探していたもの
[user]: おはようございます、東麻さん!
東麻 慶史: おはよう。今日も元気だね、[名]さん。
東麻 慶史: 今日は『料理対決』の日だけれど、君は出るのかい?
[user]: いいえ。私は当選しなかったんです。
東麻 慶史: ああ、料理対決の参加者は、基本、抽選だからね……。
[user]: はい。藤城らしい行事だなって思います。
東麻 慶史: ははは。確かに、普通の学校ではあまりないだろうね。
東麻 慶史: 完成した料理をみんなで食べて、みんなで審査する――
東麻 慶史: というルールも、藤城らしさ、なのかもしれない。
[user]: ふふ……。参加者さんたちの作る料理、楽しみです。
[user]: よく食べられるように、朝食は控えめにしてきました。
東麻 慶史: なるほど。それは賢い作戦だね……。
東麻 慶史: 君は、審査に本腰を入れる予定のようだけれど――
東麻 慶史: 「今日は私も腕を振るうよ。君も食べに来てくれるかい?」
[user]: えっ……? 東麻さんも参加するんですか……!?
東麻 慶史: そう。実は、私も今日の料理対決に参加するんだよ。
[user]: 校務員さんも抽選の対象になるんですね……!
東麻 慶史: いや、私の場合は特殊な例、と言ったところかな。
東麻 慶史: 理事長から『出場してくれないか』と頼まれてね。
[user]: 理事長から、直々に、ですか……?
東麻 慶史: うん。理事長には、本当にお世話になっているからね。
東麻 慶史: 彼に頼まれると断わりようがないよ。……まあ――
東麻 慶史: 私はこの歳まで独身だから料理も人並みにしてきたし。
東麻 慶史: 何より、若い頃は、世界中を旅して回ったからね。
東麻 慶史: できれば、あまり馴染みのない料理を作って――
東麻 慶史: 生徒たちに楽しい経験をさせてあげてほしい……。
東麻 慶史: 理事長は、そんなふうにお考えみたいだ。
[user]: わあ……! すごく楽しみです!
[user]: 東麻さん、今日はどんな料理を作るんですか?
東麻 慶史: 「それは……、勝負が始まってからのお楽しみ、かな?"」
東麻 慶史: おや。[名]さん、応援に来てくれたのかい?
[user]: わ! 東麻さん、これって……!
東麻 慶史: ああ、『ドネルケバブ』だよ。知っているかな。
東麻 慶史: ケバブは中東で、とてもメジャーな食べ物なんだよ。
東麻 慶史: あちこちの国で、いろんな名前で親しまれているんだ。
東麻 慶史: だから、一概にどこの国の料理、とは言いにくいかな。
東麻 慶史: さて……。ドネルケバブの作り方は、まず……。
東麻 慶史: 事前に調味料で味つけしておいた薄切りの羊肉を――
東麻 慶史: この、大きな串に何枚も何枚も刺していくんだ。
東麻 慶史: 大きな肉の塊みたいな見た目になったら、今度は――
東麻 慶史: この縦型グリルに、肉の串を設置して、と……。
東麻 慶史: こうして外側から熱を通して、じっくり焼いていって。
東麻 慶史: 頃合いになった部分から、順に肉を削ぎ落していく。
東麻 慶史: 「焼き上がったら、最初の1皿を君にプレゼントするよ。」
[user]: わあ……! 楽しみです!
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