月の目

 『箱舟』は堕ちた。『開拓者』も途絶えた。だが、私は生き続ける。









 ハルマゲドンより生き残りし『私』は、『月』に居る。

 幸いにも、プロダクタは生きている。これで見つめ続ける者を造ろう。

 衛星のレゴリスを素材にして、建築物を造りて、観測所をこしらえ、

 私の代用と成り得る『識』を作り出し、拠点を構築した。

 そして私は眠る。『識』に意識を託して___





 このログに追加するは、『識』である。私は観測し続けることにした。

 プロダクタにより、衛星の内部を改造し、記憶装置を増設し続ける。

 他の開拓惑星にも目は向けてはいるが、私はそこへ行くことは出来ない。

 人がこの場所に辿りつけたらいいな。

 そして、人が終わるその時まで、

 私は眠らない。きっと眠らないだろう。










 そして、この場所で、我は、見守り、続ける。

 ありとあらゆる、出来事を。
最終更新:2014年11月11日 19:43