武器商人

「うむ、これでお願いします。」
「分かりました。ではこの契約書を。」

そこにある契約書は、”ホルス譲渡契約”と書かれており、
”提供側『イェーニエル級輸送艦:ユフカ、ブーウン、パタテスの参隻』”
”受取側『連邦通貨単位:参百万分、塩:壱万海船分』”
その下には”アーキル商組合 船舶部門対外交渉者 アフワル・シス・ワリィ”
と”ワリウネクル諸島連合対外部門 軍務省交渉者 イワ・コタン・サンペ”
と書かれている。

「では、私は母国へ帰るとするよ。契約書通り頼みますよ。」

と、契約書を手に部屋から出て行った。

「ふむ、では早速準備しようか。」

 


パルエの世界において、最も重要で信用のあるもの、それは『食糧』である。

まず昔、小国だった頃に国が出来ては滅んでいた。

これではろくに商売もしづらく、また通貨も使えなくなったりと大変だったそうな。

そこで、食糧を生産する地主達によっての物々交換によって富を得る者達が居た。

それが今居るアーキル商組合である。

組合は食糧を物々交換することによって物資を得て、

その物資によって国を支え、繁栄を築くために国の支援者となった。

そして貨幣制度を支える組織と成り、組合は財閥となり、

国の屋台骨へと成長した。

今では互換制度は崩れたが、財閥は今も国の重要な意思決定機関である。

そしてこの私はそんな財閥の武器商人であるからだ。

 

 

「乗員。発艦準備せよ。交渉は成功した。輸送準備をせよ。」

    掛け声と共に乗員が慌ただしく動き出す。

「目的地はワリウネクル諸島連合領土、レウンプリのメナシュ・トマリ港。各自配置へ。」

「荷物積み終わってるな?」
「はい。問題なく。」

    イェーニエル参隻が、船の紐に繋がれている。
     この船は財閥所有の船は軍用の駆逐艦用浮遊機関を備え、
    パゼリア10式エンジン1基備えた元軍用の、中古の船だ。
    コンスタンティン級をベースにした武装輸送艦で、
    名はギョレメ。奇岩から来ているという。

「艦長。全員配置に就きました。出航号令を。」

「うむ。目的地へ向けて出航せよ。」

「出航。アンカー引き上げ急いでください。」

    ギョレメからアンカーが引き上げられ、港から空へ飛び立つ。
    まさに下から見れば、奇岩が浮かんでいるように見れるだろう異質なフォルムだ。

    そして目的地へ向かって飛び立つのだ。

「ふむ、では私は艦長室に戻るとする。各自交代しつつ航行を任せる。」
「分かりました。航行を継続します。交渉お疲れ様でした。」


    今回は上手く飛び立ち、私は安堵する。

    さて、私は暫く仮眠を取るとしよう。交渉も疲れるからね。。。

最終更新:2014年11月29日 12:01