2009-08-30


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37 名前:学生さんは名前がない[sage] 投稿日:2009/08/30(日) 08:48:07 ID:lU1vQDrM0 [1/3]
戻ってこれたよぉ…
あの追い出され騒動から数週間後のこと。
なんやかんやがあって、僕はまた八神家に居られることになっていた。
とは言っても勿論、ただで戻れたというわけではなく、様々な仲介者やいくつかの条件を経てのことである。
その条件とは大きく分けると二つあって、
①使用人として八神家の家事手伝いに100%従事すること。
②主である八神はやてちゃんの半径3メートル以内に近づかないこと。
というものだ。いずれの条件も僕に鉄槌を下したシグナムさんが最大譲歩で提示したものであり、
これらを破った場合にはシグナムさんの手によって今度こそ僕は殺されてしまうということらしい。
常識的に考えれば、こんな条件は出された時点で願い下げ、文句を2,3浴びせてもいいくらいのものかもしれないけど、
僕はこれをすんなりと受け入れることが出来た。
どんなに厳しい条件が与えられようと八神家専属の家畜になろうと、どうしてもみんなと、はやてちゃんとまた一緒に暮らしたかったんだ。
またみんなと一緒に笑い合える日がきっと来るのだと、図々しくもそう信じて飲んだ条件だった。
「皆の、そしてあの人の……、はやてちゃんの笑顔をもう一度見たい…見るんだ……!」
僕がそう、心に誓いを立てた日。それが今日から丁度一週間前の日の話になる。
その日から今日までの一週間、僕は皆の笑顔を取り戻そうと、まずは一生懸命仕事をこなすことから始めた。
仕事といっても内容は主に家事手伝いで、とりわけ大変というわけでもなく、以前とまったく変わらないものだった。仕事面においては何の問題も
なかったのだ。仕事面では。ただ、やはりと言うべきか、以前とまるで違っていたものもあった。それは一部を除く他の皆の僕に対する態度だ。
特に著しく態度が違っていたのはシグナムさんとリインちゃんで、シグナムさんは僕を見るなり軽蔑の視線を送ってくるし、
リインちゃんにいたっては、会話どころか目も合わせてくれない。どうも完全に嫌われてしまったようなのだ…。
他のヴォルケンの3人については、僕の気持ちを知っていたヴィータちゃんシャマルさんは以前と変わらぬように接してくれている。
特にシャマルさんは僕が八神家に戻る際に、最大の仲介者になってくれた恩人だ。シャマルさんには本当に感謝しなければなるまい…。
残りのザッフィーさんといえば、相変わらず無口で何を考えているかよくわからずこの方もまた前とあまり変わっていない(と思う…。
そして最後に、主のはやてちゃんなのだが…、1週間前八神家に戻ってきてそれ以来、姿すら拝んでいない…。
3メートルルールもそうなのだけど、それ以上にシグナムさんが厳戒態勢ではやてちゃんを過剰に守護しているためどうにもこうにもないのだ…
つまり結論としては、この一週間、心に誓ったものの何の進歩も無く、残酷な問題点のみが浮き彫りになったということになる。
どうしようもなくどうにもならないこの状況下。僕は自分の存在が八神家内の雰囲気を悪くしているのではないか、とさえ
考えるようになっていた。というか実際雰囲気を悪くしているのだろう。
自分はこのまま、この家に居続けてもいいのだろうか…?
笑顔を取り戻すのが目的なのに、その最大の障害が自分にあるだなんて、そんなの無理があるじゃないかっ……
山積みの問題を前にして途方に暮れていた僕は、風当たりのよい八神家の縁側に腰を下ろしていた。
もう外もそれほど暑くなくなっており、夏が終わりかけているようだ…。

38 名前:学生さんは名前がない[sage] 投稿日:2009/08/30(日) 08:48:50 ID:lU1vQDrM0 [2/3]
チリンチリン
ふと見上げると、見たことのない風鈴が柱に設置してあった。おそらく僕が居ない間に誰かが設置したものなのなんだろう。
チリンチリン チリンチリン
風鈴の音がランダムな時間間隔をもって聞こえてくる。心地よい風とあいまって、とても心を落ち着かせてくれる。
チリン チリンチリン
はぁ……なんて綺麗な音なんだろう。ほら目を閉じて見れば、心地よさがさらに跳ね上がる。ぁぁっ、とっても気持ちいー……ふぅー…………、、んっ…?
あれっ?なんだろ。
心地よい風と風鈴の音、それに混じってやたらといい匂いが僕の嗅覚を刺激してくる。とってもいいにおいで、何処か懐かしい匂い……、、
僕は無性にその匂いが気になって閉じていた目を開いてみた、すると、それは、ほぼ同時にだった…。
「風鈴…、置いてみたんやけど…、どうやろか?」
「ぇっ…?ぇえっ……?うっ…、ぅああ、ぁあああああああああああああああああ!はっ、はやてちゃ…、さん……」
「もう、なんやぁ?そないなおっきな声出して。あっ、私がびっくりさせてもうたかなぁ?」
見上げた先にいたのは、一週間ぶりに見るはやてちゃんのお姿だった…
1週間ぶりに見るはやてちゃんは、さっきまで風鈴によって落ち着いていた僕の心を滅茶苦茶に取り乱してしまうほど、美しく可憐だっ…、
って、今はそんなこと考えてる場合じゃないよッ!!
「は、はやて、さん……、ぅぅ…、だ、ダメですよぉ…、さ、3メートル以内は…、ぼ、僕……」
「君から近づいたわけやないやろぉ?私から近づいたんよぉ?」
「で、でも……ぅぅ……、た、たぶん……、ダメだと…」
「安心しぃ。今はシグナムおらへんから…。な?」
ぅう…はやてちゃん……はやてちゃん……ぁぁぁ…。嬉しい…、ぁぁぁぁ嬉しいよぉ…こんな僕のこと…ぁぁあああ
はやてちゃんはどういうつもりで僕に接触してきたかわからない。おそらく同情や慈悲だとかそんな類だろう。
あんなことをした僕に、もうはやてちゃんはあの優しさを振りまいてくれるはずはないのだから…
「……」
ぁあっ…、そ、それよりも今は何か話題を探さなくちゃ…。1週間ぶりに話すことの出来るはやてちゃんと何か話を…、ああああ…
「……。……。」
だ、だめだああ… なんも出てこないよぉ… は、はやてちゃんが可愛いくて…も、もう…ああっ…ぁぁぁぁっ…
「風鈴って、ええなぁ…」
「ふへっ?」
「風鈴ってなぁ、風の声を音に変換してくれるデバイスなんよぉ。無音の風の声を、チリンチリンってな、ほら…」
は、はやてちゃん……、ぁぁぁ…なんて風流な…話っ、をっ……ぅぅうっ…ぁぁぁはやてちゃん……、はやて…ちゃん…やっぱり僕…は、はやてちゃんの、こ、と…
あぁ、くそぉぉぉ…こんなに近くにっはやてちゃんがいるっていうのにっ…僕は、何もっ…。
はぁぁ…、この気持ちを…風鈴みたいに音に変換してくれるデバイスがあったらいいのにな……
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