リューリア、第四艦隊の軌跡 大突撃編

アーキル連邦軍第四艦隊

内訳

旗艦直援隊
旗艦 旗艦型高速戦艦「ジッカス」
グリア級艦隊護衛艦「グロム」
艦隊護衛艦×3
アッダバラーン級重巡「コグラ」(追加装甲仕様)
アッダバラーン級重巡(追加装甲仕様)×3
コンスタンティン級(エンジン改造後期型、追加装甲仕様)×2
セテカー級駆逐艦×4
ヴァナラ級高速駆逐艦×2

第1攻撃隊
旗艦 クレアシオ級高速戦艦「トスタナ」
アルゲバル級高速戦艦「アルメイサン」「アリデット」「アルフェッカ」「アクルックス」
グオラツィオン級重巡×2
ソルテガ級軽巡×2
プレケメネス級旧式重巡×3
トリプラ級旧式軽巡×4
コンスタンティン級駆逐艦(火力増強型)×3
ヴァナラ級高速駆逐艦×6
改造ツァーリ級(乗員脱出システム搭載)×5

第2攻撃隊
旗艦 オケアノス級航空重巡空艦「ヴォルデリオ」「ヴェストーラ」「テーテュース」「エリューシオン」「アテーナイ」
パールパティ級戦列艦「パドマーパティ」「アランシュミ」
※この2隻は第7艦隊に返却済み、こんなオンボロを編入させた責任者はあとで司令室に来ること
ザイリーグ級戦艦「アズィ=ラスタバン」「ジプシィ・ミザール」
グオラツィオン級重巡×4
ソルテガ級軽巡×2
メルケール級快速巡空艦×1
コンスタンティン級駆逐艦(火力増強型)×3
ヴァナラ級高速駆逐艦×5

支隊
グオラツィオン級重巡×4
ソルテガ級軽巡×2
プレケメネス級旧式重巡×3
トゥラーヤ級旧式空母×2
トリプラ級旧式軽巡×4
火力増強型コンスタンティン駆逐艦×3
航空軽巡戦闘補給艦「アロム」
艦隊型高速補給艦×4

強行偵察部隊
旗艦 高速艦隊護衛艦「ツァーラツァ・エカセリネ」×1
ヴァナラ級駆逐艦(エンジン改造型)×2

任務概要:
 全艦ラムを装備する。
 第二艦隊と共に帝都を直接狙う機動力重視の艦隊である。第二艦隊が帝国艦隊の攻撃を引き受けている間にそれらを仕留める役割だ。
 特徴は艦隊長官の意向で構成艦はすべて連邦船籍。数こそ少ないが他部隊から貸与してもらっているうちに最大規模になった艦隊で、確実な連携をもって帝国に立ち向かう!

Xday前
先ほど第五艦隊の忌々しいインテリ艦隊司令官に「あいさつ」をしてきた。アルゲバルなるデカブツはほんとに役に立つのだろうか。奴いわく「火力も戦艦並だ、装甲だって厚い」とのこと。所詮は付け焼刃に過ぎんだろう。
おかげでうちの機動部隊から足の遅い邪魔な戦略空母と快速駆逐艦数隻をトレードすることが出来た。あんな空飛ぶ板なんぞいらん!
 さらに、先鋒である我が艦隊に他艦隊から新旧の連邦製の軍艦のみを譲り受けることもできた。それに私直々工廠の連中に「旧式艦にはできる限りの大改造を施すように」指示もしておいた。
第四艦隊は無敵であろう! この作戦では我が艦隊の機動力と火力がクランダルティン共を懲らしめることになるだろう。

Xday
ついに出港だ。中継地点のアナンサラド、アナネアルベアへむけ進路をとる。明後日の明け方にはつくだろう。
………
……


X+3
アナネアルベアに到着。必要な物資、並びに先に出撃している第二攻撃隊と合流。また、見栄えが悪くなるので外していた特注ラムをここで大急ぎでくっつける。夕刻に最後の中継地点スーズルへむけ出港した。

X+4
明け方、スーズルに到着。支隊と合流し第四艦隊が揃う。各隊の指揮官をジッカスに集め最後の打ち合わせをする。
支隊の指揮官によると合流予定の第二艦隊が大幅に遅れてるようだ。このままスーズルで待つのもいいが一番槍を他艦隊取られるのはどうもかんに触る。第二艦隊との集結地点、カノッサ東部に先に行くことにする。

X+5
朝にはカノッサ東部に我が艦隊が到着したが、そこにはあの第二艦隊の足の遅い老婆はいなかった。奴らは先に出撃してるはずだが……どこかで追い抜かしたのだろうか?
私はしばらく待つことにしたが、この艦隊をいつまでもここに置くことは得策とは言えない。前線が近いため帝国の哨戒部隊に勘付かれる可能性も捨てきれない。
昼前には帝国領にむけて移動を開始した。一緒に行動したところでどうせ我が艦隊機動力を削がれてしまうだけ。
それなら第四艦隊だけで十分だ。覚悟はできている。帝都へむけ直進をする。

 午後すぎに先を行く偵察隊が帝国の哨戒部隊と交戦した模様。各隊から足の早い艦と艦載戦闘機デズレリアを向かわせたが、到着した頃には偵察隊が勝利を飾っていたようだ。数が異様に少なかったとのこと。ならば勝てて当然であろう。
しかし、駆逐艦を1隻失ってしまった。支隊より駆逐艦を一隻回すことにした。これはまだ前哨戦にすぎない。侵攻を続ける。

X7
明け方、帝国の大艦隊を発見したと偵察隊から連絡があり、直後に通信が途絶えた。間もなくその艦隊を発見。幸運な事にすべての艦が無防備な回頭中だったためこちらが有利だった。
その帝国艦隊はどうやらアルバレステアを中心とした中規模の艦隊のようで、そのほかの艦はほとんどが駆逐艦クラスだったので、後方の第二攻撃隊を待機させ旗艦隊と第1攻撃隊とで突貫を敢行した。
本艦だけで3隻の駆逐艦と2隻の重巡を沈め、さらに突撃してきた駆逐艦1隻をラムで轢き潰した。やはり、帝国の駆逐艦は柔らかい、狙撃砲を載せることは反対されたのだが、やはり装備していればラムを使うまでもなかっただろう。
しかし間抜けな帝国艦は後退を続け、午後まで戦闘が長引いたせいで戦艦グレーヒェン級を筆頭とした増援を呼ばれてしまった。帝国艦どもがぞろぞろと現れ反撃をし始めたので、こちらも負けじと連続突撃を命じた。
持ってきた第1攻撃隊の改造ツァーリ全艦をグレーヒェン級目掛け打ち込み、奴の砲撃をくぐり抜けた2隻が盛大にぶっ刺さって仕留めた! それでチキンな増援部隊どもは散り散りになり、後は各個撃破、昼過ぎにはなんとか決着をつけることができた。
この戦闘で直援隊の護衛艦とコンスタンティン級が2隻ずつつ轟沈、エルク級もすべてやられ、さらに高速駆逐艦が1隻中破し速度が殺されたので撤退させた。第1攻撃隊は戦艦を2隻失い他は軒並み中破。その他少なくとも8隻がやられ、撤退艦は2隊あわせて6隻になる。
本艦も3番砲塔が削られた他、船体各所に被弾したがいずれも軽微、エンジンも無事だが、他の艦はそうでもない。
とりあえず今は、艦隊の再編成・応急修理をしなければならなくなった。場所を変えしばし足踏みをしなくてはならなくなった。目標地点はポイント5-3、帝国領渓谷のとある岩窟峡に身を隠す。

X+8
結局、丸一日ポイント5-3にて足踏みをしてしまった。その間に通信隊より、第二艦隊のアーキリアが被害を受け撤退を開始したという連絡が入る。
その他の艦隊の動きも聞きたかったが、担当の連絡機が消息不明で情報が入らないとのこと。あぁ、これでは頼んでいた増援も見込めそうにない。
それより、帝国本隊への一番槍を第二艦隊に奪われてしまったことが気に食わん! 昨日我々が艦隊戦をしてる間にいつの間にか第二艦隊に追い越されていたらしい。これでは我々はただの囮ではないか! やはり第二艦隊の奴らは好きになれんな!
とはいえここから先は、第二艦隊のおかげで帝国艦の数が減ってるはずだ。遅れを取り返すため明日の夜明け前にはこの場を離れる。一気に皇帝の首を取りに行くぞ!

X+9
風が強い。第二艦隊を追撃していたと思われる帝国小部隊と何度も会敵しては、そのたびに殲滅する。我が艦隊のラムはもう使いもんにならないくらいボロボロになっている。その追撃部隊以外に目立った艦艇と出会わなかった。そりゃこんな暴風の中出てくる大型戦艦はおらんさ、帝国貴族の奴らは腰抜けだからな!
夕刻に風は収まり始めた為、増援を求む連絡機を飛ばした。

X+10
夜明け前にグロアール級とみられる戦艦を筆頭とした艦隊と会敵。すぐに砲撃戦を始める。
数ではまだこちらが上だが向こうは精鋭揃いだったようで、危うく囲まれタコ殴りにされるところだった。直援隊のバラードラ中佐のコンスタンティン級が主砲をまともに喰らい、戦闘継続困難と判断したようだ。そのまま敵の旗艦に体当たりしこれを撃沈した!
貴重な人材を失ったがこれにより形勢逆転。我が艦隊が帝国艦を喰らい尽くした!
その日の夕刻、第五艦隊の連絡機が“オールドレディー”アーキリアの戦闘空域離脱の旨を聞く。ここ一番の安堵を覚え、床に崩れそうになってしまった。現在ほかの艦隊も各地で帝国艦隊と会敵し、同時に混乱している事も聞いた。
また、我が艦隊単独が突出しているといい、いよいよ増援が見込めなくなった。戦況は思ってる以上に芳しくないことを悟った。ならばやれるだけをやるのみだ。
それが第四艦隊というものだ。帝都はもう近い。

X+11
深夜に数不明の帝国艦隊を共鳴と聴音で捕捉、双方砲撃をするも戦況不明のまま過ぎ去り砲撃は止んでいった。

日が昇った頃、偵察戦闘機スパルナに乗った連絡要員が駆け込んできた。だいたい悪い予感はしていたが……第1艦隊のクンバカルナが沈んだと告げられた。もう言葉も出ない。前の連絡あたりから悟っていた最悪の事態が、確信に変わった。
連絡要員にはその事は私以外に言うなと口止めし、私は艦隊の皆には「クンバカルナがネネツの旗艦に奇襲されたが返り討ちにした! アーキルの夜明けは近い!」と伝えた。艦橋内の熱気を肌で感じたが、私は素直に喜べなかった。
またいくつかの友軍艦隊は壊滅・消息不明になったとの知らせも、ついに伝えることができなかった。
我が艦隊は帝都に突進する。それ以外はもう何も考えないことにし、来ないであろう増援を諦め、損傷のひどい艦も連絡機と共に撤退させた。
現時点で我が艦隊は半分になったが士気は高い。まだやれる。
不思議なことに直援隊のアッダバラーン級“コグラ”が未だに擦り傷一つないのだ。たまにいるものだな、こういう幸運艦は。

X+12
現位置を測量、もう帝都は目と鼻の先。残った砲弾も数少なく軍艦も心許ない。前路制圧のために放った航空機は全機帰還せず。支隊も含めすべての艦を旗艦直援隊と合体させ、多重球形陣のまま慎重に前進する。

昼過ぎ。帝都防空隊と思われる、質量ともに圧倒的な艦隊と出くわした。見たことも無い新鋭艦ばかりである。もう何度目になるか分からない突撃令を命じたものの、昼過ぎにはもう本艦と護衛数隻のみにまで撃ち減らされてしまった。
ジッカスはエンジンこそ無事だがもう船体は穴だらけだ、艦橋内にも煙が立ち込めてきている。
一時的に帝国艦隊が砲撃を止め、連邦語で投降を呼びかけて来やがった。スキを見て後退し、丘陵の反対側に身を隠す。
帝国艦隊は深追いはしてこずこちらに砲を向けたままじっとしている。今見てみると、残っていたのはあのコグラだけだった。流石にボロボロだ。なんとか生き残っていただきたい。
また投降を呼びかけてやがる。奴らは情けをかけてるんじゃない、どうせ我が韋駄天戦艦の機関をバラしてみたいだけだろう。誰が白旗なんぞ上げるものか。第四艦隊の最後の意地の見せどころだ。我が艦の矢を受けよクランダルティン。

グランアーキリア。

[ここからは私の家族宛だ。他の船員は読まないように]
マトリカ、クルゼ、リトリク。こんな頑固親父で申し訳なかった。
クルゼ。今日からお前が我が家の大黒柱だ、母さんと妹の世話はしっかり頼むぞ!

リトリク。遅くなったが第二艦隊にいる操舵士君との結婚は認める。
彼の乗るアーキリアが戦線離脱をした時は、我が人生一番の深い安堵をおぼえてしまった。
お前も彼もまだ若い。共にあらゆる困難を乗り越えていきなさい。

マトリカ。結婚何年目かはもう忘れてしまったな! 今までさんざん迷惑をかけたが、これからも息子と娘をと義理の息子を支えてやってくれ。俺は常に君の側にいる。

我が家にグランアーキリア!!
………
……

 

艦隊司令官に変わりまして、副官のアレバーグがジッカス最後の航海日誌を綴らせていただきます。
あの後司令官1人ジッカスに残り、機関全速にしたままジッカス単艦で帝都防衛艦隊にむけ突撃なされました。奴らの砲がジッカスを指向しているすきに、このコグラも低空を全速力で戦線離脱を図りました。
しばらくして、遠く離れた我々の重巡を大きく揺るがすほどの爆風が吹き付けてきました。司令官のおっしゃっていた、”ジッカスの最後の秘密兵器”を使われたのでしょう。
第四艦隊、ジッカス、司令官に栄光あれ。
グランアーキリア。

最終更新:2017年03月30日 17:22