◎シナリオの概要
典型的ゴブリン退治シナリオ。
ある村で村民が畑で殺される。恐らく正体はゴブリン。村は冒険者に討伐依頼を出す。
一方ゴブリン側は群れの中のリーダー争いに敗れ、群れに追い出されたグループが
村の近くの洞窟に住み着いたはいいが、どうにも全員が食っていくには森が貧相であり、
仕方なく村の畑に手を出すことになる。
冒険者は村人の依頼にてこのゴブリン集団を排除することとなる。
ポイント:パーティーの構成によりゴブリンの数を変えてバランスを取る
パーティー人数+2程度の数が妥当。
戦士が一人もいない等の場合は、パーティーと同人数まで減らしても良い。
数はゴブリンGから順に減らしていく。
◎主要な登場人物
人間側
名前:バリー
特徴:30代半ば、口ひげ、細身の男性
性格:けち臭い、金勘定にうるさい、新人にはそれなりに気を使う
立場:冒険者の宿『ゴールドラッシュ』の主人、冒険者に仕事を斡旋する
目的:仕事を回して紹介料をちゃんと取る。受けられそうな奴に仕事を回したい。
データ:なし
名前:イサク
特徴:20代前半、狩人風の若者
性格:冷静、孤高、冷たい
立場:バルフ村の近くにをテリトリーにしている狩人
彼がゴブリンを足跡で判別し、村長が依頼に踏み切った。
目的:村長に頼まれた仕事の依頼をバリーに伝える。その後、狩りの加工品を街で売る。
PC達に同行するつもりは一切ない。頼んでも乗らない。
データ:なし
名前:ビナス村長
特徴:50代前半、豊かな髭、頭頂部は禿げ上がっている。中肉中背。
性格:わりかし呑気。事なかれ主義。
立場:バルフ村の村長、
目的:村で起こった厄介事を早く解決して平和を取り戻したい。
データ:なし
名前:エリス婦人
特徴:20代半ば。栗色の髪の女性。中肉中背。
性格:気丈。
立場:バルフ村の村民。夫をゴブリンに殺されている。
目的:夫の復讐をして欲しい。子どもを守らねばならない。
データ:なし
名前:ルビン
特徴:8歳、男子。栗色の髪。
性格:やんちゃ。活発。
立場:バルフ村の村民。父をゴブリンに殺されている。
目的:父の死にショックを受けているとともに、ゴブリンに激しい怒りを抱いている。
チャンスさえあればゴブリンに復讐しようという無謀な試みを持つ。
データ:あり
名前:エルダー
特徴:25歳、中肉中背。典型的な農民。
性格:かなり血の気が多い。
立場:故人。野菜荒らしの正体を見極めようとしてゴブリンに殺される。
目的:なし
データ:なし
ゴブリン側
ゴブリン側の特徴はいずれも人間には判別がつきにくい。
ゴブリン側の特徴は全て無視し、単なるゴブリンの集団として扱っても良い。
いずれにしろ、この設定が生かされることは稀である。
名前:アーブ(ゴブリンA)
特徴:オス、角がちょっと長い。刀傷がある。
性格:暴力的。
立場:群れを追い出されたゴブリン集団のリーダー。
目的:安定した生活圏を築く。大きなゴブリン集落を形成する。
データ:ゴブリンリーダー、ハンドアックス使い
名前:ボン(ゴブリンB)
特徴:少しだけ体格が良い。オス。
性格:食い意地が張っている。
立場:アーブの幼馴染でアーブについてきた。
目的:安定した生活圏を築く。ご飯に不自由しない。
データ:ゴブリン、クラブ使い
名前:キャス(ゴブリンC)
特徴:少しだけ小柄。メス。
性格:危険が嫌い。贅沢が好き。
立場:群れの中の唯一のメス。大事にされている。
目的:安定した生活圏を築く。不自由のない暮らしをする。
データ:ゴブリン、ジャベリンを5本持つ
名前:デバ(ゴブリンD)
特徴:前歯が少し出ている。オス。
性格:お調子者。うっかり者。
立場:アーブの太鼓持ちだった為、一緒に群れを追い出される。
目的:安定した生活圏を築く。生き残る。
データ:ゴブリン、ショートソード使い
名前:エグ(ゴブリンE)
特徴:目が少しギョロついている。オス。
性格:ゴブリンの割には少し知恵がある。慎重派。
立場:アーブの参謀であり、暴走を止める立場にある。
目的:人間とのトラブルを避けるため、アーブを止めたい。うまくいっていない。
データ:ゴブリン、クラブ使い、ただし南方語が話せる
名前:フゴ(ゴブリンF)
特徴:いつもむっつりした表情。身長がやや高い。
性格:無口。不言実行。
立場:アーブに助けられた恩があり、それ以来アーブに付き従う。従順。
目的:アーブを助ける。アーブを守る。
データ:ゴブリン、ショートソード使い
名前:グドー(ゴブリンG)
特徴:少し体格が小さい。
性格:いつもおどおどしている。怖がり。
立場:アーブを慕っており、グループに所属していた。
目的:安定した生活圏を築く。身の安全を確保する。
データ:ゴブリン、ショートソード使い
◎舞台となる場所
街:ハイベル 流通レベル4
オクード国に存在する街道沿いの街。
マルトゥーグからオクードを通り、メイキルク方面へ抜ける街道に存在する。
ここからある鉱山のある町へと繋がっている。
冒険者の店『ゴールドラッシュ』はここにある。
店:ゴールドラッシュ
ハイベルに存在する冒険者の宿。バリーという男が経営している。
店主のバリーは金山で一山当ててこの店を建てたという。
大部屋、個室ともにそれなりの部屋数揃っている。宿としては中の下程度。
この店にたむろする冒険者に仕事を斡旋することも行う。
村:バルフ 流通レベル1
小規模な農村。ハイベルを出て、街道から逸れ2日ほどでたどり着ける。
農村としてはかなり小規模であり、まだまだ発展途上の村。
今回ゴブリン襲撃を受け、危機を感じている。
洞窟:名も無き洞窟 ダンジョンデータあり
ゴブリンたちが根城にしている洞窟。あまり広くない洞窟である。
洞窟は全般的にゴツゴツとした岩で構成された洞窟です。
地面は踏み固められた土で構成されており、地面は掘ることは可能です。(あまり意味はありませんが)
それぞれの部屋にアルファベットが振られているので、順に解説を行います。
A 汚れた寝藁などのある汚い部屋です。ゴブリンたちが寝ている場所です。
B 断崖絶壁で、下は川になっています。川底までの高さは15mほどあります。川は川底まで1mくらいです。
C 食い散らかした骨や野菜が転がっています。ゴブリンたちは普段生活、活動している場所です。
D 入り口から少しはいったところで少し広くなっています。ここは普通に通ろうとすると落し穴に落ちます。
この落し穴はボロボロの枝葉を敷き詰めた上に土をかぶせてカモフラージュしてあります。
この落し穴は罠がないか調べた場合「発見目標値/10」となります。
この罠は解除はできませんが、端を通れば問題なく通り抜けることができます。
この罠に気づかず通った場合、先頭のキャラクターは直感ST13に失敗すると落し穴に落下します。
穴は大体7mほど掘られており、落下ダメージを受ける可能性があります。(特殊ルール参照)
この穴から這い上がるには登攀技能を活用する必要があります。
E 大鼠達が3匹ほど住み着いている部屋です。ゴブリンたちも近づかない程度に凶暴で部屋に入ると
襲ってきます。
ゴーツの穴
周辺で最も大きいゴブリンたちの集落がある大規模洞窟。
初代の頭目がゴーツというゴブリンであった為、この群れのゴブリン達はリーダーになると
代々ゴーツを名乗るようになる。
今回の問題のゴブリンはこのゴーツになりそこねたゴブリンの小グループである。
バルフ村からさらに2日ほどいった山奥に存在する。
プレイヤーがここに向かうといった場合、まずは途中で複数のゴブリンたちに遭遇させる。
そして近づけば近づくほどゴブリンは増え、プレイヤーが死ぬか撤退するまでゴブリンを出して良い。
少なくともこの穴には100匹以上のゴブリンが集落をなしている。
◎情報収集
ハイベルでの情報収集
グループ |
対象 |
他の冒険者 |
バルフ村 |
行商人など |
バルフ村 |
バルフでの情報収集
NPCに対しての情報収集
NPC名 |
知る範囲 |
バリー |
バルフは田舎の村としか知らないが、行き方は知っている。 ゴブリンについては解説1に載っているのと同程度知っている。 |
イサク |
ゴブリンについては解説1に載っているのと同程度知っている。 彼自身はゴブリンの足跡を判別しただけで、見てはいない。 |
ビナス村長 |
ゴブリンについては殆ど知らない。 |
エリス婦人 |
ゴブリンについては殆ど知らない。 |
ルビン |
ゴブリンについては殆ど知らない。 |
◎この問題の要点
この村においてはすでに人的被害が出ており、ゴブリンを放っておくという選択肢はない。
故に何らかの形でゴブリンを排除しない限り問題は解決しない。
ゴブリンたちはすでに帰るところをなくしており、追い詰められているに等しい。
よって他に行くという選択肢は余程の説得力が無い限り応じないだろう。
普通に考えれば彼らを倒すことで状況を解決する以外は難しい。
◎予想される終局状況
ゴブリンを殲滅するか、洞窟以外の範囲へ追い払い、戻ってこない確証を得る。(成功)
あるいはPCが全滅するか、殲滅を諦める状況に陥る。(失敗)
◎時間経過による状況変化
依頼が起こる日を1日目と起算する
1日目 お昼時、イサクという狩人が依頼を伝えにやって来る。
依頼内容はゴブリン退治、数は不明、前金と成功報酬は後の「入手する可能性のある報酬」を参照。
イサクは依頼を告げるとすぐに立ち去るが、その最中にもしPCの誰かが声を掛ければ
直接イサクから話を聞くこともできる。
酒場の中ですぐに依頼をこなせそうなのはPC達だけであり
バリーは早急な依頼だからと結構強引にPC達をまとめ、依頼を受けさせようとする。
バリーは紹介料をもらえるのでできる限り話をまとめたい。
PCの達が依頼を受けるかはPL次第だが受けなければこのシナリオは終わる。
(予めそのことは暴露してPLに伝えても良い。)
2日目 再度ゴブリンが畑荒らしに来る。このタイミングではPCは村に着くのは無理。
この時の足跡がかなり新鮮な状況で残る。生存技能で目標値10として
1日経過するごとに目標値が+1される。その判定を3回成功すると洞窟までたどり着ける。
4日目 何らかの言い含められでもしない限り、4日目の夜、ルビンが仇討ちに森に入ってしまう。
夜警をしていれば直感ST10以上でそれに気づける。
ただしこのタイミングは1回だけであり、その時夜警に立っていたものしか行えない。
もしこれを見逃した場合、ルビンはランダムで運命が決まる。(特殊イベント参照)
5日目 再度ゴブリン達が畑を荒らしに来る。この時に夜警などに立って迎撃すると戦闘になる。
泳がせて後をつければ根城の洞窟が判明する。
あるいはこの時また新鮮な足跡がつくため、前に追跡を失敗していても成功する可能性がある。
以後、3日毎にゴブリンは襲撃を繰り返す。
プレイヤーが妨害を行わない場合、人的被害はそれほどでないが、村の窮状はひどくなる。
◎予想されるシナリオの流れ
酒場にて依頼を受ける
↓
村へ向かう(ランダムエンカウント※特殊イベント参照)
↓
村に到着、村長、婦人などに話を聞く
↓
ゴブリン対策を打つ(夜警などで迎え撃つorゴブリンの洞窟を探り出し退治する)
↓
何らかの形で排除を完了すればOK
↓
報酬をもらって、街に帰還した、で終了が目安
ポイント:ゴブリンたちは数が多い場合、全員で野菜を取りにこず3匹ほどで取りに来る
その場合3~4匹程度である。ゴブリンC(キャス)はなるべくなら出てこない。
ゴブリンは半数以上に減った場合(特にアーブがやられた場合)ゴーツの集落へと逃げ帰る。
ただしその状況は洞窟で確認しないと確証を得づらい。
もしくは1週間以上ゴブリンが来なければ、安全が確保されたと村人は認めてくれる。
◎特殊イベント
☆街から村へのランダムエンカウント
※街からの帰りの道はエンカウントを行わないほうがスムーズ
1 何にも出会わない
2~3 ウルフ(パーティー人数3~4人:2匹、5~6人:3匹)
4~5 追い剥ぎ(パーティー人数3~4人:3人、5~6人:4人)
6 大蜘蛛(パーティー人数3~4人:1体、5~6人:2体)
☆森に入ったルビンの運命
1 自力で帰ってくる(ボロボロだが無傷)
2~3 迷子になる(見つけ出すのに生存技能判定、目標値12)
4~5 ゴブリンに捕まる。(ゴブリンはこの先の奴隷するつもり)
6 狼に襲われて帰らぬ人に(遺体の発見には生存技能判定、目標値10)
◎シナリオ上のポイント
基本的にスタンダードなゴブリン退治なので時間の進行を管理しながら、
それによって起こるイベントを起こし忘れないようにしましょう。
また、イベントのタイミングは絶対的なものではないので、多少前後しても大丈夫です。
発生し忘れても慌てず騒がず調整しましょう。
はじめてGMをする、GM経験が少ないなどの場合、ゴブリンなどの性格設定などは無理せず無視しましょう。
それでも十分初心者GMとしては色々と慣れないことが多いと思います。
単純にゴブリンは敵だと考え、話し合いの機会や降伏などせず戦闘を終わらせましょう。
(その場合、ゴブリンは帰る場所もなくやぶれかぶれ状態ということにしておけばオッケーです)
無事セッションが終わることを祈っています!
◎入手する可能性のある報酬
- 前金=ゴブリンの数×100ゴールド、成功報酬=ゴブリンの数×400ゴールド(パーティーの人数で分割)
- ゴブリンたちの持っている武器、追い剥ぎ達の持っている武器
- 経験値100(村長からの依頼の標準値)
◎データセクション
名前=ルビン
モンスターレベル=1
分類=人類
知名度=5
サイズ=中型
能力値:肉体2 技術2 知能2
特殊能力:特になし
HP=8/
戦闘修正=0
ST値:頑健2 直感2 意思2
回避力:近接0 射撃0
防護点:斬0・叩0・刺0
スキル:なし
フィート:なし
言語:南方語
<近接武器>
☆素手:命中修正0(7) ダメージ=1d+2(5)叩(疲労)
☆ダガー:命中修正0(7) ダメージ/1d+2(5)刺
ダメージ/2d (7)斬
【解説】
1.ルビン君のデータ。
ゴブリン、ゴブリンリーダーのデータは基本ルールブックのNPCデータを参照
最終更新:2022年11月14日 16:00