「ハギヨシ、お茶の準備を」
「ハギヨシさん、これは片付けておけばいいかな?」
「ヨッシー、あれどうなった?」
「お任せください」
龍門渕にお仕えすること早や幾何。主に透華お嬢様のお世話を致しております。
どれも困難ではありません。ただの雑用であれば、それは必ず出来る事。
問題は、私では如何様にもできないこと。
「ハギヨシ! モモコからの手紙は来たか?」
「はい、先ほど届きました。どうぞ」
「わーい! 書付だっ、花押印はウサギさんかなー」
透華お嬢様のおかげで両親と離れている寂しさはほとんど無いようですが、ご自身の役割に疲れていた様子がこのところ見られなくなりました。
特に合宿以降は頻繁に手紙のやり取りや電話など、交流の幅を自ら広げています。
感謝すべきなのでしょう。東横様、吉留様、須賀様をはじめとした方々に。
私のできないことをしてくださった方々に。
「ハギヨシー! 返書の便箋はどこだ? 可愛いのがいい!」
「それではこちらを」スッ
ならば私の役目は、その繋がりのサポートのみ。その程度のことでしょう。これまでも、これからも。