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さー、新展開。  ◆m8iVFhkTec




―――朝6時。
ウラーはPDAからバトルロワイヤル板に接続、そこに書かれた結果を読み、そして嘆く。

(もうこんなに犠牲者が出てるウラか……!? ノリ気な奴らが多すぎるウラ……!)

この会場には、8人も殺人鬼が歩き回っているのだ。
それも、『緊急避難法』という法律に守られた奴らが……。
法律って何のためにある? 善良な俺たちを守るためにあるはずだろ!
その法律が何でこの状況だと、俺たちに『牙を向く』んだ? クソッタレ。
……あぁ、なんて不条理な世界なんだろうか。気が重い、早く帰りたい……。

ため息混じりにモナーの方を見て、その様子がおかしいことに気付く。
彼もまた、PDAを見て青ざめた表情をしている。

「おい、モナーさん。なんかマズイことでもあったのかウラ?」
「し、知り合いが、殺し合いに参加していたようでモナ……!」
「そうか……、もしかして殺されてしまったのか? それとも殺害者の方なのか……」
「……殺害者の方で、モララーって奴だモナ……。彼が三人も人を殺すなんて、信じられないモナ……」
「……嘘だろ? トップクラスで危険な奴と知り合いだっていうのかウラ!?」

モナーの話によれば、モララーはとある会社の社長であり、10年前の事故で共に生き延びた仲だった。
レジャーランド計画のうち、『HOTEL・ASSAYE』の建設には彼の会社が共同出資していた。
この殺し合いに巻き込まれる直前も、共に祝賀会に参加していた。
だからこそ、おそらく自分と共にこの殺し合いに巻き込まれたに違いない。
ただ、そんな彼が何故か、3人もの人間を殺したとして名前を挙げられているのだ。
どうしてそんな奴がこの短時間で屍を重ねているのか……。モナー自身も信じられなさそうな表情を浮かべていた。

「き、きっと何か理由があるモナ……! 恐怖のあまりにおかしくなったとか、襲ってきた相手を返り討ちにしただけだとか……。
 とにかく、私の知っている彼は、積極的に殺し合いに乗るような奴じゃないモナ!」

旧友を信じようとしている彼の口調はたどたどしかった。

ウラーの脳内に、「三人も人を殺せるような知り合いがいる人物なんて信用出来ない」……と言う思いがよぎる。
いや、頭ではわかっている。"モララー"という人物が殺人を行うのは、決してモナーの責任じゃないと。
それでも、そういう人物と長年関わってきたモナーも、いざという時に「他者を犠牲にして生きようとする」気がしてならなかった。
心から信頼することはおそらく出来ないだろうと思った。モナーが裏切った時はきっと自分の最後だから。

裏切られる前に、自分が先に裏切る必要があるのだ。と、ウラーは思った。
願わくばそんな展開になって欲しくない。でも、それでも、そうなる可能性は0じゃ無い。
万が一の時に、躊躇わずにこちらから仕掛ける事が出来るだろうか……。
いや、しなければ死ぬのは自分なんだ。この世界にいる限り、心から誰かに信頼をおいてはいけないんだ。

ウラーは一人、黒い思案を巡らせる。




「ミルコさんが最初に見た化け猫と、殺された人は誰なのかわかるモナ?」
「すまないが正確なことは言えない……名前を聞いていないからな……」

モナーの質問に対して、ミルコ・クロコップは肩をすくめながら答えた。

「正確なこと……と言いますとモナ?」
「推測は付いてるという事だ。化け猫が言っていた"ある言葉"が印象的だったからな……」
「ある言葉……?」
「俺が化け猫に、殺し合いに乗っているかどうかを尋ねたときに、化け猫はこう答えた。
 『お断りします』とな。……ソイツは『全員を生かしておくのを断る』という意味で言ったらしいがな」
「うーん、でも質問の答えに、唐突にそう言うのは違和感があるモナね……」
「俺が思うに、ここに登録されている名前には本名以外に"あだ名"が混ぜられていると思う」
「あだ名モナか……っ!?」
「そう、それが本当であれば、『お断りします』。それはやつの口癖であり、あだ名として付けられた……そう考えられるんだ」

バトルロワイヤル板に書かれている名前を見るに、本名と思わしきものは非常に少ない。
『ゆうすけ』や『川越達也』は名前であるが、『寺生まれのTさん』『やきうのお兄ちゃん』はどちらかと言えば愛称だろう。
だとすればわざわざ名前を聞かなくても、口調や容姿など、愛称が付けられる要因を発見すれば、ある程度の判別出来るのではないか? とミルコは考えたのだ。

「いいか、いかにも『カーチャン』な見た目の奴や、『お兄ちゃん』のような雰囲気を持つ奴には注意するんだぞ」

結論がこれである。
モナーとウラーは「お、おう……」と少し戸惑いながら返答した。


 ◆


「ほほう、なかなか順調に進行してるみたいですね。このゲームも」

定時更新を見て、クタタンは呟く。
現時点で一人でも殺人を行なった者は8人、死亡者は16人。
会場の広さ、人との遭遇率から言って、最大人数は100人程度だと予測される。
だが、6時間でこのペースは悪くない。もしかすると、日をまたぐ頃には終わるかもしれない。

「てっきり、いわっち組や戦車組のようにゲームに否定的な者ばかりかと思いましたよ。
 マーダーが多い方が私のゴールまでの道のりが早くて済みますからね、いい事です……」

自らの勝利を信ずるがゆえのセリフ。
相手がどんなマーダーであろうと、自分に不足はない。

無論、戦いに置いて自身が危険に晒される可能性は承知している。
ネメア一体に頼り切って生き残るなどとは考えていない。
なるべく早く自らも銃器を手にし、万全の体制で挑まなくては負ける可能性も高まってしまう。

ネメアの力に慢心し、油断した結果がこの抉られた右腕だ。
確か、ギコと呼ばれていたあの黒猫……、小動物とタカをくくったが故に、ナイフでの反撃を受けてしまった。
今、この傷は止めどなく血を流し、少しずつ体力を蝕んでいる。
ネクタイを包帯替わりにきつく巻きつけたものの、それは血流を止めるに至らない。

「動脈に達しているようですね……? どちらにせよ、早く治療しなくてはマズイ……」

ポタリ、ポタリと赤黒く染まったネクタイから、腕を伝って路上に血液が垂れていく。
滲み出る脂汗を拭いて、彼は病院へと足を進めていた。
おそらく、傷の深さから見て、少なくとも縫合が必要だと思われる。
さらに消毒と鎮痛剤、これらを使用しなければ今後に大きく響くのは確実。
……そう、ある程度の危険や他者との接触を覚悟してでも、病院へは行かなくてはならない。

大きな問題として挙げられるのは、自身の名前が公開されてしまったことだ。
病院にいわゆる「殺し合い反対派」が集まっている可能性は十分に考えられる。
彼らに見つからずに済むならばいいものの、接触した場合には戦闘は免れない。
自身の名前は既に殺害者として公開されている。いわば彼らの「敵」なのだ。
敵だと知った上で、簡単に治療をさせてくれるほどのお人好しが集まっているとは到底考えられない。
偽名を使い、善良なフリをして接触を図る……これも「PDAを見せろ」と言われればアウト。
まさか、「プロキシ」を使わなかったことがここに来てこれだけ響くとは思わなかった。

病院に参加者が集っていた場合、最低限、人目につかないように忍び込む。
仮に見つかったとしたらネメアを最大限行使して殲滅を図る。
とりあえずはこの方針で行くしかない。急いで選択しなければ、あっという間に自滅に追い込まれる。
今の彼は多少のリスクも承知で、大胆なアクションを起こす覚悟が求められているのだ。
彼は小さく舌打ちをした。



 ◆



朝の爽やかな日差しに照らされて、くっきりと路上に浮かび上がる赤黒い痕跡。
誰かの鮮血。点々とこぼされたそれは、足跡の如くどこまでも続いていた。

「……まだ乾ききっていない、という事は近くに怪我をした誰かさんがいるってわけだ」
「ミルコ、まさかこの跡を追う、だとか言うつもりじゃないウラ……?」
「救える命を無視するわけにもいかないだろ?」

さらりとミルコ・クロコップはそう言う。
しかし、ウラーはどうにも気が進まなかった。
負傷者を引き入れたところで、自分たちの生存率は上がるだろうか? いいや、むしろ下がるだろう。
ミルコの保護対象が増える。それはつまり、自分に対する守りが薄くなるということだ。
……自分でも身勝手な言い分だとはわかっているが、それでも、少しでも自分の安全を確保したかった。

「こう言うのもなんだけどさ……負傷者を背負うことで、俺たちに危険が及ぶわけウラよね……
 近くにソイツの命を狙う奴がいる可能性もあるし……そういうリスクを踏まえたうえで、俺たちにメリットってあるウラか?」
「……そうだな……。……まず、誰から襲撃を受けたのか、という情報が聞ける。
 その襲ってきた相手の容姿、武器などがわかれば、初対面でもある程度対処がしやすくなるだろう。
 さらにこのまま俺たちが負傷者を放置すれば、他の殺人者が発見して仕留めにかかるだろう。
 それは殺人者の支給品と忍法帖レベルを増やす結果となり、それは俺たちにとって都合が悪い。
 負傷者を引き入れる事自体は不利益だが、このまま放置するデメリットの方がより大きな損失だと思うんだがな」

少し考えた上で、ミルコはそう答えた。
……実際には、彼自身の正義感から来る行動に過ぎない。
ただ、その説明自体に間違いはなく、ウラーには反論する余地が無かった。
しぶしぶとウラーが納得したところで、3人は血痕を辿って走り出した。



「おい、あんた」

腕からポトリポトリと血を垂らしながら歩く初老のスーツの男性がいた。
男はミルコたちの姿を見て、小さく舌打ちをし、一瞬だけ不快そうな表情を浮かべた。

「これはこれは、いい朝ですねぇ元気のいいお兄さん達……」

にこやかな笑顔を作り、他愛の無い挨拶をする。何とも胡散臭い。
そして男はさりげなくスーツの左ポケットへと手を伸ばした。
彼の"武器"は今、収納されている。
それを手にとって地面へと投げようと試みた。

……が、あいにく目の前のたくましい男はそれを許さなかった。

スーツに手を入れた時点で彼は疾風のごとく飛び出す。
投げるような隙なんて一瞬もなく、ミルコは男性を押し倒した。

「ガッ……き、貴様! 離せっ!!」
「お前、何をするつもりだ!? 爆弾でも使う気だったのか? えぇ?」

男の左ポケットから落ちたモンスターボールを見てそう言った。
ミルコはどうにか振りほどこうとする男性の抵抗を物ともせず、うつ伏せの体勢にひっくり返す。
そして左手を後ろ手に引き、身動きが取れないように取り押さえた。

「痛ッ、うぐっ、ぐああああぁぁぁぁっ!!」
「モナー、俺のデイパックからロープを出してくれ! 縛り上げるぞ!」
「わかったモナ!」

実に呆気ない終わりであった。
二人を殺した男は、反撃する間もなく、簡単に取り押さえられてしまった。

「く、くっそおおおおおぉぉぉぉ!!」

男は腕を捻り上げられた痛みと、自分の愚かさのあまりに叫び声を上げた。
そう、彼はまたしても油断してしまったのだ。
ネメアを収納するべきではなかった。
戦闘のプロを前にしたら、ネメアを繰り出せるような暇なんて与えてもらえないのだから。
腕を負傷しておいて、全然反省を活かせていなかった。
彼は自分を心底情けなく思った。


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   ll     ヽ二ノ__  {  / ハ `l/   i' i    _   `ヽ
   l|         _| ゙っ  ̄フ.rソ     i' l  r' ,..二''ァ ,ノ  ←クタタン
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 ◆


「……なるほど、どうやら思いのほか大物を引き当てたわけか」

PDAに書かれた名前、クタタンという文字を見て、ミルコはそう呟いた。
そう、先ほどバトルロワイヤル板に2名を殺害した人物として晒されていた人物だ。
その証拠に、忍法帖にもはっきりと『LV=02』と書かれている。

PDA以外に、もちろん支給品も押収した。
……だが、入っていた道具を見てミルコは困惑した。
「ちくわ」と呼ばれる日本食と、赤と白のボールのような球体、妙な形をした白い棒。
ちくわはともかく、後者の二つは見たことのない品であった。説明書も入っていないため、どんな道具なのかさっぱりわからない。
どんな凶器なのかがわからない以上、迂闊に触れるのは危険である。

「仕方ない、これらは後回しだ」
「ちくわ大明神」
「……今の誰モナ?」
「気にするな、ちくわだ」
「え?」

ミルコはクタタンの支給品を再度デイパックに収納した。
そして彼はクタタンに問いかける。

「とりあえず、何故二人も殺すに至ったのか聞かせてもらおうか?」
「そうですねぇ。……私はね、襲われたんですよ、その二人組に。
 善良そうな様子で接近してきて、油断したところをナイフでやられたんです。
 ほら、この右腕を見てください。深々とやられてしまいました……。
 それで身の危険を感じた私は必死に抵抗し、その結果殺してしまっただけですよ。なので私は……」


バシィッ!!


ミルコの平手打ちが、クタタンの言葉を遮った。
続けて彼はクタタンの胸ぐらを掴み、顔を至近距離まで近づける。

「おい、俺は警察官の経験があるからよ、お前が嘘ついてるのはわかるんだよ。でも今は警察じゃねぇんだ。
 だからお前に危害を加えない保証は無いからな? いいか、特別サービスでもう一度だけ質問してやる。
 その時は正直に話せ。さもなかったら今度はもう少しキツイ一撃をお見舞いするからな? いいか?」

ドスの聞いた低い声。鋭い眼光から放たれる威圧。荒々しい動作。
外野であるモナーとウラーが、それを見て恐怖を抱くほどだった。

警察官時代の彼は、テロ対策特殊部隊に所属していた。
そのため、通常の犯罪者よりも危険性の高い人物を相手にすることが多く、威圧をかける術も心得ていた。

そして仕事柄、コイツが嘘を付いていることも予想できた。
別に目線が左上を向いてるだとか、そういう心理的なもので判別したわけではない。
出会い頭に舌打ちをし、白々しい挨拶をしながら爆弾を取り出そうとする時点で、善良な人間じゃないことなんて読み取れる。
嘘を証明する証拠が無いのを知っていて、「正当防衛でした」と言い訳しているのだ。つまり、おちょくっているのだ。
こういう犯罪者から情報を引き出すのは脅す方が効果的である。

……だが、そう言ったミルコの敵意を全身に浴びながらも、クタタンは依然として平静を保っていた。
叩かれたことで腫れ上がった頬の痛みに多少顔を歪めつつも、ミルコに対して平然と反論を述べてきた。

「仮に私が正しい事実を述べたところで、あなたに『信じられない』と思われればその時点で私は一方的な暴力を受けざるを得ません。
 場合によっては、尋問ではなくただの拷問となりえるわけでしょう? ならば私はここで舌を噛み切って自殺を図ろうと思います。
 理不尽な暴力を与えるのであれば、私が持つ情報は一切お伝え致しません」
「そうか。だったら好きにしろ。俺たちが手を下さずに人殺しやろうが一人減るわけだ。嬉しい話じゃないか」
「ほう、では交渉に応じるつもりは無いのですね? 私が持ちうる情報は、あなたがたにとって価値のあるものだと思いますがね。
 特に……この殺し合いからの脱出を目指す者に、それはもう大きな一歩を与えるほどのものです。宜しいのですかな?」

『脱出を目指す者』……その言葉にウラーが「ウラッ!?」と声を上げて反応する。
この男、もしかすると、殺し合いからの抜け道を発見しているのかもしれない。
だとすればこのまま自殺されてしまっては困る。
そう考えたウラーは話に割り込んだ。

「ま、待つウラ! その話を詳しく聞かせるウラ!」

モナーが思わず「モナッ!?」と驚きの声を上げた。

「ウラー、何を言ってるモナ! この人の言葉はハッタリだモナよ!
 どうにか自分に生存価値を見出してもらうアピールに過ぎないモナ!」
「そう思われてるなら仕方ないですよ、ええ。なるべく苦しみが少ないように、自殺を選びます」
「いや、100%ハッタリだと限らないウラよ! 何かヒントを知ってるかもしれないウラ!」

このやりとりを聞きながら、ミルコはため息をつきながら眉間の辺りを指で押さえた。
クタタンは知っているのだ。自分には『有益な情報がある』と匂わせさえすれば、すぐには殺されないと。
脱出に関する情報なんて、知らない可能性の方が高いだろうよ。それでも万が一知っていた場合のメリットも大きなものだ。

ただし、ウラーのこの対応はマズイ。
『生かしておく価値がある』ことを悟られてしまうと、その情報を交渉を持ちかけてくるからだ。

「なるほど、でしたらこういう条件は如何でしょうか? まず、私を殺さないことを誓ってください。
 そうすれば、今から12時間後に、私の持ちうる情報を全て、あなた方にお教え致します」

そう、こんなふうにだ。コイツはあろうことか、交渉の主導権まで握ろうとしている。

「どの立場から物を言っているんだ殺人鬼め。お前は、自分に12時間も庇ってもらえるだけの価値があると思っているのか?」
「ええ、確実にあなた方の役に立つはずの情報ですとも。それに、殺人鬼と言っても、あくまで私は"正当防衛"です、どうかご容赦願います。
 12時間がダメならば、6時間でも構いません。どうか、私に慈悲をお与えてください。助けてください」

……何ともズルい言い回しだ、とミルコは思った。
証明手段が無いのをいい事に、依然として正当防衛だと主張している。
さらに命乞い。弱者であることをアピールしているのだ。
この状態で殺すのは、客観的に考えれば非常に不正義となってしまう。
つまりこれは俺たちの良心に訴えたやり方だと言える。

しかし、このあたりが妥協点と言えるだろう。
どちらにせよコイツは束縛されている状態。これ以上誰かを殺すことは出来ないのだ。
念入りに縛り、どこかに閉じ込めるのが無駄な血を見ることがなく、最善だろう。

「ウラーとモナーはどう思う?」
「えっ……いいんじゃないかウラ? 脱出に関する情報があるのなら……」
「だからそんなの嘘に決まってるモナ! でも、殺すって言うのはちょっと忍びないと思うモナ」

二人ともクタタンを生かしておく方向で決定したようだ。

「いいだろう。その条件で飲んでやる。……ただし、お前が何を言おうと、最後までお前の拘束を解くつもりはない。
 無事に脱出が済んだあとに、然るべき処遇を受けるんだ。わかったか?」
「ええ、ありがとうございます。反省させていただきます」
「……まずは病院へ向かう。この男の腕を、最低でも止血くらいしなくては勝手にくたばられてしまうからな」

本来であれば先に近鉄百貨店へ向かい、何かしら使える道具を調達したかったのだが、こうなったからには仕方ない。
病院にはおそらく他の負傷者が集まっているだろう。そこで協力者を探すのも悪くないはずだ。
それに、患者を収監する部屋もある。クタタンなどの危険人物をそこに閉じ込めておける。

クタタンの両手を手錠のように縛った。
デイパックなどの荷物をウラーに持たせて、ミルコはクタタンを病院へと連れて行く。


【B-2/南東部/一日目・朝】

【ミルコ・クロコップ@AA】
[状態]:健康、後悔
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=00】)、キック力増強シューズ@少年漫画(名探偵コナン)、ロープ@現実、工具セット@現実、クタタンのデイパック(ネメア@ポケットモンスターアルタイル・シリウス、PDA(忍法帖【Lv=02】、ちくわ大明神@コピペ、アーチ@エルシャダイ)
[思考・状況]
基本:殺し合いに乗らない
1:病院へ向かい、拠点とする
2:首輪を外す術を探す
3:ウラー、モナーと行動する
4:クタタンは拘束して病院に閉じ込めておく
5:化け猫(お断りします)とライオン(サバンナ)を警戒
6:……すまなかった
※シューズが武器だとはまだ気づいていません
※クタタンの支給品の説明書が無いため、使い方がわかりません


【モナー@AA(FLASHゲーム「密室船」)】
[状態]:健康、疲労(小)
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、PDA(忍法帖【Lv=00】)、ランダム支給品1~2(確認済み)
基本:殺し合いはしたくない。脱出する
1:ミルコ、ウラーと行動する
2:サバンナと化け猫(お断りします)から逃げるために東の方面(病院)へ向かう
3:クタタンの言葉はハッタリだろ
4:生きて帰って謝罪する
※残りの支給品は武器ではない、もしくは武器には見えないものです


【ウラー@AA】
[状態]:死に対する恐怖
[装備]:バスタードソード@FF&ドラクエ(FF7)
[道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=00】)、ランダム支給品(0~2)
[思考・状況]
基本:生存最優先
1:ミルコ、モナーと一緒に行動する
2:クタタンの『脱出を目指す者にとって重大な情報』が気になる
2:とにかく死にたくない……だから最悪の場合は二人を盾にしてでも生き延びる
3:化け猫(お断りします)とライオン(サバンナ)を警戒






(まだこんなところで諦めたりはしませんよ……)

大人しく連行されながらもクタタンは脳をフル稼働させて策を練っていた。


6時間の猶予のうちに、どうにかこの状況から抜け出さなくてはいけない。
『脱出に関する情報』……無論、あれは生存価値を見出してもらうための方便である。
つまり、実際に6時間経ってしまったらタイムオーバーなのだ。それまでに状況を打破する必要がある。

どうにかネメアの入ったモンスターボールが私の手に戻ってくれば確実だ。
支給品の説明書をあらかじめ破棄しておいたため、どのように使うのか、どんな道具なのかはバレていない。
『使い方が非常に難しい爆弾』とでも説明すれば、おそらくミルコならば迂闊に触ったりしないだろう。
ただし、彼の場合は私に道具を決して渡したりはしない……どうにか、彼にいない隙を突くしかない。

病院で私を手当し、拘束した後は、彼らがどう行動するだろうか?
そこで人数が増えるにしても、全員が同時に私を見張ることは有り得ない。
となれば、単体で監視を付けられた者を上手く懐柔出来ればいいのでは無いだろうか。

例えば、ウラーと呼ばれた猫男……彼は私の『脱出情報』に真っ先に食いついた。
つまり彼は一刻も早い"安心"を求めているのではないかと推測出来る。
ならば彼と1対1の状況さえ巡ってくれば、どうにか騙すことは可能なのではないだろうか?
『ミルコ・クロコップよりクタタンに付いた方が安全』だと思わせるのも良いだろう。

まぁ、そう上手く事が運ぶかはわからない……。
少しでもチャンスが巡ってくればいいのだが……果たして……。


【B-2/南東部/一日目・朝】

【クタタン@ゲームハード】
[状態]:右腕に切り傷(中)、健康、束縛状態
[装備]:
[道具]:
[思考・状況]
基本:優勝し、世界を美しいモノへ創り上げる
1:腕を治療を優先し、その後どうにか束縛から逃れる
2:相手を見極め、出来るならば他の参加者に「協力」を呼びかける
3:いわっちには自分の思想を理解してもらいたい


【ネメア@ポケットモンスターアルタイル・シリウス】
[状態]:支給品、健康、ボールの中
[思考・状況]
基本:クタタンの指示に従う
※使える技は、アイアンヘッド、悪の波動、メタルクローの他にもう1つあるようです。
 何があるかは次の書き手の方にお任せします。


《支給品紹介》
【アーチ@エルシャダイ】
作中で『奇妙な形をした白い棒』と説明された道具。神々が作り出した英知の一つで、弓のような形状、材質は一切不明。
広げることで"物体を浄化させる謎のエネルギー体"を纏うため、殺傷力は高い。
独自の形状のため、どこを持ってどう使うのが正しいのか定められておらず、それゆえに大変使いづらい。
衝撃波や極太レーザーも出せるそうだが、一般人に使えるのかどうかは不明。
なお、神々はこれを爪楊枝として使用しているらしい。


No.75:アクシデントは突然に 時系列順 No.77:emotion
No.75:アクシデントは突然に 投下順 No.77:emotion
No.45:カルネアデスの板 ウラー No.98:You are next
No.45:カルネアデスの板 ミルコ・クロコップ
No.45:カルネアデスの板 モナー
No.50:心の闇 クタタン