飛べ!ヤグラ!

アーキル技研主催の新型兵器プレゼン会。

間もなく実行される帝都攻略作戦に向け既存の兵器をアップグレードさせる技術提案会である。

まず最初に登場したのはシグモダン技術者。
意気揚々と屋外舞台に上り多数の軍人や他企業の役人が見守る中プレゼンを始めた。

「我々シグモダンが自信をもって提案させてもらうのは、
地上部隊を援護し、帝都を瞬く間に陥落させる兵器です!
これの前には帝国軍人など“旧兵器の前のクルカ”でしょう!」

まるでもうすでに採用が決定したかのようなしゃべり方である?
「あちらをご覧下さい!」

そうシグモダンの技術者が空を指さし、会場全体がそっちを向く。
すると、 東の空からツァーラツァ・エカセリネが高速で進入してきた。
艦首のしたには何か大きな鉄の塊のようなものが三つ付いている。

「ん?なんだアレは」
「新型爆弾じゃないのか?」
「よっ!シグモダン!」

会場のどよめきとは裏腹に、
その船体が会場奥の広場手前の上空に達したとき、
その鉄塊は船体から切り離された。

しかし、その落下する物体。鉄塊に見えたその塊はなんと制圧戦車ヤグラではないか!

「我々が提案させてもらうのはヤグラⅡです!
エンジンを改修しパワーを増加、
その上、側面ににパラシュート展開機能を追加したので、
上空から帝都にこの戦車を降下させ。
にくき帝国の首都をその装甲と火力とキャタピラで蹂躙することが可能なのですっ!」

その技術者はさながら政治家のごとくこれを熱弁。
その間に三つのヤグラⅡはほぼ同時にパラシュートを展開
、、、、したように見えたが。
三つの内二つのヤグラⅡはパラシュートを開けずそのまま、地面に激突。
見るも無惨な鉄の塊になりはてた。

なんとかパラを開いた一体のヤグラⅡはというと、 、、
バランスを崩して近くのクルカ人形輸送トラックの荷台に突っ込んでいき、
トラックの運転手が呆然と立ち尽くしていた。
会場からどよめきれ呆れ声が満ちていた。

先ほどまで熱弁していたシグモダン技術者いつの間にか舞台か消え。
会場をさる車が砂ぼこりを立てていた。

しかし、奇跡的か神の気まぐれか死者はゼロだった。なぜかというと、
着地の衝撃を和らげるために、
車内は至るとこがスクムシ絹とワグワグの繊維でできた衝撃吸収クッションと、
クルカで埋め尽くされていたというのと、
偶然着地面がぬかるんでいたためであった。

のちにこの「衝撃吸収クッション」はアーキル連邦車に常備されていくエアバッグの原型となることは、
シグモダンも軍や企業の役人はおろか、
多大な報酬の代わりにヤグラに載せられたパンドーラ隊員もクルカもしるよしもなかったのであった。。。

 

最終更新:2015年07月30日 21:00