2010-08-11-

1 名前:学生さんは名前がない[sage] 投稿日:2010/08/11(水) 08:33:13 ID:/P0ZFSe70
――2010年。8月11日午後5時。日本全土は戦火の炎に包まれていた。
開戦のきっかけとなったのは、これより5時間前。朝鮮民主主義人民共和国から首都圏および
政令指定都市に向けて発射された長距離弾道ミサイル数十発による、宣戦布告のない無差別攻撃である。
無論、米軍艦隊の持つ迎撃用対空ミサイルにより、これらの弾道のすべてを打ち落とすことに成功したのだが、
恐るべき速射力を有した北朝鮮のミサイルは、米軍の予想と戦術を覆し、ものの数秒とかからずに第2郡を発射。
これにより、東京、大阪という2つの大都市に甚大な人的損害・物的損害をもたらすこととなってしまったのだ。

開戦から2時間後、メディアを通じて日本政府は声明文を発表。
日本国首相は非常事態宣言と共に、国民に避難を呼びかけ、また、徴兵の可能性を匂わせる。
我々日本国民は、それに耳を疑うしかなかった。
この国に最早、安全な場所などない。いや、最初からそんなものはどこにもなかったのかもしれない……

開戦の事実は日本国民の安全を蝕み、恐怖を煽っていく。
平和ボケをしていた我々日本人は、戦時中における対応力が極めて不足していた。
ある者は逃げ回り、ある者は窃盗・暴食を働き、暴行事件も多発、治安は悪くなっていくばかり。
皆が皆、己の命を守るために危機本能を働かせ、必死に生き残ろうとしていたのだ。

しかし、その一方で命を早々と諦めてしまう者達や他人任せに命を投げ出す者達もいたんだ。
彼らは生き抜くことから逃げ、危機的状況から目を背け、
「どうせ、死ぬんだ。だったらもう…」みたいな自堕落で投げやりな、非生産的かつ独善的な思考をしていた。

そしてこの危険な思想を孕む集団の1つに”アンチ平野派”と呼ばれる大規模な派閥が存在した。
アンチ平野派とは、丁度1週間前の8月4日。平野彩グータンヌーボ事件(通称:HLL事件)に端を発して
集結された過激派集団のことである。元より、彼女の信者であった彼らにとっては、
平野綾ちゃんは命そのものといっても過言ではなかった。しかし当人のライフライン発言により、関係は完全に断絶、
更に戦争という最悪の事態が彼らの復讐心に拍車をかけてしまった。
学校や会社という組織の責務から開放された人々は檻から解き放たれた囚人たちのように自由奔放に暴れまわる…
”アンチ平野派”の目的はこうだった。平野綾の捜索と拘束、謝罪の要求、そして……。
そのためには、まずは情報。誰でもよい、あらゆる声優および関係者から平野綾に関する個人情報を聞きだす必要があったんだ

放たれしは、声優狂信者による一方的な暴力……
今静かに、アンチ平野派による”声優狩り”が始まろうとしている……

2 名前:学生さんは名前がない[sage] 投稿日:2010/08/11(水) 08:33:36 ID:/P0ZFSe70
――11日午後6時。

僕は1人新宿の街を歩いていた。
避難所にも行かずに何故こんなとこにいるのかといえば、今からおそよ8時間前、
声優の植田佳奈ちゃんと広橋涼ちゃんと連絡を取り合い、新宿で遊ぶ約束を取り付けていたからだ。
常識で考えれば、2人とも当然、何処かしらの避難所に避難しているに違いないだろう
しかし、新宿に来ている可能性もゼロじゃない…災害用伝言ダイヤルですらパンクしている今、連絡する手段もない…
僕は、どうしても2人の安全の確認がしたかったんだ…

僕にとっての唯一の繋がりを守るために……


――都内 新宿某所。午後6時半

本当なら、ここで2人と待ち合わせする予定だった。周囲を見渡せば崩れかけの建物と、生気を失った人々。
まさに廃墟だ。ここは本当に新宿なんだろうか。
ああ、佳奈さん…それに涼ちん……僕は……

 「――ぉーい、」

早く2人に…ッ――

 「お~~いッ!!」

――ぇっ (振り返る

広橋涼ちゃん「…あッ!やっぱり、、やっぱり、君だったんだっ!」

ぇ…………ぁ………ぁっ………(指をさして口をパクパク

涼……………ちん……?

3 名前:学生さんは名前がない[sage] 投稿日:2010/08/11(水) 08:33:53 ID:/P0ZFSe70
涼ちん「よかった~~!探してたんだよ!ずっと…!(こっちに駆け寄ってくる涼ちん」

りょ、涼…ち………。うっ…う……うあああああん!涼ちいいいいいいいいィィィィィィィイイイん!(声を荒げて涼ちんに向かって走り出す

バフンッ (涼ちんに抱きつく音

涼ちん「きゃッ」
涼ちぃぃぃぃん!うわああああん!会いたかっちゃぁぁ……会いたかったよぉぉっ (涼ちんの胸ですすり泣く

涼ちん「…うんうん。よしよし、怖かったんだね……でももう大丈夫だからね……(撫でてくれる」
うん……グスンッ

 ~涼ちんに慰められること約2分、落ち着きを取り戻し、その場に体育すわり~

涼ちん「まさか戦争だなんてね…」
うん…
涼ちん「私、未だに実感が沸かないよ…」
うん……

僕たち、これからどうしたらいいんだろ…

涼ちん「それなら、まずは植田さんのこと探さなくっちゃ」
あ、佳奈さんもこの近くまで来ているかもしれないもんね…
涼ちん「うん…」
よ、よし。じゃ、探そう……佳奈さんのこと…
涼ちん「でも大丈夫…?」
ぇ、
涼ちん「怖くなーい…?(母親が子供をあやすように」
うん。
涼ちんと一緒なら、何処までだって行けるよ。行こうッ、涼ちん…

こうして僕達2人は、廃墟となった新宿の街を散策することになったんだ。

4 名前:学生さんは名前がない[sage] 投稿日:2010/08/11(水) 08:34:08 ID:/P0ZFSe70
――午後7時半。
捜索から1時間過ぎるも、未だに佳奈さんの姿は見当たらず、、

佳奈さん…やっぱりもう避難しちゃってるのかなぁ…
涼ちん「そうかもしれないね…」
辺りも暗くなってきたし、僕たちも、もう避難所に行ったほうがいいのかも…(涼ちんを危険な目に合わせるわけにもいかないし…
涼ちん「大丈夫かなぁ植田さん…」
…佳奈さんならきっと大丈夫だよ!生命力に溢れた人だし!きっと、きっと、――――


      「キャァァァッ~~!!!」 ←突如、ビルの向こう側あたりから聞こえてくる女性の悲鳴


僕と涼ちん「……!!?」

お、女の子の悲鳴ッ?
涼ちん「行ってみよう!(走り出す」
うあ!待ってよ涼ちん!置いていかないでッ><


――廃墟となったビル付近

????ちゃん「うう…(怯」
不良A「へへへ、おい」
不良B「ああ、間違いない」
不良A「こいつを反平野派の連中にもっていけば、いい物資になるぜ…」

茅原実里ちゃん「き、君たち!一体何なのだよ!」

不良B「ぁん?何なのだよ、ってかい?ふふふ、俺たちはただのファンですよ茅原さんのねぇ」

みのりん「ふぁ、ファン…?」

5 名前:学生さんは名前がない[sage] 投稿日:2010/08/11(水) 08:34:26 ID:/P0ZFSe70
不良A「ああ。そうとも。だから茅原さんよぉ、ちょっと長門ちゃんでもやってくれませんかねぇ」
不良B「ははは、そいつはいーや。どれ。プロ声優様の演技とやらを生で拝見させてもらおーか」

みのりん「うう、今はそんなことしてる場合じゃないのだよ…戦争なのだよ…」

不良A「ぁぁ?いいじゃねえか。減るもんでもあるまいしぃ。長門やってくれよ長門、千秋でもいいぜ?」
不良B「そぉーら!ナーガーモン!ナーガーモン!(掛け声連呼」

みのりん「うう……」
不良A&B「なーがーもん!あそーれ!ながーーもん!(手拍子つき」

みのりん「……!!」 ←咄嗟に逃げようとするみのりん

不良A「あ、こいつ!」
不良B「こら待て!逃げんな!」

ガシッ!(不良Bがみのりんの腕を掴む

みのりん「キャァ! うう…、何をするのだよ!離すのだよ!」
不良B「ははは、いいじゃねえか。みのりんよぉ、へへへ、ナガモンの声で嫌がってみてくれよ~ヘヘヘ」
みのりん「いーや!やーめーてー!はーーなーすーのだよ~~っ!!!」


影から見ている僕と涼ちん「……ッ!」
わ、わあああ!ど、どうしよう!どうしよう!涼ちん!
涼ちん「みのりちゃんのこと、助けなきゃ……」
……えッ?涼ちん?あ、ちょっと待っ

~みのりんのもとへ単身向かう涼ちん~

不良A&B「へへへ…」
みのりん「いーーーやぁぁ!!!」

6 名前:学生さんは名前がない[] 投稿日:2010/08/11(水) 08:34:42 ID:g2iQ3h+QP
牧野由依ちゃん

7 名前:学生さんは名前がない[sage] 投稿日:2010/08/11(水) 08:34:48 ID:/P0ZFSe70
涼ちん「君たちやめなさい!」

不良A「ァア?(振り返」

涼ちん「実里ちゃんを離しなさい!!!」 ←腰に手を当てて仁王立ちしてる

不良B「誰だこの饅頭みたいな女…」
不良A「こいつは……。確か、広橋涼じゃねえか?」

みのりん「涼ちゃんッ!」

不良B「広橋涼ってーと、平野の前に泉こなた役を務めてたっつーあいつか?」
不良A「ああ、こいつも上に連れて行けば喜ばれるはずだぜ……へへ(涼ちんに近づいていく」

ゥああッ!こ、このままじゃ涼ちんがッ!あ、あぁ、、た、助けなくちゃで、でも…
どうしたらいんだ…僕なんかじゃ…あんな怖そうな人たちに敵いっこないよ……、、あ、あ、足が竦んで……

不良A「へへ、広橋涼だな?俺たちと一緒に来てもらおうか!(涼ちんに歩み寄る」
涼ちん「……!!」

(涼ちぃぃん!!!!)←心の中で叫ぶ


      「そこまでにしておきなァ!」←廃墟に響く女性の声


不良A「な、なんだっ?」
不良B「誰だッ!?」

この声どこかで……ま…さかっ?(声が聞こえてくるほうへ目を見やる

颯爽と登場する植田佳奈ちゃん「大丈夫!? 涼ちゃん!実里ちゃん!」

8 名前:学生さんは名前がない[] 投稿日:2010/08/11(水) 08:35:49 ID:g2iQ3h+QP
お久しぶりです

9 名前:学生さんは名前がない[sage] 投稿日:2010/08/11(水) 08:35:49 ID:/P0ZFSe70
涼ちん&みのりん「「植田さん!!!」」 & 影で見てる僕(佳奈さん!!!)

不良B「こいつは…」
不良A「ああ。間違いない。声優手配書No14、雀荘の植田佳奈だ…許されないリストにも登録されてる女…」

植田さん「ちょっとあんたたち!ブツブツ言ってないで、さっさと2人から離れなよ!」

不良B「フン、そうはいかねえなぁ」

植田さん「はぁ?ふざけたこと言ってっと、警察呼ぶよ?」

不良A「ふ。バカめ。電話回線どころか、警察自体機能していない今の状況がわからんとはな。
    声優としてはベテランの域に達しているのかもしれんが…(佳奈さんに近づいていく」

植田さん「……!!(動揺」

不良A「今は戦時中だ。声優などなんの役に立つ?わかるか?植田佳奈。
     戦争となった今、お前はただの女も同然!お前ら声優は無価値になったんだよぉ!!! (ガシッと佳奈さんの腕を掴む」

植田さん「キャッ!」

(か、佳奈さん!)

不良B「キャア、だとさw はははw 生意気にも女々しくしやがって…。おい、」
不良A「…ああ。ふっふっふ、植田ァ…」

植田さん「クッ、離しなさいよ…!(抗うが、女の子の腕力では敵わない…」

不良A「お前よぉ、許されない声優ってことにされてるそうじゃねえかw 痴漢冤罪を企てたんだったか?」

植田さん(ピクッ)
不良A「ハッ。いい顔しやがるぜw」

10 名前:学生さんは名前がない[sage] 投稿日:2010/08/11(水) 08:36:06 ID:/P0ZFSe70
植田さん「……(睨」
不良A「なぁ植田佳奈…(佳奈さんの腕を引っ張る」

植田さん「クッ……(続睨」
不良A「今から俺がよぉ、日本中の男性諸君を代表してお前にッ……(左手を振り上げる」

植田さん「…ッ!!!」

不良A「引導をくれてやるよおおおおお!!!(右手を佳奈さんめがけて……!!!」


     や、や、やめろおおおおォォォォーーーッ(叫


みのりんと涼ちんと植田さん「…!?」

不良B「あぁ?」
不良A「今度は誰だ」

うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!(近くに落ちてた棒を持ってダッシュ

涼ちん「き、君……!」 植田さん「お前!」
不良B「な、なんだあいつ…ッ!武器持ってるぞッ」

ふおぉォォォォォォォォォォォォオオオオ!!! (走りながら両手で棒振り上げる

不良A「チィ!」

―――ぅあッ (石に躓

ドテン!!!(転ぶ

11 名前:学生さんは名前がない[sage] 投稿日:2010/08/11(水) 08:36:32 ID:/P0ZFSe70
イタタタ……

不良A「ははは!ドジな奴め!」 ←僕が転倒したのを見計らって突撃してくる不良A

植田さん「バカ!何コケてんだよ!早く逃げろ!」
う、うう……

不良A「まずは男のお前から始末してやるっ!」 ←いつの間にか僕に接近してる不良A
(や、やられるッッッ)


         「そこで何をしている!!!」 ←ドスの利いたおじさんの声


不良B「くっ、次から次へと!ど、どーする?」
不良A「流石に5対2となると分が悪ぃ…声優3人は惜しいが…仕方ない、ここはずらがるぞ!」

~どこかへ走っていく不良たち~ と ~ホッとする一同~

みのりん「ホッ…。もう…ぐったりなのだよ……」

植田さん「実里ちゃん!大丈夫!?(駆け寄」
みのりん「うん。大丈夫なのだよ。植田さんこそ怪我はない?」
植田さん「う、うん……平気、、それより今の声って、」

     さっきの声の主「みんな、大丈夫かい?」

涼ちん「あ!貴方は!」
植田さん「やっぱり…」
みのりん「わー!おはようございまーす!」 ←仕事の癖

     小山力也ちゃん「塩ちゃん!それに茅原ちゃんに植田ちゃん!」 (※塩ちゃん:涼ちんのニックネームで塩大福のこと)

12 名前:学生さんは名前がない[sage] 投稿日:2010/08/11(水) 08:36:52 ID:/P0ZFSe70
女性3人「力也さんッ!!」

力也さん「3人とも怪我はないかい?」
涼ちん「はい!大丈夫です!」
力也さん「それから君も……(手を差し伸べてくれる」
あ、ああ……、はいっ……ありがとうございますっ(力也さんの手をとって立ち上がる

植田さん「ったく、だらしない奴!(`_´)」
うう……すみません…
植田さん「で、でも、助けようとしてくれた事に関しては、一応その……」
え?
植田さん「お礼言っとく!あ、ありがとッ!(目そらし」
あ、、はいッ

 ~集まって一息つく一同~

力也さん「…ところで君たち、どうしてこんなところに?」

みのりん「あ、私は地下街で買い物をしていたら…」
涼ちん「私たち3人は遊ぶ約束をしていて…」

力也さん「そうだったのかい…」

植田さん「力也さんは?」
力也さん「え?僕かい?僕も君たちと同じような理由だよ。こんなことになるとは思ってもみなかったけどねぇ…」
植田さん「そうだったんですか…」

力也さん「さっみんな、話はこれくらいにして。ここは危険だよ。二次災害の恐れもあるし一刻も早く避難しよう」

そ、そ、そうですねッ!行きましょう、皆さん! (早くこの怖い場所から離脱したいし…

13 名前:学生さんは名前がない[sage] 投稿日:2010/08/11(水) 08:37:11 ID:/P0ZFSe70
植田さん「いやちょっと待った」
…ぇ、佳奈さん?

植田さん「ひとつ気がかりなことがあってさ…」
……?
植田さん「実里ちゃん、さっきの奴らのことなんだけど…」

みのりん「うん。なんだかあの人たち、声優さんのこと狙ってるみたいだったのだよ…」

僕と力也さんと涼ちん「…!?」

せ、声優さんを狙うって……っ、、
植田さん「そっか…。道理で私たちの情報に詳しいはずだよ」
んなっ、どうして?なんで佳奈さんたちが狙われなくちゃならないんですかッ!?

みのりん「さっきの人たち…言ってたのだよ…。綾ちゃんのこと探してるって…だから情報を集めてるって…」
綾ちゃん、っていうと、平野綾さん?

植田さん「それさ…。おそらく…1週間前に放送されたグータンヌーボが関係してるんだと思う…」
涼ちん「あ、それ私見てたよ!」
え…、1週間前に何かあったんですか?

植田さん「うん。何でも平野綾ちゃんがテレビで恋バナを解禁した、ということらしいんだ」

えっ…
植田さん「ファンにも知らせてなかったらしくてさ、それでネット中は大騒ぎってわけ…」
そ、そんなことが…
植田さん「しかもその後のブログの発言でさ、ファンのことをライフラインなんて呼んじゃったらしくて…」
な、なるほど…それで炎上ってわけですか…

みのりん「で、でも!綾ちゃんはそんなこと言う人ではないのだよ!ライフラインもきっと言葉のチョイスミスに決まってるのだよ!」

14 名前:学生さんは名前がない[sage] 投稿日:2010/08/11(水) 08:37:29 ID:/P0ZFSe70
植田さん「うん、そうだろね…。そしてたぶん、このままにしておいたら…綾ちゃんは、危ないかもしれない……」
そ、そんなッ

沈黙の一同「……」

みのりん「…み、みんな!ちょっと私から提案があるのだよ!聞いてほしいのだよ!(切り出す」
茅原さん…?

みのりん「私……。私ッ!綾ちゃんのこと!助けたいのだよ!
      綾ちゃんは仕事でもよく一緒になるし、私と一緒に成長した仲なのだよ!友達なのだよ!」

植田さん「そうだね、あたしも同じこと考えてた。あんなことする奴ら、ほうっておくわけにはいかないし!」

ちょ、え、、えええ!? 佳奈さんそんな!危険ですよ!危険すぎます!! 今は戦時中なんですよ!?
こんなことしてたら、命がいくらあっても!

植田さん「んなら、お前だけでも避難しなよ」

えっ、でも、それは……
植田さん「男手なら、力也さんがいるし。ねぇ、力也さん?(僕に当てつけるように」

力也さん「……」

植田さん「うん?力也さん?」

力也さん「残念だけど……」

植田さん「…?」

力也さん「僕は……君たちに手を貸すわけにはいかない……」

一同「……!?」

15 名前:学生さんは名前がない[sage] 投稿日:2010/08/11(水) 08:37:50 ID:/P0ZFSe70
涼ちん「り、力也…さん?」
力也さん「ごめんね塩ちゃん……でもこればっかりは……」

みのりん「力也さん、どういうことなのだよ?」
力也さん「君たちの今の会話を聞いていて、1つ、わかったことがあるんだ…」
みのりん「…?」
力也さん「僕はたぶん、さっき襲ってきた奴ら側の人間だ……」

一同「……!?」

みのりん「な、何を言ってるのだよ!?」
涼ちん「そうですよ!力也さんは私たちのこと助けてくれたじゃないですか!」
力也さん「……」
植田さん「ワケを聞かせてもらえますか」
……。 ←すっかり蚊帳の外の僕

力也さん「…ちょっとだけ。昔話をしてもいいかい?」

耳を傾ける一同「……」

力也さん「今から数年前の話になる、僕はある女性声優とラジオ番組をしていたんだがねぇ…」

涼ちん「それって…」
植田さん「柚姉のこと?」

力也さん「ああ、なんだ、知ってたのかい」

植田さん「そりゃあ、声優ラジオ界じゃ有名でしたから。柚姉とも仕事で何度も会ってましたし」
力也さん「そうかい、ならスムーズに話せそうだ。当時、僕と柚ちゃんの関係は、ネット中でも話題になってねぇ…
      お似合いのカップルだとか、台本で作られた偽者のカップルだとか、いろいろと物議を醸していたらしいんだけど…」

力也さん「実際のところ、僕にも彼女にも愛があったし、僕たちは紛れもなく交際に近い関係にあったんだ…あの日が来るまでは……」

16 名前:学生さんは名前がない[sage] 投稿日:2010/08/11(水) 08:38:10 ID:/P0ZFSe70
あの日……?

力也さん「ああ。ある日、僕は柚ちゃんに大事な話があるなんて言われねぇ、収録前に呼び出されたんだ。
      楽天的な性格の彼女のことだ、ひょっとして冗談半分で交際宣言でもされるんじゃないかって、僕はたかをくくってたんだよ……」

力也さん「でもねぇ、彼女が告げてきたのは……”子持ちバツイチ”っていう衝撃的事実だったんだ…」

子…え?、、、ぇええーーーーッ!?

力也さん「信じられなかったよ。あんな思わせぶりな態度をとっておいて…ふたを開けてみりゃ子持ちのバツイチなんて…」

一同「……」

力也さん「それからは何もかもが偽りだった。ラジオ内のトークも台本に頼りっきり。何をしてもすれ違うばかりで…
      気がつけば、僕は彼女を愛せなくなってしまっていたんだ……」

涼ちん「そんな………」
力也さん「はは…驚いたかい?」

植田さん「いえ、驚きはしません。ただ、失望しました(軽蔑の視線」

力也さん「だろうねぇ」
植田さん「意味わかんないですよ。子持ちだからってなんだっていうんですか、柚姉の気持ち考えたことあるんですか!?」
力也さん「ははは、君は簡単に言ってくれるねぇ…でも相手は子持ちの女性だよ?それに…僕は…」
涼ちん「そうですよ!植田さんの言うとおりです!力也さん今からでもきっと――」
力也さん「聞いてくれ塩ちゃん… (涼ちんの言葉を遮るように」
涼ちん「…?」

力也さん「僕はねぇ、僕はまだ、童貞なんだよ……」

一同「……!!?」

17 名前:学生さんは名前がない[sage] 投稿日:2010/08/11(水) 08:38:31 ID:/P0ZFSe70
力也さん「あっはっは、流石にみんな驚いたようだね、シジュウロクにして童貞なんて希少種中の希少種だからねぇ…」

(ま、まさか…力也さんが僕の大先輩だっただなんて…)

力也さん「僕にとってはねぇ、彼女の告白は世界がひっくり返るくらい刺激的なことだったんだ。正直いって、裏切られた気分だったよ…」

それで平野さんのことも認められない、と…?

力也さん「ああ。彼女のファンも僕と同じような痛みを味わったと思うとねぇ…他人事とは思えないんだ……
      君も男なら、僕の気持ちがわかるだろう?」
…力也さん

植田さん「…ちっさい男」
力也さん(ピクッ)

植田さん「何が裏切りよ!力也さんがそんな薄情で器量の小さい人だとは思わなかった!」

力也さん「では聞くが、君は、本当に平野ちゃんを救いたい、平野ちゃんを救えるってそう思ってるのかい?」
植田さん「えっ、」

力也さん「本当は、さっきの連中にただやり返したいって、そう思っているだけじゃないのかい?」
植田さん「そ、それは…」

力也さん「僕の人生経験から言わせてもらうけどねぇ、そういう不純な動機じゃ成功は導けないよ
      何より、あちら側は侠気に満ち溢れている」
植田さん「そ、そんなもん!なんだっていうんですか!」

力也さん「わからないのかい?彼らはねぇ、夢につぎ込んだ時間を必死に取り戻そうとしているんだよ…
      偽善の慈善活動をしようとしている君たちなんかが敵うはずがないんだ…」
植田さん「クッ!そんなの!やってみないとわからないじゃないですか!」

力也さん「はぁ。やはり。女性の君で男の気持ちなんてわからないんだろうね…」

18 名前:学生さんは名前がない[sage] 投稿日:2010/08/11(水) 08:39:05 ID:/P0ZFSe70
植田さん「ハァ!? 言わせておけばこのジジッ――」


       涼ちん「もうやめてよ2人とも!!!!!(叫」


りょ、涼ちん…… 植田さん「涼ちゃん…」

涼ちん「どうして…どうして声優さん同士で争わなきゃならないんですか!!(ポロポロ泣く涼ちん」
植田さん&力ちゃん「……」

そ、そうですよ!涼ちんの言うとおりです!今は言い争ってる場合じゃないですよ!

力也さん「すまない…」

確かに力也さんの気持ちがわかりますけど…
僕は、平野さん本人に直接会って話してみなくちゃわからないって思います!

力也さん「根拠は…あるのかい?」

…それはッ、ありませんけど、ただ、テレビやブログでの発言すべてが、彼女自身の意思とは限りませんし…

力也さん「……」
植田さん「だね、事務所に言わされてる可能性もある…」
みのりん「ん!きっとそうなのだよ!そうに決まっているのだよ!」
やはり…平野さんを探すしか……

植田さん「うん!それしかない!そうと決まったら行くよ!こんなオッサンは放っておいて!行こ!」

力也さん「……待ってくれ」

一同「…!」

19 名前:学生さんは名前がない[sage] 投稿日:2010/08/11(水) 08:40:11 ID:/P0ZFSe70

力也さん「僕も連れてってくれないか」 (お約束展開)

植田さん「ハァ?さっきあれだけ反対してたじゃないですか!」

力也さん「気が変わったよ。
      君たちや平野ちゃんがどういう行動を取り、どういう結末を迎えるのか、この目で確かめたくなったんだ。
      それにねぇ、40過ぎのオジサンとしては、君たち4人だけではどうにも心配でねぇ…」

涼ちん「り、力也さん…!(感激」

みのりん「ありがとうございますなのだよ!」

植田さん「フン!勝手にすれば!?」

(ホッ…。よ、よかった…僕だけじゃとてもじゃないけど3人守りきれないし…
力也さんがいれば百人力です…)

こうして僕たち5人はパーティを組み、何処にいるともわからない平野綾ちゃんを探すことになった……

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2012年09月08日 23:10
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。