ソウルリーバー (Soul Reaver 1) 抄訳

エルダーゴッド、ケイン、アリエルとの会話を中心に訳出していきます。


項目

オープニング/エルダーゴッド/一族の聖域/ラジエル一族の領地/ネクロポリス/メルカイア/ケイン(1)/アリエル/沈黙の大聖堂/ゼフォン/サラファンの墓/墓の守護者/水没の大修道院/ラハブ/荒廃都市/デュマ/オラクルの洞窟/ケイン(2)


  • オープニング

ラジエル(独白)

「ケインは神として崇められている。一族は奴の物語を語る。真実はほとんど誰も知らない。奴もかつては死すべき人間だった。我々全員と同じように。しかし、奴は人間性を軽蔑するあまり、俺や俺の同胞を創った」

「俺はラジエル。奴の副官たちの中で最初に生まれた者だ()。俺は帝国の創成期からケインや同胞と共にいた。俺は千年間奴に仕えた()。時と共に、俺たちは人間らしさを失い・・・神へと近付いた。(まず)ケインが変化の状態に入り、新たな賜物(=能力)と共に現れた。主君に数年遅れて、我々の進化が続いた。俺が自分の王を凌駕する光栄に浴すまでは。俺はこの逸脱により、新たな褒美を得た。苦痛だ」

※ラジエルがケインの第一子だったことは、BO1やDefianceで登場する Hash'ak'gik カルトの教典と関係があると噂されている。

※ラジエルがケインに仕えたのは、500~1500 ACの千年。1500 ACにラジエルはケインを進化で上回り、処刑される。

「結論はただ一つしかありえなかった。俺の永遠の破滅だ。俺、ラジエルは、裏切り者で弱者という運命を受け入れることになった。死の湖の奥深くで永遠に焼かれることになったのだ」


(死の湖の上で)

ケイン

「放り込め」


ラジエル(独白)

「のたうち回り、白熱した炎に焼かれながら、俺はアビスの底に墜ちた。言いしれぬ痛み・・・容赦ない苦痛・・・時間は存在しなくなった・・・ただこの激痛と・・・俺をこの地獄へと落とした偽善に対する深い憎しみだけだった。」

「永遠が過ぎ去り、苦しみは薄れ、俺は狂気の縁から連れ戻された。降下は俺を破壊した・・・しかしまだ俺は生きていた。」

エルダーゴッド

「ラジエル・・・価値ある者よ」


2000 AC


  • エルダーゴッド

(アビスでの復活直後)

エルダーゴッド

「お前のことは知っているぞ、ラジエル。価値ある者よ」

ラジエル

「これは何の冗談だ?俺が宿ったこのおぞましい姿は何だ?こんな茶番に比べれば、死は解放だ」

エルダーゴッド

「お前はアビスでは生存できなかったのだ、ラジエル。私は完全な破壊からお前を救っただけだ」

ラジエル

「こんな形で存在し続けるぐらいなら、俺は消滅を選ぶ!」

エルダーゴッド

「お前が選ぶことではない」

ラジエル

「俺は破壊されている!」

エルダーゴッド

「お前は生まれ変わったのだ。

ケインの忌まわしい業が始まったことで、生命の源は囚われの身になった。お前がかつて宿っていた死体を動かしていたものこそ、そのような魂に他ならない。ラジエル、それはノスゴスの破滅なのだ。調和は存在しない。死者の魂は囚われたままだ。私はそうした魂を運命の車輪の内で回してやることができず、彼らは己の運命を遂げることができない。

己を救え。あるいはこう言おうか。復讐を果たすのだ。ケインとの争いに決着をつけろ。奴と同胞を破壊せよ。奴らの魂を解放し、運命の車輪を再び回すのだ。憎悪のままに奴らの魂を奪うがいい・・・ 私ならそれを可能にしてやれる。我が魂の狩人(ソウルリーバー)となれ。我が死の天使となるのだ・・・」

 

  • 一族の聖域

ラジエル(独白)

「なんてことだ・・・。

一族の聖域は廃墟と化していた・・・。

この城壁を越えたところにノスゴスの柱があった。ケインの帝国の中枢だ。今やなんとみすぼらしく見えることか。そのかつての荘厳さは地に墜ちていた。しかし俺は抜け出てきたばかりだった・・・。俺の処刑と復活の間の一瞬で、数世紀()が過ぎ去ったらしい・・・」

※1500 - 2000 ACの500年間。

エルダーゴッド

「世界は地殻変動によって破壊されている。大地は、ケインの寄生的帝国の害悪を払い落とそうと懸命なのだ。

この世界の運命は、一瞬で、たった一人の男によって定められたのだ。ケインは、ノスゴスの調和を回復させるために自らが犠牲となることを拒み、世界を今お前が目にしている荒廃へと運命付けた。その時、破綻が始まったのだ・・・今やそれもほぼ終焉を迎えようとしている。ノスゴスは崩壊の瀬戸際でふらついているのだ。その危うい均衡が保たれることはあるまい」

 

  • ラジエル一族の領地

ラジエル(独白)

「完全な廃虚だった。かつての誇り高き我が血族は、ブーツについた糞便のごとく、この世界から拭い去られていた。

俺はこの所業が誰の手によるものか知っていた・・・」

「俺にはこの皮のはげた肉の残骸たちが何者か分からなかった。奴らの臭いはヴァンパイアのものだった。しかし奴らは、犠牲者の死体を犬のようにかじっていた」

 

  • ネクロポリス

ラジエル(独白)

「この不気味な家はメルカイア一族の明白な徴表を帯びていた。もしこのグールどもが、高貴な生まれの我が兄弟の末裔だとすれば、我らが王朝はどれほど凋落したのか?奴らは、ここに葬られし干からびた死体どもから新人を雇わねばならんほど落ちぶれたのか?」

「我が兄弟メルカイアは、最後に創られたものだった。それゆえ、ケインの賜物の最も貧弱な部分しか与えられなかった。不死ではあったが、奴の魂は肉体を維持することができなかった。その肉体は、かつて人間だった頃の脆さを多く残していた。この弱さが奴の子孫に伝わっていた。奴らの脆い皮膚は、内に秘めた腐敗をかろうじて収納していた」

 

  • メルカイア

ラジエル

「姿を現せ、化け物め!」

メルカイア

「私のことが分からないのか、兄弟?私はそれほど変わったか?」

ラジエル

「メルカイアか?」

メルカイア

「そうだ、兄弟。

お前はご主君が送った場所に留まるべきだったのだ、ラジエル。お前はノスゴスが記憶よりも好ましくないことに気付くだろう」

ラジエル

「我が一族はどうなったんだ?答えろ、弟よ。さもなければ、お前のおぞましい口から答えを叩き出してやるぞ」

メルカイア

「皆が恐れているのだ、兄弟。お前は恐怖に満ちた世界に気付く。この変容の時は余りにも・・・不安だ。私がこの姿に嫌悪感を抱いていないとでも思っているのか?我らが主が自分の帝国を突然発生の遺伝形質で危険にさらすだろうと、片時でも信じられるか?」

ラジエル

「謎かけにはうんざりだ。何が言いたい?」

メルカイア

「お前はついに・・・死ぬのだ・・・」


(戦闘後)

ラジエル

「教えろ、メルカイア。どこでケインを見つけられる?」

メルカイア

「ご主君はお前の手が届かぬ所にいる、ラジエル。

彼は自分が相応しいと思った時に姿を現す。命じられた時ではなく」

「解放だ・・・」

(ラジエルはメルカイアの魂を喰らい、精神界で鉄格子をすり抜けられるようになる)

 

  • ケイン(1)

(柱の廃墟での対決)

ケイン

「ラジエル」

ラジエル

「ケイン!」

ケイン

「アビスもむごいものだ」

※修正(10/24)。The abyss has been unkind. どうも直後のラジエルの発言とのつながりが悪いので改訂してみた。アビスに墜ちて変わり果てた姿を見て、挑発込みで哀れんでいる、という解釈。それでラジエルは、「こんな変わり果てた姿であっても依然としてお前の創造物であり、自分の作品を貶すことになるぞ」とやり返しているわけだ。

ラジエル

「俺はかつてと同じように今でも貴様の創造物だ、ケイン。貴様は自分自身の作品を貶している。俺の一族に何をした?退化させたのか?貴様にそんな権利はない――」

ケイン

「私が創った物は、私が破壊してもよいのだ、息子よ」

ラジエル

「ふざけるな、ケイン!貴様は神ではない!こんな殺戮には良心のかけらも見出せない!」

ケイン

「良心だと・・・?お前は私に良心を説こうというのか?私の判断にとやかく口を出す前に、選択の重みを十分に理解することだ!

お前が生きた時間など一瞬の明滅に過ぎん。モータニアスが私を光から遠ざけて以来、私が抱いてきた数多の疑念や後悔と比べれば・・・。世界の命運は私のあらゆる行いの思慮深さにかかっている。そのことを知るためには――私の立場にあればどうするか、お前に想像することさえできようか?」

ラジエル

「俺なら高潔さを選ぶ、ケイン」

ケイン

「周りを見てみろ、ラジエル。我々の帝国がどうなったかを。一時代の終わりを目撃するがいい。一族はノスゴスの四方へと散り散りになったのだ・・・。この場所は無用になってからも存在し続けている。お前と同じようにな」


(ケインがソウルリーバーを鞘から抜く)

ラジエル(独白)

「ソウルリーバー、ケインが持つ古の剣。我々の誰よりも古く、はるかに恐ろしい。伝説によれば、その剣は(何者かに)憑依されており、犠牲者の魂を喰らうことで力を増す。我々はいかに虚勢を張っていても、ケインが怒りにまかせてソウルリーバーを抜き放てばどうなるか知っていた。死だ」


(ケインがソウルリーバーをラジエルへと叩きつけると、ソウルリーバーは砕け散る)

ケイン

「剣は破られた。これではっきりしたぞ・・・我々は己の運命へと一歩近付いたのだ」


(ラジエルは精神界へと墜ちる)

ラジエル(独白)

「ソウルリーバーが破壊された時、ケインの目には間違いなく微かな満足が浮かんでいた。俺にはケインの進めるゲームが理解できなかった。しかし最後の指し手は分かっていた」

 

(霊体となったソウルリーバーと結合して)

エルダーゴッド

「これより以後、お前とその剣は緊密に結びつくことになる。ソウルリーバーと魂の狩人、お前の運命は編み合わされている。

剣を破壊したことで、お前はそれを物体の牢獄から解放し、真の姿へと戻した。それが霊体の剣だ。そのエネルギーに限界はない。もはや物理的な剣ではないため、物質界では、お前の力が完全に回復している時にのみその姿を現すだろう。ひとたびそうなれば、剣はお前に生命力を供給するだろう」

 
  • アリエル
(アリエルとの初対面)

アリエル

「お前は何者ですか、小さき魂よ?ケインの新たな化け物がこの縛られし亡霊を嘲りに来たのかしら?」

ラジエル

「あんたの休息を邪魔するつもりはなかった」

アリエル

「休息・・・?眠るには体が必要よ・・・。横たわるにも肉と骨が必要でしょう。だから違うわ、坊や。私にできるのは、ただ見守り、記憶することだけよ。この悲惨な世界の歴史が流れていくのを絶えず意識しながら。おぞましい過去と耐え難い未来。それらは同じ物なのかしら・・・?私はいつもここにいるのかしら?」

ラジエル

「どうしてあんたはこの柱に出没するようになったんだ?」

アリエル

「ケインが犠牲を拒んだ。調和の柱は完全に腐敗し、彼の無分別な野心の記念碑として存在している。

今やこれらの柱は、私をここに縛り付けることにしか役立っていない――私の牢獄であり、永遠の家。あなたの主人であるケインの貪欲さのせいで・・・」

ラジエル

「俺には奴への忠誠心などない」

アリエル

「ならば私たちには共通の敵がいるのね、ラジエル。必要な時にここへ戻ってきなさい。アリエルは他の者が忘れてしまったことも記憶している・・・」

 

  • 沈黙の大聖堂

ラジエル(独白)

「ケイン帝国に対する人類のかつての抵抗の証。このそびえ立つ大聖堂は今や荒廃していた。ここで祈りを捧げていた人間達は数世紀前に死んだ。その製作者は、この塔をヴァンパイアの脅威に対する聖なる武器として、真鍮と石でできた巨大な道具として考えていた。大聖堂のパイプは、かつて退屈な賛美歌に調律されていたが、今や沈黙しており、この空虚な空間は自らの重要性をさえずっていた」

 

  • ゼフォン

ゼフォン

「放蕩息子・・・。

お前に戻る場所などないぞ、ラジエル」

ラジエル

「ゼフォン、その容貌はお前に相応しい。お前の魂をよく反映しているぞ・・・」

ゼフォン

「・・・そしてお前はもうあの方の端正なラジエルではない。あの方の貴き第一子は、裏切り者となった。お前は多くの変容を見逃したな、小さなラジエルよ。周りを見るがいい。人間の破壊兵器がいかにして我が住居となったかを見よ・・・。いやそれどころか、我が肉体となったのだ。煉瓦と御影石でできた保護膜。ここから蛹と化しつつある世界を眺められる・・・」

ラジエル

「(そんなご大層なものではなく)裂け目だ。そこにうずくまり、お前の臆病な罠にかかった犠牲者を貪り喰らうために、ただ物陰から飛び出してくるだけだろう。しかしお前は俺を自由にさせるという間違いを犯した。貴様こそ我が意志に屈服せねばならん」

ゼフォン

「意志・・・本能・・・反射・・・。昆虫の心はほとんど違いを見出さん。警告するぞ、兄弟。我が体躯は成長し、我が食欲に見合うものとなった。来るがいい、小さき者よ・・・」

(戦闘勝利後、ゼフォンの魂を喰らい、壁をよじ登れるようになる)

 

  • サラファンの墓

ラジエル(独白)

「サラファンの古代の墓だ。かつては侵入できぬよう封印されていた・・・。今やノスゴスの地殻変動によって荒廃し、その秘密が明るみにさらされていた」

「ヴォラドールの時代、ケインが創られる数世紀前、サラファンの武装神官たちはノスゴスのヴァンパイア種族に対し、無慈悲な戦争を起こした。正義心に突き動かされ、彼らは言語に絶した無差別の暴力行為に手を染めた。老いも若きも等しく虐殺し、たった数十年で全ての血統を大部分抹殺した。今、彼らの抜け殻はここにあった。安置された殺人者どもだ」

エルダーゴッド

「心に留めておけ、ラジエル。忘れ去られた歴史が内部に横たわっている。汝自身を知れ。そのことがお前を打ちのめすかもしれんが・・・」

ラジエル(独白)

「石をどけると、内室から墓場の空気のため息が漏れた。俺はこの敷居の先にあるものに対し、心の準備ができずにいた・・・。

これらの地下聖堂は・・・冒涜されしサラファンの聖者の棺は・・・我が兄弟たちの名前を携えていた・・・そして俺自身の名前を・・・。ケインの涜神的な所業の皮肉が、新事実の圧倒的な力をもって突然思い浮かんだ・・・。

俺の手はこれらの手と同じぐらい血塗られていたのではないのか?なお悪いことに、俺は我が兄弟に血をながさせた。このまさに同志たちを。彼らの墓は俺の前で荒れ果てていた」

エルダーゴッド

「そうだ、ラジエル。お前はサラファンだった・・・お前の種族をほとんど破壊したのと同一の勢力の生まれだ。帝国が誕生する前、お前は選ばれたのだ。」

「ケインは、ノスゴスの孤独な、自ら僭称した専制君主は、この墓を略奪し、お前を地下聖堂から甦らせたのだ。奴のヴァンパイアの賜物をお前の冒涜されし死体に吹き込み、自分のお気に入りの息子として復活させたのだ」

 

  • 墓の守護者

墓の守護者

「異端者め!通しはせんぞ・・・」

※サラファンの墓を守っている「墓の守護者(Tomb Guardian)」は、トゥレル一族の者である。しかしトゥレル本人はSR1に登場しない。

ラジエル

「大した忠誠心だ・・・鎖に繋がれた犬のようにこの辺境の地を守らせている奴に対してな。そいつがお前に押しつけたガラクタで繁盛しているのか?」

墓の守護者

「侮辱しても貴様の死の苦痛を和らげる役には立たんぞ」

ラジエル

「ケインはかつて俺を殺した。その結果を見るがいい。俺はもうお前たちを恐れはしない」

(戦闘後、フォース投射能力を獲得)

 

  • 水没の大修道院

エルダーゴッド

「かつてヴァンパイアの脅威に対する聖域だったこの大修道院は、損なわれた大地から溢れ出た洪水によって水没してしまった。お前の兄弟であるラハブとその一族は、ノスゴスの微弱な太陽光線によってさえ破壊されるため、水に対する脆弱さを克服し、地表から退いたのだ。今や奴らはこの廃虚にたむろし、淀んだ深みの闇の中で滑るようにうごめいている」

 

  • ラハブ

ラハブ

「ラジエル」

ラジエル

「ラハブ。自分の環境にうまく適応したものだ。あれほど不適応だった奴にしてはな・・・」

ラハブ

「俺をからかうな、ラジエル。我々皆の中でも、特にお前は敬意を払うべきだ。限界を克服することで得られた力にな。

ケインはお前がくると言っていた」

ラジエル

「お前はあの殺し屋と話したのか?」

ラハブ

「不敬な言葉遣いは慎むがいい」

ラジエル

「奴は他に何と言った?」

ラハブ

「お前が私を破壊するだろうとな」

ラジエル

「実際そうするつもりだ。しかし、俺がお前の魂をその停泊地からもぎ取る前に教えてくれ。お前はケインが我々を生み出す前、我々が何だったか知っているか?」

ラハブ

「人間だ」

ラジエル

「サラファンだ、ラハブ。我々がずっと信じてきたこと全ての正反対だ」

ラハブ

「それが問題か?我々は道に迷った。そして彼が我々を救ったのだ」

ラジエル

「救っただと?何からだ?」

ラハブ

「我々自身からだ」

(戦闘後、ラハブの魂を吸収し、水耐性を獲得)

 

  • 荒廃都市

ラジエル(独白)

「かつてこの都市は我が種族の生命で満ちていた。まさか他の一族も俺と同じ運命を辿ったというのか?ケインは狂気のあまり、自分の同胞を誰1人として容赦できなかったのか?」

エルダーゴッド

「ケインではない。デュマ自身の傲慢が奴の一族の没落を招いたのだ。これらは人間の武器だ、ラジエル。デュマとその子孫は、自分たちが無敵だと信じるあまり、最もありそうにない襲撃者からの攻撃を予想できなかったのだ・・・。奴らは傲慢にも楽観視し、不意を突かれた。そのおかげで、人間のヴァンパイアハンターたちは、ほとんど抵抗も受けることなく、奴らの兵卒を大部分殺害することができた。逃げ延びたわずかな者たちも、ハイエナに成り果てている」

 

  • デュマ

ラジエル(独白)

「我が兄弟デュマ。生前は強力な戦士だった。恥辱に焼かれる思いだろう。ここで囚われた豚のような姿を俺に見られたのだからな」

デュマ

「我が魂を救いに来たのか、放蕩の兄弟よ?」

ラジエル

「救いにではない。奪いにだ。お前の唯一の救いは解放なのだ」

(ラジエルはデュマを甦らせる)

デュマ

「ようやく解き放たれた・・・礼を言うぞ、兄弟」

ラジエル

「礼を言うのは早いな、デュマ。俺は自分が誰の手でアビスへと運ばれたか忘れていない」

デュマ

「忘却の淵で数世紀を過ごし、私の力は磨き上げられた。ケインすら私には及ばん」

ラジエル

「最も強いヴァンパイアですら弱みはある」

デュマ

「お前の見解を検証してみようではないか、ラジエル」

ラジエル

「俺の血の渇きは、遙かに暗い空腹によって取って代わられた。今日中にお前の魂を喰らってやろう」

(戦闘後、デュマの魂を吸収し、圧搾(constricting)能力を獲得する)

 

  • オラクル(予言者)の洞窟

ラジエル(独白)

「オラクルの洞窟。ケインがモビウスと初めて宿命的に出会った場所だ。

モビウスは老いぼれの予言者を演じた。未来を見通す瓶をかき回しながら、騙されやすい訪問者に謎めいた予言を施したのだ。その見せかけの裏で、モビウスは時の旅人にして9人の輪の魔術師であり、時間をねじ曲げる力を持った冷酷な傀儡師だった。何世紀も前に奴がケインの手で殺されて以来、この洞窟は無人のままだった・・・もっとも、モビウス自身と同じように、この洞窟は、より大きく手の込んだ複合体の見せかけに過ぎないと噂されているのだが・・・。

俺はここにケインがいると感じた・・・。俺はその時、奴を見つけるために地獄の底へと足を踏み入れたのだろう」


(モビウスの像を見て)

ラジエル(独白)

「これこそあの男、時の旅人モビウスに違いないと思われた。それは、ケインの自慢話から俺が想像していた印象的な姿とは全く違ったものに見えた。とは言え、この冷たい像ですら、何かしら否定できない力を放っていた・・・」


(第一の映像「地下世界でラジエルが復活する場面」を見て)

ラジエル

「この悲惨な時代に俺が現れること・・・これはどういうペテンなんだ?」

エルダーゴッド

「それは幻覚ではないぞ、ラジエル。時の流れを垣間見たのだ」


(第二の映像「ラジエルがサラファンの墓を発見した場面」を見て)

ラジエル

「不可能だ――これはケインの策略に違いない・・・」


(第三の映像「ソウルリーバーが砕け散った場面」を見て)

ラジエル

「これらの幻影に俺は悩ませられる・・・全ては予言されていたというのか?」


(第四の映像「未来の未知の場所で、ラジエルとケインが対面している場面」を見て)

ラジエル

「俺の頭は葛藤で混乱していた・・・ケインが俺を待ち受けているのは、今からすぐ後のことなのか、それとも何世紀も後のことなのか」


(第五の映像「ラジエルがソウルリーバーをアリエルに叩きつける場面」を見て)

ラジエル

「こんなことはありえない!この場面はどんな狂気を予告しているんだ?ケインは、こんな嘘に苦しむほど俺が騙されやすいとでも思っているに違いない・・・」


(第六の映像「ラジエルが赤黒い色のソウルリーバーを携えている場面」を見て)

ラジエル

「この幻影は俺の心が生み出したものなのか、それとも未来の出来事の反映なのか?」

 

  • ケイン(2)

ケイン

「ようやくか。お前の歩みには失望したと言わねばなるまい。もっと早くここに辿り着くと思っていたからな。教えろ――自分の兄弟を殺すことに躊躇したのか?」

ラジエル

「俺をアビスへと投げ込むよう命じた時、貴様は躊躇したか?」

ケイン

「いいや。私はお前を信頼していた。お前の憎悪する力を、お前の独善的な憤りをな」

ラジエル

「嘘だ。貴様に全てを予見できたはずがない」

ケイン

「永遠とは残酷なものだ、ラジエル。何世紀も前、私が初めてこの部屋に侵入した時、私は知識の真の力に気付いていなかった。未来を知ること(の真の力)だ、ラジエル・・・無限に続く未来の道筋と流れを理解すること(の真の力)だ・・・。人間だった頃の私は、その禁断の真実を受け入れられなかっただろう・・・。しかし(今や)我々は、かつての我々をはるかに超えている・・・。可能性の地平を眺めてみるがいい。我々がどれほど神の如き存在になったか、お前は全霊を持って感じないか?そしてそれゆえに、我々は分かちがたく結びついているのではないか?我々のうち一人でも生きている限り、我々は軍団だ・・・。だからこそ私は、自分の子供達を虚無へと捧げなければならぬ時、躊躇わずにそうすることができるのだ・・・」

ラジエル

「詩的なことだな、ケイン。しかし結局貴様は、自分の悪行に対して都合の良い口実を与えただけだ」

ケイン

「これらの部屋は洞察を与えてくれるぞ、辛抱強く調べればの話だがな。どうやらお前は私を見つけようと焦るあまり、深く観察しなかったようだ。我々の未来は運命付けられている。大昔に()、モビウスは私の未来を予言した。我々は互いに、運命が記した役割を演じているに過ぎん。我々は予定された道に沿って歩むことを余儀なくされている。自由意志など幻想だ」

※SR1では、"a millennium ago"(1千年前)だが、SR2では、"aeons ago"(大昔)に修正されている。というのも、モビウスがケインに予言を下したのは、この時代から2千年前のことだからだ(年表で言えば、SR1の出来事は 2000 ACに発生しており、BO1の出来事は 0 ACに発生している)。それゆえここでも修正版を採用しておいた。

ラジエル

「サラファンの墓へ行ったぞ、ケイン。貴様の汚らわしい秘密は暴露されたのだ。サラファンの聖職者をヴァンパイアに変えるなどということが、よくもできたものだな?」

ケイン

「そうするのが当然ではないか?友は近くに置かねばならん、ラジエル。そして敵はさらに近くにな。お前にはこのパラドクスの不条理な美が理解できないのか?我々は同類だ――サラファンとヴァンパイア。我らの聖戦において・・・ノスゴスを支配せんとする我らの執念において・・・。善悪の概念を超越した情熱を抱く者こそ、私に仕えるのに最も相応しいのではないか?」

ラジエル

「俺には貴様の手の込んだ冒涜を褒め称える気はない。サラファンは救済者だった。我々が体現している腐敗からノスゴスを守っていたのだ。俺の目はごまかされないぞ、ケイン。望まぬ死体に対し、貴様が不埒にも強制した不死の生には、いかなる気高さも見出されない」

ケイン

「お前は確かに自分の過去を暴いたかもしれん。しかしそれについて何も分かっていない。お前は、サラファンが気高く、慈悲深かったとでも思っているのか?短絡的になるな。奴らの目的は我々と同じだったのだ」

ラジエル

「貴様は道徳相対主義の迷路に迷い込んでいる、ケイン。これらの幻影と前兆・・・貴様は今、何のゲームを進めているんだ?」

ケイン

「運命こそがゲームだ。そうではないか?そして今、お前は私の新たな一手を待っているわけだ・・・」

 

(戦闘後)

ケイン

「もう少しだったな、ラジエル・・・。しかし、結末が訪れるのはここではない。あるいはこのようにしてではない。この劇の全貌が明らかになる前に、まだまだ多くのもつれが存在することを、運命は保証している」

 

(ケインが転送装置に消え、ラジエルはケインを追いかけようとする)

エルダーゴッド

「気をつけるのだ、ラジエル。お前がその境界を越えれば、私はお前に力を及ぼすことができなくなる・・・」


30 BC


(タイムトラベル後―2030年前の過去)

モビウス

「ラジエル・・・救い主にして破壊者・・・ポーンにして救世主。よく来た、時をかける魂よ・・・。よく来た・・・お前の運命に・・・」

 

ソウルリーバー1完
ソウルリーバー2へと続く)


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

最終更新:2012年12月15日 22:39