無題:part1 > 278(アニ×ライナー)

part1>>278


くす、と少女は笑った。
卑猥に弧を描く唇と、上気して潤んだ瞳。その潤んだ瞳の奥に捕えられているのは俺で、怯えているように見えた。平静を保って「やめろ」といったつもりが、思いきり声は震えていた。

「ねえ、私、知ってるんだよ」

酷く緩慢に服のボタンが外される。一つ、一つ、また一つ、と。細い指がボタンを摘む動作が痺れるほどいやらしく思えた。襟を割り、俺の首筋に顔を近づけ──アニは楽しそうにそういった。ぬるりと鎖骨の辺りに生温い舌が這う。思わず声が出た。下腹部に高い熱が集まる。
早く止めればいいものを、俺はすっかり動けなくなっている。脳の奥が甘く痺れて声さえ出ない。自分に跨って勝手なことをするこの少女を、アニを、止められないでいるのだ。

「ずうっと私のこと、見てる」

冷たく小さな掌に頬を包まれる。彼女は項垂れ、金色の髪が頬や耳の辺りを擽った。

「私のこと、ずうっとずうっと見てる。ばれないように、目を合わせないように」
「──ッ」

唐突に、額にキスが落とされた。
疼痛がいよいよごまかせなくなる。ずきずきと痛むそこは、どうせ彼女には気付かれているのだ。その証拠に、小悪魔じみた笑顔と優しい手つきで、そこに手が這わされている。

「アニ、やめ……」

やめろというくらいなら自分で彼女を突き飛ばせばいいのだ。それができないのは、俺のせいじゃない。
布越しに加えられる微弱な刺激に、思わず女のような情けない声が出た。主導権は向こうにある。心なしか、アニの息も荒い。どうやら彼女は彼女で楽しんでいるらしい。

「…あんた、私とやりたいんだろう」

何もいい返せないのは、それが事実だったからだ。
妄想の中では何度も犯した唇や太腿が、今は目の前にある。せめて彼女にこの手で触れられたらと思うのだが、身体がいうことを聞かない。彼女を跳ね除けるのも押し倒すのも、この手さえ動かせたら。
このまま抵抗も何もせず、彼女に身を委ねるのも悪くないかもしれない。期待に鼓動が早くなった。
しかし、やんわり動かされていた小さい手はふいに静止する。

「…きもちわるい、女みたいな声、出してる。ねえ、これ、何でこんなに大きくなってるんだ?」
「アニ、やめろって……っ」
「やめていいの? これ、どうするんだ?」
「お、おい、アニ!」

いつの間にか、アニの柔らかい手にそれが握られていて、ライナーは思わず身を起こした。あどけない唇が迫り、不可抗力でキスをしてしまう。
アニのうすい唇が俺の唇を食んで、歯がかつんとぶつかって。胸焼けがするほど心地好い。零れる唾液が首に落ちた。
ぎゅうっと手に力が加えられ、呆気なく俺は射精してしまった。「気持ちよかったんだ?」キスの合間に問われるが、呼吸が邪魔で話せない。

「、わ、悪い、わるい、」
「あはは、かっこわるい。いきなりこんなことされて射精しちゃうんだ。…ねえ、私の手って、きもちちよかったかい?」

精液に汚れた手がべっとりと頬を撫でた。嫌悪感から急速に気持ちが萎えていく。けれどわざとらしく中指を舐るアニのせいでそれは半端に塞き止められる。まずい、とサディスティックに微笑まれて、ぞくりとする。もう自分の情けなさなどどうでもよかった。
アニのぎらつく唇が吊り上がる。

「私、絶対にあんたとはやらない」

とん、と食指で額が突かれた。ゆっくり俺の身体が床に沈む。
精液に濡れた指を舐めつつ、アニは猥雑に笑っていた。

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最終更新:2012年08月17日 17:18
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