なんだって、いつだって唐突だ。
すなわち万物の事象はすべからく唐突かつ必然であって、記憶と言う奴は全てを残すことなどできはしないのである。まる。
「はいはい…別にいいわよ。知り合ってまだ一か月だし、しずから呼ばれた時も理由知らなかったんでしょ?」
ありがてえ、ありがてえよ…あこちゃーマジあこちゃー。
「そのアコチャーって言うのはやめて」ズバッ
「アッ、ハイ」
しかしだな。
お誕生日会で誕生日プレゼントを持ってこないって、こう、やっちまった感があるんだ。
「だから…その、これ…」
知り合って一か月、仲としては苗字呼びからの脱却がなされた頃。
高価なプレゼントはさすがにナンセンス。というか、今集まりの理由を知ったわけで。
「すまん…今俺に出せるのはこれしかないんだ」
「逆になんでウナギパイなんて持ち歩いてんのよ」
美味いじゃないですか。
「はいはい…ま、ありがとね」
苦笑と一緒にひらひら揺れる彼女の手。
パキリと折れるウナギパイだけが、彼女の口へと収まったのであった。まる。