怪傑☆ 書き起こし

    

    章幕 章題


???「子供の頃のことは何も覚えてない。どこで生まれたのか、親はどんな人だったか
    物心がついた時にはもう今の私です。今と同じくずっと追いかけていた。いつからそうだったのかはわからない。
    一度だけ八雲紫から聞いた話も他人の話を聞いてるようで、
    そんなの幻想郷じゃいつものことじゃないって思っただけだった」


01幕 序幕                


名も無い人間の子供「ここ、どこ?」

八雲紫「こんばんは、お嬢さん。いい夜ね」

名も無い人間の子供「きれいな人、あなた、誰?」

八雲紫「そうね、この子は食べてもいい人類」

名も無い人間の子供「暗くて、よく見えないわ」

射命丸文「それで、子供の方はどうなさるおつもりです?」

八雲紫「あら、こんなところを取材?ルール違反じゃなくて?」

射命丸文「いやいや、取材だなどと滅相もない。たまたまですよ、たまたま」

名も無い人間の子供「この人達、誰?」

八雲紫「どうするも何も、良きに計らえ、よ」

射命丸文「なるほどなるほど。差し支えございませんようでしたらで、結構なんですがね、子供は山におまかせいただけませんかねえ?
     いや、差し支えございませんようでしたら、で結構なんですがね」

八雲紫「どういう風の吹き回しかしら?山の妖怪がこっちのことに差し出口?」

名も無い人間の子供「お父さんとお母さんは、どこに行っちゃったの?」

射命丸文「いやいやいやいや、見たところ子供は巻き添えにあっただけのようにお見受けしますし、ルール違反とは至らないのではぁとおもいますがねえ」

八雲紫「ふーん」

射命丸文「迷子を導きますのはニニギの頃からの私の役目ゆえ」

八雲紫「絡んでくるわね」

射命丸文「いやですねぇ。考え過ぎですよ考え過ぎ、それに」

名も無い人間の子供「わたし、どうなるの?」

射命丸文「それに、これはあなたの専売特許にあらず。古来より我らの仕事でもあるのです。美童であればさもありなん」

八雲紫「そう」

射命丸文「それともあなたもお召で?」

八雲紫「お召……ではないわね。今は」

射命丸文「いかがでございましょう?」

八雲紫「良きに計らえ……ですわ」

射命丸文「取引成立ー、と解釈しますよ御大将」

射命丸文「さて」

名も無い人間の子供「ん……」

射命丸文「こわいですか?こわいですねえ?うふふふ」

名も無い人間の子供「あなた、誰?」

射命丸文「私は天狗です。こわいこわい天狗ですよ」

名も無い人間の子供「そう……」

射命丸文「疑っていらっしゃる?」

名も無い人間の子供「わからない……初めて見るんだもの」

射命丸文「怯えてらっしゃらない?」

名も無い人間の子供「わからない」

射命丸文「あやや……困りましたねぇー」

名も無い人間の子供「私、どうなるの?」

射命丸文「お答え致しましょう。これよりあなたは天狗に拐かされるのですよぉ~」

名も無い人間の子供「そう……どうでもいいわ」

射命丸文「あややややや……これは困った拾い物をしてしまったようですねえ~」


02幕 射命丸とはたて


姫海棠はたて「あんたなんで念写避けられんのよ、頭おかしいんじゃないの!」

射命丸文「あややややぁ、優秀なものは頭おかしいことになるんですかぁ?そりゃまた不思議な感性ですねぇ、なかなか興味深ぁいぃ!」

姫海棠はたて「どういう意味よ!?」

射命丸文「あっ!興味深いといっても、秋に咲くあじさい程度ものです、特に取材対象にしようというわけではありませんので」

姫海棠はたて「うっ、私は異常気象の産物かぁ!?ぃ~、馬鹿にしてぇ……ぅう、じゃなくて、私のどこがあんたに劣ってるっていうのよ!」

射命丸文「あややぁ、結果はいま出たじゃないですか!はたては私をファインダーにすら入れられない。私ははたてを撮りまくりぃ~」

姫海棠はたて「うぅ~、あんなの新聞の優劣とは関係ないわ!あんたなんかいつまでたってもランキングにはいらないじゃないのー!」

射命丸文「なるほど、花果子念報のことです。やぶへびやぶへび」

姫海棠はたて「文々。よりはいい線いってるわよー!」

射命丸文「あややややぁ、はたてには何も伝わっていないようです~、困ったものです~」

姫海棠はたて「私はあんたの態度が気に入らないって言ってるのよー!」

射命丸文「よろしい、ならば問いましょう」

姫海棠はたて「人の話聞けコラ!」

射命丸文「さて、はたて。あなた何のために新聞を作るのです?」

姫海棠はたて「えぇ?そりゃ、時事をみんなに伝えたり、いい記事書いてランキング上げたり……」

射命丸文「ふっ」

姫海棠はたて「なっ!?」

射命丸文「だからあなたはあほなんですぅ~」

姫海棠はたて「な、なぁっ……!?」

射命丸文「そんなこともわからずに新聞を書いているようじゃ、あと1000年はわたしの足元にも及びませんね」

姫海棠はたて「な、なぁっ……!?」

射命丸文「問答はここまで、私は次の取材を探さねばならぬゆえ、サラバー!」

姫海棠はたて「何なのよあんたはー!」

射命丸文「あ、そうそう」

姫海棠はたて「うわぁっ!?」

射命丸文「お部屋にこもって新聞ごっこもいいですが、写真合戦の腕くらいはもうっちょい相手になるくらいにはなっておいてください。
     同じ烏天狗として、恥ずかしくて恥ずかしくて」

姫海棠はたて「う、あぁっ……!?」

射命丸文「まっ、そんなわけで、では今度こそサラバー!」

姫海棠はたて「うっ、うわあああああぁーっ」


03幕 河城ファクトリー


姫海棠はたて「花果子念報書記、とある天狗に興味をもったところ写真合戦になり惨敗。こっちの写真には……あっ……木の葉しか写ってねえ。
       こんなの恥ずかしくて記事にできないじゃないの。私の念写、あれを全部避けきれるなんて背中に目がついてても出来る芸当じゃないわ。
       射命丸文、ただの三流記者かと思ってたのに一体何者なのよ。」

射命丸文「1000年はわたしの足元にも及びませんね」(回想)

姫海棠はたて「うっ……」

射命丸文「同じ烏天狗として、恥ずかしくて恥ずかしくて」(回想)

姫海棠はたて「ううぅぅぅっ……ド畜生がぁ!(ドンッ)」

河城にとり「あーこりゃこりゃ、我が家に八つ当たりしないでおくれでないかい」

姫海棠はたて「くっそぉ~、文の奴ぅ、思い出しただけで腹が立つぅうう~!」

河城にとり「いやはや、あの天狗様に絡まれるとは災難だったと諦めねえ、ほれ、お茶だわ」

姫海棠はたて「ゴクゴクゴク、ぷはー、私だって烏天狗よ」

河城にとり「んまあそりゃそうかもしれませんがねえ。それでまた、こちらの天狗様は私のファクトリーに何の御用があっていらっしゃった?」

姫海棠はたて「姫海棠はたてよ!河童のにとりってあんたでしょ!」

河城にとり「はぁ、姫海棠さんですか。河城にとりはたしかに私ですなあ」

姫海棠はたて「じゃあ、文のカメラ作ってるのってあんたね。」

河城にとり「んお~、射命丸さんのものはだいたい私がやらせてもらってますなあ」

姫海棠はたて「単刀直入に聞くわ。文の弱点を教えなさい!」

河城にとり「んお~」

姫海棠はたて「なんでもいいわ」

河城にとり「弱点ですか?」

姫海棠はたて「そう」

河城にとり「射命丸さんの?」

姫海棠はたて「そうよ」

河城にとり「そりゃまたなんともぉ……弱点?」

姫海棠はたて「知られたくないこととか、恥ずかしいこととか、あるでしょなんか?」

河城にとり「射命丸さんの?」

姫海棠はたて「さっきからそう言ってるでしょ」

河城にとり「ん~、そりゃまたなんとも」

姫海棠はたて「あぁ~、もう、煮え切らないわね!(ドンッ)」

河城にとり「きゃぁっ~っ(ここでにとりが消える)」

姫海棠はたて「あっ!こら!話の最中に消えるなっての!」

河城にとり「なら急に怒鳴らんでくれ!」

姫海棠はたて「なんで河童ってこんなに臆病なのよ。めんどくさいわねえ」

河城にとり「突然荒ぶる天狗に押し入られた方の身にもなってくれえ」

姫海棠はたて「ふんっ、いいわ。話ができるなら消えたままでも、逃げんじゃないわよ」

河城にとり「とほほほほっ……」

姫海棠はたて「あんた、文と仲いいんでしょ?」

河城にとり「そりゃまあそれなりに長い付き合いだけど」

姫海棠はたて「だったら、弱みの一つも知ってるでしょ?」

河城にとり「嫌がらせでもなさるつもりか?」

姫海棠はたて「だったらどうなのよ?」

河城にとり「あの天狗様は子供の使いみたいな悪さにはこれっぽっちも気に留めんよ」

姫海棠はたて「大雑把なのにね」

河城にとり「んなこたぁいってない」

姫海棠はたて「嫌がらせなんてしないわよ、私は文に勝ちたいの、あっ……ああ」

河城にとり「何してなさる?」

姫海棠はたて「記事にする、天狗が記事になるのって珍しいからうけるかもしれないでしょ。念のためよ」

河城にとり「はぁ……そんなもんかねえ、天狗様なんてなあ……あんた、珍しいもんもってなさるね」

姫海棠はたて「ん?なにが」

河城にとり「その腰につけてる……」

姫海棠はたて「ああ、これ?私の写真機だけど」

河城にとり「んおお、もそっとよく見せてくれんかね」

姫海棠はたて「別にいいけど」

河城にとり「んおおおおおー」

姫海棠はたて「あっ!?ちょっと勝手にさわんないでよ」

河城にとり「あぁぁん、見るだけ見るだけだから。んん、それは写真機じゃないな。外でよく使われてる通信機だ」

姫海棠はたて「通信機?これが?おしたらうつるわよ」

河城にとり「写真機付きがあるって話は聞いたことはあるが実物を見るのは初めてだよ」

姫海棠はたて「へぇ、珍しいものなんだ」

河城にとり「あぁっ、すまんが使ってるところを見せてくれんかね?」

姫海棠はたて「これにそんなに興味があるの?」

河城にとり「うん、とっても」

姫海棠はたて「そういやあんたも河童だったわね。ふふ、ねえ、この機械いじってみたいんじゃない?」

河城にとり「私に触らせてくれるのかね?」

姫海棠はたて「いいわよ」

河城にとり「ああぁぁぁー」

姫海棠はたて「こら!勝手に触んな」

河城にとり「だってあんたぁ今」

姫海棠はたて「はたてよ!姫海棠はたて!」

河城にとり「はたてさん」

姫海棠はたて「にとり正座!」

河城にとり「ひゅい」

姫海棠はたて「これぇあんたに触らせてあげてもいいけどぉ」

河城にとり「あぁああ、さわらせてくれー!」

姫海棠はたて「条件があるわ」

河城にとり「なにかねなにかね?」

姫海棠はたて「そうねえ。まず文のフィルムの出処を教えなさい?知ってるんでしょ?」

河城にとり「魔法の森、香霖堂、店主森近霖之助、汎用」

姫海棠はたて「グットよにとり、あとそうねえ、これに機能を追加して頂戴!望遠がよわいのよねえ」

河城にとり「いいのかね、それを私がやっても?」

姫海棠はたて「できるならね」

河城にとり「はっ!?ゴクリ……はぁ……はぁ……」

姫海棠はたて「きもっ!」

河城にとり「きもくったっていいじゃない、河童だもの」

姫海棠はたて「そう……それじゃ最後に……」

河城にとり「まだあるのぉ?」

姫海棠はたて「いい加減、文の弱点を教えなさいよ!」

河城にとり「んー、それは勘弁してくれ、天狗様の弱みなんてわたしにはわからんよ。天狗様のことなら、あんたのほうが詳しいんじゃないのかい?」

姫海棠はたて「私は文のことその……よく覚えてないのよ」

河城にとり「覚えてないの?そりゃまたどういう?」

姫海棠はたて「私のことなんてどうでもいいでしょ!なんでもいいから教えなさい!」

河城にとり「んー、そうだなあ、じゃこんな話はどうかね?」

姫海棠はたて「きかせなさい!」

河城にとり「天狗様のヒエラルキーには烏天狗より上があるだろ」

姫海棠はたて「大天狗、天魔?」(※天魔 天狗の頭領)

河城にとり「射命丸さんは私が生まれた頃からずっと烏天狗なんだ」

姫海棠はたて「あんたいくつよ?」

河城にとり「いやぁん、乙女に歳を聞くなんて」

姫海棠はたて「ふざけてんのかこら!」

河城にとり「じょ、冗談だってば。そんでな。昔、不思議に思って婆様に聞いたことがある。
      婆様婆様射命丸さんはいつから烏天狗だったのかね?って……そしたら」

姫海棠はたて「なによ?」

河城にとり「婆様が生まれた頃から烏天狗だったんだと」

姫海棠はたて「で?」

河城にとり「で?っていうかそれだけさね」

姫海棠はたて「はっ!つまんない話ね!そんなの文が落ちこぼれの劣等生ってだけのことじゃない!バカバカしい!」

河城にとり「いやいやいやいや、天狗様たちがどういった徳を積んで天狗階級の上に上がるのかは知らんが
      長生きすりゃそれだけで徳を積んだってことになるって話じゃないか。ってことは?」

姫海棠はたて「やっぱり、文がダメっ子ってことでしょ?」

河城にとり「なんか変だと思わんかね?」

姫海棠はたて「別にぃ~」
 
河城にとり「ん~、おいぃ~、私の出来る話はしたぞ。そろそろ、そいつを……」

姫海棠はたて「そうね、にとり、よし」

河城にとり「んにょ~」

姫海棠はたて「さっきの改造どのくらいでできる?」

河城にとり「すぐにでも」

姫海棠はたて「そっ、まってるわ」

河城にとり「す、すごい!なにこれ!なにこれ!すごい!はぁ……はぁ……」

はたての心の声(ずっと烏天狗……ねっ……ふんっ)

姫海棠はたて「花果子念報書記、文はずっと前からうだつのあがらない天狗だったようだ。無能ね。河童のにとりより聴聞」


04幕 天狗と人間


名も無い人間の子供「あなた……どうしてわたしにかまうの?」

射命丸文「どうしました突然改まって?」

名も無い人間の子供「私何の価値もないのに……」

射命丸文「あなたが知る必要はありませんねえ」

名も無い人間の子供「あのまま妖怪に食べられていたってだれも損も得もしない……違うの?」

射命丸文「食べられたかったのですか?貴重な体験ではありそうですが私なら願い下げですね」

名も無い人間の子供「あなた、私を助けたの?」

射命丸文「人さらい捕まえて何を言う!お門違いも甚だしい」

名も無い人間の子供「どうして私をつれてきたの?」

射命丸文「天狗の人さらいに理由はありませんよ。しいて言えば……あなたが可愛らしかったからですね」

名も無い人間の子供「かわいい?」

射命丸文「美童をかどわかすのは天狗の伝統行事ですから。変な方向で受け止めないでくださいね。私百合でもペドでもありませんから!」

名も無い人間の子供「ずっといらない子って言われてた。そんなこと言われてたの初めて」

射命丸文「問答は終わりです。さあさあ、この岩くらい軽く浮かせるようになってもらいますからね!」

名も無い人間の子供「うん……」

射命丸文「よろしい、励みなさい」


05幕 射命丸と村紗

射命丸文「記事記事ネタネタシュッポシュッポシュッポッポ♪おっと、これ以上はいけねえ」

村紗水蜜「なんのことよ……?」

射命丸文「ワンフレーズ以上は万が一ということがあるのですよ」

村紗水蜜「何言ってんのあんた」

射命丸文「あなたも大きくなればわかりますよ。村紗さん」

村紗水蜜「わからん、なにもわからん」

射命丸文「そんなことよりも、星蓮船船長村紗水蜜が抱える悩みやいかに?きかせてください!はやく!」

村紗水蜜「まあ~、悩みっていうほどでもないんだけどね」

射命丸文「はやく!」

村紗水蜜「お船を海に浮かばせられないのよ」

射命丸文「お船を?」

村紗水蜜「そう」

射命丸文「船長なのに?」

村紗水蜜「船長なのに!」

射命丸文「はぁ~」

村紗水蜜「星蓮船は大人になっちゃったわけよ」

射命丸文「変形ですか?」

村紗水蜜「元々、聖からもらったもらったもんだし、聖の役に立ってることはうれしいんだけど」

射命丸文「変形ですね!」

村紗水蜜「遊覧船みたいなこともやるしねー」

射命丸文「変形じゃないですか!」

村紗水蜜「でもほら一抹の寂しさがあるわけよ、船幽霊としては!」

射命丸文「変形……合体……テンプルロボ……」

村紗水蜜「ていうかさぁ、ないのよねー!幻想郷って海が!そもそもねえー!」

射命丸文「テンプルロボVS非想天則……おぉ~」

村紗水蜜「知ってたけどねー!辛いよねー!船幽霊としては!」

射命丸文「辛いなぜです?変形ロマンじゃないですか!悩むことがどこにあろうか!?」

村紗水蜜「天狗に私の気持ちなんかわかんないわよ。パタパタってさー」

射命丸文「ふんふん、寺の幽霊、幻想郷の海度に絶望」

村紗水蜜「カオスな見だしね……」

射命丸文「なんでしょうこの感じあと少し何かがあれば面白くなるような、ならないような、どうでもいいような……んっ!?」

村紗水蜜「なに?」

射命丸文「船長!?」

村紗水蜜「船長ですが……」

射命丸文「海ぃ!いりますか?」

村紗水蜜「はぁ!?まあそりゃ、あれば嬉しいけど……」

射命丸文「情けない……妙蓮寺テンプルナイツの一角ともあろうお方が実に情けない……」

村紗水蜜「えぇ……情けないの?私!?」

射命丸文「なぜ海がいるなら一言いってくださらないのです!船幽霊だけに水臭いですか!?」

村紗水蜜「えっとー?はい?」

射命丸文「よろしいよろしい。私と船長との仲です。ここはわたくし射命丸が船長のために一肌脱ぎましょう!しからばしばしお待ちを!サラバー!」

村紗水蜜「えっとー……初対面……えっ!?ダジャレ?」


06幕 厄神天気予報


鍵山雛「こんにちは、厄神天気予報。あなたの厄を引き受けたい、鍵山雛です。本日はゲストに、星蓮船船長、村紗水蜜さんにお越しいただいてます。」

村紗水蜜「どーもぉ~」

鍵山雛「船長さん、もうちょっと愛想よくしないと、メッですよ!」

村紗水蜜「私の船以外全部アンカーとかぶつかれ……沈没船友の会会長の村紗水蜜でーす」

鍵山雛「いい感じに荒んでますねえ。厄、吸いますか?」

村紗水蜜「アクセントアクセント……」

鍵山雛「では本日の天気です!」

村紗水蜜「スルーとは……」

鍵山雛「本日の幻想郷は厄が漏れたので槍が降るでしょう。魔法の森近辺では雨時々人が降るでしょう。
    それ以外の地方はカラッと晴れたいい天気になるでしょう~」

村紗水蜜「カラッと晴れてるのはあんたの脳なんじゃない!」

鍵山雛「いい天気だと、お布団を干したくなりますねえ~」

村紗水蜜「会話のキャッチボールって、大事だと思うんだ」

鍵山雛「槍といえば船長?」

村紗水蜜「はい!槍といえばなんでしょう、雛さん?」

鍵山雛「星蓮船の遊覧飛行ツアーが好評と聞きました」

村紗水蜜「槍、関係無かったなあ~!」

鍵山雛「飛べない方も、空飛び気分が味わえる、というわけですね」

村紗水蜜「そうですね」

鍵山雛「今までにない素敵な企画ですね。うふっ」

村紗水蜜「おかげさまで、人間の人を中心にご好評頂いてますねえ~。今日もこの後、魔法の森を巡回する予定です。
     遊覧に参加を希望される方は、お早めにご連絡を。」

鍵山雛「はい!本日の魔法の森は人が降るでしょう。」

鍵山雛「はい!」

村紗水蜜「はい……」

鍵山雛「はい。本日もお送りしました厄神天気予報。お相手は天を衝くドリル友の会会長、鍵山雛と」

村紗水蜜「ネタをパクられた村紗水蜜でしたー」

鍵山雛「それでは、皆さんごきげんよう」

村紗水蜜「ねえ、なんであたしがいるの!?とか最後までツッコミ無し~!?」

鍵山雛「ごきげんよう~」

森近霖之助「人が降るのかぁ……傘じゃ防げないだろうから今日は外出はやめておこう」

姫海棠はたて「香霖堂ってここよね?あなたが店主?」

森近霖之助「いらっしゃい。何か入用かな?」

姫海棠はたて「文にフィルムを出してるのって、あんたでしょ?」

森近霖之助「質問は1つずつ頼めるかな?」

姫海棠はたて「なによ!?態度でかいわね。私は客よ!」

森近霖之助「そうかい?それじゃあお客様、今日はいったい何をお探しで?」

姫海棠はたて「買い物じゃないって言ってるでしょ。いいから質問に答えなさい!」

森近霖之助「そうだねえ……香霖堂はここで、店主は僕だよ」

姫海棠はたて「文にフィルム売ってるの、あんたなんでしょ?」

森近霖之助「文?あぁ、あの烏天狗だねえ。たしかに家で幾つか卸しているが……」

姫海棠はたて「だったらあんた文の弱点知ってるでしょ?さっさと教えなさい!」

森近霖之助「ははははっ、僕は別にお客のプライベートにまで詳しいわけじゃないからねえ」

姫海棠はたて「はぁ?わざわざきてやったのに答えられんないっていうのぉ?」

森近霖之助「ん~……突然烏天狗の弱点と言われてもなぁ……」

姫海棠はたて「烏天狗の弱点じゃないわ!文の弱点よ!」

森近霖之助「射命丸くんの個人的な話かい?そんなのなおのことわからないよ」

姫海棠はたて「良いネタあるなら買ってやってもいいわよ」

森近霖之助「無茶を言うんじゃないよ……僕は情報屋じゃないんだから……そういうのは君たちのほうが得意分野だろう?」

姫海棠はたて「豆な取材と情報収集の賜物ね」

森近霖之助「直接射命丸くんから聞けばいいじゃないか?」

姫海棠はたて「で、できるわけないでしょ、そんなの!」

森近霖之助「そういうものかい……とにかく射命丸くんはお客の一人であって、君が望むようなことは何も聞かせられないよ」

姫海棠はたて「使えない男……」

森近霖之助「君は射命丸くんの知り合いなんだろう?普段の彼女の様子なんかから察しできることはないのかい?」

姫海棠はたて「ふん、にとりと同じような事言うのね」

森近霖之助「まあそりゃ普通はそう思うよ。弱点を知りたいなんてこと、同じ烏天狗同士で顔見知りなんだったら、
      自分で知ってる以上のことを他人から聞き出すなんてほうが、発想としては突飛じゃないか」

姫海棠はたて「はぁ……よく覚えてないのよ、文のことは……」

森近霖之助「そうなのか。ん?覚えてない?」

姫海棠はたて「な、なによ?」

森近霖之助「いやなに、変わったニュアンスを使うなと思っただけだよ」

姫海棠はたて「わ、悪い!?だって……ほんとうによく覚えてないんだもん……」

森近霖之助「ま、そういうわけだ。力になれなくてすまないね。」

姫海棠はたて「花果子念報書記、香霖堂亭主を取材したけど成果なし!頭にきたから文が買う予定のトライXを買い占めてやった。
       これでしばらく文も困るに違いない!あぁ……私使い道ないんだけど……これどうしたもんかしら……?」



07幕 人間の子供


少年1「おい!あれみろよ」

名も無い人間の子供「あのっ……」

少年2「おい!なんでお前みたいな奴がこのへんを歩いてるんだよ」

名も無い人間の子供「その、買い物に……」

少年1「くっせぇくっせぇ、お前らに近寄ると臭うんだよ!」

名も無い人間の子供「ごめんなさい……」

少年2「きったねえ格好だなあ……豚小屋が歩いてるみたいだぜぇ」

名も無い人間の子供「ごめんなさい……」

少年1「さっさとどっかいっちまえよ。鼻が曲がっちまうよ」

名も無い人間の子供「ごめんなさい……」

少年二人「あっはははははははは」

父親「おっせえぞ!どこほっつき歩いてやがった!」

名も無い人間の子供「ごめんなさい……」

父親「たくよぉ……あぁ……?おい酒がねえじゃねえか!」

名も無い人間の子供「え?」

父親「何してたんだよ?愚図が!」

名も無い人間の子供「ごめんなさい……すぐに行ってきます」

父親「二言目にはごめんなさい、ごめんなさいってよお!てめえのしみったれた面見てるとイラついてくんだよ!さっさといきやがれ!」

名も無い人間の子供「ごめんなさい……」

母親「あんたの食い扶持だって、ただじゃないんだよ……まったく……」

名も無い人間の子供「ごめんなさい……お役に立ちますから……」

母親「はっ……なんでこんなに愚図なのかねえ。あんたなんかうまなきゃよかったよ!」

名も無い人間の子供「ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさい……」

父親「もう終わりだ……終わりだよ」

名も無い人間の子供「え……?」

母親「私達もうダメなの……あなたも一緒にいくのよ」

名も無い人間の子供「どうして……?」

父親「だいじょうぶだあ、もうこえーことなんてねえからなあ」

名も無い人間の子供「どうして?私が?」

母親「大丈夫、苦しいことなんてないからね」

名も無い人間の子供「私が何をしたの?」

父親「さあ、一緒に逝こうなあ」

名も無い人間の子供「なんで?なんでよ?私は……」

母親「ごめんなさい」

父親「ごめんなさい」

名も無い人間の子供「私はただ、お父さんとお母さんに……」

父親母親「ごめんなさい、ほんとうに、ごめんなさい」

名も無い人間の子供「あれ……?」

名も無い人間の子供「ここ……どこ?」

八雲紫「こんばんは、お嬢さん。いい夜ね」


08幕 洩矢神社


東風谷早苗「海がないんです!」

八坂神奈子「どうした、早苗?」
 
東風谷早苗「気がついていますか、神奈子様?スペルカードに、海が割れる日というシロモノがあることを」

八坂神奈子「うん、うん」

東風谷早苗「あー、うんじゃありません!私気がついたのです!」

八坂神奈子「えっと……なにを?」

東風谷早苗「幻想郷には海がないことを!」

八坂神奈子「うん、うん。だよね……」

東風谷早苗「海がないのですよ……あっ!?神奈子様神奈子様!」

八坂神奈子「どうした、早苗」

東風谷早苗「奇跡です!ご覧ください」

八坂神奈子「どれ?」

東風谷早苗「四つ葉のクローバーです」

八坂神奈子「おー、珍しいな~。外じゃそいつも多忙のあまりに見かけなくなったもんだが、在来なのか、幻想入りしたのか」

東風谷早苗「今日もいい天気ですね~」

八坂神奈子「冬真っ盛りだな」

東風谷早苗「うふふ、なんですかそれ?」

八坂神奈子「うちの信仰も、非想天則だの、宝船の件だののおかげでいい感じだし、日々平穏。平和で何よりだ」

東風谷早苗「そうですね~」

八坂神奈子「うんうん、早苗が頑張ってるおかげだ」

東風谷早苗「ありがとうございます」

東風谷早苗「こう、ふらっと悪の妖怪でも現れないものでしょうか」

八坂神奈子「悪の妖怪ねえ~。悪の人間なら二、三人知ってるがな」

東風谷早苗「うふふ、そんなこと言うと霊夢が怒りますよ~」

八坂神奈子「なんだ?シャキッとしないね」

東風谷早苗「そのぉ、最近日々が退屈なのです。こっちの生活に慣れてきちゃったからだと思うのですが……」

八坂神奈子「近所で妖怪でもしばいてきたらどうだ?」

東風谷早苗「それも悪く無いですけど……何か刺激的なことが起こらないものでしょうか?」

八坂神奈子「早苗……なんか倦怠期の主婦みたいだぞ」

東風谷早苗「法界での一件が刺激的すぎました」

八坂神奈子「異変か。ここんとこそういうのも起こりそうにないねぇ……」

射命丸文「どーもどーも、正義と真実の伝道師、清く正しい射命丸でございまーす」

八坂神奈子「出たな……悪のブンヤ……今日は早いじゃないか」

東風谷早苗「こんにちは」

八坂神奈子「一部もらおうか」

射命丸文「あややや……残念ながら本日はこれからなのですよ~」

八坂神奈子「あらそう?じゃあ取材の方か」

東風谷早苗「ごめんなさい、ここのところはたいしたことはなにも……」

射命丸文「いえいえ、本日はですね。こちらに直接取材ではなく、ちと早苗さんに協力をばしていただきたく」

東風谷早苗「あっ、はい。私ですか……?」

射命丸文「実はですね。ちょいと一つ奇跡をば起こしていただきたく存じ上げる次第でして……」


09幕 はたてと椛


姫海棠はたて「さてと……これからどうしたものか」

河城にとり「無策……哀れなひ……」

姫海棠はたて「なんか言った?」

河城にとり「射命丸さんに探り入れるなんざやめときなって言ったの。不毛の極みさね」

姫海棠はたて「うっさい!私に指図すんな!ついてくんなら黙ってついてくればいいのよ!」

河城にとり「あいあいあい……ん?」

犬走椛「お散歩お散歩楽しいな~♪わふわふ」

姫海棠はたて「うっ……あの子……」

河城にとり「おーい、そこの天狗様~」

姫海棠はたて「あっ……こら~」

犬走椛「わふ?あっ、姫ちゃんだ!姫ちゃ~ん」

姫海棠はたて「うわぁ~、飛びつくな犬!」

犬走椛「姫ちゃん姫ちゃん、私白狼天狗なんだって!」

姫海棠はたて「あんた知らなかったの?」

犬走椛「わふ」

姫海棠はたて「自分のことなのに?」

犬走椛「だから犬じゃないんだよ」

姫海棠はたて「リアクションがわんこだって言ってんのよ!」

犬走椛「わふぅ~」

姫海棠はたて「暑苦しいっての!」

河城にとり「寒い日のお供に……」

姫海棠はたて「うわぁっ!?」

河城にとり「えらい懐かれとるね」

姫海棠はたて「何でそんなに冷静なのか……」

河城にとり「他人ごとイズどうでもオッケー」

姫海棠はたて「さっさはギャーギャー騒いでたくせに」

河城にとり「シュールビューティと呼んでくだされ」

犬走椛「わふー、姫ちゃん~」

姫海棠はたて「姫ちゃん呼ばわりすなっての!」

犬走椛「わふ?姫ちゃんは姫ちゃんだよ」

姫海棠はたて「文には様づけしてるでしょうが!私も様をつけなさい様を」

犬走椛「んー、姫ちゃん様?」

姫海棠はたて「その懐かしい呼び方はいらん!」

河城にとり「意外と知識がディープね。ちゃんさま」

姫海棠はたて「気安い!あんたははたてさん!」

犬走椛「だって姫ちゃんかわいいからだいすき!」

河城にとり「あーわかっちゃうわかっちゃうなそれ。ちゃんさまテラカワユス」

姫海棠はたて「くそったれめらー」

河城にとり「見れねえのかよつまんねえなあ」

姫海棠はたて「い・い・か・ら!おちつけ!もみじ、おすわり!」

犬走椛「わふっ!」

姫海棠はたて「はぁ……はぁ……」

河城にとり「よっ!」

犬走椛「あっ!かっぱちゃん、こんにちは~」

河城にとり「少しは駒使えるようになったかね?」

犬走椛「おうちで練習中だよ~」

河城にとり「いつでも相手してあげるから遊びにおいでな」

犬走椛「わふ~」

姫海棠はたて「将棋なんてどうでもいい」

河城にとり「どうでもよくない」

姫海棠はたて「どうでもいい!今は文の弱点探してるんでしょ!犬ころタックルに来たわけじゃないわ!」

犬走椛「文さま!姫ちゃんも文さま好きなの!?うわ~い」

姫海棠はたて「誰があんな三流……うわ~!?」

河城にとり「モッテモテやね」

犬走椛「わふ~姫ちゃん~」

姫海棠はたて「ど畜生めら!」

射命丸文「どーもどーも、みなさんお揃いで景気のいいことですな~」

姫海棠はたて「なっ……文!?」

犬走椛「あやさま!」

射命丸文「おー!かっぱさんあなたでちょうどいい、一緒にいらっしゃい!」

河城にとり「ん?また何……どぉー(にとりが文に連れて行かれる)」

射命丸文「サラバー!」

犬走椛「あやさま?」

姫海棠はたて「ふ~ん……完全にシカトなわけね……いい度胸してるじゃないの」

犬走椛「わふ~」

姫海棠はたて「花果子念報書記、すわっ!河童攫わる犯人は天狗、くっそ……文のやつぅ……」

犬走椛「姫ちゃん……」

姫海棠はたて「なによ」

犬走椛「置いて行かれちゃったね」

姫海棠はたて「うっさい」


10幕 妖怪の理


八雲紫「おこんにちはぁ、今日も修行?感心するわ。よく励むわね」

名も無い人間の子供「天狗様ならいないわ」

八雲紫「ねえ、お嬢さんは妖怪になりたいのかしら?」

名も無い人間の子供「あなたには関係ないわ」

八雲紫「人間が妖怪になるのはまれにあることだけど」

名も無い人間の子供「そう……」

八雲紫「大体の場合は呪いのせい、空気の読める人間は妖怪になったりしないで死んだあとに悪霊か怨霊になるものよ」

名も無い人間の子供「そう……」

八雲紫「聞いてる?」

名も無い人間の子供「あなた、何をしに来たの?」

八雲紫「んふ、ひ・ま・つ・ぶ・し」

名も無い人間の子供「そう……私を食べに来たのかと思ったわ」

八雲紫「あらいやだ。私はそういうものじゃないわよ」

名も無い人間の子供「人は食べない妖怪って言いたいの?」

八雲紫「ええ、ここのところは」

名も無い人間の子供「そう……」

八雲紫「こういう話を知ってる?夜道で赤ん坊の産声がするの、それを見つけた通りすがりの旅人が背負って連れて帰ろうとする。
    しばらくすると様子がおかしいことに気がつく、赤ん坊がどんどん重くなっているの。手放そうとしてもしがみついてはなれない。
    振り返ると、赤ん坊は老人の顔をしている。それはどんどん重くなって、最後には潰されて殺されてしまうのよ」

名も無い人間の子供「妖怪の話ね」

八雲紫「そう、この妖怪、なんでこんなことをすると思う?」

名も無い人間の子供「なにか、うらみがあったから」

八雲紫「はずれ。正解は……この妖怪は、そういうものだからよ。この場合は、人気のない夜道では赤子が泣いてもまっすぐ帰れ。
    そういった謂われや教えが恐れをもって人々の想像の中で命を持ち、空想を超え、仮想を超え、果てには幻想に辿り着いたもの、それが妖怪」

名も無い人間の子供「だからなに?」

八雲紫「妖怪は人の望みや希望が、人の願いで現れたものなの。まっすぐな意味ではないけどね」

名も無い人間の子供「だからなに?」

八雲紫「恨みや自意識で妖怪は行動しない。妖怪が行動するのはただ、そういうものに生まれたからよ」

名も無い人間の子供「だからなに?」

八雲紫「お嬢さん、どうして妖怪になりたいのかしら?拐かされたから仕方なく……ではないわよね」

名も無い人間の子供「あなたには関係ないわ」

八雲紫「変わった子……そうねえ、面白そうだから観察しててあげる」

名も無い人間の子供「やっぱり私を食べに来たのね」

八雲紫「嫌ですわ。暇つぶしって言ったじゃない。ではごきげんよう、お嬢さん」


11幕 竜神の祠


東風谷早苗「ここは……洞窟ですか?」

村紗水蜜「しめ縄があるわね」

東風谷早苗「ずいぶん大きいんですね。入り口を塞ぐほどです」

射命丸文「洞窟とは仮の姿、ここはとある祠でとあるモノが封印されているのです」

河城にとり「いままでこんな洞窟があるの気づかんかったよ」

射命丸文「ここはそういう場所ですから、早苗さんのおかげで見えるようになりましたけどね~」

村紗水蜜「ねえ、ねえねえ、なんかまたあたしドサクサで連れて来られてない?」

河城にとり「右に同じく」

射命丸文「なにをおっしゃる、これから起こるニュースの主賓ですよ、あなた方は」

河城にとり「はぁ……嫌な予感しかしない」

射命丸文「岩がささくれてますから、触れただけで手が切れます。転ばないように気をつけてくださーい」

河城にとり「とほほほほ……」

東風谷早苗「あれは……?」

射命丸文「見えましたね。あれが竜神さまの要石です」

村紗水蜜「竜神さまだって!」

射命丸文「そういうことです」

河城にとり「そういうことって!?」

東風谷早苗「あのー、私は何をすればいいんでしょう?」

村紗水蜜「あのさぁ、そこの黒い人?」

射命丸文「はいはーい、なんでしょう船長~?」

村紗水蜜「幻想郷に海っつってたけど~?」

射命丸文「確かに言いましたね~」

村紗水蜜「もしかしてあんまり良からぬ手段を用いようとしてないかなあー、なんて?」

射命丸文「良からぬ?」

村紗水蜜「うん」

射命丸文「もちろんですともー」

村紗水蜜「なんか良からぬものが出てきちゃう系な感じじゃない、これ?」

射命丸文「もちろんですともー」

河城にとり「んなもん付き合ってられるかー!」

射命丸文「まあまあまあまあ、ここまできたら付き合っておいきなさいノリの悪い」

河城にとり「あんたの悪ふざけにはうんざりだ!河童をばかにするのも大概にしろー!」

射命丸文「ほらほら、早苗さんは協力的ですよ」

東風谷早苗「えーっと……この石の封をとけばよかったんですよね!」

河城にとり「ひゅわあああ、やっちまったー」

村紗水蜜「なになになになにー」

東風谷早苗「そうですね、何だったんですか、これ?」

河城にとり「竜神さまの荒御魂を縛り付けてたんだ。しめ縄ってのは基本的に神様が外に出ないためにあるもんなんだよ」

東風谷早苗「神奈子様が背負ってらっしゃいますよ」

射命丸文「なんです!これだけの猛者が雁首揃えてなにをだらしのない!」

河城にとり「あんた何を企んでなさる……わたしゃもう知らんぞ」

射命丸文「嫌ですねー、企むなどと、天狗は悪巧みなどいたしません!ただ本日のニュースに花を添えようというだけですよ~」

東風谷早苗「なにか出ますね。」
    
ここで爆音がして竜神さまの封印が解ける

東風谷早苗「あれをやっつければいいのでしょうか?」

河城にとり「そういうたぐいのものじゃないのよ~お嬢さん!」

村紗水蜜「まあ起こっちまったもんはしょうがないかな~。河童、腹くくりな!」

射命丸文「そういうことです、あなた方水妖の力の見せ所ですよ」

河城にとり「もう嫌よ、こんな人生……」

射命丸文「まあそれにほら、何事もあれですよ。楽しいほうがいいでしょう」


12幕 菖蒲の花


射命丸文「わかりましたか?これが疾風を呼ぶ術です」

名も無い人間の子供「うん」

射命丸文「うん……って本当にわかってます?これ結構むずいですよ」

名も無い人間の子供「うん」

射命丸文「はぁ……まあいいです。よし!やってご覧なさい。」

名も無い人間の子供「ふん!」

射命丸文「あやややや、本当にやりました……人間のくせになかなかどうして……」

名も無い人間の子供「次は、何をすればいいの?」

射命丸文「ちょっい待ってください。カリキュラムがネタ切れです」

名も無い人間の子供「そう……」

射命丸文「しかし人間の割りにほんとに優秀ですね。このまま仙道を目指してみますか?」

名も無い人間の子供「仙道をすれば、天狗様みたいになれる?」

射命丸文「私みたいに?」

名も無い人間の子供「うん」

射命丸文「あはははっ、無理です。私天狗のわりにほんとーに優秀ですから」

名も無い人間の子供「じゃあ……天狗になれる?」

射命丸文「天狗になりたい?」

名も無い人間の子供「うん」

射命丸文「それも無理じゃないですかね。人間が天狗になるなど聞いたこともない」

名も無い人間の子供「そう……なんだ……じゃああなたなんで私をさらってきたの?」

射命丸文「前にも言ったでしょう。天狗は人をさらう、それ以上の理由はありません。私はそういうものなのです」

名も無い人間の子供「わかった……」

射命丸文「あやや……わかっちゃいますか?なんっというかあなた……何考えてんのかよくわかんないですね……顔に出ないといいますか」

名も無い人間の子供「ごめんなさい……」

射命丸文「まっ、別にいいんですけどね」

射命丸文「あや?」

名も無い人間の子供「なに?」

射命丸文「菖蒲の花です。ひょっと、ちょっと頭をこちらへ」

名も無い人間の子供「うん、なに?」

射命丸文「ほいっ」

名も無い人間の子供「え?」

射命丸文「花のかんざし完成です。あなたくらいの歳の人間はもうちょっと飾るもんです。よく似合ってますよ」

名も無い人間の子供「えっと……わたし……」

射命丸文「私と同じ名の花です。私の名前は文ですからね」

名も無い人間の子供「あや……」

射命丸文「まっ、名前なんて個体を識別するためだけの記号ですからね。私のことはいままで通り天狗で結構」

ここで名も無い人間の子供が泣きだす

射命丸文「あややや、今度は泣くのですか?理解に苦しみますね。人間、ってのは」


13幕 水妖と荒御魂


射命丸文「あややややや、壮観壮観」

村紗水蜜「やばいやばいやばいやばーい!」

射命丸文「まあまあ、これは要するにでかーい水ですからがんばればどうとでもなりましょう」

村紗水蜜「でかーい水ってレベルかー?漆黒ヴォーテックスー!」

河城にとり「だから私反対したんだ!ポロロッカー!」

村紗水蜜「うわあぁあ、きいてねえじゃんかー。」

射命丸文「大丈夫大丈夫、続けて続けて」

村紗水蜜「ちくしょー!」

東風谷早苗「あのー?私は何をすればいいのでしょうか?」

射命丸文「あ、早苗さんは、海を割る瞬間を写真に収めさせてください」

東風谷早苗「えっと、幻想郷には海がないんです」

射命丸文「今その海を作っているのですよ」

東風谷早苗「海って作れるんですか?」

射命丸文「うん、この竜は竜神にあらず、オオワタツミの成れの果ての一部なのです。体は海の気でできています。」

東風谷早苗「要するに、どういうことですか?」

射命丸文「水妖二匹の妖力を受け続けたら、この竜神もどきの化けの皮が剥がれて大海嘯が起こるはずです」

東風谷早苗「大海嘯ですか……?」

射命丸文「まあ、要するに海になるー!ってことですね」

東風谷早苗「なるほど!そうしたら私の出番ですね!」

村紗水蜜「出番ですねキリッ、とか言ってないであんたらも手伝えー!沈没アンカー!」

河城にとり「うわああああああ」

射命丸文「あー!河童さん、そういう物理的なのじゃなくて水のスペカとかでおねがいしますね!」

河城にとり「こういうのは向かないって言っとろうがや。きゃあああ、うおおおおお、こういうのは今回だけにしてよ。水符、河童の幻想大瀑布っ!」

射命丸文「すごいすごい!やればできるじゃないですかー!」

村紗水蜜「ちっくしょおおおお」


14幕 神様の理

鍵山雛「そんなわけで、次のゲストは神奈子様でお願いしたいんです」

八坂神奈子「あぁ、まあいいけどさあ」

鍵山雛「ほんとぉですか?やったぁ!」

八坂神奈子「でも私面白いことなんて、喋れないぞ」

鍵山雛「いいんですいいんです。いらっしゃる皆さん、どなたも大概ですから」

八坂神奈子「大概って、おまえ……」

鍵山雛「大丈夫です大丈夫です。私、慣れてますから」

八坂神奈子「そういうもんかい……」

姫海棠はたて「花果子念報だこらー!」

犬走椛「こらー!」

鍵山雛「あらぁごきげんよう、天狗様がお揃いでめずらしいですねぇ」

犬走椛「こんにちは~」

姫海棠はたて「文の弱点取材中。成果が出なくてイラついてんのよ!」

犬走椛「姫ちゃんは文様大好きなんだよねー」

姫海棠はたて「誰がそんなこと言ったのよ!」

犬走椛「わふー」

鍵山雛「あらあら、仲の良い事~」

八坂神奈子「また騒がしいのがきたねー」

姫海棠はたて「あなた八坂神奈子ね、文の弱点教えなさい、なんでもいいから!」

八坂神奈子「何だお前はいきなり!」

姫海棠はたて「烏天狗の姫海棠はたてよ!きいてのとおりだから、はやく答えなさい!」

八坂神奈子「何がなんだかわからん。ちゃんと喋れ。そうすりゃあ答えてやらんこともない」

姫海棠はたて「何よ偉そうね、あんた何様!」

八坂神奈子「何様って神様さね」

鍵山雛「あらあら、うふふふふ」

ここで爆音

八坂神奈子「ん?」

鍵山雛「あら?」

姫海棠はたて「なに?」

犬走椛「わふ?」

姫海棠はたて「なによ!あれ?」

八坂神奈子「んー、ありゃ竜神だなぁ」

鍵山雛「竜神ですか?」

八坂神奈子「幻想郷にもいるんだね~。はっ、ずいぶん荒れてるみたいだなあ」

鍵山雛「まぁ、大変」

犬走椛「ひ、姫ちゃん、私怖いよ~」

姫海棠はたて「なんかすごいことになってるっぽいけど、大丈夫なのあれ?」

八坂神奈子「まっ、ひと暴れすりゃあおとなしくなるわな、ほっとけほっとけ」

姫海棠はたて「ひと暴れって……あれ、人里に向かってるじゃない!ちょっとあんたたち何とかしなさいよ!」

鍵山雛「はいぃ?」

八坂神奈子「なんとか?なんとかって何が?」

姫海棠はたて「見ればわかるでしょ!このままじゃ人里が危ないのよ!」

鍵山雛「えっとー、人里が危ないと私が何かするんですか?」

姫海棠はたて「はぁ!?何いってんのあんた!助けるのよ人里を!」

八坂神奈子「なんでそんなことせにゃならん?」

姫海棠はたて「あんた達何いってるの?おかしいんじゃない!?」

八坂神奈子「人のことは人のこと、私たちがどうこうするような問題じゃないさね」

姫海棠はたて「何言ってんのよ?あんた神様でしょ!」

八坂神奈子「おまえ、神様を便利屋かなんかと勘違いしちゃいないか?信じるものだけ救ってやる、私達はそういうもんだ。
      ありゃあどう見ても信仰に見合ったなにじゃなかろう?放置だ放置」

姫海棠はたて「人里に何かあったら信仰する人間も減るのよ?」

八坂神奈子「そりゃあ仕方がないことよ」

姫海棠はたて「仕方がないって……」

八坂神奈子「何を勘違いしてるのかは知らんがな、私達はそういうものなんだよ」

姫海棠はたて「もういい、あんたなんかに頼まないわ!」

犬走椛「え?姫ちゃんどうするの?」

姫海棠はたて「あれは私が止める!」


15幕 天狗と人間の境界


八雲紫「お嬢さん、天狗にして差し上げましょうか?」

名も無い人間の子供「また来たの?」

八雲紫「また来たわよ」

名も無い人間の子供「帰って」

八雲紫「あなた、このまま修行しても天人か仙人にしかなれないわよ。あの天狗からもきいたんでしょ?」

名も無い人間の子供「わたし……」

八雲紫「ふふ、いいこと教えてあげる。私はね、物の境界をいじれるの」

名も無い人間の子供「境界……?」

八雲紫「境界っていうのは境のこと。ありとあらゆるものに存在するわ。もちろん、天狗と人間の境界もね。
    私がちょちょいといじればそれで終わり、あなたはめでたく天狗の仲間入りよ」

名も無い人間の子供「ほんとにそんなことができるの?」

八雲紫「んふふふふっ、気になる?」

名も無い人間の子供「もし……もしほんとにそんなことができるなら……」

八雲紫「お嬢さん、もう一ついいこと教えてあげる。何かをしてもらうにはね、対価が必要なの」

名も無い人間の子供「対価……お金なんて持ってないわ」

八雲紫「そうねえ、賢い子は好きよ。私がそれをしたら、あなたという新たな妖怪が生まれることになるわ。それはつまり……ききたい?」

名も無い人間の子供「話して」

八雲紫「人間のあなたはいなくなるってこと」

名も無い人間の子供「そんなの当たり前じゃない」

八雲紫「人間のあなたがいなくなるということはいまのあなたがなかったことになるということ。
    あなたが残した足跡、筆跡、排泄物、それを糧に育った植物や動物は消え去り、
    あなたが食べた動物の死骸はあなたが食べなかったことになり、あなたが壊したものは、生き物も無機物も元の形に元に戻る。
    そして……あなたに関して記憶が人々から消え去ることになるわ。あなた自身もあなたという人間がいた事を覚えていない。
    もちろん……あの天狗もあなたのことをすべて忘れ去るわね」

名も無い人間の子供「天狗さまが……私のことを忘れる……」

八雲紫「それを対価に、あなたの望みは叶うでしょう。妖怪になることを求めて妖怪になった人間、私が知る限り前例がないのよ、そういったものは。
    興味があるの。そういうものがどうなるのかを……ね?」

名も無い人間の子供「それが、私……」

八雲紫「うふふふ、私は帰りますわ。よーく考えておいてね。あなたが呼べばいつでも参上しますから」

名も無い人間の子供「あ、あなたのことなんて呼ぶわけないじゃない!」

八雲紫「そうそう」

名も無い人間の子供「なに?」

八雲紫「可愛らしい髪飾りね。よく似合ってましてよ」

名も無い人間の子供「あっ……」

八雲紫「いい、迷ったら私を呼ぶのよ。お嬢さん」

名も無い人間の子供「う、うん……」

八雲紫「いい返事ね。ではごきげんようお嬢さん」


16幕 大海嘯


姫海棠はたて「でかい……こんなの人里に襲ってきたら……」

射命丸文「いいですよ~すごくいいですよ~。あぁ、河童さん、もうちょっと切なげな表情いただきましょうか?」

姫海棠はたて「あ、あや?」

射命丸文「おやはたて、美味しいところに」

姫海棠はたて「うぅ、もうスペル切れだ!」

村紗水蜜「うわぁ、気合よ!気合ー!」

東風谷早苗「ガッツです!ガッツですよ!」

河城にとり「お前さんは手伝えっての!」

姫海棠はたて「にとり、あんた何やってるのよ?」

河城にとり「そんなもん私が聞きたいわい!」

村紗水蜜「く・そ・た・れ!おりゃああああ!」

河城にとり「にゃあああああああ」

河城にとり「ひょー……ひょー……」

村紗水蜜「はぁー……やった?」

射命丸文「お見事!さすがはお二方ですね!」

姫海棠はたて「あんたが人助けするなんて、どういう風の吹き回し?」

射命丸文「ん?人助け?なんのことです?」

河城にとり「た、たすかったぁ……」

東風谷早苗「いえ、これからですよ!」

姫海棠はたて「なに!?」

射命丸文「おぉ!きましたねきましたね~!」

姫海棠はたて「何なのよこれ!」

射命丸文「見ての通り、水です!」

姫海棠はたて「んなこと聞いてるんじゃない!大災害じゃない!これ!」

射命丸文「さぁ、早苗さん、今ですー!」

東風谷早苗「はい!開海、海が割れる日!」

姫海棠はたて「で?」

東風谷早苗「どうですか~?」

射命丸文「いい!実にいい絵ですよ~!」

東風谷早苗「かわいく撮れました~?」

射命丸文「バッチリです!」

東風谷早苗「やったぁ!」

村紗水蜜「こ、これだけのために……」

射命丸文「これからこの水は、文字通り海に成長しますから、船長は船でも何でも好きなように浮かべてください」

村紗水蜜「はぁー……今日はもういいや~わたし帰る!」

姫海棠はたて「ちょっとまってってば!これほっとく気?」

村紗水蜜「ほっとく気も何も私の目的これだもん」

姫海棠はたて「あんたなんとかしていきなさいよ!」

村紗水蜜「冗談でしょ~これだけ苦労して~」

姫海棠はたて「このままじゃ人が大勢死ぬのよ!」

村紗水蜜「はぁ~?なんで人間の味方なんぞせにゃならんのよ?」

姫海棠はたて「にとり!」

河城にとり「わたしゃガス欠だよぉ」

姫海棠はたて「このぉ!」

河城にとり「まあまてまてまて!こんなの私じゃどうにもできんって、盟友たちには気の毒だけど幻想郷じゃよくある話しってことで……」

姫海棠はたて「うぅ……あんた人間でしょ一緒に来なさい!」

東風谷早苗「え?あぁ~はい別にいいですけど」

姫海棠はたて「そうだわ!博麗の巫女がいるじゃない!あいつの手を借りて……」

射命丸文「霊夢さんならマヨヒガですよ~。」

姫海棠はたて「マヨヒガ?」

射命丸文「八雲紫のアジトです。宴会に招かれたのはいいものの、八雲紫が冬眠に入っちゃって戻ってこれないようですね」

河城にとり「お前さんよく知ってるねそんなこと」

射命丸文「豆な取材と情報収集の賜物です」

姫海棠はたて「いいわ!じゃああんただけでもきなさい!」

東風谷早苗「はい」

はたてが早苗を連れて行く

河城にとり「行ってしまわれた……」

村紗水蜜「あの子、天狗よね?」

射命丸文「そうですよ」

村紗水蜜「何をあんなにムキになってんの?ちょっとおかしいんじゃない?」

射命丸文「いやはや全く、やれやれですね~」



17幕 津波を止める



姫海棠はたて「津波の進行が早すぎる……あんた、もっとはやく飛べないの?」

東風谷早苗「無理ですよ~。天狗さんと並んで飛ぶなんて」

姫海棠はたて「仕方がないわね……」

犬走椛「姫ちゃん~」

姫海棠はたて「わんこ!」

犬走椛「姫ちゃん、なにこれ?」

姫海棠はたて「いいとこに来たわ!今からこの津波を止める、わんこも手伝いなさい!」

犬走椛「わふ!何すればいいの?」

姫海棠はたて「何すれば……」

東風谷早苗「具体策が無いですね、実際」

姫海棠はたて「えー、えぇっと、はっ!あんた!」

東風谷早苗「東風谷早苗です」

姫海棠はたて「早苗!さっきのスペルまだある?」

東風谷早苗「あっ、はい」

姫海棠はたて「もうちょっと長く使えるわね?」

東風谷早苗「もちろんできますよ~」

姫海棠はたて「よし!あんたをなんとか先回りさせる。さっきのやつを防波堤にして水の流れを里からそらすわ」

東風谷早苗「わかりました」

犬走椛「そらすってどこに?」

姫海棠はたて「そんなのあとで考える!今は追いつくこと!早苗!わんこ!私に捕まりなさい」

東風谷早苗「はい!」

犬走椛「わふ!」

姫海棠はたて「こらっ!どこ触ってんのよ!」

犬走椛「わふー、柔らかい~」

姫海棠はたて「このわんこ……あとで覚えてなさいよ!」

犬走椛「わーいはやいはやい~」

姫海棠はたて「みえた!」

東風谷早苗「うわぁあああ」

犬走椛「うっ、ぐぐぅ」

姫海棠はたて「ここよ!早苗!」

東風谷早苗「あっ、は、はい。本日二度目の、海が割れる日ロングバージョンです!」

姫海棠はたて「よしいい感じだわ!」

犬走椛「これからどうするの?」

姫海棠はたて「逸らすか押し返すかしてみて!」

犬走椛「ん~」

姫海棠はたて「なんでもいいから!スペカ!」

犬走椛「わふ!スーパーのの字いっきまーす!山窩、エクスペリーズカナン!」

姫海棠はたて「追い返してる!」

犬走椛「これは侵入者に使うやつ!」

姫海棠はたて「こんなんあるならさっさとつかいなさい!」

犬走椛「わふ」

姫海棠はたて「よし……この水、海の気で出来てるって言ったわよね。てことは……やっぱり!シュート・ザ・ブリット が通じるわ!
       連写、ラピッドショット!いける!よーし、一気に行くわよ!」


18幕 八雲紫と射命丸文


名も無い人間の子供「教えを守ってれば、いつか天狗様と同じになれると思ってた」

射命丸文「天狗は人をさらう、それ以上の理由はありません」

名も無い人間の子供「私、そのうち捨てられちゃうのかなあ……」

射命丸文「はい、花のかんざし完成です」

名も無い人間の子供「天狗様……」

八雲紫「私がそれをしたら、あなたという新たな妖怪が生まれることになるわ」

名も無い人間の子供「ほんとうに?」

八雲紫「あなたに関しての記憶が人々から消え去ることになるわ」

名も無い人間の子供「誰にも覚えてもらえないということ、それは死んでしまうのと同じこと」

八雲紫「あの天狗もあなたのことをすべて忘れ去るわねぇ」

名も無い人間の子供「でも……どうでもいい。私なんかいなくなったってどうなったっていいわよ!」

八雲紫「おこんにちはぁ、私を呼んだわねぇ」

名も無い人間の子供「呼んでなんていないわ!」

八雲紫「いいえ!呼んだわ!」

名も無い人間の子供「ひっ……」

八雲紫「意味をわかっていったのかしら?どうなったっていいと言ったわね?」

名も無い人間の子供「いいわよ!私なんて生きてたって邪魔なだけじゃない!」

八雲紫「それはつまりどういうこと?」

名も無い人間の子供「し、死んでも構わないって言ってるのよ!」

八雲紫「ふふふふふふふ、言ったわね!意思を持って自らの口で!言ったわね!自暴の極地を意味する言葉を!」

名も無い人間の子供「な、なに……?」

八雲紫「お嬢さん、あなた資格を手にしたわよ。」

名も無い人間の子供「資格?」

八雲紫「そう、今、貴女は天狗の手を離れて私のものになったの!」

名も無い人間の子供「ど、どういうこと?」

八雲紫「こういうこと。もう少し見ていたかったけど、残念ね……さよなら、お嬢さん」

名も無い人間の子供「うっ……」

射命丸文「どういうつもりです。八雲紫!」

八雲紫「その言葉そっくりお返ししますわ。どういうつもりかしら、射命丸文?」

射命丸文「この人間がいつあなたのものになりました!」

八雲紫「この子は死を望んだわ」

射命丸文「この人間は私のものです!」

八雲紫「どういうことかおわかりよねぇ?」

射命丸文「これは私のものです!」

八雲紫「幻想郷のバランスを保つための掟よ」

射命丸文「これは私のものだ!去れ若造!」

八雲紫「ムキになっちゃって、イヤねぇ。鴉は独占欲が強くて、ふふ、お嬢さん。」

名も無い人間の子供「ひっ……」

八雲紫「今日は帰るけど忘れないでね、あなたは資格を手にした。また来るまでに選びなさい。二つの死のいずれかを」

名も無い人間の子供「二つの……死?」

八雲紫「覚えられたまま死ぬか。忘れ去られて死ぬかよ。ではごきげんようお二方」

ここで八雲紫が去っていく

名も無い人間の子供「天狗様、私……」

射命丸文「どういうつもりです!?八雲紫と取引などと!」

名も無い人間の子供「取引?」

射命丸文「取り憑かれたのですよ、なにか心あたりがあるはずです!」

名も無い人間の子供「わからないわ」

射命丸文「そんなはずはありません!教えなさい!」

名も無い人間の子供「どうでもいいわ……あなたもあいつも変わらないもの」

射命丸文「なんですって……」

名も無い人間の子供「だってそうじゃない!あなたが用があるのはさらった人間!それは誰でもいいんでしょ?じゃあいいわよ!
          私じゃなくったていいんだから、いいわよ!私なんていなくなったって!」

射命丸文が名も無き人間の子供にビンタをする

名も無い人間の子供「あっ……」

射命丸文「そうですか……じゃあ試してみなさい!」

名も無い人間の子供「た、試す……なにを?」

射命丸文「死……をですよ」

名も無き人間子供が川に投げ込まれる

名も無い人間の子供「どうやって?」

射命丸文「こうやってです!」


19幕 風の循環


犬走椛「はぁ……はぁ……わぅ、きりがないよ~」

姫海棠はたて「諦めんな!」

東風谷早苗「ダメです、もうスペルブレイクですよ」

姫海棠はたて「諦めんな!あんた神様だろ!くそったれめぇ、諦めるか……諦めてたまるかよ!」

八坂神奈子「おい天狗。姫海棠といったか?」

東風谷早苗「神奈子様!」

八坂神奈子「言っとくけど手は貸さないよ」

姫海棠はたて「なら帰れ!私は今忙しいのよ」

八坂神奈子「なんでお前がそこまでする?」

姫海棠はたて「なんでですって?人助けに理由なんてないわよ!」

射命丸文「あなたは妖怪でしょ?」

犬走椛「文様!」

射命丸文「妖怪なら妖怪らしくしていたらどうです?」

姫海棠はたて「妖怪らしく?」

射命丸文「昼は寝床でグーグー、夜は墓場で運動会、己を本位に考え人を脅かし襲い、恐れを力に変えて己の本位に循環するのです」

姫海棠はたて「己の本位に?」

射命丸文「左様、これぞ妖怪の、天狗の風の循環なり、あなたどうしてそんなに俗っ気を引きずるんです?」

姫海棠はたて「はん!何百年も烏天狗をやってる奴のご高説は違うわね!ありがたくて涙がでるわ」

射命丸文「はたて……」

姫海棠はたて「天狗の循環だ……そんなのはね……」

射命丸文「そんなの……?」

姫海棠はたて「知ったこっちゃないわよ!くそったれが!あんた、なんで新聞つくるかを聞いたわよね?」

射命丸文「天狗は新聞を作るもの、天狗が新聞を作る理由はひとつ、ただただそういうものだからです」

姫海棠はたて「みんなを笑わせて、楽しませて、コケにされたり、番付に一喜一憂したり、明日のネタを考えて悩んだり唸ったり、
       時には笑って、時には泣きながら記事を作るの、私はそういうのがたまらなく好きなのよ!」

射命丸文「はぁ……まるで人間です。我らにそんなものは必要ない!」

姫海棠はたて「うるさい!何が神だ!何が妖怪だ!何が幻想郷だ!どいつもこいつもくそったれよ!私は私の好きなようにしてる、
       好きな様に生きてるわ!あんた流に言うなら、これが私の循環。あんたに四の五の言われる筋合いはこれっぽっちもないわ!」

東風谷早苗「はたてさん……」

射命丸文「左様で、ならば好きになさい」

姫海棠はたて「好きにしてるっつーの!借りるわよ!」

射命丸文「あっ、こら!私のスペカを!」

姫海棠はたて「ふんっ、こんなスペル使いたくないけど……」

犬走椛「姫ちゃん!?」

姫海棠はたて「震源ギリギリまで降下して……風符、天狗道の開風」

犬走椛「ダメ、きいてないよ……」

八坂神奈子「物量が違いすぎる」

射命丸文「もはや物理的な力でどうこうできるものではないことくらいわからないのですか!」

姫海棠はたて「諦めない!くそったれがあああああ!」

八雲紫「うふっ」

姫海棠はたて「え?」

名も無い人間の子供「くっ、くるしい……私こんなことで……」

姫海棠はたて「なに?」

名も無い人間の子供「いやあああああ」

姫海棠はたて「なに?目の前が暗く……」

東風谷早苗「あっ!天狗さん!」

犬走椛「姫ちゃんが!」

東風谷早苗「ダメわんちゃん!」

犬走椛「ひめちゃああああーん」

名も無い人間の子供「くっ、くるしい、私、こんなことで……」

射命丸文「あやややや、さっきの勢いはどうしたのです」

名も無い人間の子供「天狗様……」

射命丸文「私の修行を受けたものが川で溺れるとは、いい恥さらしですね」

名も無い人間の子供「うっ、うっ……」

射命丸文「天狗ではなく土左衛門を目指してみますか?どうです?」

名も無い人間の子供「ひっ、はぁはぁ」

姫海棠はたて「そんな……?」

射命丸文「幸いこの先は滝ですから、苦しいのももう少ししばらくのことでしょう。うん、ラッキー!」

名も無い人間の子供「うっ、うっ……」

射命丸文「苦しいですか?苦しいですねえ」

姫海棠はたて「こわい……」

射命丸文「そういうものらしいですから、死というものは」

名も無い人間の子供「いや……」

射命丸文「さっ、あとものの数刻で土左衛門にクラスチェンジなわけですが、さて」

姫海棠はたて「いやよ!」

射命丸文「どうします?」

名も無い人間の子供「私、まだ生きたい!」

射命丸文「生きたいならば願いなさい!はたて!」

姫海棠はたて名も無い人間の子供「助けて、あやあぁぁー!」

射命丸文「私の名を呼びましたね……」

射命丸文「空にありありて天衝くこと叶わず、天地神妙を追われ、地を追われ、なすところ人畜に及ばず。
     されど、我妖かし、我天の犬、森羅万象我求むらば、すなわち全てわが力なり!私の名を呼びましたね……はたて!」

射命丸文「我流星、我雷、我天を衝く匕首?で、我が力求むなら、我塵風となりて、遍くすべてを貫かん!招来、無双風神!」
     (匕首 短刀の一種 違う可能性大、訂正求む)

八坂神奈子「あのスペルは……?いや、あれはスペルカードじゃないな」

東風谷早苗「知っているのですか、神奈子様?」

八坂神奈子「あぁ、だが、ここまでおかしい奴は初めてお目にかかる。見ろ」

東風谷早苗「す、すごい……海が削られていきます。射命丸さんの周りに舞っているあれは、木の葉?」

八坂神奈子「いや、ちがうな」

東風谷早苗「え?」

八坂神奈子「あの馬鹿げた速度の摩擦熱で、天狗の周囲がプラズマ化してるんだ」

東風谷早苗「プラズマって?そんなバカな!?」

八坂神奈子「伝説で聞いたことがある。天狗は天の尾、空の犬。つまり、彗星が想像を得て幻想になったものだ。おそらくは、あれが本来の射命丸文なのさ」

東風谷早苗「彗星……」

八坂神奈子「ありゃほっとけきゃぁ幻想郷の地表を引っぺがすぞ。芋の皮むきみたいにな」

東風谷早苗「神奈子様……?」

八坂神奈子「どうした早苗?」

東風谷早苗「私達、富樫源次と雷電みたいです」

八坂神奈子「お前、歳いくつだよ……?」

射命丸文「これで……終わりです!され海神。うおおおおおおお」

姫海棠はたて「文、あなた……」


21幕 約束


射命丸文「八雲紫と会うのですか?」

名も無い人間の子供「うん、私天狗にしてもらうの」

射命丸文「本当にいいのですか?あなたが生きていたってことを誰にも何も残せないのですよ」

名も無い人間の子供「それでもいい、文と同じ天狗になりたいの。それに……」

射命丸文「それに?」

名も無い人間の子供「いいことなんてなにもなかったから……ほんとに、なにも……」

射命丸文「ふーん、いいことがなかった、ですか。それはつまんないことですね」

名も無い人間の子供「誰とも話をしないように生きてきた。話をするということは心を開くってことだもん」

射命丸文「ほうほう、それでそれで」

名も無い人間の子供「悲しいことからは逃げられない。私には何もできなかったわ。だからずっと、耐えてた。誰にも触れないように……」

射命丸文「はっはっはっはっは」

名も無い人間の子供「なにかおかしいの?」

射命丸文「いいことを教えてあげましょう」

名も無い人間の子供「いいこと?」

射命丸文「そういう時はこう言うんです。この、くそったれがああああああああああああああ」

名も無い人間の子供「ひっ」

射命丸文「って」

名も無い人間の子供「罵倒だわ」

射命丸文「さぁ、やってご覧なさい!」

名も無い人間の子供「わ、私そんなの……」

射命丸文「いいからほら」

名も無い人間の子供「くそったれ……」

射命丸文「ダメダメぇもっと腹から声を出すんです!くそったれがああああああああああ」

名も無い人間の子供「くそったれ」

射命丸文「もっとです」

名も無い人間の子供「くそったれ」

射命丸文「そうもっとです」

名も無い人間の子供「くそったれええええ、くそったれがああああ」

射命丸文「そうです!」

名も無い人間の子供「くそったれ!お父さんのくそったれ!お母さんのくそったれ!なんで私を愛してくれなかったの!
          どいつもこいつもくそったれ!くそったれだわ!」

射命丸文「どうです?スッキリしたでしょう?」

名も無い人間の子供「うん」

射命丸文「所詮この世の中なんて、どいつもこいつもくそったれです。そういうときは腹から罵倒を浴びせかけてすっきりするんです!
     明日のくそったれに笑って立ち向かうためにね。いちいち塞ぎこんでいたらもったいないですよ」

名も無い人間の子供「もったいない?なにが?」

射命丸文「生きることがですよ」

名も無い人間の子供「ずっと誰にも触れないように生きてきたわ。でも私、文に会えてよかった」

射命丸文「あははは、人さらいに何を言う」

名も無い人間の子供「だから私、文と同じ天狗になりたいと思ったの。みんなに忘れられても」

射命丸文「大丈夫です!記憶なんてなくても、望むものになれましょう、あなたならきっと!」

名も無い人間の子供「もっと、さっきみたいに笑っていたかった」

射命丸文「それどころか、みんなを笑わせる側になっていましょう」

名も無い人間の子供「私が?」

射命丸文「そうです!」

名も無い人間の子供「大勢の人と一緒に怒って泣いて笑って」

射命丸文「なれますよ!そういうものに!」

名も無い人間の子供「人の役に立ちたかった」

射命丸文「なれます!人の役に立つ妖怪ってのも変な話ですがね」

名も無い人間の子供「文のこと、必ず探すわ」

射命丸文「あやややや、そりゃ無理じゃないですかね。私もあなたのこと忘れてるわけですし」

名も無い人間の子供「探すの!」

射命丸文「そうですか……」

名も無い人間の子供「うん……」

射命丸文「そうですか……」

名も無い人間の子供「うん……」

射命丸文「さて、あなたはもうすぐ人ではなくなります。おめでとう!ですが……」

名も無い人間の子供「うん」

射命丸文「う~ん、親からも愛されず友達も恋人もいなかった人生ですか。確かに捨ててしまっても構わないかもしれませんけど、なんとも虚しいですね」

名も無い人間の子供「ねえ、文?最後にお願いがあるの」

射命丸文「なんですか?」

名も無い人間の子供「そのぉ、わたし……」

射命丸文「私は妖怪です。妖怪は人間のおそれや望み、そのものです。あなたが望めば、私は何にだってなりましょう」

名も無い人間の子供「文が私を忘れても?」

射命丸文「例えあなたが姿を変え、記憶をなくし、人でなくなったとしても」

名も無い人間の子供「ほんとぉ?」

射命丸文「本当ですとも。私はね、そういうものなのですよ」

名も無い人間の子供「文、わたし……」

射命丸文「行ってください……」

名も無い人間の子供「わたし……」


22幕 厄神ニュース


鍵山雛「こんにちは、厄神ニュースのお時間です。本日幻想郷に現れた、謎の海嘯は突然出現して突然消えてしまいました。
    そんなに厄漏れちゃったのかなって思っちゃいましたけど、何事も無くて本当によかったですねえ~。では、続いてのニュースです」

八雲紫「もういいわ」

森近霖之助「こんな時期に君が訪れて来るなんて、なにかおかしなことでもあったのかい?」

八雲紫「別に~、古い約束をなくしてしまっただけよ」

森近霖之助「約束ね……」

八雲紫「あら?やきもちを焼いてくださるのかしら?」

森近霖之助「やきもちか?そんな感情を君に持っていたら身がもたないよ」

八雲紫「何があったか、知りたい?」

森近霖之助「ぜひ知りたいねえ」

八雲紫「古~い古~い妖怪が姿を消したのよ、天孫降臨を導き、かつては神とまで崇められたその妖怪が一人の……
    たった一人のためだけの怪傑となってしまった。たった今ね」

森近霖之助「怪傑……?一風変わっていて優れた人物、不思議な力をもった人物、ヒーローのこと、その妖怪と約束を?」

八雲紫「いいえ、約束はそのたった一人と……あの子の変質はもう止められない。このさきいったいどういうものになってしまうのやら」

森近霖之助「変質……あの子というのは、約束の君のことかい?それとも、怪傑くんのことかな?」

八雲紫「どちらもよ」

森近霖之助「君の話は相変わらずだ」

八雲紫「神秘的?」

森近霖之助「何が何だか分からない」

八雲紫「ねえ、そんなことよりも、二度寝のために帰るには、手間が少なすぎるわ」

森近霖之助「今日はもうすぐ魔理沙が……」

八雲紫「あの子ならさっきマヨヒガにご招待しましたわ」

森近霖之助「この誘拐犯め」

八雲紫「そこは神秘的に、神かくしの主犯と呼んでくださる?」

森近霖之助「神かくしっていうのは、そんなに私欲的なものなのかい?」

八雲紫「あら?ご存じなかったのかしら?」


       23幕 大円満

姫海棠はたて「花果子念報書記、こうして今回の異変は、幕を開けずに事なきを得た。里の人間は、野分の時よりましと、特に気にしてない様子だった。
       溺死、凍死、里の危機だったってのに、呑気な連中だわ。
       例の手加減無用巫女が出てたら、洪水と弾幕で未曾有の危機にさらされてたってのに。
       その前に解決できたのは、不幸中の幸いね。八雲紫はこのことを見越していたのかしら?そして、文は……」
      (※野分 台風の古称)

射命丸文「あややややや、天狗奥義、三升一連呑み~!」

東風谷早苗「射命丸さんすごいすごーい」

八坂神奈子「あっはははは、バカがいるバーカ!」

射命丸文「あははは、さらに一升追加です。とってますか?とってますか椛~?明日の朝刊はこのネタで行きますからねー」

犬走椛「はい文様!」

八坂神奈子「あははははは」

姫海棠はたて「こうしてみると、やっぱりアホの三流記者にしか見えない……あの時のことはあやふやで、あれがほんとに文だったのかも?もう……
       あなた一体何者なの?なんであなたのことがこんなに気になるの?」

村紗水蜜「それはきっと、恋っなんじゃないかな?村紗心の俳句っ」

姫海棠はたて「はっ?」

犬走椛「姫ちゃんは文様大好きなんだよね!」

姫海棠はたて「ば、ばばばかなこといってんじゃないわよ!このわんこ」

河城にとり「途中から声に出とったぞ。ちゃんさま」

村紗水蜜「いいねーポエムだねえー」

姫海棠はたて「くっ、ぁぁっ・・」

鍵山雛「はぁ~い、みなさん本日の文々。新聞ですよ~」

射命丸文「あー、できましたか?」

姫海棠はたて「あ、文……」

射命丸文「は?どうしました?はたて」

姫海棠はたて「な、なんでも……」

河城にとり「かわいいなぁ~」

犬走椛「ねー」

姫海棠はたて「くそったれが!」

鍵山雛「あらあら、うふふふ」

村紗水蜜「なんであんたが新聞作ってんのよ?」

鍵山雛「アルバイトです。神様も生活大変なんですよ。うふふふ」

村紗水蜜「うぅ……そうなんだ?」

鍵山雛「嘘です、うふふふふ」

村紗水蜜「だよね~。神様がバイトとか意味分かんないもんね~」

鍵山雛「あっ!そっちはほんとです」

村紗水蜜「そーなんだ!あんたやっぱ絡みづらいね~」

八坂神奈子「なになに?謎の大海嘯、天狗のはたてが治む。なるほどなるほど」

姫海棠はたて「は?」

射命丸文「大活躍じゃないですか!はたて!」

姫海棠はたて「あれ?あれは文……私……え?だってこの記事書いたの!?」

射命丸文「記事に花を持たせたに過ぎませんよ」

河城にとり「おかげでこっちは50年分くらい動いた気がする」

村紗水蜜「結局船はお預けだったし、面倒臭がらないでさっさとやっとけばよかったわ~」

河城にとり「お疲れちゃんやね」

姫海棠はたて「だいたいあんた!自分で騒動起こして、自分で解決して、何がしたかったのよ!」

射命丸文「何をおかしなことを?解決したのはあなたでしょう?」

姫海棠はたて「だからそれがおかし……」

射命丸文「証拠写真も、ほら!」

八坂神奈子「お!ナイスアングルぅ!」

姫海棠はたて「ちょ、ちょおおおおお」

河城にとり「赤か……」

鍵山雛「意外とアダルトね、きゃっ」

東風谷早苗「え?ピーチジョン?」

姫海棠はたて「ストップストップ!これ配るのストップ!」

射命丸文「誰にものを言ってるのです?もう手配済みに決まってるでしょう!」

姫海棠はたて「う、嘘でしょ……こんなの……」

射命丸文「ダメですね~はたて、こんなのことで動揺してるようではあと、1000年は私の足元には及びませんよ」

一同「あはははははは」

姫海棠はたて「この……くそったれめらああああああああああ」

姫海棠はたて「1000年でも2000年でも追いかけてやるわ、文!」

射命丸文「おもしろい!ぬかしましたね、はたて!」

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最終更新:2015年02月02日 08:36