Drop out ◆i7XcZU0oTM
ぼっさんとノリさん、それにハルトシュラーの3人は……百貨店の探索を既に終えていた。
結果としては喜ばしい物ではなく、役に立ちそうなものを見つけられずに終わった。
結局、失意のまま百貨店を出て、次なる目的地に向かう……はずだったのだが。
明確な目標が無い故に、結果として"加賀との合流"を再度目指す事になった。
その途中で、定時更新の事を思い出したノリさんの呼びかけで、PDAのチェックを行ったのであった。
結果としては喜ばしい物ではなく、役に立ちそうなものを見つけられずに終わった。
結局、失意のまま百貨店を出て、次なる目的地に向かう……はずだったのだが。
明確な目標が無い故に、結果として"加賀との合流"を再度目指す事になった。
その途中で、定時更新の事を思い出したノリさんの呼びかけで、PDAのチェックを行ったのであった。
「……もう15人も殺されているなんて、信じられないでちゅ」
PDAを眺めて、青ざめたぼっさんが呟く。
「確かに、15もの命が奪われたのは痛ましい事ですが……ここで諦めてはいけません。
希望を捨ててはいけません!」
希望を捨ててはいけません!」
外見は"きれい"なまま、2人に語りかけるノリさん。
とはいえ、この事態には流石のノリさんでも動揺を隠せなかった。
とはいえ、この事態には流石のノリさんでも動揺を隠せなかった。
(確認出来るだけでも、8人も危険な輩がおるとはな。そんだけおるんやったら、もしかしたらこの近くにも、
潜んでるかもしれんな……)
潜んでるかもしれんな……)
だが、不思議と恐怖心は無かった。
……自分には、このパワードスーツがある。並大抵のヤツなら一捻り。
そう考えているからこそ、恐怖心も薄れるのだ。
……自分には、このパワードスーツがある。並大抵のヤツなら一捻り。
そう考えているからこそ、恐怖心も薄れるのだ。
(……どっからでもかかってこんかい。どんな相手が来ても、ワイの力で一捻りや)
◆
「……」
定時更新を軽く確認して、鞄に仕舞う。
……やはり、俺の名が載っていたが、こんなものは気にする必要もない。
こうなるのは最初から分かっていた事だし、たからと言って殺しをやめる気もない。
……やはり、俺の名が載っていたが、こんなものは気にする必要もない。
こうなるのは最初から分かっていた事だし、たからと言って殺しをやめる気もない。
(まだだ。まだ足りない)
この6時間、俺は2人しか殺していない。……これじゃ駄目だ。
もっと、大量の血を以て……全てを、断らなければならないのだから。
そのためには、2人などでは到底足りない。このままでは、目標には到底辿り着けない。
――――全ては、生きとし生ける者全てを、断る為に。
もっと、大量の血を以て……全てを、断らなければならないのだから。
そのためには、2人などでは到底足りない。このままでは、目標には到底辿り着けない。
――――全ては、生きとし生ける者全てを、断る為に。
(だが、焦りは禁物だ……つまらないミスで足元を掬われるほど、下らない物はない)
確実に、逃がさないように、躊躇わずに一息に狩る。
その固い意思と行動が、俺の勝利を確実にするのだ。
その固い意思と行動が、俺の勝利を確実にするのだ。
「…………」
だが、今の俺には、足りないものがある。
(もう少し、役に立つ武器があればいいんだが)
今の手持ちは、ボウガンにさっき奪った薙刀、それと草刈り鎌。
殺傷力という点で見れば、まずまずの武装だろう。
だが、この程度では足りない。まず、ボウガンだが……。
銃等に比べて音が小さいのは有難い所だ。だが、一発撃つたびに装填しなければならない。
ボウガン特有のこの手間……致命的な隙になりえる物だ。
少しの隙が命取りになるような戦闘中に、再装填はできないだろう。
殺傷力という点で見れば、まずまずの武装だろう。
だが、この程度では足りない。まず、ボウガンだが……。
銃等に比べて音が小さいのは有難い所だ。だが、一発撃つたびに装填しなければならない。
ボウガン特有のこの手間……致命的な隙になりえる物だ。
少しの隙が命取りになるような戦闘中に、再装填はできないだろう。
次に、薙刀だが……殺傷力も高く、接近戦では有効だろう。
だが、ボウガンのように遠距離からの攻撃は望むべくもない。そこがこれの欠点だ。
しかし、ボウガンとは違い、薙刀は壊れさえしなければ何度でも攻撃できる。
だが、ボウガンのように遠距離からの攻撃は望むべくもない。そこがこれの欠点だ。
しかし、ボウガンとは違い、薙刀は壊れさえしなければ何度でも攻撃できる。
……草刈り鎌も、武器としては馬鹿に出来ないモノがある。
取り回しも良く、殺傷力もそこそこだが……元々武器として作られている訳ではない。
強度の面で、不安が残る。
取り回しも良く、殺傷力もそこそこだが……元々武器として作られている訳ではない。
強度の面で、不安が残る。
「……」
……辺りは既に明るくなっている。
闇に乗じて不意打ちする手は、もう使えない。
だが、先述したように遠方からの攻撃は難しい。
ならば……確実に先手を取れるように、こちらから仕掛けて――――。
闇に乗じて不意打ちする手は、もう使えない。
だが、先述したように遠方からの攻撃は難しい。
ならば……確実に先手を取れるように、こちらから仕掛けて――――。
(……ふん)
そんな事を考えていた時に……丁度よく、誰かが近づいてきたようだ。
気付かれないようにササッと近くの民家の庭に飛び込み、透かしブロックから様子を窺う。
気付かれないようにササッと近くの民家の庭に飛び込み、透かしブロックから様子を窺う。
「休まなくても平気でちゅか?」
「うん」
「うん」
3人組……。
その内2人は中年、あとの一人は子供……。
その内2人は中年、あとの一人は子供……。
「疲れたなら、いつでもおじさんに言っていいからね」
「……大丈夫」
「……大丈夫」
状況から察するに、あの中年2人が子供を保護してるって所か。
なら……先に子供を仕留めて混乱した所を突くか?
それとも、何となく厄介そうな、変なモノ着てる奴を片づけるか?
なら……先に子供を仕留めて混乱した所を突くか?
それとも、何となく厄介そうな、変なモノ着てる奴を片づけるか?
(……子供は簡単に殺れるだろう……ならば、面倒な奴から先に片づけるか)
そうと決まれば、すぐ行動に移そう。……今回は、ボウガンは使わずに行く。
やはり連射できないのは厳しい。1対多ならばなおさらだ。
ならば、最初から薙刀(と草刈り鎌)で戦う方が良い。
やはり連射できないのは厳しい。1対多ならばなおさらだ。
ならば、最初から薙刀(と草刈り鎌)で戦う方が良い。
(……)
……忍び足で家の裏手へ回り、ヒョイと塀を乗り越えて路地に出る。
「え? ……猫?」
「武器、持ってまちゅ」
「武器、持ってまちゅ」
中年2人は、突然飛び出してきた俺に、目を丸くして驚いている。
まあ、当然だろう。いきなり、俺みたいなのが出てくればな。
そのまま脇目もふらずに、妙な物を着たヤツに一直線で向かって行く。
まあ、当然だろう。いきなり、俺みたいなのが出てくればな。
そのまま脇目もふらずに、妙な物を着たヤツに一直線で向かって行く。
「……おおぉぉぉッ!」
上から振り下ろした薙刀の一撃は……鋭い金属音と共に、中年男の左腕で防御された。
鉄を叩いた鋭い反動が、薙刀の柄を通じて手に伝わる。
鉄を叩いた鋭い反動が、薙刀の柄を通じて手に伝わる。
「この……!」
中年男の拳が振りかぶられる!
すかさず、俺は後ろへ飛んで距離をとる。
それと同時に、破壊音と共に、拳がコンクリートにヒビを入れる……!
……どうやら、あの妙な物は着た者の力を増幅するもののようだ。
そう考えなければ、このとんでもない力を説明出来ない。
すかさず、俺は後ろへ飛んで距離をとる。
それと同時に、破壊音と共に、拳がコンクリートにヒビを入れる……!
……どうやら、あの妙な物は着た者の力を増幅するもののようだ。
そう考えなければ、このとんでもない力を説明出来ない。
「2人は下がっとれ! かかって来んかい、化け猫ォ!」
自信満々の表情で、戦闘体勢を取る中年男。……どうすれば、こいつを殺れる?
巛彡ミミミ彡彡
巛巛巛巛巛彡彡
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あのスーツで守られていない所……露出した頭部を叩けば、いけるはずだ。
確実に殺すためにも、ここは、首を斬る。
その為には、薙刀より取り回しの良い鎌を使った方がいいだろう。
薙刀を投げ捨て、鎌に持ち替える。
確実に殺すためにも、ここは、首を斬る。
その為には、薙刀より取り回しの良い鎌を使った方がいいだろう。
薙刀を投げ捨て、鎌に持ち替える。
「何や、せっかく良さそうなもん持ってたのに捨てるんか?」
「……」
「まあええわ。……ほな、行くでッ!」
「……」
「まあええわ。……ほな、行くでッ!」
そう言って、中年男が俺に襲い掛かってくる。
――――不思議だ。
もしかしたら死ぬかもしれないと言うのに、妙に心が落ちついている。
冷静さを欠くのは敗北に繋がるものだが、ここまで落ちつけるとは……。
もしかしたら死ぬかもしれないと言うのに、妙に心が落ちついている。
冷静さを欠くのは敗北に繋がるものだが、ここまで落ちつけるとは……。
「ほらほらほらほらッ!」
まるで、手に取るように。相手の攻撃が、予測できる。
所詮、力で押すだけの単純な攻撃だ。こんなものは、とっとと躱して……。
所詮、力で押すだけの単純な攻撃だ。こんなものは、とっとと躱して……。
「……頂いたッ!!」
――――首を狙う!
「がっ、あ、が……!?」
勢いよく血が吹きだす首を抑えながら、中年男は倒れた。
飛び散る生温かい液体が、俺を濡らしてゆく。
何故だろうか、その生温かさが、妙に心地良い。
飛び散る生温かい液体が、俺を濡らしてゆく。
何故だろうか、その生温かさが、妙に心地良い。
「あ……!」
その光景を見て、絶句したまま立ちつくすもう一人の中年男と子供。
……先に、中年を殺しておくか。子供ならいつでも殺れる。
薙刀を拾い上げ、ゆっくりと近づく。
……先に、中年を殺しておくか。子供ならいつでも殺れる。
薙刀を拾い上げ、ゆっくりと近づく。
「ハ、ハルちゃんは……殺させまちぇん!」
そう言って、俺の前に立ちふさがる中年男と、それを尻目に、一目散に逃げ出す子供。
……まあ、子供ならば、俺が殺さずともいずれ死ぬだろう。
……まあ、子供ならば、俺が殺さずともいずれ死ぬだろう。
「安心しろ、あの子供はもう逃げたようだ」
「……そうでちゅか」
「それじゃあ――――」
「……そうでちゅか」
「それじゃあ――――」
ヒュン、と鎌が風を切る音と共に。
「――――死ね」
もう一人の中年男の首から、赤い液体が噴き出していた。
【ノリさん@なんでも実況J 死亡】
【ぼっさん@ニュース速報 死亡】
【残り48人】
※2人の遺体の傍に2人のPDAと支給品(こんにゃく@ニュー速VIP、参加者名簿@現実、ひもののようなもの@暴力二男のガイドライン、
カップラーメン@コピペ、ブーメラン@現実、しまむらのパワードスーツ@しまむらくんAA)が放置されています
【ぼっさん@ニュース速報 死亡】
【残り48人】
※2人の遺体の傍に2人のPDAと支給品(こんにゃく@ニュー速VIP、参加者名簿@現実、ひもののようなもの@暴力二男のガイドライン、
カップラーメン@コピペ、ブーメラン@現実、しまむらのパワードスーツ@しまむらくんAA)が放置されています
◆
「……これは使えそうにないな」
謎のスーツを着た遺体を見下ろしながら、俺は呟く。
……俺の体では、明らかにサイズが合わない。
……俺の体では、明らかにサイズが合わない。
(まあ、いい。……今度は2人始末した。それだけでも良しとしよう)
ふうと一息付き、鞄からペットボトルを取り出す。……少々、喉が乾いた。
ぐいっと一口水を飲み、喉の乾きを癒す。
ぐいっと一口水を飲み、喉の乾きを癒す。
(さて。どこに向かうか……)
そう思って、歩き出そうとした時だった。
『ひろゆき討伐PT……まず……近鉄百貨店集合、詳細きぼう……はテルして……』
……南の方から、声が聞こえて来たのは。
【A-4・住宅街/1日目・朝】
【お断りします@AA】
[状態]:健康、返り血
[装備]:草刈り鎌@現実
[道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=04】)、ニニフと炒飯セット@AA、予備の矢×7、薙刀@現実
ボウガン(0/1)@現実
[思考・状況]
基本:全てに「お断りします」。
1:この声は……
2:今の武器よりいい物が他にあるなら手に入れたい
※声に反応して、どう行動するかは後の書き手さんに……
【お断りします@AA】
[状態]:健康、返り血
[装備]:草刈り鎌@現実
[道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=04】)、ニニフと炒飯セット@AA、予備の矢×7、薙刀@現実
ボウガン(0/1)@現実
[思考・状況]
基本:全てに「お断りします」。
1:この声は……
2:今の武器よりいい物が他にあるなら手に入れたい
※声に反応して、どう行動するかは後の書き手さんに……
◆
(……助かった)
ノリさんが死んだ事も、ぼっさんが死んだ事も、閣下にとっては些細な出来事であった。
それよりも、命の危機を乗り切ったことへの安堵感の方が大きかった。
それよりも、命の危機を乗り切ったことへの安堵感の方が大きかった。
(あいつがまず私を狙ってたら、今頃殺されてたかも……)
今の時点では、自分の身を護れるかも怪しいほど、非力になっている。
それは、否定しようのない事実だった。能力も封じられ、あるのは、知識のみ。
……どれほど素晴らしい武力の知識があろうとも、体がそれに追いつかないのでは意味が無い。
それは、否定しようのない事実だった。能力も封じられ、あるのは、知識のみ。
……どれほど素晴らしい武力の知識があろうとも、体がそれに追いつかないのでは意味が無い。
(……とにかく今は、さっきの2人より使えそうな奴を探してみよう)
それまで、危険人物に遭遇しなければいいけれど。
そう思って、歩き出そうとした時。
そう思って、歩き出そうとした時。
『ひろゆき討伐PT……まず……近鉄百貨店集合、詳細きぼう……はテルして……』
遠くから、男の声が聞こえた。……一体何のつもりだろう?
(言ってる内容から察するに、仲間集めのつもりみたいね……馬鹿馬鹿しい……)
誰がいるかも分からないような場所で、大声を上げるなんて。
危険な奴なんて近くにいないとでも思ってやってるなら、ずいぶんと呑気な事で……。
危険な奴なんて近くにいないとでも思ってやってるなら、ずいぶんと呑気な事で……。
(暫く、近鉄百貨店には近寄らないでおこう……)
……この呼び声が、罠の可能性だってあるのだから。
大声を上げて、人のいい奴を集めて、一網打尽にする。
それも、十分考えられる。
大声を上げて、人のいい奴を集めて、一網打尽にする。
それも、十分考えられる。
(……とりあえず、ここから離れよう……また、あの猫に遭遇するかもしれないし)
【A-4/1日目・朝】
【ハルトシュラー閣下@創作発表】
[状態]:健康
[装備]:警棒@現実、毒薬(青酸カリ)@名探偵コナン(?)
[道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=00】)
[思考・状況]
基本:10歳の少女を演じながら、ステルスマーダーに走る
1:とりあえずここから離れて、使えそうな奴を探す
2:百貨店には近づかない
※身体能力の一切が10歳の女の子並みに制限されています。召還術も、自分の設定を変えることも出来ません
※拳法の技術や、剣技は体が覚えていますが、筋力などがついていきません
※毒薬は青酸カリです。説明書は「文字を入れ替える系」ネタが使われております
【ハルトシュラー閣下@創作発表】
[状態]:健康
[装備]:警棒@現実、毒薬(青酸カリ)@名探偵コナン(?)
[道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=00】)
[思考・状況]
基本:10歳の少女を演じながら、ステルスマーダーに走る
1:とりあえずここから離れて、使えそうな奴を探す
2:百貨店には近づかない
※身体能力の一切が10歳の女の子並みに制限されています。召還術も、自分の設定を変えることも出来ません
※拳法の技術や、剣技は体が覚えていますが、筋力などがついていきません
※毒薬は青酸カリです。説明書は「文字を入れ替える系」ネタが使われております
No.81:迷える心 | 時系列順 | No.83:――の前の静けさ |
No.81:迷える心 | 投下順 | No.83:――の前の静けさ |
No.49:銭闘民族の特徴でおまんがな | ノリさん | 死亡 |
No.49:銭闘民族の特徴でおまんがな | ぼっさん | 死亡 |
No.49:銭闘民族の特徴でおまんがな | ハルトシュラー閣下 | No.91:ハルトシュラーのパーフェクト説得教室 |
No.59:意思が混ざり合う時、事件は起こる | お断りします | No.95:鬼子「どうしましたのクラウドさん、いきなり私を押し倒すなんて……」 |