TKG

しっとり光沢を放つ白い米。

 

京太郎「これこれ、これですよ」

 

パカンと殻を割れば…うん、ツヤツヤの白身に包まれて、オレンジ色の黄身が随分映えるぞ。

 

咲「ちょっとだけー…うんっ」

 

咲の手元には醤油さし。ほんのちょっと斜めになった口からは、黒い醤油が黄身を染めていく。

やっぱり醤油だよな。そこに味の素をちょこっと。

 

和「だ、だめです、そんなにかき混ぜちゃだめぇ…」

 

言いながら和の茶碗の中で、ぐちゅぐちゅとお米と卵が混ざり合っていく。

見た目が悪い? 馬鹿め、米の熱で立ち上る新鮮な卵の香りがわからんのか。

 

優希「生臭いじぇ…けどこれがいい。はぢめての体験だじょー」

 

そして醤油のキリッと引き締まる匂い。茶碗に口を付ければもう、顔を包んでくるんだから困る。

 

久「飲精みたいよね」

 

聞こえない。

 

まこ「ずるっと行儀悪く行くのがたまらんのう」

 

そう。箸で無造作に掻き込んでいくのがいいんだ。

口の中で卵が絡んだ米が溢れて、喉の奥までずるずる引きずられていく。

ごくんと飲めば、今度は鼻に抜ける卵が強烈に匂い立つ。

 

京太郎「――ごちそうさまでしたっ!」

 

ああ――これがいいんだよ。歯を磨かないと、っていう僅かな後悔までが、卵かけご飯ってやつなんだ。

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最終更新:2014年06月02日 19:23