KSmBbgFm
ナレーション「基地建設をめぐって住民が国を相手に起こした裁判では~」
映像(機動隊とデモ隊の衝突)
尚当時反対運動に参加した人間のインタビューは上の070720放送と同一人物

日テレ 090914(NNNドキュメント)長沼ナイキ訴訟で違憲判決を出した当時地裁の裁判官福島重雄
ナレーション「この基地の建設を巡り反対派の住民が起こした裁判が長沼ナイキ基地訴訟~」
映像(機動隊とデモ隊の衝突)

どの番組でも機動隊とデモ隊の衝突映像とナレーションの「住民」というのが共通であり「地元住民」が反対デモを起こし
それを警察の機動隊が取り押さえるように報道なされている、では次の証言によると

■ 堂前正敏氏の証言(元長沼町助役)

南空知新報第(1341、1343、1345、1351、1357、1363、1370、1376、1382)号「長沼分屯基地創設時の思い出1~9」より抜粋
http://blogs.yahoo.co.jp/saisai2252000/3069328.html
http://blogs.yahoo.co.jp/saisai2252000/3069616.html
http://blogs.yahoo.co.jp/saisai2252000/3070055.html

長沼分屯基地創設時の思い出2(1343)
反対運動について}また国内の政治情勢はベトナム戦争が真っ盛りであり、これに反対する学生運動は、べ平連を中心とした三派、革マル派、民生など
混沌とした中で非常に盛んであり、反自民党勢力として日本社会党を中心とした、いわいる革新勢力も依然として一定の力を持って
おり、北海道でも全道労協と中心とした革新団体は、長沼ナイキ基地設置反対を声高に叫び、反対デモ行進を日曜に繰り返し、そのたび
警察の機動隊と衝突したのが実体であります。当時はまだ成田闘争は始まっておらず、全国的に見てもベトナム戦争反対と長沼ナイキ
基地反対闘争が結びついて、あたかも長沼町全体がナイキ基地設置反対ともとられかねない様に全国的に報道されましたが、実体は
極一部の町民が反対して保安林解除の取り消し訴訟へと進展したものであります。
長沼分屯基地創設時の思い出3(1345)
長沼ナイキ基地設置発表以来のスケジュール(抜粋)
主な反対運動
日時 内容
43年06月14日 町議会定例会で反対請願を賛成2、反対23で不採択
43年06月17日 町議会臨時会で条件付設置賛成決議を賛成23、反対2で採択
43年08月    保安林解除にに対して百三十二人が異議申し立て
43年09月15日 反対デモ全道労協二百五十人、反日共系学生三百人逮捕者三人
44年05月07日 再開聴聞会前日、全学連(反日共系)全道労協ほか八百人、集会およびデモ、革マル派五十人会場乱入、逮捕者三人
44年05月08日 再開聴聞会第一日長沼公民館。反日共系学生四百五十人、全道共労、社会党、共産党千二百人デモおよび集会。反日共系学生解放区で機動隊と市街戦
44年05月09日 再開聴聞会第二日。反日共系学生三百十人、全道労協、社会党、共産党ほか三百七十人集会
44年05月10日 再開聴聞会第三日反日共系学生百七十人、全道労協、社会党、共産党ほか三十一人集会
44年07月07日 保安林解除告示保安林解除処分執行停止申立 札幌地裁に百七十三人
44年07月08日 町議会臨時会 代替工事補正予算六億四千五百万可決。全道労協、社会党、共産党ほか六百五十人、反日共系学生二百人集会およびデモ
44年07月16日 全道労協、社会党、総評弁護団六人町長会見
44年08月12日 全道労協、社会党、共産党ほか集会およびデモ二千人
44年09月14日 反日共系、べ平連、反戦、反対同盟集会およびデモ千五百人▽20日全道労協、社会党、ほか集会およびデモ二千人
45年05月17日 全道老農学生デモ、革マル三百人、全共闘三百人、反対同盟二十人、計六百二十人、逮捕者四人
45年07月05日 学生約三十人、砂防ダム工事現場、幕舎に火炎瓶投げ込み、営農学共闘保安林伐採弾劾集会でも、革マル二百人、反戦、べ平連反対同盟、全共闘系四百人、逮捕者五人
57年09月09日 最高裁第一法廷、上告棄却を決定
南空知新報第1341「長沼分屯基地創設時の思い出1」
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南空知新報第1343「長沼分屯基地創設時の思い出2」
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南空知新報第1345「長沼分屯基地創設時の思い出3」
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南空知新報第1351「長沼分屯基地創設時の思い出4」
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南空知新報第1357「長沼分屯基地創設時の思い出5」
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南空知新報第1363「長沼分屯基地創設時の思い出6」
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南空知新報第1370「長沼分屯基地創設時の思い出7」
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南空知新報第1376「長沼分屯基地創設時の思い出8」
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南空知新報第1382「長沼分屯基地創設時の思い出9」
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■ 上坂 信一氏の証言(元北海道長沼町産業課技術長)(防衛施設庁史より抜粋)

「長沼ナイキ基地訴訟第1 審判決に至るまでの思い出」
http://www.mod.go.jp/j/info/choushi/choushi_pdf/01_05_05.pdf
http://www.mod.go.jp/j/info/choushi/choushi.html
基地誘致について
この折、町内には色々と賛否両論があることから、好んで誘致するものではないが、国が防衛上必要とするならば、「核基地にはしない」「基地設置に伴う
災害は国が責任を持つ」「戦争の誘発にならず平和に寄与するものであること」「施設の設置が町の発展に寄与するものであること」などを条件に付し、
保安林の解除に同意したのであります。
デモの詳細
小学校グランドからデモが始まり、市街地本通中心街で座り込みや渦巻き行進が敢行されるなど、シャッターを下ろして防御する商店街、おびえる住民の前で
道警機動隊と激しくも見合い、逮捕者が多数でたのであります。
特に、長沼町公民館で行われた再開聴聞会では、前夜から賛成反対派の激しいマイク合戦、
一夜明けた翌日は、事前に用意されたヘルメットと角材で武装し、聴聞会会場に押し寄せようとしたため道警機動隊が規制、これに対しデモ隊は投石を開始、
更に合流した他派とともに激しい市街戦となり、側にあった古電柱を持ち出しバリケードを築き、交通妨害や投石、パトカーを横転させ放火、炎上させるなど、
悲鳴と怒号の中で角材と警棒が音を立てて渡りあったのであります。平和な田園の町にあって、乱闘劇を目前にする町民の気持ちは複雑で恐怖と不安の中、ただ
見守るだけだったのであります。

■ まとめ

堂前正敏氏、上坂 信一氏の証言によると基地設置に反対した地元住民は極一部、反対者は「全道労協」「反日共系学生」「全学連」「革マル派」「社会党
共産党」「べ平連」などの町外の政治的組織の構成員で長沼町全体がナイキ基地設置反対ともとられかねない様に全国的に報道されたのは偏向報道。
武装した反対派のデモ隊と機動隊が市街戦、パトカー焼き討ちなどを行うなど住民生活に支障が出ており、基地反対派が地元住民のために行動を起こしたのかは疑問。
そしてマスコミは今現在も長沼町全体が無条件にナイキ基地設置反対を行ったかのように報道。

■ 最後に

証言を行った堂前、上坂、両氏はこの出来事を正確に後世に伝えようと証言したとのこと。私見ではありますが社会の教科書にも載っているほどの大きな事件でありながら
ネットに流れている情報、TVに代表されるマスコミ報道はどれも事件の一面しか伝えていないように思われます。又現在この事件と対にイラクの自衛隊派遣違憲判決が、
よく自衛隊の違憲判決として報道されているように思われますが、これもまた事件の一部分を切り取って報道されているように感じます。ネットが発達した今、我々は
この様な嘘を見抜きそれを広めていくことが大事ではないでしょうか。

■ 参考 名古屋高裁イラク自衛隊派遣判決

2008年(平成20年)4月17日 - 名古屋高等裁判所(青山邦夫裁判長)は、他の同種の訴訟と同じく、自衛隊イラク派遣についての違憲の確認と派遣の差し止め、及び
損害賠償を求める原告に対し、全面敗訴の判決を下した。ただし、傍論として、航空自衛隊部隊が多国籍軍兵士をバグダットに輸送している事に鑑み、“戦闘地域での
活動”とし、他国による武力行使と一体化した行動で、自らも武力の行使を行ったとの評価を受けざるを得ず、武力行使を禁じたイラク特措法に違反し、日本国憲法
第9条に違反する活動を含んでいるとする問題点を指摘した(長沼ナイキ事件1審判決以来の自衛隊違憲判決)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%87%AA%E8%A1%9B%E9%9A%8A%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%82%AF%E6%B4%BE%E9%81%A3
疑問点など
1原告は判決で敗れたのにもかかわらず上告をしていない(判決を覆すチャンスがあるにもかかわらず)また判決後のマスコミ会見では傍論をもって違憲判決かのような印象を受ける
2被告である国は勝訴しているため上告することができない
3裁判長の青山邦夫はこの後退官テレビのインタビューに答えず

NHK総合 080417名古屋高等裁判所空自のイラク活動の一部を違憲判決

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TBS 080417名古屋高裁空自のイラク派遣は違憲

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テレ朝 080417(報道ステーション)名古屋高裁空自のイラク派遣は違憲

TBS 080418名古屋高裁空自のイラク派遣は違憲

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TBS 080420(サンデーモーニング)名古屋高裁空自のイラク派遣は違憲

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TBS081218(朝ズバ)空自イラク撤退報道
http://www.veoh.com/browse/videos/category/news/watch/v2060920655tybnkr
ナレーション「~名古屋高裁は今年4月に憲法違反の判断を示しています」

TBS 081219(ニュース23)空自イラク撤退報道

ナレーション「名古屋高裁は航空自衛隊のイラクでの活動は憲法違反との判断を示し」
原告代表池住義憲「8ヶ月にわたってずっと違憲行為を政府が行ってきた」
原告代表池住義憲「憲法を逸脱する海外派兵これが繰り返されると既成事実が積み重なって本当に歯止めが利かないつまり戦争をする国なるおそれが」
キャスター「しかも違憲判決が出て自衛隊を派遣する法的な根拠が失われているような状態で」

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最終更新:2014年01月15日 20:02